著者
小山 珠美 黄金井 裕 加藤 基子
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.20-31, 2012-04-30 (Released:2020-05-28)
参考文献数
25

【目的】脳卒中急性期では,肺炎などの合併症や廃用症候群の予防を含めたリスク管理に加えて,早期経口摂取の開始と段階的摂食訓練,セルフケア能力の向上にむけた系統的,包括的な摂食・嚥下リハビリテーションが必要である.今回,脳卒中急性期患者への効果的な摂食・嚥下リハビリテーションを行うために,平成19 年度より実施したプログラムの有効性を検討した. 【対象】平成18 年4 月1 日から平成21 年3 月31 日までに,救急搬送された脳卒中急性期患者のうち,摂食機能療法で介入した367 名.男性223 名,女性144 名,平均年齢71±12.8 歳. 【方法】367 名の属性および摂食機能療法介入による結果(経口摂取移行者数,入院から摂食機能療法開始までの日数,入院から経口移行までの日数,入院中の肺炎発症率,退院時嚥下能力グレード点数,平均在院日数)を年度ごとに比較し,プログラム実施前後の変化および影響因子を検討した.分析は統計ソフトSPSS ver13 を使用し,統計学的有意水準は5% 未満とした. 【結果】プログラム実施前(平成18 年度)に比べ,プログラム実施後(平成19 年度・20 年度)は経口摂取移行者が増加し(プログラム前83.1%,プログラム後93.4%),入院から経口摂取移行までの日数が短縮した(プログラム前14 日,プログラム後6.8 日).また,入院中の肺炎発症率が減少(プログラム前13%,プログラム後2.8%),退院時嚥下能力グレードが改善し(プログラム前7.6 点,プログラム後8.8 点),普通食を食べて退院できる患者が増えた.また,ロジスティック回帰分析により,プログラムは,入院中肺炎発症を減少させ,退院時嚥下能力グレードを改善させていた. 【結論】脳卒中急性期において,入院当日からの包括的なプログラムにより実施される摂食・嚥下リハビリテーションは,早期経口摂取の再獲得を高め,経口摂取移行率を増加させた.また,肺炎合併症の予防,退院時嚥下能力グレードの改善に寄与することが示唆された.
著者
舟崎 裕記 吉田 衛 戸野塚 久紘 加藤 壮紀 加藤 基樹 丸毛 啓史
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.459-462, 2015

40歳以上のスポーツ愛好家における腱板全層断裂に対して保存的治療を行った結果,症状が改善した35例,37肩のスポーツ評価法を含めた成績を検討した.断裂サイズは小8肩,中19肩,大6肩,広範囲4肩で,スポーツ種目は,ゴルフ13例,テニス5例,水泳3例,ダンス系3例などであった.平均観察期間は28カ月であった.初診時JOAスコアは平均67点で,いずれの症例もスポーツ活動を休止していた.最終観察時では平均91点となり,とくに疼痛の著明な改善が得られていた.全例が元の競技に復帰し,32例は現状のスポーツ活動に80%以上満足していたが,JSS-SSSは平均84点で,大,広範囲断裂のもの,筋力低下が残存したもの,テニスなどのオーバーヘッド競技者ではJSS-SSSは低かった.保存的治療により症状の改善が得られた症例ではスポーツ活動に対する満足度も比較的高かったが,そのスポーツ能力には,断裂サイズ,筋力,競技種目が関与していた.
