著者
庄山 茂子 御領園 沙紀 加來 卯子 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.1025-1034, 2019-11-25 (Released:2019-11-25)
参考文献数
15

私服を着用して勤務する大学の女性職員24 名に制服を着用して勤務してもらい,私服着用時と制服着用時で,作業効率や仕事時の状況,職場のチームワークにどのような違いがみられるか調査 した.さらに,同大学の女子学生86 名を対象に私服着用時と制服着用時の事務職員の印象について調査し,次の結果を得た. (1)指定された3 文字を検索する検索問題では,文字検索数は制服着用時の方が私服着用時より有意に多かった. (2)仕事時の状況については,制服着用時の方が私服着用時より緊張感が有意に高く,私服着用時の方が制服着用時よりも有意に動きやすく違和感がないと評価された.チームワークに関して,私服着用時と制服着用時に有意な差はみられなかった. (3)学生による評価では,制服着用時は私服着用時より「信頼性・外見のよさ」の評価が有意に高かった.
著者
鈴木 公啓 菅原 健介 完甘 直隆 五藤 睦子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.113-127, 2010

<p>本論文では,見えない衣服である下着の関心の実態と背景にある心理について,下着に対する"こだわり''の観点から明らかにすることを目的とした.研究1では,下着に対するユーザの意識,特に,求める心理的機能の実態を明らかにし,その世代間の違いを検討した.結果,現代女性の比較的幅広い年代(18~59歳)において,下着への強く多様なこだわりが見られることが明らかになった.特に,若い世代は異性との交流場面でこだわりが強いが,決して異性に対する直接的な効果ばかりではなく,自分自身に対する効果を意識していることが示された.研究2では,お気に入りの下着に対する意識を調査し,下着へのこだわりの背景にある心理について明らかにすることを目的とした.その際には,心理的機能がどのような場面,目的で期待されているのか,心理的機能は下着の何が作り出しているのか,心理的機能を期待する背景にどのような欲求や個人要因が関与しているのかについて検討し,下着のこだわりの背景にある心理的機能について,新たな側面から明らかにすることを目的とした.さらに,下着のこだわりの心理モデル構築を目指した.結果,モデルは支持され,下着にも心理的な機能があり,その機能への期待が,下着へのこだわりに結びついているということが明らかになった.中でも,気合いの効果が極めて重要であり,様々な場面でのベースとなっていることが確認された.このことから,幅広い年代の女性が,日常生活において直面する様々な場面において,その場面に取り組み課題を達成するための心理的資源を得るために,それに合わせたお気に入りの下着を選択して着用していることが明らかになったといえる.</p>
著者
平松 隆円
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.742-749, 2007

なぜ, 若者たちは公衆場面で化粧を行うのか.<BR>本研究では, 若者自身の公衆場面における化粧行動の実態を明らかにし, 自己化粧の入念度や個人差要因との関連性について検討した.<BR>その結果, 公衆場面における化粧行動と自己化粧の入念度の構造は, それぞれ対人接触の高低による『社会的場面』『個人的場面』により構成されていることが明らかとなった.また, 男女とも公衆場面における化粧行動の『社会的場面』を規定する自己化粧の入念度の因子は『社会的場面』であり, 公衆場面における化粧行動の『個人的場面』を規定する自己化粧の入念度の因子は『個人的場面』であった.さらに, 個人差要因については, 男性では公的自意識が, 女性では外的他者意識が公衆場面における化粧行動の各因子を規定していることがわかった.
著者
佐藤 昌子 楠 幹江 奥山 春彦
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.123-128, 1974-04-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
4

目的: 脱水後の布の含水率が, 再汚染におよぼす影響を検討するため, ローラー式絞り機と遠心脱水機を用いて, 比較実験を試みた.方法: 試料布5種, 汚れ粒子2種, 界面活性剤3種を使用した.結果: (1) ローラー絞りでは, 含水率が減少するにつれて, 汚れ付着量も減少する傾向がみられるが, 脱水機では.必ずしも, 同様な傾向はみられなかった.(2) 同一含水率における汚れ付着量は, ローラー絞りよりも脱水機の方が多い.(3) 分散液の粒子の分散状態と汚れ付着量の関係は, 汚れ粒子や界面活性剤の性質などにより異なり, 種々の汚れ付着量を示す.
著者
潮田 ひとみ 仲西 正 中島 利誠
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.322-329, 2001-05-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
18
被引用文献数
2

