著者
東野 外志男
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.96, no.9, pp.703-718, 1990-09-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
38
被引用文献数
23 44
著者
新正 裕尚 齊藤 哲
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.8, pp.571-584, 2017-08-15 (Released:2017-09-05)
参考文献数
55
被引用文献数
3

瀬戸内火山岩類は九州東部の大野地域から愛知県東部の設楽地域にかけて,中央構造線沿いにおよそ600 kmにわたり分布する.瀬戸内火山岩類を特徴付ける岩石種のひとつである高Mg安山岩は大野地域から紀伊半島中部の範囲で見られ,松山周辺では高縄半島から防予諸島にかけて広く分布する.本巡検対象の松山周辺では,安山岩類の多くは小規模な岩頸あるいは岩脈として産するため,貫入様式の観察には好適である.さらに瀬戸内火山岩類にはピッチストーンなどを含む珪長質火山岩類も広くみられる.この珪長質火山岩類は,松山周辺では砕屑岩および火砕岩からなる高浜層群,興居島層群中に含まれる.分布は極めて狭いが多様な岩相をもつこれらの地層群についても興居島南東海岸の露頭で観察を行う.
著者
古川 邦之 伊藤 季紗 小谷 沙織
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
日本地質学会学術大会講演要旨 (ISSN:13483935)
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

本講演は著者都合により発表キャンセルとなりました.キャンセルされた講演要旨は引用できません.ご注意ください.
著者
米澤 正弘
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.8, pp.445-458, 2016
被引用文献数
1

<p>千葉市は東京湾の湾奥部北東側に位置し,昭和30年代半ばまで,海岸には広大な干潟が延々と広がっていた.遠浅で広い干潟では,古くからあさりなどの貝掘りや海苔の養殖が盛んで,観光としての潮干狩りや海水浴でも賑わっていた.</p><p>高度経済成長の影響で海岸の埋め立てが始まったのは,昭和30年代半ばである.その後何度かの停滞を挟むが埋め立ては順次進み,昭和50年代には終了する.埋め立ての進行に伴い工場や住宅が進出し,京葉線が通り,現在はビジネス街・大型商業施設地域・高層マンションなどが立ち並ぶ新都心として発展を遂げている.</p><p>埋め立て終了から約40年が経ち,埋め立ての記憶は,そこに住む人々からほとんど消えてしまっている.本巡検では,埋め立て地に建つJR稲毛海岸駅から旧汀線に向かって歩き,埋め立ての歴史を遡る.さらに旧海岸線沿いを歩きながら昔の海岸の名残を探し,地形・地質の変遷を考える.最後に,地形の人工的な改変についても見学する.</p>
著者
宮坂 省吾 山崎 茜 岡村 聡 英 弘 石井 正之 小板橋 重一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.113, no.Supplement, pp.S19-S28, 2007 (Released:2009-01-27)
参考文献数
30

札幌市の西に広がる後志火山性台地は,中新世後半から更新世にかけて形成された溶岩台地で,平坦面溶岩が広く分布しその火山原面が残されている.また,活発な火山活動は変質作用を伴い,多くの金属資源が開発されてきた.これらの地質要因を背景とする大規模地すべりを含む地すべり地形が広く分布し,時には自然災害としてあるいは開発行為を契機に地すべり活動が発生している.この見学コースでは,地質時代に発生した山体崩壊と岩屑なだれ堆積物,周氷河斜面堆積物を母材とした地すべりを観察する.
著者
田近 淳 小板橋 重一 大津 直 廣瀬 亘 川井 武志
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌
巻号頁・発行日
vol.113, pp.S51-S63, 2007
被引用文献数
1

石狩平野・夕張山地・富良野盆地を横断し,山麓に分布する変動地形を観察するとともに,夕張山地の大規模地すべり地形とその移動体を貫通したトンネルの見学を行なう.石狩低地東縁断層帯では,ブラインドスラストが形成した段丘面の緩やかな傾動や撓曲変形を観察する.断層帯周辺は縄文時代以降の遺跡の密集地帯であり,発掘により多くの地震性地すべりの痕跡が発見されている.それらも観察できるかもしれない.富良野断層帯では盆地の両側に分布する断層崖や地形面の傾動を観察するとともに,傾斜した十勝火砕流堆積物とこれを覆う砂礫層や断層の剥ぎ取り標本を観察する.一方,両断層帯に挟まれた夕張山地の蛇紋岩や白亜系蝦夷累層群・新第三系の分布域には大規模な地すべり地形が分布する.道道夕張新得線赤岩トンネルは蛇紋岩と付加体構成岩類からなる大規模地すべり移動体を貫くトンネルである.本コースは,活断層・地すべり・トンネルなど,変化に富む巡検となっている.現地での様々な議論を期待する.
著者
川上 源太郎 大平 寛人 在田 一則 板谷 徹丸 川村 信人
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.11, pp.684-698, 2006 (Released:2007-03-07)
参考文献数
69
被引用文献数
6 8

既存の年代資料と,新たに得た日高帯の花こう岩体およびそれに由来する砕屑物の熱年代値から,日高山脈の上昇-削剥過程を考察した.地殻浅部構成岩である日高帯の花こう岩と日高変成帯東縁の低度変成岩は始新世の冷却年代を示し,暁新世の変成作用ピーク後の広域的な温度降下を記録する.一方,高度変成岩が示す中新世の冷却年代は,衝突テクトニクスによるものである.前者に由来する花こう岩礫は中部中新統に含まれ,後者から供給されたトーナル岩や変成岩礫は上部中新統に出現する.このことは日高地殻の削剥が中新世を通じて深部へ進んだことを示す.一方,日高山脈南東域には前期漸新世頃の冷却年代が知られ,漸新世の地殻規模の水平すべり運動との関連を示唆する.一部の花こう岩礫が示す中新世のFT年代と堆積年代から,中期中新世初頭において最大100℃/Myrの冷却速度が概算される.これは日高変成岩類から見積もられる値20-30℃/Myrと比べかなり大きい.
著者
兵頭 政幸 北場 育子
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.2, pp.74-86, 2012
被引用文献数
3

中国黄土高原の紅粘土層の帯磁率と石英粒径が示す,鮮新世末の冷涼乾燥化イベントは海洋酸素同位体ステージ(MIS)G6-G4(2.73-2.68 Ma)に対比される.このイベントの発生と同時に約3.6 Maから続く温暖湿潤気候は終了したが,気候はまだ温暖であった.紅粘土層を覆う最初のレスL33層がMIS 104氷河期に対比される.この氷河期の氷床拡大は小規模であったが,L33層が示す冬季モンスーンは鮮新世に入って最強級の強さであった.L33層の最下部から中部にかけて小反転を多数伴うガウス-マツヤマ地磁気極性トランジションが記録され,その直上の古土壌S32層の下限が第四紀の始まりとなる.日本列島においても黄土高原と同様の長期温暖湿潤気候が続き,それはMIS G6-G4頃の冷涼乾燥化で終結した.ただし,その時の気候は黄土高原と同じくまだ間氷期並みに温暖であった.