著者
加藤 基惠
出版者
麻布大学
巻号頁・発行日
1986-06-04

生物の生活環境中には遺伝子レベルでの障害あるいは染色体異常を誘発させる化学物質が多数存在している。 それらの中,特に遺伝的障害を発現する化学変異原物質を検出するために数多くの検出系が考案されている。マウスを用いての実験においては生殖細胞の染色体異常の検出系として優性致死試験や遺伝性転座試験が多く用いられている。しかし,これらの検出系は実験の規模が大きく簡便とはいえない。一般に個体の発生は生殖細胞が合体した1細胞期胚から始まると言える。従って,両親のうちのいずれかの生殖細胞において誘発された障害,あるいはこの障害をもつものを親とする次世代における染色体レベルの遺伝的障害は,さかのぼって1細胞期胚における染色体異常の有無を検索することにより,事前に発見できる可能性があると考えられる。さいわいマウスの1細胞期胚の染色体は特異的で,精子由来と卵子由来の染色体が識別できるので雌雄いずれからの異常かが判別可能である。しかし,1細胞期胚の染色体異常に関する報告は少なくさらに1細胞期胚の染色体異常と他の遺伝的障害との関連性についても明らかにされていない。このことは1細胞期胚の染色体標本作製技術にも問題があると考えられる。 今回の研究は,まず第1にマウス1細胞期胚の染色体標本作製法の改良・開発,第2に,この改良・開発した方法を利用することによって,1細胞期胚の染色体分析結果が環境変異原により発現される優性致死作用や次世代の転座ヘテロ個体の誘発頻度を事前評価できる簡便な検出系になりうるかどうかを検討することを目的とした。そのため既知の化学変異原物質を雄マウスに投与することにより,受精前の配偶子あるいは 受精後の1細胞期胚及び障害を持つ雄による次世代のF_1個体に亘っての障害を明らかにするため種々の実験を実施した。 実験材料と方法 9週齢の雄マウス(Slc-BDF_1)を用い,体重1kgあたり,以下の各変異原物質のそれぞれの量を単独で1回,腹腔内に投与した。 Methyl methanesulfonate (MMS, 100mg) Cyclophosphamide (CPA, 240mg) Trimethylphosphate (TMP, 300mg) Nitrogen mustard-N-oxide hydrochloride (HN_2-O, 100mg) iso-propyl methanesulfonate (i-PMS, 200mg) Procarbazine hydrochroride (PC, 800mg) Mitomycin C (MC, 5mg) Fosfestrol (DSDP, 300mg) なお,X線照射(500 rad)雄マウスについても比較のための実験を行った。 これらの処置をされた雄マウスを経時的に成熟正常雌マウスと交配させ,著者の考案した一連の術式を用いて雌マウスより1細胞期胚を採取し,精子由来の染色体を検査した。 他方,交配後1細胞期胚を採取せず,妊娠を持続せしめた雌マウスについても経時的に着床や胚死の状況を追求すると共に分娩にまで至ったものについては新生仔中のF_1雄個体について遺伝的障害因子保有の有無を知るため,性成熟後に正常成熟雌マウスと交配させ,着床や胚死等の有無を含め,受胎状況を観察し,変異原物質を処置された初代雄の精子による次世代雄への遺伝的障害の有無についても追求した。 また,同様処置した雄マウスの精巣の組織学的所見および精子の形態異常についても検討した。 この他,雄生殖細胞のDNAレベルの障害とその修復機能を観察するため,アイソトープ(thymidine-methyl-^3H)を精巣に投与後,経時的に精子を回収し,オートラジオグラフを作製して不定期DNA合成の発現の有無についても適宜検査した。 また,精子による遺伝的障害以外に精液を介して薬物の雌体内への機械的な搬入による障害等も考慮し,精液中の薬物検出も一部実施した。 実験結果 本研究で改良・開発したマウス1細胞期胚の染色体標本作製法は従来の方法と異なり,標本作製が簡便で,しかも低数性の染色体の発現頻度が低く染色体分析の可能な標本作製についての成功率が高かった。