著者
松野 浩嗣
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.293-300, 2011 (Released:2011-04-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1

ペトリネットは細胞内の反応経路や遺伝子・たん白質等の制御関係をモデル化するための形式的手法として活発に研究され,最近ではシステム生物学の道具の一つとして定着しつつある.最近のシステム生物学における形式的モデル化手法の研究動向についてペトリネットの特徴を踏まえながら紹介した後に,細胞内反応経路解析へのペトリネット理論の適用例について簡単に述べ,更に筆者が主に研究しているハイブリッドペトリネットによって生物時計モデルを作成しシミュレーション実行した応用例について述べる.
著者
新保 史生
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.199-209, 2013-01-01 (Released:2013-01-01)
参考文献数
48

法令遵守への対応にあたって,その基準が一般にわかりづらいと考えられがちな個人情報・プライバシー保護への対応について,両者の違いを明確にした上で,マネジメントシステムの活用のあり方をプライバシー・バイ・デザイン(PbD)やプライバシー影響評価(PIA)を通じて考察する.いわゆるビッグデータの取扱いへの対応については,自主規制による取り組みとしてライフログ活用サービスにおける配慮原則及びスマートフォン・プライバシー・イニシアティブを取り上げ,今後の我が国の個人情報保護制度のあり方を提示する.
著者
野崎 隆之
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.7-19, 2019-07-01 (Released:2019-07-01)
参考文献数
22

誤り訂正符号はディジタル情報に生じる誤りを訂正する基礎技術であり,信頼性が高い情報システムを実現する.消失訂正符号は誤り訂正符号の一種であり,ディジタル情報の消失を訂正する技術である.噴水符号は消失訂正符号の一つであり,ネットワークにおける一対多同報通信であるマルチキャストの信頼性を向上させることができる.本稿では,消失訂正符号と既存の噴水符号を概説した後に,筆者が提案したシフト演算を利用した噴水符号について説明し,その性能を比較する.
著者
北村 正晴
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.84-95, 2014-10-01 (Released:2014-10-01)
参考文献数
26
被引用文献数
3 4

本稿では,レジリエンスエンジニアリングという新しい方法論の原則と実装の指針を紹介する.レジリエンスは,弾力性,復元力,回復力の優れた状態を指す概念である.レジリエンスエンジニアリングが目標とするのは,社会・技術システムのレジリエント性を大幅に向上させることである.この方法論を構成する鍵は,四つの主要な能力と補完的な要件である.この方法論で探求される安全はSafety-IIと呼ばれ,これまで慣用的に用いられてきた「望ましくないことが起こらないこと」に類する静的な安全Safety-Iとは異なっている.レジリエンスエンジニアリングはSafety-IIの意味での安全性を向上させるための方法論である.レジリエンスエンジニアリングの実装と応用についても,若干の事例を通じて説明を試みた.
著者
笠松 章史 寳迫 巌
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.176-182, 2018-12-01 (Released:2018-12-01)
参考文献数
30

大容量のデータを無線通信により簡単にやり取りしたいという要求の高まりを受けて,従来のマイクロ波やミリ波に続く新たな周波数帯としてテラヘルツ波を用いた無線通信の期待が高まっている.テラヘルツ波の特徴としては,従来にない広い周波数帯域幅を用いることができる可能性が挙げられる.テラヘルツ波を発生する手法としてはフォトニクス技術の応用が先行していたが,近年,電子デバイスによる300GHz 帯の研究開発が総務省のプロジェクト等により活発化し,InP(インジウムりん)系等の化合物半導体デバイス開発,シリコンCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor) 集積回路によるRF フロントエンド,300GHz 帯対応の進行波管増幅器の開発等が実施されている.これと並行して,国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R) における周波数割当の検討や,IEEE802 での世界初の300GHz 帯無線通信規格の策定も行われている.本稿では,これらの動向について紹介する.
著者
近藤 淳
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.166-174, 2013-01-01 (Released:2013-01-01)
参考文献数
39
被引用文献数
2

圧電結晶表面を伝搬する弾性表面波(SAW)は,伝搬面と接する媒質の物理的・化学的変化によりその波の速度と減衰が変わる.信号処理用SAW素子では,この変化をいかに小さくするかが重要になる.逆にセンサ応用では,この変化を積極的に利用する.SAWセンサは,気相系,液相系センサに応用可能である.また,センサ感度は用いる圧電結晶によっても異なる.そこで,本稿では弾性波センサ一般について述べた後,SAWセンサの原理について,その考え方と摂動法により導出された摂動解を示した.次に,代表的な計測方法について説明し,実際の測定例として,ガスセンサ,液体計測,免疫反応計測などについて紹介した.
著者
榊原 久二男
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.15, pp.15_25-15_33, 2010-11-25 (Released:2011-06-01)
参考文献数
35

