著者
中村 文規 栗原 康
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醗酵工学会誌 : hakkokogaku kaishi (ISSN:03856151)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.708-711, 1978

Two factors which may act in maintaining ciliate protozoal populations in the rumen were examined. The first factor is chemical substances which may be introduced into the rumen. The second is the heterogenous distribution of porous materials within the rumen, which may act to prevent protozoa from being directly swept out of the rumen. To investigate the former factor, components of saliva were collected through a parotid parotid fistula attached to a sheep. Gas chromatography suggested the presence of estrogenic substances. The latter factor was investigated using a fermentor (working volume; 2.3l) for continuous culture.The concentration of protozoa in an in vivo culture containing food residues taken from the remen was twice that in a control system containing no food residues. Another experiment was performed to investigate whether the physical properties of porous substances influence this result. Small pieces of sponge were dispersed in the culture. Concentrations of protozoa in liquids speezed out of pieces of sponge were twice those found in the free culture fluid.The results suggest that gwowth stimulatory substances may be present in the saliva of ruminants, and that the porous structure of food residues may help to maintain a high population of rumen ciliate protozoa.
著者
佐々木 健 岸部 貴 竹野 健次 三上 綾香 原田 敏彦 大田 雅博
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
生物工学会誌 : seibutsu-kogaku kaishi (ISSN:09193758)
巻号頁・発行日
vol.91, no.8, pp.432-446, 2013-08-25

光合成細菌,Rhodobacter sphaeroides SSIを,電磁石で回収可能な多孔質セラミックに固定化して,放射性核種であるU,SrおよびCoと重金属または有害金属のHg,Pb,Cr,CdおよびAsの除去実験を行った.ほぼ100%のU,82%のSr,58%のCoと,ほぼ100%の重金属または有害金属が,2-4日間,人工下水中で好気処理することにより除去された.廃棄ガラスで作製した多孔質セラミックにSSI株を固定化したところ,CsとSrの同時除去が達成された.1トンタンクを用いた屋外実証実験では,ほぼ100%のCsと,62%のSrが,2-3日の処理後に除去されていた,アルギン酸を用いて約2cmのビーズ状に固定化したSSI株を用いて,福島市中の学校の水泳プールの放射性Cs除去を行った.3日の好気処理で水泳プールの底の底質(ヘドロ)中に蓄積された放射性Csの約90%が除染された.このビーズは少なくとも3回は繰り返し使用が可能であった.回収したビーズは,低温(約600℃)で乾燥と灰化を行うと,重量と容量がそれぞれ,99.3%と97.3%に,放射能を大気中にまき散らすことなく減容できた.さらに,福島の放射能汚染された土壌について,乳酸発酵と嫌気消化を前処理として行い,引き続き固定化SSIビーズで追加処理を行ったところ,約19日のSSI株追加処理で放射能汚染土壌の放射能の約70%が除染された.このように,乳酸発酵と嫌気消化と固定化SSI処理を新規に組み合わせることにより,土壌に対する実用的かつ効果的な放射性Csの除染技術が開発された.
著者
中村 靜
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醸造學雜誌
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.175-197, 1929-10-15

本篇は故山の風物に抱かれつゝ安らかに眠る恩師宇佐美博士の英霊に捧ぐるものにして先生御他界後研究を中止すの止むなきに至りたるも幸当醸造学科教室主任教授齋藤賢道博士、応用化学科教室主任教授丸澤常哉博士両先生の御督励御指導により研究の続行を決意したるものにして著者は本稿を草するに当り涙又新なるものあり巻頭両先生の御芳情を感謝すると共に事こゝに至れるを宇佐美先生の霊前に告げ遙かに恩師の冥福を祈るものなり。
著者
福田 芳雄 原田 篤也 泉 美治
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醗酵工學雑誌 (ISSN:03675963)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.393-397, 1973-06-25

土壌中よりDL-α-ハイドロキシニトリルを唯一の窒素源として生育する酵母を分離し, まずこの菌株GN405の菌学的性質をLodderの方法によってしらべ, Torulopsis candidaの1菌株と同定した.この菌株は種々なニトリル化合物を唯一の炭素源として利用できなかったが, アセトニトリル, プロピオニトリル, ブチロニトリル, DL-α-ハイドロキシイソバレロニトリル, DL-α-ハイドロキシイソカプロニトリルを唯一の窒素源として利用できた.DL-α-ハイドロキシイソバレロニトリルを窒素源として生育した培地からの菌体を用いて, ハイドロキシニトリル化合物に作用させ, えた生産物の元素分析, 赤外吸収分析, 施光度および融点の測定を行なった.その結果DL-α-ハイドロキシイソバレロニトリルとDL-α-ハイドロキシイソカプロニトリルよりそれぞれえられたハイドロキシ酸はL-α-ハイドロキシイソバレリアン酸とL-α-ハイドロキシイソカプロン酸であることがわかった.この反応に関与する酵素は1種のニトリラーゼと考えられる.酵素は基質に対して誘導的に生成される.アミノニトリル化合物には作用しない.