この方法を用いて,精子細胞および精子をMMS,CPA,TMP,HN_2-O,i-PMSおよびX線で処置し,その精子による1細胞期胚の染色体分析を行った。その結果,精子由来の染色体において主に染色体型の異常が観察された。しかし,PCおよびMCで精子細胞および精子を処置した場合は,主に染色分体型の異常であった。一方,精原細胞および精母細胞をPC,MC,i-PMSおよびX線で処置した場合は不受精卵が高頻度に観察された。 変異原物質を雄生殖細胞に処置した場合の各雄生殖細胞に対する優性致死誘発率は,化学変異原物質の種類により異なり,精原細胞では高いが,精母細胞,精子細胞および精子の順に優性致死率が減少するタイプ(PC,MCおよびX線),精子細胞ないし精子に対しては優性致死誘発作用が高いタイプ(MMS,CPA,TMPおよびHN_2-O),全ての生殖細胞に対して優性致死誘発作用が高いタイプ(i-PMS)に分類された。また精原細胞および精母細胞の障害に起因する優性致死現象は着床前の胚の損失によるものであったが,精子細胞および精子に対する化学物質の影響による優性致死現象は主に着床前の胚の損失と着床後の胚死によるものであった。これらの実験結果はこれまでの報告とほぼ一致した。 精子細胞や精子に対してMMS, i-PMSおよびX線を処置した雄を用いて交配させ,排卵後72時間目の胚を回収して分析した結果,卵割遅延および卵割停止が観察され,それらの障害の程度は変異原物質の種類により異なった。 精子をHN_2-Oで処置した後に交配受精させ,出産させた次世代F_1雄の妊孕性試験の結果においては,着床後の胚の死亡を主に引き起こす半不妊および着床胚が全く観察されない不妊のF_1雄個体が高頻度に発現した。これらのF_1雄の半不妊および不妊個体の精巣組織学的検索では,不妊個体において精母細胞での精子形成阻害が観察され,一方,半不妊個体では正常な精子形成が認められた。また,これらの半不妊個体の精母細胞の染色体分析では,非相同染色体間の相互転座を示す鎖状および環状の4価染色体が観察され,相互転座ヘテロ個体であることが確認された。 他方,MMS,MCおよびi-PMSを投与された処置当代における雄について精巣の精子形成および精子の形態に対する影響について組織学的に検索した結果,精母細胞,精子細胞および精子の顕著な細胞死および精子形成阻害は観察されなかった。しかし,MCおよびi-PMSを投与した場合は,精原細胞のDNA合成阻害による一時的あるいは永久的な分裂阻害が観察され,これらの精巣は萎縮が観察された。MCを投与した場合の精子の形態異常は主に精母細胞および精原細胞処置のものに観察された。一方,精子変態を過ぎた段階での精子をMC,MMS,i-PMSおよびX線で処置した場合,精子の形態異常は観察されなかった。 生殖細胞のDNA傷害の修復を示唆する不定期DNA合成はMMS,TMPおよびPCを精母細胞および精子細胞に対して処置した場合誘発されたが,MC処置の場合は誘発されなかった。一方,精子に対してMMSおよびMCを処置した場合は誘発されなかった。 考察 以上の実験結果から,精原細胞および精母細胞処置による優性致死試験で観察された着床前の卵の損失は精原細胞の分裂阻害あるいは障害をうけた大部分の精母細胞が発生して精子変態過程において精子形態異常を引き起こし,受精能に支障を生じ,その結果,不受精卵が生じたものと推察された。一方,精子細胞や精子処置により観察された着床前後の胚の損失は,1細胞期胚の精子由来の染色体異常に起因し,染色体異常を有した1細胞期胚が発生し卵割遅延あるいは卵割停止を生じた結果胚死亡を引き起こしたものと推察された。 不定期DNA合成がDNA障害の結果発現したDNAの修復現象と仮に考えると,精子では不定期DNA合成が発現されず,修復能が欠損しているものと推察された。また,精子形成過程に対する優性致死の発現時期と不定期DNA合成の発現時期との相関性が認められないことより,この2つの現象は発現機構を異にするものと思考された。 