著者
江崎 重昭 川村 次郎 本多 知行 小野 仁之
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.49-52, 1995-03-31 (Released:2018-09-25)
参考文献数
13
被引用文献数
6

電気刺激による筋力強化を目的に,健常人10名の大腿四頭筋に対し,高周波電気刺激を6週間行った。高周波電気刺激は周波数50KHz,パルス幅10μsecのパルスを周波数50Hzで変調した。刺激後6週での大腿周径と筋断面積の増加は認められなかったが,最大随意筋収縮力は2.2 ± 1.7kg・mの増加を認めた(p < 0.01)。以上の結果より高周波電気刺激は健常人に対する筋力強化に有効であることが示唆された。
著者
太田 経介 萬井 大規 坂野 康介 中城 雄一 森若 文雄 宮田 一弘
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.215-223, 2020 (Released:2020-06-19)
参考文献数
45
被引用文献数
1

【目的】脊髄小脳変性症の歩行重症度の評価に,Mini-Balance Evaluation SystemTest(以下,Mini-BESTest)とBerg Balance Scale(以下,BBS)が適応可能か検討すること,歩行自立度の判別精度を検討することとした。【方法】脊髄小脳変性症患者30 名を対象に,重症度分類を用いて3 群に分類した。Mini-BESTest とBBS の得点分布,および群間比較を行った。FIM 点数よりROC 曲線を用い歩行自立度の判別精度の検討とカットオフ値を算出した。【結果】Mini-BESTest とBBS は歩行重症化にしたがい低値を示した。Mini-BESTest とBBS はArea under the curve(以下,AUC),感度,特異度が高値であった。BBS は天井効果を認めた。【結論】Mini-BESTest は高いAUC,感度,特異度を有し,歩行自立度の判別精度に有用性の高い指標であることが示唆される。
著者
高草木 薫
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.575-582, 2010-12-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
20
被引用文献数
2
著者
儀間 裕貴 儀間 実保子 浅野 大喜
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.247-254, 2020 (Released:2020-06-19)
参考文献数
34

【目的】N 式幼児運動イメージテスト(以下,N 式テスト)と乳幼児発達スケールの各発達領域の関連性を検討する。【方法】対象は3~6 歳の幼児42 名および養育者とした。N 式テストからカード選択レベル(以下,絵カード課題)と姿勢変換レベル(以下,姿勢変換課題)の得点を算出した。養育者には乳幼児発達スケールの回答を依頼し,児の発達全般(運動,言語,社会性など)を得点化した。N 式テストの得点と月齢の相関,各発達領域の関連性を検討した。【結果】N 式テストを完遂できた児は32 名であった。N 式テスト得点と月齢は有意に相関した。絵カード課題得点には,運動,言語(理解・表出),姿勢変換課題得点には,月齢,運動,理解言語,社会性(対子ども・対成人)が有意に関連した。【結論】N 式テストの課題は,それぞれ異なる発達の側面と関連した。姿勢変換課題には対人的な社会性発達が関連し,対人的なやりとりの経験がN 式テストにおける運動イメージに関与する可能性を示唆した。
著者
大橋 麻美 増岡 泰三 星野 守利
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.34-37, 2000-03-31 (Released:2018-09-25)
参考文献数
11

脳卒中片麻痺患者の杖歩行パターンには,二動作杖歩行と三動作杖歩行がある。今回,各杖歩行パターン間における機能差違を脳卒中片麻痺患者24名(二動作杖歩行12名・三動作杖歩行12名)を対象にし,麻痺側運動機能(上下肢,体幹),非麻痺側下肢筋力,立位バランス(静的,動的),片足立位保持,歩行能力の検査項目から比較検討をおこなった。その結果,麻痺側運動機能(下肢,体幹),立位バランス(静的,動的),麻痺側片足立位保持,歩行能力に有意差が認められた。今回の比較において二動作杖歩行群が三動作杖歩行群を上回っていた機能は,①麻痺側下肢,体幹機能が高い,②静的立位の重心動揺が少なく,常に一定の範囲に保たれている,③動的立位の左右方向への重心移動距離が大きくなる,④麻痺側下肢の支持性が高い,の4点であった。
著者
島田 裕之 古名 丈人 大渕 修一 杉浦 美穂 吉田 英世 金 憲経 吉田 祐子 西澤 哲 鈴木 隆雄
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.105-111, 2006-06-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
25
被引用文献数
50

