著者
駒澤 利雄
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醸造學雜誌
巻号頁・発行日
vol.9, no.8, pp.588-599, 1931-08-15

豪州産シバリー種本邦普通大麦より製造せる麦芽につき糖化及醗酵試験並に之より仕込みたる麦汁が酵母の生理的性質に及ぼす影響を見、之とゴールデンメロン種大麦より製造せる麦芽とを比較したるにエキス分生成量に於てシバリーはゴールデンメロンに劣り六角大麦は更にシバリーに劣ることを観察せし以外には殊に品種的差異としてシバリー種及普通大麦が麦酒製造上著しくゴールデンメロン種と異なるが如き所なく唯共試シバリー麦芽中醗酵やや不良のものありたれどこは品種的原因に基づくに非ずして寧ろ製麦操作上溶化(Auflosung)不良なるに歸すべく此点に注意して製麦すればシバリー種及六角普通麦よりもゴールデンメロン種と大差なき麦芽を得ることを確かめたり。但し麦酒の味、泡持又は所謂グルチン〓濁等に就ては本試験の關知せざる所とす。之に就ては別に研究施行中なり。(1931年7月日本麦酒鑛泉株式会社東京工場)終りに臨み當社松山技師長(茂助)の懇切なる御指導と大平技師(走快)及榊原友吉氏の御援助とを深謝す。
著者
熊 傑田 上田 誠之助
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醗酵工學雑誌 (ISSN:03675963)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.241-248, 1976-04-25

重質経由(high boiling point gas oil)を唯一の炭素源として40〜50℃を適温とする細胞, 酵母, 放射菌およびカビのスクリーニングを行った.得られた30株の中に9株の放射菌と1株のカビ以外に全部は細菌であった.細菌の中に普通によく知られている細菌よりリン含量が高い菌を数株分離した.その中の1株Brevibacteriumの一種であると同定した.A25R菌は石油資化性がよく, その菌体内リン酸化合物を分画して標準菌株と比べて見ると冷酸可溶画分とKOH可溶画分に特徴があることがわかった.冷酸可溶部を分画して見るとATPは 3.6μg/mg-cells, ADPは2.3μg/mg-cellsであった.KOH可溶画分中にRNAの分解に由来したモノヌクレオチッドのCMP, AMP, UMPとGMPのほかに氷冷した10%トリクロル酢酸で抽出できないが, アルカリによって分解をうけつつ抽出される糖のリン酸エステルが存在していることがわかった.このリン酸エステルの検討について後に報告する.Brevibacterium sp. A25R菌を用いてその培養条件を検討したところ, 有機窒素源は必要でなく, 無機塩と重質軽油でも培養できた.炭素源濃度を0.2〜10v%とかえても, つねに一定の比増殖速度0.35hr^<-1>をもつことがわかった.炭素源濃度が2v%以上では, 菌体濃が2〜3mg/mlを越えると資化できる炭化水素がまだ残っているのに, 増殖速度が減少しはじめ, 長時間にわたって低い速度で増殖しつづけることがわかった.この現象について2,3の検討を行った.培養の最初の5時間内にはpHの変動がなく, 中和剤の添加が見られなかったが, 培養が進むにつれてpHが酸性になり, 中和剤の添加が見られた.培養液のpHを6.4〜7.4にたもつために加えられた4N NaOHが不定形に変形した油滴を円形にもどすという現象が観察された.NaOH中和での油滴が円形にもどすため菌体の接触しうる油滴表面積が減り, 菌の増殖が不良になったのではないかと推察した.一方, 4M(NH_4)_2HPO_4で中和する場合, 変形した油的が培養が進むにつれて更に小さくなっていて対数増殖期(始発炭素源濃度が4v%の場合)は菌体濃度7〜8mg/ml までつづき, 最大菌体濃度は8mg/mlに達すること(NaOHで中和する場合は 5.6mg/mlであった)がわかった.更に0.06%Tween60を含む4M(NH_4)_2HPO_4で中和する場合, 油滴は4M(NH_4)_2HPO_4だけで中和する倍より更に細かい変形油的になり, 菌体濃度は 9mg/mlまで高めることができた.このように中和剤の油滴形状や大きさへの影響は大きく, それらが菌体増殖へ強く作用することが認められ, 石油醗酵の場合油滴を細かく培養液中に分散させる手段とか, 菌の乳化力を妨害する因子の回避を考慮に入れなければならないと思う.
著者
八木 寿一郎 矢野 尚 窪地 義明 酒井 平一 鯵坂 六弥
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醗酵工學雑誌 (ISSN:03675963)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.99-102, 1975-02-25

