著者
秋山 裕一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.381-386, 1975-06-15 (Released:2011-11-04)

生翫系酒母育成には極めて巧妙な自然淘汰の原理が潜んでいる。その原理をふまえて速醸酒母その他の酒母が生まれ, 遂には酵母仕込みにまで及んでいる。その何れを採るかはさておいて, 生翫の抱えている神秘性は未だ十分にべールがはがれていない。科学的に十分なメスを入れることなく幻の酒母としてしまうわけにはいかないであろう。
著者
坂口 健二
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.408-411, 1983

酵母ではなく細菌がアルコールを生産する。20世紀の初め, パウル・リントナー教授がメキシコの酒「プルケ」から分離した細菌が, 遺伝子工学の台頭とともに脚光をあびた。<I>Zymomonas mobilis</I>と命名されたこの細菌を通して, 遺伝子工学に対する著者の考えを披瀝していただいた。
著者
坂口 健二
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.5, pp.313, 1991
被引用文献数
1
著者
坂口 健二
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.273-276, 1969

目的とする醸造特性を高能力に備えた微生物をつくることができたらという夢も最近の分子生物学の進歩によって, 近い将来必ずしも不可能ではないことを抑制解除変異株やhypem変異株, 大腸菌のλdvあるいは基質阻害排除変異株の造成の例から平易に解説された。また有用微生物の性質を安定化するための手段にもふれられている。
著者
坂口 健二
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.100, no.9, pp.626-637, 2005

わが国の醸造学・醗酵学に, いち早く生化学的視点を導入して「応用微生物学」を発展させた偉大な先覚者坂口謹一郎先生。醸造に携る者にとって, 決して忘れられない存在ではあるが, 先生が東京大学教授を退官されてから約半世紀, ご逝去から早10年。先生から直接ご薫陶を受けた多くの先輩諸氏も既に第一線を退かれた。<BR>本誌第100巻に当たり, 醸造学・酒学の大恩人である先生に最も間近で接してこられたご子息に「人間・父坂口謹一郎」を語っていただいた。
著者
好井 久雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.353-359, 1965

前報にひきつづき, みそ, しょう油醸造微生物の主要群別を目的とした選択分離技法を, 菌群のpB耐性, 食塩耐性, 酸素要求度について試験した。<BR>1) <I>Ped.halopkilus</I>の酸性pHに弱い特長をもととした酸性 (pH5.0以下) 培地の使用は, 他菌群の生育も弱化し, 選択分離には利用できない。<BR>2) <I>Ped.halopkilus</I>の好塩性を利用し, 食塩10%程度含有の分離培地を用いることは本菌群の選択分離に有効である。しかも食塩耐性はある程度環境 (食塩濃度) に生理的適応を示しているものとみなされ, 含塩下に生存する本菌の無塩培地での分離は若干のviable lossをおこすものと思われる。<BR>3) 生しょう油の添加は一般的に乳酸菌 (Micrococcusを含めて) の生育を向上させ, TNで0.2%程度の生しょう油をふくむ食塩10%添加培地が.<I>Ped.halopkilus</I>の分離に適している。<BR>4) 乳酸菌の分離は減圧 (真空) 法によらずとも重層法で充分目的を達し得る。この際の<I>Bacillus</I>の完全阻止にはソレビン酸添加培地の使用がのぞましい。<I>Micrococcus</I>は重層下にはかなり生菌数が減る。<BR>おわりにのぞみテスト<I>Streptococcus</I>菌株の一部を分譲いただいた農林省食糧研究所伊藤寛氏, <I>Pediococcus</I>菌株の分譲をいただいた野田産研坂口健二氏, 新潟県食品研本間伸夫氏ならびに終始御鞭漣を賜わった鳥山所長に深謝する。なお本報告の要旨は全国味噌技術会研究発表会 (昭38年5月20日) において口演し, 技法の要点のみは同会発行の味噌技術に摘記ずみである。
著者
中川 七三郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.680-683, 1987

佐渡を代表するものといえば, おけさ, 金山, トキとともに佐渡味噌がある。この佐渡味噌は, 味噌の種類からいっても, 仙台味噌, 信州味噌とともに日本の代表的米 (辛) 味噌の一つである。佐渡が対島暖流の影響で比較的暖かく, 味噌の原材料の自給は勿論, 桶・樽材の生産, そして製品味噌の船便移出など, 味噌産業の興隆に好条件に恵まれていた。本稿では, その佐渡味噌発展のバックグランドについて解説していただいた。
著者
小泉 武夫 村井 総一郎 小泉 幸道 鈴木 明治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.137-139, 1975