本研究では,地域在住の高齢者を対象としてTimed Up & Go Testを実施し,性差と加齢変化を調べた。また,転倒,活動性,健康感との関係を調べ,高齢者の地域保健活動におけるTimed Up & Go Testの有用性を検討した。対象は地域在住高齢者959名であり,平均年齢74.8歳(65-95歳),男性396名,女性563名であった。検査および調査項目は,身体機能検査としてTimed Up & Go Test,歩行速度,握力,膝伸展筋力,Functional Reach Testを実施した。質問紙調査は過去1年間の転倒状況,外出頻度,運動習慣,趣味,社会活動,主観的な健康感を聴取した。Timed Up & Go Testを5歳の年齢階級別に男女差を調べた結果,すべての年代において男性が有意に速い値を示した。加齢変化をみると男女とも70歳末満と以上の各年代に有意差を認めた。男性においては他の年齢階級間に有意差は認められなかった。一方,女性では70-74歳と80-84歳,85歳以上,および75-79歳と80-84歳の間,80-84歳と85歳以上の年代間において有意差を認めた。転倒,活動性,健康感との関係では,転倒状況,外出頻度,運動習慣とTimed Up & Go Testの有意な関係が認められた。以上の結果から,高齢者におけるTimed up & Go Testは性差と加齢による低下が明らかとなった。また,転倒,外出頻度,運動習慣と密接な関係が示され,地域保健活動の評価指標としての有用性が確認された。
著者
村尾 昌信 佐藤 嘉展 中嶋 正明
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.114-118, 2015-04-20 (Released:2017-06-09)

【目的】腰部多裂筋(以下,LM)の選択的活動を狙って考案したexercise(以下,N-ex)におけるLMの選択的活動性の程度を明らかにすること。【方法】健常大学生21名を対象に,表面筋電図によりLMと腰腸肋筋胸部線維(以下,ICLT)のexercise時における筋活動(以下,%MVIC)を評価した。さらに%MVICよりLocal筋/Global筋比(以下,L/G ratio)を求め,N-exにおけるLMの%MVICとL/G ratioを既存のexerciseと比較した。【結果】N-exは,LMにおいて腹部ドローインに対してのみ有意に高い筋活動を,ICLTにおいてバードドックに対してのみ有意に高い筋活動を示した。また,N-exはL/G ratioにおいて既存のexerciseに対して有意に高値を示した。【結論】筋電図学的解析により,N-exではバードドックと同等のLMの活動を保持しつつ,より選択的なLMの活動が得られることを明らかにした。
著者
石垣 智也 尾川 達也 宮下 敏紀 平田 康介 岸田 和也 知花 朝恒 篠宮 健 市川 雄基 竹村 真樹 松本 大輔
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.261-270, 2021 (Released:2021-06-18)
参考文献数
24

【目的】在宅環境での2 ステップテストの信頼性と妥当性の検討を行い,歩行自立の基準値を見出すこと。【方法】訪問リハビリテーション利用者を対象とした横断調査のデータベース(10 施設226 名)から,目的別にデータを抽出した(信頼性98 名,妥当性117 名,基準値209 名)。調査項目は基本情報と膝伸展筋力,歩行能力として2 ステップテストによる2 ステップ値や歩行自立度などとした。歩行手段と距離により屋内杖歩行から屋外独歩800 m 以上と12 種の歩行自立条件を設定し,各自立を判別するカットオフ値を検討した。【結果】2 ステップテストの検者内信頼性は良好であり,固定誤差は認めないが比例誤差が示された。2 ステップ値は膝伸展筋力より歩行能力との相関係数が高く,歩行自立条件に応じた段階的なカットオフ値が設定できた。【結論】2 ステップテストは在宅環境でも信頼性と妥当性があり,歩行自立に対する基準値を有する歩行能力評価である。
著者
十文字 雄一 対馬 栄輝 小林 秀男 津田 謙矢
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11702, (Released:2020-05-28)
参考文献数
24
被引用文献数
3

【目的】投球によって肩の疼痛(以下,肩痛)を有する野球選手は肩関節可動域や肩関節外旋筋力が低下しているが,これらは野球選手における一般的な特徴としても知られており,肩痛の発生に対しての因果関係は明らかになっていない。本研究の目的は,これらの因子が肩痛の発生に影響するかを前向き研究により検討することである。【方法】高校野球部員を対象とし,オフシーズンに肩関節機能評価とポジション等の聴取を行い,シーズンインから2 ヵ月間を観察期間とした。その後,肩痛発生の有無に対して各評価項目が影響するかを解析した。【結果】肩痛を発症した者は84 名中24 名で,多重ロジスティック回帰分析の結果,肩回旋筋力比,ポジションが有意な変数として抽出された。【結論】肩痛発生に肩回旋筋力比の低下が有意に影響した。投球障害の予防には,ストレッチの他,回旋筋力のバランスにも考慮する必要があると考える。
著者
脇 遼太朗 楠本 泰士 高橋 克弥 加藤 愛理
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12292, (Released:2023-02-13)
参考文献数
27

【目的】股関節筋解離術前後の歩行パターンの変化をEdinburgh Visual Gait Score(以下,EVGS)を用いて明らかにすることとした。【方法】対象は股関節筋解離術を施行したGross Motor Function Classification System(以下,GMFCS)レベルI・IIの脳性麻痺患者16名とし,手術前と退院時にEVGSの評価を行い,合計・各関節・各項目のスコアを対応のあるt検定,χ2検定にて検討した。【結果】手術前の総EVGSスコアは28.9±7.4点だったのに対し,退院時は18.5±8.0点と有意に改善が見られた。各関節の変化では全ての関節で有意な変化が見られた。【結論】GMFCSレベルI・IIの脳性麻痺患者では,股関節筋解離術と術後早期の理学療法介入によって,歩行パターンが術後9週において有意に改善した。また,股関節筋解離術後に理学療法介入を行う際は,股関節のみに注目するのではなく,全体的な歩行パターンの変化を考慮する必要があると考えられる。
著者
佐野 裕基 遠藤 健司 土田 奨 六本木 さくら 荒井 芙美 高橋 亮吾 石山 昌弘 長田 卓也 上野 竜一 山本 謙吾
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12170, (Released:2022-01-26)
参考文献数
36

