著者
佐野 元昭
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.9-14, 2017 (Released:2019-02-15)
参考文献数
16

コウジ酸は麹菌が生産する美白成分であり,多くの美白化粧品に使用されているが長らく生合成遺伝子は不明であった。麹菌ゲノム解析が終了すると,著者らはその情報を活用することにより,コウジ酸生合成遺伝子(kojA,R,T)の特定に成功した。また,コウジ酸生産阻害となる硝酸ナトリウムの取り込みを行うトランスポーターを破壊することによりコウジ酸の大量生産にも成功した。現在,コウジ酸生合成経路を特定するための解析をすすめられている。著者らが解析を行っているコウジ酸生合成経路に関する知見の一部をご紹介頂いた。
著者
吉沢 淑 石川 雄章
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.148-152, 1979-03-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
19

原料米に粗白米を用いる際の欠点の1つとされている多量の脂質による清酒香味への悪影響を改善する方法として, 筆者らがリパーゼ浸漬法を開発, 全国的な試験醸造をはじめてから3年経た。本法を試みようとする酒造場は着実に増えつつあるが, 効果あるリパーゼ浸漬法を行っていただくために, その理論的背景と現場で実際に行うにあたっての留意点などについて解説していただいた。
著者
寺谷 亮司
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.1, pp.16-30, 2004-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
12

モーリシャス共和国は, アフリカらしくないアフリカの小さな国であるという (筆者) が, われわれにも馴染みは薄い。現地へ産業調査のために派遣された筆者からモーリシャスの酒類産業と飲食文化の一端を紹介する記事が寄稿された。
著者
河原 秀久
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.89, no.5, pp.355-363, 1994-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
16

食品加工の際に産出する食品廃棄物の再利用は, 資源有効利用の面のみならず環境汚染防止の面からも急務の事項である。著者は, 食品廃棄物の再利用の困難はそれが水に不溶であることに着目した。そこで, 不溶性脱脂大豆の可溶化とオカラの分解を微生物の酵素を利用することにより, 従来利用のむずかしい廃棄物の再利用について解説していただいた。
著者
永井 照和
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.98, no.3, pp.175-181, 2003-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
11
被引用文献数
4

グルコン酸は多くの発酵食品中に, 特に蝉蜜中に多く含まれハチミツ酸と名づけている会社もある。その安全性はすでに公の機関で確認済みで, 多くの食品にその塩類が使用されている。ここではグルコン酸とその各種塩類の特徴と機能の食品への利用例を説明してもらった。近年見出されたグルコン酸塩類の小腸での吸収が少なく, 大部分は大腸に達しビフィズス菌や乳酸菌などに利用され, 短鎖脂肪酸の産生など機能性食品としての評価をも紹介して貰った。
著者
横塚 弘毅
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.91-101, 2000-02-15 (Released:2011-09-20)
被引用文献数
1

1 0 0 0 OA たばこと官能

著者
榊 武志
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.511-517, 1989-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
21
被引用文献数
1

酒類をはじめとする飲食品の品質及び製造管理はそれぞれの官能検査によらざるをえないが, たばこにおいても同様である。しかし, たばこの場合は, 着火して喫煙するということで, 喫煙時の温度や湿度, 時間当たりの喫煙回数, 喫う長さ等々喫煙条件をかなり厳密に決め標準化する必要があり, その点では複雑な官能検査が要求される。今回は, 身近かなたばこにどのような官能検査が用いられ管理されているかを解説していただいた。
著者
福田 典雄 平松 幹雄 産本 弘之 福崎 智司
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.641-645, 1995-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
17

