著者
中村 純
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.132, 2022-03-20 (Released:2023-03-01)
参考文献数
4
著者
瀧川 一学
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.122-125, 2022-03-20 (Released:2023-03-01)
参考文献数
4

近年,機械学習をはじめとするAI技術を化学研究で活用する事例が色々報告されるようになった。化学の対象や化学産業に求められる要件が複雑化すればするほど,新しい発見や理解もますます難しいものになる。こうした状況に対する新しい切り口として,AI技術やデータ科学には期待や関心と懐疑が入り混じった状況である。有機化学,触媒化学,量子化学,分子生物学,生化学,創薬化学など色々な研究にも長年関わってきた機械学習の研究者から見たデータ中心的な化学研究の面白さ・難しさ・これからについて解説する。
著者
村上 雅彦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.548-553, 2013-11-20 (Released:2017-06-30)

アルミニウム(Al)は,小さな比重と高い導電性などの優れた特性から工業用金属材料として欠くことのできない元素である。一方有機合成化学においても,有機金属利用の初期から現在に至るまで種々のアルミニウム化合物が有用な反応剤および触媒として用いられており,歴史的にも重要で興味深い応用例が数多く見られる。本講座では,はじめに「Alの化学」を理解する上でのキーポイントとなる元素としてのAlの特徴と,これに基づくAl化合物の一般的性質について述べ,これを軸として有機合成反応での利用(還元剤,ルイス酸触媒およびアルキル化試薬としての作用とその制御)について概説する。
著者
村上 隆
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.6-10, 1998-01-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
8

岩石・鉱物の化学的風化は鉱物・水・大気間の相互作用の結果である。風化された鉱物はいわばその化石である。その「化石」を読むことにより, 作用した時の水, 大気の化学的状態を推定できる。本小論では風化の基本的な機構を原子レベルで概略し, また過去1億年の地球表面での温度変化を風化から計算した例を示す。地質時代の大気中の二酸化炭素の濃度や, 先カンブリア時代における地球表面環境を定量的に推定するのも夢ではない。
著者
安永 秀計
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.420-425, 2020-10-20 (Released:2021-10-01)
参考文献数
27

まず染色における機構を熱力学と速度論の観点から概説し,染料の種類,モーブにまつわる話を述べ,最後に筆者の研究について触れる。
著者
上野 聡
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.268-269, 2019-06-20 (Released:2020-06-01)
参考文献数
5

チョコレートのおいしさを醸しだすものには,甘味・苦味・酸味などの味覚が主として思い起こされる。しかし,チョコレートのおいしさを語る際には味覚だけでなく,口中でのとろけ感(口どけの良さ)や歯ごたえの良さなどのテクスチャーや,融点や硬さなどの物理的な性質(物性)が挙げられる。この物性には,チョコレートの主要成分であるカカオ脂(ココアバター)の結晶が密接に関わっている。本稿では,ココアバターの結晶とおいしさとの関わりについて簡潔に解説する。
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.8-11, 2022-01-20 (Released:2023-01-01)
参考文献数
5

宇宙における元素の存在割合(存在度)は,元素合成プロセスを考えるとどこでもほぼ変わりなく,作られる主要な鉱物(天然の化合物・単体)も限られる。小惑星から採取された,「はやぶさ」や「はやぶさ2」のサンプルも例外ではない。このようなサンプルが具体的にどのようなものなのか,分析から何がわかるのか,新しい太陽系成因論も紹介しながら解説する。

1 0 0 0 OA 鉱物と化学

著者
宮脇 律郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.4-7, 2022-01-20 (Released:2023-01-01)
参考文献数
1

鉱物は地質作用で生じた単体や化合物の固体物質である。鉱物の研究は,元素の発見など,化学と密接に関係してきた。鉱物種は,化学組成と原子配列で分類され,現在では5,700種余りが知られるに至った。近年,新種の発見は年間120種を超えるが,これはまだまだ宇宙や地球に未知の世界が広がっていることも示している。
著者
藤郷 森 河田 達男 高嵜 裕圭 遠藤 敦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.4, pp.421-429, 1990-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
24

大谷石はゼオライト鉱物の一種である斜プチロル沸石(Clinopti1olite;Na6(A16Si30O72)・24H2O)を約65wt%含有することに注目して,吸着剤などの化学工業材料として活用をはかる目的で,イオン径を異にするメチレンブルーおよびアンモニア性窒素(NH4+)を吸着質として用いる液相吸着法を用いて,その特性変化を検討して来ている。今回は,大谷石試料と同様に斜プチロル沸石を主要構成鉱物とする山形県板谷産および秋田県二つ井産の天然ゼオライトを,さらに高純度で構造も単純と考えられる合成ゼオライトを参照試料に用いて,天然ゼオライトを酸処理することによって,天然ゼオライトの構成鉱物類の集合状態とその存在状態に関して検討を加えた。その結果,次のような点が明らかになった。(1)大谷石試料に含まれる斜プチロル沸石は耐酸性に乏しい特徴を有する。(2)一般に小さな比表面積値を示す天然ゼオライトを塩酸水溶液で処理することにょって,構成鉱物類の集合状態に関してかなりの知見が得られた。天然ゼオライトが少さな比表面積値を示す原因は試料中に含まれる少量の粘土鉱物類によることが明らかとなった。(3)天然ゼオライトと合成ゼオライとの対比から,天然ゼオライトは構成鉱物類が特殊な集合状態を形成している。この集合状態を活用すれば,低濃度のNH4+水溶液中に含まれるNH4+除去剤として十分活用可能である。
著者
菊池 好行
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.8-11, 2020-01-20 (Released:2021-01-01)
参考文献数
6

エーテル合成の人名反応で化学史にその名を残しているイギリスの化学者ウィリアムソンは,ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで日本人を教育したことで,日英交流史上でも重要な人物である。その影響は日本の化学はもとより,科学技術教育,政治思想にも及ぶことが近年の研究で明らかとなっている。今回はウィリアムソンの化学史上の業績に加え,薩長留学生にはじまり櫻井錠二に至る数々の日本人学生たちに焦点を当てることによって,彼が幕末から明治期の日本に与えた広範なインパクトを見ていきたい。
著者
内田 博
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.438-441, 2012-10-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
3

酢酸の用途は化学工業に限らず食品工業,医薬品製造など,多岐にわたる。本格的な酢酸の工業製造法としては19世紀末に石炭を原料とするカーバイド法に始まり,1950年代に石油化学工業の勃興に伴い原料のアセトアルデヒドがエチレンを原料とする方法に変わり,オイルショック後の石油価格の高騰に伴いメタノールを原料とするカルボニル化法が製造法の主流になっている。酢酸は単鈍な構造ではあるが,その製造法には遷移金属触媒を用いた触媒反応が用いられており,有機化学の発展に貢献している。ここでは酢酸製造法の変遷について解説する。
著者
村上 雅彦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.246-251, 2015-05-20 (Released:2017-06-16)
被引用文献数
1

キレート滴定法は,エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその類縁体が,多くの金属イオンと価数に依らず1:1のキレート錯体を形成することを利用した金属イオンの容量分析法である。この方法は,主にCa^<2+>及びMg^<2+>の滴定法(水の硬度の測定)として知られさているが,適当な条件と金属指示薬の使用によって多くの金属イオンのmg/Lレベルでの定量が可能である。本稿では,キレート滴定法の原理,そこで用いられる応用的な手法(逆滴定,置換滴定,マスキングなど)について概説するとともに,これを用いたいくつかの金属イオンの定量法を紹介する。