1) 前報では麹菌のメパロン酸非生産株を人工変異法で造成したので, その3株を用いて清酒醸造に応用するための2, 3の基礎試験を行なった。<BR>2) 先ず種麹を試作したところ, 親株に比べて変異株はいずれも繁殖力, 胞子着生が弱かった。<BR>3) 次にその種麹の胞子粉末を使って機械製麹を行ない, その麹について糖化試験'酵素力価測定, メバロン酸生産性, DF (deferriferrichrom) 生成について検討したところ, 酵素力は変異株が弱い反面, メバロン酸'DFは全く生産しなかった。
著者
伊藤 俊彦 小松 幸恵 高堂 斐 高橋 仁 田母神 繁 小泉 武夫 中沢 伸重 岩野 君夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.7, pp.562-569, 2008-07-15
参考文献数
10
被引用文献数
5 4

鑑評会の審査成績と相関の高い未知成分を単離・精製し, これらの未知成分がチロソール, β-フェニルエタノール, トリプトフォールで有ることを明らかにした。更に, 吟醸酒中に存在する濃度での呈味性を合成清酒を用いて三点識別嗜好試験を行い調べた結果, チロソールは苦味, 渋味, 雑味を, β-フェニルエタノールは渋味, 雑味を, トリプトフォールは酸味, 苦味, 渋味を呈する事を知った。
著者
鈴木 昌治 小泉 武夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.272-277, 1982
被引用文献数
2

酒造りは, 昔から「一麹二翫三造り」といわれ, 麹は重要な地位を占める。しかしながら, 麹の香りとその意義については不明な点が多い。そこで, 麹の香気成分を検索し同定するとともに, 清酒の香りにおける麹の役割について解説していただいた。
著者
佐藤 信 大場 俊輝 高橋 康次郎 高木 光良 難波 康之祐 小泉 武夫 鈴木 明治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.643-647, 1978
被引用文献数
1

長期貯蔵清酒の一般成分ならびに熟成に関与する成分の分析を行ない, 次の結果を得た。<BR>1) 熟成に関与する成分の貯蔵年数による変化のパターンはこれまでに報告した結果とほぼ同様であった。<BR>2) DFCYが貯蔵年数11年以上の試料には全く検出されなかった。<BR>3) 貯蔵につれて<I>iso</I>-AmOHが増加し, <I>iso</I>-AmOAcが減少した。<BR>4) 96年長期貯蔵清酒は, 通常の清酒に比べて, アミノ酸, 有機酸組成が大きく異なり, 長期貯蔵により成分が変化したものと推定された。また, Feが極めて多く, Cuが少なかった。さらに, アセトンが多量に検出された。筆者らが設定した清酒の甘辛と濃淡の等高線図上に96年長期貯蔵清酒をプロットしたところ, 濃醇辛口の清酒であった。
著者
小玉 健吉
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.426-429, 1965

昨年10月23日より1か月, 東京農大で企画された欧州研修旅行にお伴させていただいた機会に, 平素からお互に書簡で意見をのべ合い, 又文献や菌株などを交換したりし, 知遇を得ている彼の地の酵母学者を訪問し, 親交を深めることの出来たのは誠に幸いであった。本誌にそれらの方々を訪れたとぎの印象や, 大学, 研究所の様子など, 簡単に御報告致したい。
著者
小玉 健吉 京野 忠司 大村田 稔 池見 元宏 立花 忠則
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.276-279, 1981

清酒製造廃水のうち, 洗米廃水はその量は比較的少いが, 全廃水の汚濁物質の50~70%を占めるでんぷんや可溶性糖類を含んで居ることに着眼し, 細菌を用いる廃水処理方式を検討した。<BR>1. 洗米廃水に通気中に自然に生育する好気性の細菌群からでんぷんを主体とする汚濁物質の除去能力の強いものを分離選択した。これらの細菌<I>はCytophaga, Arthrobacter, Pseudomonas Nocardia, Coryneorm, Bacillus</I>等の属に属するものであるが, 洗米廃水をこれらの細菌により処理したときのCOD除去率は, 菌体込みで60~70%, 菌体を遠心分離した上ずみで82~91%を示した。<BR>2. これらの細菌のうち, Bacillus SP. S-22を用いる洗米廃水の前処理と凝集沈澱法との併用および長時間曝気回分式活性汚泥処理との併用による清酒製造廃水処理の実験を行った。
著者
太田 剛雄 高下 秀春 轟木 康市 岩野 君夫 大場 俊輝
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.87, no.12, pp.922-926, 1992-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
19
被引用文献数
12 11

1. 清酒中の抗酸化活性を調べたところ, 清酒中には原料米中よりも強い抗酸化活性が存在した。2. 清酒中の抗酸化活性はAmberlite XAD-2に吸着され, 50%メタノールにより溶出した。3. 50%メタノールによって溶出される活性区分は分子量の異なるA, B, C, Dの4つのフラクションからなり, C, Dフラクションの主成分はそれぞれフェルラ酸およびチロゾールであった。4.分子量の大きいAフラクションは0.5N NaOHまたはジアスターゼ原末による加水分解でフェルラ酸を遊離し, フェルラ酸の配糖体エステルと推察された。本研究の一部は日本酒造組合中央会との共同研究として実施した。