化学変異原物質を精子細胞および精子に処置し,それを用いて受精した1細胞期胚の染色体分析で主に染色体型の異常を誘発する化学変異原物質は次代のF_1雄に高頻度に半不妊および不任を示す転座ヘテロ個体を誘発し,一方,染色分体型の異常を発現する化学変異原物質の処置では転座ヘテロ個体の誘発頻度が低い。このように,1細胞期胚で観察された染色体異常の種類および発現頻度とF_1を対象とした場合の転座ヘテロ個体の発現頻度とは相関関係が認められた。 体細胞の染色体に対する放射線と化学物質の作用の違いは,放射線は細胞周期と無関係に染色体異常を発現するものに対し,化学変異原物質はどの細胞周期に処置しても染色体異常を発現するには処置した細胞がDNA合成期を経過する必要があり,そこに発現される染色体異常は主に染色分体型であると言われてきた。しかし,本研究においては化学変異原物質を細胞周期のG_1期にあたる精子細胞および精子に処置し,受精後1回目のDNA合成期を経過した1細胞期胚の染色体分析を行った結果,体細胞の場合とはかなり異なり,主に染色体型の異常が発現された。従って,変異原物質による次世代への遺伝的障害の事前評価には生殖細胞を用いた検出系の必要性を指摘したい。 なお,化学物質を雄個体に処置した場合,その化学物質が射出精液を介して雌個体に持ち込まれ,母体に作用し,二次的に卵の発生あるいは着床に影響を及ぼす場合がありうる結果がえられた。そのため化学物質による優性致死試験の結果の評価においては,遺伝的影響以外に化学物質の射出精液を介した雌マウスへの持ち込みによる影響をも併せて考慮する必要性が指摘される。 以上の実験結果より以下の結論が得られた。 1) 本研究において改良・開発されたマウス1細胞期胚の染色体標本作製法は,簡便であるとともに,信頼度の高い方法である。 2) 1細一期胚の染色体分析は,化学物質に暴露された配偶子の受精能に対する影響も判定できる。 3) 優性致死試験で胎仔の認められない場合の原因について,これが不受精によるのか,染色体異常によるのかの判定には,1細胞期胚の染色体の分析が有効である。 4) 顕著なDNA障害を有した精子でも受精は可能であり,この場合,1細胞期胚において染色体異常が観察される。 5) 体細胞の場合と異なり,雄生殖細胞を化学物質で処置した場合は,1細胞期胚の染色体分析で,おもに染色体型の異常が発現され異常の発見が容易である。 6) 染色体異常を有した大部分の1細胞期胚は,初期胚および胎仔において発生遅延や発生停止を引き起こし,致死経過をとる。 7) 化学変異原物質で雄生殖細胞を処置した後,1細胞期胚の染色体分析で主に染色体型の異常を発現させる化学変異原物質は,次世代のF_1において転座ヘテロ個体を高頻度に誘発する。 従って1細胞期胚の染色体分析は優性致死および次世代の転座ヘテロ個体の発現頻度を事前評価でき,環境変異原物質を対象とした簡便な遺伝毒性の検出系として充分利用できるものと考えられる。
著者
羽賀 里御 浦辺 俊一郎 深澤 桃子 加藤 亜輝良 松沢 翔平 加藤 基子 檜山 英己 栗井 阿佐美 南雲 三重子 尾崎 美津子 古森 くみ子 清水 美智江 水品 伊津美 山本 茉梨恵 白鳥 恵 巽 亮子 倉田 康久 兵藤 透
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.465-470, 2020 (Released:2020-09-28)
参考文献数
13

当院はCOVID-19感染者の多い神奈川県にある無床外来維持血液透析クリニックである. 透析患者は学会指針のマスク着用, 手洗い等の標準予防策を遵守し通院している. 今回, 血液透析患者1例がCOVID-19に罹患していることが判明した. この普段からの標準予防策に加えて, 発生から2週間, 感染者が出た透析時間帯の患者は時間帯を固定, 同一メンバーとし, 不要不急の検査, 受診, 手術は延期し, 感染防御対策を行うこと (集団的隔離透析) を補完的に加えることで, 二次感染が防止できたと考えられる事例を経験した. 特にマスク, 手洗い等の普段からの学会指針の基本を遵守することが二次感染防止に非常に有効と考えられた.