湿度刺激とべたつき感や濡れ感などの湿潤感覚との関係を調べた.その結果, 温度感覚や圧迫感覚と同様に, 湿潤感覚も刺激に対して一定の変化をすることが明らかになった.湿潤感覚の変化は, Weber-Fechnerの法則よりもStevensのべき法則で評価した場合に, 直線性が高いことがわかった.更にこのStevensのべき法則から得られた湿潤感覚の指数と環境の水蒸気圧との間に一定の関係がみられた.湿潤感覚は, 環境湿度に伴って変化するが, 環境の相対湿度よりも環境の水蒸気圧によって制御されることが示唆された.
著者
平松 隆円
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.750-757, 2007-11-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
24
被引用文献数
3

本研究の目的は, 化粧の日常的な感情調整作用に注目し, 男女別に化粧を含む日常生活行動の心理的負担や化粧 (スキンケア) の感情調整作用について検討し, それらが個人差要因といかに関連しているのかを明らかにすることである日常生活行動では, 男女とも「友人とのおしゃべり」「睡眠」「音楽」などが気晴らしになり, 「テスト勉強」「通学」「学校の授業」は負担になることがわかった.スキンケアの感情調整作用には, 『やすらぎ』と『はずみ』があり, 朝と夕という一日の活動の始まりと終わりといった生活サイクルと感情調整作用が関連し, 公的自意識と私的自意識が影響していることがわかった.
著者
孫 暁強 木藤 恒夫
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.35-46, 2023-01-25 (Released:2023-01-25)
参考文献数
33

本研究では,日本と中国の20 代から60 代の女性を調査対象として, 化粧における国による差と世代による差を検討した.調査参加者は日本人女性250 名と中国人女性488 名であった.調査参加者は化粧意識,化粧行動として化粧品の使用頻度と化粧習慣,化粧の心理的効果について尋ねられた.その結果,両国の差異に関しては,化粧意識,化粧の心理的効果は中国が日本より高く,習慣的にメイクをする人は日本が中国より多く,化粧品の使用頻度には差異があまりなかった.世代差に関しては,日本では,ポジティブな化粧意識を除く各調査項目は世代間にほとんど差異がなかった.概して,若い世代におけるポジティブな化粧意識は中・高年世代より高かった.中国では,高年世代が他の世代よりネガティブな化粧意識が高く,化粧行動は低かった.化粧意識,化粧の心理的効果,化粧行動の相互関連については,日本と中国ともに,ネガティブな化粧意識である「効果不安」と心理的効果を除き,概ね相関関係が認められた.重回帰分析を用いて,化粧意識と化粧の心理的効果が化粧行動に及ぼす影響を検討した結果,両国ともに,意識の「必需品・身だしなみ」や「効果不安」が化粧の心理的効果よりも影響することが示された.これらの結果について,両国の経済・文化・社会的環境の変遷の観点から考察した.
著者
竹 瀟瀟 田村 照子 小柴 朋子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.420-430, 2017-05-25 (Released:2017-05-25)
参考文献数
8

振動抑制に配慮したブラの設計を目的として,乳房サイズの異なる被験者6 名の乳房表面展開パターンに基づき,同一素材・構造で,アンダーバスト詰め寸法の異なる3 種の実験用ブラを製作した.これを用いて,ブラ非着用時およびブラ着用時の,歩行,走行,ジャンプ運動中の乳房振動を,ハイスピードカメラで撮影し三次元動作解析を行った.結果は以下のとおりである.(1)アンダーバストの衣服圧は詰め寸法が大きくなるほど大となり側面部で高い.(2)ジャンプ時では上下方向の振幅と加速度においてブラ着用による有意な振動抑制効果があったが,詰め寸法間には有意差がなかった.各運動の上下方向の振幅・加速度ともに,乳房サイズの大きいL 群は中程度のM 群より有意に高かった.(3)ブラ着用時,走行・ジャンプ時上下方向の加速度は乳房サイズと正の相関を示すが,左右方向の加速度は身体運動と有意な相関を示した.(4)いずれの運動においても乳房とブラはほぼ同様な軌跡で振動し,ブラと乳房のズレは僅少であり詰め寸法の影響も小さかった.
著者
阿座上 瑞美 日下部 信幸
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.626-633, 1994-11-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
3

本論文において筆者等はランジュバン形3周波単一振動子の超音波発生装置を用い, 織布に対する洗浄方法とその効果について実験的に得られた結果から超音波の最適洗浄について論じている.これらを箇条書にすれば, 次のようである.1) 洗浄効率は, 洗剤ベッセル内における音圧定在波とキャビテーションの相乗効果に関係する.2) 振動子の電気的インピーダンスとべッセルの機械的インピーダンスとの整合をとることが最適洗浄に対して重要である.3) 波源の指向性は, 洗浄効率に寄与する.4) 洗浄効果は, 洗剤とその液温に依存する.