前報においてCephalosporium sp. ATCC 11550ガプロテアーゼ生産菌として優れていることを報告した. 本報ではさらに工業的生産を目的として基礎的培養条件として培養温度, pHおよび醗酵槽の攪拌回転数等の環境因子を検討した. 培地の始発pHは7.0が最適でpHが低下すると菌の生育が抑制されプロテアーゼ生成は低下した. pHが8.0以上になると酵素生成が早くなり酵素消失時期は1日早くなり急激に低下した. 培養温度は27℃が最適で, 37℃においては酵素の生成は早くなるが消失時期が早くなった. また, 25℃においては27℃に比べて30%低い値を示した. これは酵素自身の耐熱性は比較的高いが菌の生育温度に影響されるためと考えられる. 30l醗酵槽培養において攪拌数は300rpmが最適で10,000u/mlを示し200rpm, 400rpmにおいては300rpmの1/3〜2/3の生成量に止まり6,000u/mlであった. また, 培養80時間後に攪拌数を300rpmより200rpmに減速すると9,000u/mlより11,000u/mlに約20%増加した. 30l醗酵槽の通気攪拌条件より1トンおよび4トンタンクにスケールアップして30℃で培養し, 500mlフラスコおよび30l醗酵槽培養とほぼ同じ量の16,000u/mlのプロテアーセを生成した.
著者
中田 久保 穂坂 賢 坂井 劭
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醗酵工学会誌 : hakkokogaku kaishi (ISSN:03856151)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.509-515, 1985-11-25
被引用文献数
6

Taxonomic studies were done using the methods proposed by Takeda (J. Ferment. Technol., 61,11,1983) and our methods (J. Brew. Soc. Japan, 79,647,1984). Of the 150 strains of awamori yeasts tested in 1980〜1981,143 showed the following properties; resistance against yeastcidin : -, froth forming ability in sake mash : +w〜+, agglutination reaction against antiserum no. 5 : -, growth in potassium-free medium : -, requirement for both pantothenate and thiamine in medium without citric acid and potassium・citrate using ammonium sulfate as nitrogen source : +, growth in medium without citric acid and potassium・citrate from vitamin-free medium : -, growth in vitamin-free medium : -, growth in medium with thiamine in otherwise vitamin-free medium : +, assimilation of melezitose at 33℃ : -, assimilation of a-methyl-D-glucoside at 25℃ : - and production of more than 15.9% alcohol in awamori mash : +.The awamori yeasts isolated in 1980-1981 were clearly distinguishable from awamori yeasts isolated in 1964 by Takeda et al. (J. Ferment. Technol., 61,11,1983), shochu and sake yeasts, and other Saccharomyces cerevisiae.
著者
寺下 隆夫 小田 耕平 河野 又四 村尾 沢夫
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醗酵工学会誌 : hakkokogaku kaishi (ISSN:03856151)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.55-57, 1981-01-25

To confirm the promoting effect on fruit-body formation of basidiomycetes of Streptomyces-pepsin inhibitor (S-PI), a production-scale test was carried out with Pleurotus ostreatus. The best addition-time and concentration of S-PI were at temeprature-shift down and 2.5μg/ml, respectively, which agreed with those obtained in the laboratory. Under these conditions, high quality mushrooms were obtained consistently with 2.6-fold higher yield than in the control (control yield 50.7g/bottle ; yield with 2.5 μm/ml of S-PI, 131g/bottle). Furthermore, this promoting effect of S-PI was constant throughout all seasons.