著者
河井 亨 岩井 雪乃 兵藤 智佳 和栗 百恵 秋吉 恵 加藤 基樹 石野 由香里 島崎 裕子 KAWAI Toru IWAI Yukino HYODO Chika WAGURI Momoe AKIYOSHI Megumi KATO Motoki ISHINO Yukari SHIMAZAKI Yuko
出版者
名古屋大学高等研究教育センター
雑誌
名古屋高等教育研究 (ISSN:13482459)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.245-265, 2017-03

本研究は、早稲田大学オープン科目「体験の言語化」という同一科目複数クラス開講型授業の授業開発を対象とし、共同の授業リフレクションの場で、どのように授業実践へのふりかえりが語られるかを明らかにすることを目的とし、同一科目複数クラス開講型の授業リフレクションのあり方を考察する。2015年7月と2016年2月の2回の共同の授業リフレクションの記録を分析した。共同での授業リフレクションの役割は、授業者間で共通理解を形成していくことにある。まず、学生のつまずきについての共通理解が形成された。具体的には、どのように自分の言葉にしていくか、社会課題を当事者意識を持って考えていくかといったつまずきが見られた。また、そうしたつまずきについてどのように教師が働きかけていくかについて共通理解が形成された。その際には、実際の授業で生じる具体的な状況とそこでの学生の学習に即すことによって授業リフレクションが深まることがわかった。共同での授業リフレクションの場は、暗黙知的に行っていることを共有していく場である。そのような共同での授業リフレクションを土台とすることで、授業改善が可能になると展望された。This study focuses on the class “Contextualizing Self in Society,” provided as six lectures at Waseda University. This paper aims toinvestigate how these lectures reflect collaboratively on theirteaching practices. We analyzed reflection sessions from July 2015and February 2016. The framework of teachers’ reflections consistedof students’ learning (contexts/contents) and results (success/failure).Our results showed that collaborative reflection fostered sharedunderstanding of practice and of students’ learning. The challenges tostudent performance that they shared concerned how students maketheir own narratives, how they thought about social problems withtheir own authorship, and what teachers could do when studentsencountered difficulties. Although we did not find a final solution, wecould agree on what the problems were and come up with trialsolutions. The most effective measure for practice improvement is toconvert tacit knowledge with common understandings. The resultsalso showed that relating concrete student performance to the classcontext enabled deep class reflection. We concluded that collaborativereflection can improve the classroom experience for lectures.
著者
天野 潤 平松 優佳 早川 直彦 加藤 基浩 岡野 健 木下 春喜 岡崎 彬
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.8, no.6, pp.1199-1212, 1993-12-30 (Released:2007-03-29)
参考文献数
31

The metabolites of rG·CSF present in the serum were investigated in rats after intravenous administration of 125I-rG·CSF at the dose of 10μg/kg, or nonlabeled-rG·CSF at the dose of 100-400μg/kg. 1. Using gel filtration on the Superose 12 column, most of the radioactivity in rat serum at 30min after administration of 125I-rG·CSF was eluted at a point corresponding to molecular weight of 19kd, this point was the same as that of intact-rG·CSF. The radioactivity was immunoreactive with anti-rG·CSF antibody and showed biological activity against NFS-60 cell lines. At 2 and 6h after administration, the radioactivity present in the serum was eluted from the column at a point corresponding to molecular weight of 46kd and 19kd. The radioactivity corresponding to 46kd showed immunoreactivity, but was biologically inactive. 2. The SDS-polyacrylamide gel electrophoresis revealed that most of the radioactivity in the serum present at 30min after administration of 125I-rG·CSF was detected at a point corresponding to intact-rG·CSF (molecular weight of 19kd). The radioactivity was also detected at a point corresponding to molecular weight of 19kd and 5kd at 2h, 19kd, 14kd and 5kd at 6h after administration. 3. The chromatofocusing using Mono-P column showed that most of the radioactivity in the serum was focused at a point corresponding to isoelectric points of 5.8 and 5.5 at 30min after administration of 125I-rG·CSF, these points were related to monosialo-rG·CSF and disialo-rG· CSF, respectively. At 2 and 6h after administration, the radioactivity showing immunoreactivity was newly found at a point corresponding to isoelectric points of 5.2 and 4.5. 4. During immunoblotting of serum samples after administration of nonlabeled-rG·CSF, the presence of a band corresponding to molecular weight of 19kd was found in all sampling times after administration. Beside the band of 19kd, only bands at a point corresponding to molecular weight of 5kd and 14kd were detected at 6h after administration. 5. Based of the fact that only an intact form of rG·CSF exists at early stage after intrave nous administration of rG·CSF, and since 2h the metabolites which have not biological activity appeared in the serum, we have concluded that an intact form mainly participate in hematologic activity of rG·CSF in vivo.