【目的】首下がり症状を呈した変形性頸椎症2 症例の前方注視障害に対して,腰椎・骨盤矢状面アライメントの改善をめざした理学療法の有効性について検討することを目的とした。【症例】変形性頸椎症を既往とし,首下がり症状が出現した2 症例であった。両症例の立位姿勢は全脊柱アライメントより,頸部屈曲位,胸椎後弯,後方重心,また症例1 は腰椎前弯代償,症例2 は骨盤後傾代償が認められた。【経過】両症例ともに頸部および,腰椎・骨盤帯に対する理学療法を実施した。いずれも介入3 ヵ月で頸胸椎アライメントが改善し,一時的に前方注視可能となり,6 ヵ月で腰椎・骨盤帯アライメントが改善し,長時間前方注視可能となった。【結論】首下がり症状による前方注視障害の改善には頸部自動伸展機能の改善に加えて,矢状面上における脊柱全体と骨盤帯のバランスが取れた立位姿勢をめざした介入が有効であると考えられた。
著者
佐藤 満 山下 和彦 仲保 徹 加茂野 有徳
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.465-473, 2020 (Released:2020-10-20)
参考文献数
49

【目的】体性感覚の低下は高齢者の転倒にも深く関与する。本研究は高齢者の足底触覚閾値を測定し,転倒事象との関連を明らかにする。【方法】通所介護施設の利用者110 名を対象に,高い刺激強度再現性を有する足底感覚計で足底触覚閾値を測定した。併せて下肢筋力など9 項目の心身機能を測定し,転倒群と非転倒群の間で比較した。さらに転倒を目的変数としたロジスティック回帰分析にて各変数のオッズ比を算出し,過去1 年間の転倒歴に対する足底触覚閾値の関連を検討した。【結果】転倒群と非転倒群との比較で足底触覚閾値,足関節背屈角度に有意差が認められた。性別比と疾患の有無で調整したオッズ比は足底触覚閾値と足関節背屈角度が有意であった。【結論】足底触覚閾値は高齢者の転倒を説明する変数として強い関連が認められた。要介護認定者の集団では転倒リスクの評価に従来の指標に加えて足底触覚閾値の測定が有効である可能性が示唆された。
著者
浅野 大喜 森岡 周
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11159, (Released:2016-06-05)
参考文献数
30

【目的】脳室周囲白質軟化症(以下,PVL)児,知的障害(以下,MR)児の行動について調査し,健常児と比較した。【方法】PVL児15名(平均月齢55.2 ヵ月;PVL 群),MR児15名(平均月齢53.3 ヵ月;MR 群),定型発達児14 名(平均月齢52.3 ヵ月;Normal 群)を対象とした。行動評価はChild Behavior Checklist(以下,CBCL)を使用し,子どもの行動を母親に評価してもらい,3 群間で比較した。また母親の養育態度についても調査し,CBCL の結果との関連を調べた。【結果】PVL 群は依存分離尺度,MR 群は引きこもり,攻撃,注意集中尺度と内向,外向尺度,総得点でNormal 群よりも有意に高い得点であった。[内向/外向]の値はPVL 群が他の2 群より有意に高い値であった。PVL 群の依存傾向は養育態度や歩行能力とは関係がなかった。【結語】PVL 児は外在化行動よりも内在化行動が高いという特徴を示した。
著者
井上 順一朗 牧浦 大祐 斎藤 貴 秋末 敏宏 酒井 良忠
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.155-161, 2022 (Released:2022-04-20)
参考文献数
27

【目的】筋筋膜性疼痛症候群を生じた進行性卵巣癌患者に対して,運動療法と経皮的電気刺激治療の併用により疼痛の緩和,オピオイド鎮痛薬使用量の減量,身体活動・身体機能・QOL の改善を認めた症例を経験したので報告する。【症例紹介】卵巣癌術後再発,肝転移,遠隔リンパ節転移,腹膜播種を有する40代の女性であった。再発・転移に対する化学療法中より頸部から殿部にかけて筋筋膜性疼痛症候群を認めた。【治療プログラムと経過】頸部から殿部にかけての筋筋膜性疼痛症候群に対して,運動療法に加え,疼痛部位に対する経皮的電気刺激治療を施行した。【結果】疼痛は理学療法開始後より経時的に緩和した。疼痛緩和に伴いオピオイド鎮痛薬使用量も経時的に減量した。また,身体活動,身体機能,QOL にも改善が認められた。【結論】運動療法と経皮的電気刺激治療の併用は,がん患者の筋筋膜性疼痛症候群に対する治療・サポーティブケアのひとつとなる可能性が示唆された。