メタマテリアルの技術を用いることで,伝送線路内を伝わる電磁波の伝搬特性を制御できるため,一般に伝送線路でできているアンテナにこの技術を用いると,様々な効果が期待できる.これを実現するために,メタマテリアルの名前を冠した研究成果が多く発表されてきている.その一方で,既存の技術との違いが分かりにくい研究発表も少なくない.本論文では,メタマテリアル技術をアンテナに適用したときの様々な効果を示し,その原理と問題点について解説する.更に,既存の技術との相違点と共通する点について議論し,メタマテリアルのトリックを種明かししてみたい.
著者
大槻 知明
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.24-29, 2017-06-01 (Released:2017-06-01)
参考文献数
27
被引用文献数
1

総人口の1/4以上が65歳以上の日本では, 高齢者の一人暮らしも多い. 高齢者も安心して暮らせる安全・安心な社会の実現は, 日本の喫緊の課題である. 65歳以上の高齢者の事故発生場所は, 住宅が最も多いことが知られている. 家庭内での見守りは, 生活空間での見守りであり, 特にプライバシーの保護が重要である. そのため, カメラなどの導入は好ましくない. プライバシーを保護しつつ家庭内での見守りを実現する技術として, 近年, 電波による見守り技術が注目されている. 電波による見守り技術は, 電波センサとも呼ばれている. 電波センサは, 人の存在や人の行動による電波伝搬の変動に基づき人の存在や人の行動を検出する. 電波センサは, カメラのような映像によるプライバシー侵害の心配がないため, 家庭への導入が期待されており, これまでに種々の電波センサが報告されている. 本稿では, 代表的な電波センサの幾つかを紹介する.
著者
栗田 雄一 石原 茂和 稲見 昌彦
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.105-111, 2018-09-01 (Released:2018-09-01)
参考文献数
5

本稿では,2016 年10 月にスイスで開催された義手競技,動力義足,エグゾスケルトン,電動車椅子,BCI ゲーム,FES 自転車の各競走から構成されたサイバスロン(Cybathlon)のあらまし,並びに人の身体的運動を支援する身体的ヒューマンロボットインタラクション技術について概説し,人間拡張工学の開く世界を展望する.
著者
鳥屋尾 博 小林 準人 安藤 利和 半杭 英二
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.27-32, 2015-06-01 (Released:2015-06-01)
参考文献数
7

小形化が進む無線機器の内部では,電磁ノイズによって生じる干渉の低減が課題となっている.メタマテリアルの一種である電磁バンドギャップ (EBG) 構造は,この電磁ノイズの放射を抑制する新たな技術として注目を集めている.本稿では,メタマテリアル技術の産業応用の例として,これまでに提案されているEBG構造の種類や原理を中心に,筆者らによるEBG構造の応用事例も含めて紹介する.更に試作機レベルでの電磁ノイズ抑制効果についても評価結果を示して解説する.
著者
Mohamad Samir A. EID Hitoshi AIDA
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
IEICE Transactions on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E100.D, no.8, pp.1738-1750, 2017-08-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
37
被引用文献数
3

Distributed Denial of Service (DDoS) attacks based on HTTP and HTTPS (i.e., HTTP(S)-DDoS) are increasingly popular among attackers. Overlay-based mitigation solutions attract small and medium-sized enterprises mainly for their low cost and high scalability. However, conventional overlay-based solutions assume content inspection to remotely mitigate HTTP(S)-DDoS attacks, prompting trust concerns. This paper reports on a new overlay-based method which practically adds a third level of client identification (to conventional per-IP and per-connection). This enhanced identification enables remote mitigation of more complex HTTP(S)-DDoS categories without content inspection. A novel behavior-based reputation and penalty system is designed, then a simplified proof of concept prototype is implemented and deployed on DeterLab. Among several conducted experiments, two are presented in this paper representing a single-vector and a multi-vector complex HTTP(S)-DDoS attack scenarios (utilizing LOIC, Slowloris, and a custom-built attack tool for HTTPS-DDoS). Results show nearly 99.2% reduction in attack traffic and 100% chance of legitimate service. Yet, attack reduction decreases, and cost in service time (of a specified file) rises, temporarily during an approximately 2 minutes mitigation time. Collateral damage to non-attacking clients sharing an attack IP is measured in terms of a temporary extra service time. Only the added identification level was utilized for mitigation, while future work includes incorporating all three levels to mitigate switching and multi-request per connection attack categories.
著者
Atsushi Iwasaki Ken Umeno
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
Nonlinear Theory and Its Applications, IEICE (ISSN:21854106)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.215-223, 2017 (Released:2017-07-01)
参考文献数
13

Vector Stream Cipher (VSC) is a stream cipher which consists of permutation polynomial over a ring of modulo 2w. The algorithm for generating key stream is very simple and the encryption is very fast. Some theoretical attacks for VSC have been reported so far since the invention of VSC in 2004. Then, the authors proposed some improvements and developed “Vector Stream Cipher 2.0 (VSC 2.0)” to be immune against the theoretical attacks. In this paper, we propose further improvement of VSC 2.0 to publish as a new chaos cipher “Vector Stream Cipher 2.1 (VSC2.1)”. VSC 2.1 is faster and more secure than VSC 2.0. Our result suggests that permutation polynomials over a ring of modulo 2w are useful for cryptography.