著者
加藤 基浩 丹羽 一与 天野 潤 早川 直彦 神山 博 大久保 一三 岡崎 彬
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.481-492, 1993-09-10 (Released:2007-03-29)
参考文献数
17
被引用文献数
1

We studied the absorption, distribution, excretion and metabolism of 125I-EPOCH after single subcutaneous administration to rats. 1. The levels of immunoreactive rad ioactivity reached the maximum at 8 to 12 hours after dosing and declined monoexponentially with a half-life ranging from 5.77 to 7.47 hours at the doses of 0.5, 1, 5 and 25μg/kg. The MRT of immunoreactive radioactivity after sc dosing ranged from 13.83 to 17.01 hours at any dose levels. F value (AUCsc/AUCiv), which ranged from 0.31 to 0.48, tend to increase in proportion to the administered dose. 2. Most of tissues showed the highest level of total radioactivity at 10 hour after dosing. The level of radioactivity in tissues were lower, than that of serum, except the thyroid gland whose level was the highest. They declined parallel with disappearence of the radioactivity in serum. The level of radioactivity in brain was extremely low. The elimination half-life of radioactivity from the injection site was calculated to be 9h and 1.97% of the dose still remained there at 48 hour. 3. Until 96h after sc administration of 125I-EPOCH at the dose of 1μg/kg, urinary excretions of total, the TCA-precipitable and the immunoreactive radioactivity were 75.89%, 0.35%, 0.05%, respectively. Fecal excretion of total radioactivity was 2.97%, until 96h after dosing. 4. Gel filtration of the plasma showed that the radioactivity of low molecular weight was iodo ion, and that related to radioactivity of high molecular weight appeared mainly as an unchanged 125I-EPOCH.
著者
加藤 基浩 天野 潤 岡野 健 平松 優佳 木下 春喜 岡崎 彬
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.8, no.6, pp.1213-1218, 1993-12-30 (Released:2007-03-29)
参考文献数
15
被引用文献数
3

To evaluate the role of the kidney in the elimination of rG·CSF, the pharmackinetics of rG·CSF was studied in rats upon removal of one (1/2-nephrectomized rat) or of two kidneys (nephrectomized rat). Plasma concentrations of rG·CSF were measured by enzyme immunoassay method. 1. The elimination half lives of rG·CSF in nephrectomized and 1/2-nephrectomized rats, which were 4.85h and 1.llh respectively, were longer than those in sham operated rats given rG·CSF 10μg/kg intravenously. Total nephrectomy and 1/2-nephrectomy resulted in 70% and 30% reduction of total body clearance of rG·CSF in rats, respectively. 2. The result suggested that the kidney is the major elimination site of rG·CSF.
著者
加藤 基浩 丹羽 一与 天野 潤 早川 直彦 神山 博 大久保 一三 岡崎 彬
出版者
日本薬物動態学会
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.493-503, 1993

We studied the absorption, distribution and excretion of radioactivity after 4 times multiple subcutaneous administrations of <SUP>125</SUP>I-EPOCH at an interval of 48 hours.<BR> 1. Plasma levels of immunoreactive radioactivity at 10h and 48h following each multiple administration did not change during the experimental period. There were no pronounced differences in pharmacokinetics between first and fourth administration.<BR> 2. The levels of radioactivity in spleen and bone marrow after multiple administration were slightly higher than those after administration of a single dose. Those in other tissues except thyroid gland, were similar to those after administration of a single dose. The remained radioactivity in the injection site at 10h after multiple administration was 33.65%, which was similar to that of single administration.<BR> 3. Until 96h after final administration of <SUP>125</SUP>I-EPOCH, urinary excretions of total. the TCA-precipitable and the immunoreactive radioactivity were 76.43%, 0.97%, 0.49%, respectively. Fecal excretion of total radioactivity was 3.83%, until 96h after final administration.
著者
山下 東子 堀口 健治 下田 直樹 工藤 貴史 加藤 基樹
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

漁業者の高齢化は青壮年層の新規着業が少ない中で漁業者の多くが高齢になっても就業を中止しないために生じ、漁業就業者に占める65歳以上の漁業者数は34%を占めている。沿岸漁船漁業を中心に、漁業センサス等のデータ分析と実態調査から次の諸点が明らかになった。すなわち、高齢者の就業継続は自身の選択、社会保障の程度、地域における限定的な就業機会によって規定されること、加齢とともに労働強度を軽減できる漁業種類で高齢者の就業が継続されること、その結果高齢漁業者の生産性・漁労所得は若年層に比べて低位であること等である。研究成果の詳細については平成26年度刊の図書『漁業者高齢化と十年後の漁村』で公開予定である。