液化発酵において, 粉末活性炭素を添加することにより, 酵母の増殖が促進され香気成分生成縫が増加する現象の要囚について検討した。静置発酵において, 槽の高さ方向における溶存酸素 (DO), 溶存炭酸ガス (DCO2) および酵母濃度の分布を経時的に側定した。粉末炭による酸素の持ち込み量は相対的に少量であり, また, 添加, 無添加醪における, DO濃度の経時変化に差異は認められなかったことから, DOは粉末炭添加効果の重要な因子ではないと考えられた。一方, DCO2濃度には明確な差異が認められ, 炭酸ガスの生成が活発な発酵中期 (3~7日) を通して, 粉末炭添加醪の方が常に低い値を示した, 髪た, 無添加醪では, 槽の下部ほどDCO2濃度が高くなる濃度分布が明確に見られた。粉末炭添加醪における, 発酵中期の酵母の濃度分布は, 槽全体にほぼ均一であり分散性に優れていた。これに対して, 無添加醪では, 槽の下部に酵母が沈降する傾向が見られた。これは, 活発な炭酸ガスの発生に伴う発酵液の流動性に起因していると考えられた。全酵母数当たりの酢酸インアミル生成量は, 粉末炭添加によって約2.5倍増加した。以上の結果から, 粉末炭添加による酵母の増殖促進ならびに酢酸インアミル生成量の増加の重要な要因はDCO2濃度であることが確かめられた。
著者
加藤 百一 中尾 俊幸 牛島 十郎 島田 豊明 志垣 邦雄 萱島 昭二 久野 耕作
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.983-975, 1957 (Released:2011-11-04)
参考文献数
8

焼酎醪を蒸溜するさい, 分溜液の成分は初溜から後溜に到るまで逐次変化するが, このことに関しては山田, 勝田, 野白等の既往文献があり, 又ブランデーについては加賀美の報告がある。併しこれ等は何れも実験室的業績で, 旧式焼酎の製造工場における蒸溜の場合と必ず一致するものとは考えられない。かかる意味も含めて, 今回筆者等は昭和31年10-11月に醪取焼酎, 更に同32年5-6月に粕取焼酎の実地指導を行つた機会を利用して, 熊本局管内の9工場において分割蒸溜試験を行い, 各分溜液の一定量を分取して, これらの化学的成分の変化ならびに品質等について比較観察した。
著者
小崎 道雄 飯野 久和 トク トランリン ホウ ファムタン 関 達治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.327-337, 2002

「米酒」醸造地帯の「米酒」と米関係食品の製法, 特徴, 背景などについて, 東南アジア全域に渡り長期調査された筆者に, 前回に引き続き甘酒, 梗米酒, 糟米酒, 籾殻吸管酒, 焼酎について解説していただい。「米酒」の製造に黒米や赤米を使ったり, 米を焦がす方法や, 米とともに雑穀やキャッサバを使用するといった工夫がみられて面白い.<BR>又吸管の籾殻壼酒は親睦だけでなく, 儀礼的にも重要な位置を占めており, 飲酒文化面からも興味深い。
著者
志村 保彦
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.96, no.12, pp.814-822, 2001-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1

しょうゆの基本技術として, 本醸造しょうゆを中心に「原料処理から製品」に至るまでを2回にわたって93巻1, 2号に解説してもらった。今回は最終工程である精製加工技術について解説して戴いた。今回, しょうゆの基本技術の (その3) をもって全工程を網羅したことになる。その1, 2, 3を併せて活用戴きたい。
著者
鈴木 了 佐武 憲二
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.551-554, 1969
被引用文献数
1

ピール, サイダー, 水についての気温による最適飲用温度を調査した。Thurstone's case V型構造に基づく一対比較法による官能検査を実施し, 解析後, その好みの度合を尺度化した。その結果, 気温が高くなるにつれて最適飲用温度は逆に低下する傾向, および品温に対する好みの度合が強くなる (好き嫌いがはっきりしてくる) 傾向が認められた。湿度を極端に高くすると強い不快感のために判別能力を失い, うまさが判らなくなることも認められた。
著者
上芝 雄史
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.98, no.7, pp.491-496, 2003-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
8
被引用文献数
3

醸造場のシンボリックな存在であった「木桶」。今でも味噌や醤油醸造に一部使われているが, 容器としての主役の座を降りて久しい。しかし, 木桶ならではの価値や魅力が見直され, 酒類醸造で仕込み容器に復活させる事例も見られる。今やわが国で数少ない桶師として木桶製作の技術を守り続ける著者に, 木桶の魅力と桶師の現状を解説していただいた。