著者
小林 耕太 奥村 哲 谷 淳
出版者
医学書院
雑誌
神経研究の進歩 (ISSN:00018724)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.653-666, 2003-10
被引用文献数
1
著者
別役 智子
出版者
医学書院
雑誌
呼吸と循環 (ISSN:04523458)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.539-543, 2006-05-01

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の成因をめぐる最近1年間の話題 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,中高年の喫煙者に発症し,慢性,持続性の閉塞性換気障害を呈する疾患群である.肺胞壁の破壊による肺気腫と,過分泌を伴う中枢気道の慢性の炎症による慢性気管支炎をその基本病態とする.2001年4月にWHO(World Health Organization)とNHLBI(National Heart Lung and Blood Institute)が中心となり,このCOPDの診断と治療についての指針GOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)が発表された1).特記すべき点は,慢性気管支炎と肺気腫は様々に混在しているという前提で,この2疾患をあえて区別せず,COPDという独立した1疾患単位と位置付ける点である. COPDの様々な危険因子のなかで,長年にわたる喫煙が主たるものと考えられている.この分野において,未解決の重要な課題は「何故喫煙者の一部にのみ,臨床的に明らかな閉塞性換気障害を伴うCOPDが発症するのか」ということである.この疫学的事実は,COPDの発症に喫煙に対する感受性の個体差が関与することを示唆しており,その感受性の本質に迫ろうとする試みが積極的に行われるようになった.
著者
坂井 志麻
出版者
医学書院
雑誌
看護研究 (ISSN:00228370)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.32-42, 2015-02-15

導入 本稿では,欧米における退院計画発展の背景と,研究による効果を検証する。そして米国において検証された移行期支援モデルと,臨床実践に関する大規模研究について紹介する。さらに日本における退院支援の変遷の背景と,それに伴う研究の動向,今後の地域包括ケア時代に向けた研究の展望について述べていく。これらを通じて,政策にインパクトを与える研究を行なっていくためのヒントを得たい。
著者
本庄 かおり
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.116-120, 2015-02-15

近年,長引く経済的停滞と経済格差の拡大に伴って貧困問題への関心が高まっている.特に最近では「女性の貧困」が取り上げられることも多い.貧困が健康に及ぼす影響についてはすでに多くの研究によって明らかにされており,貧困の健康影響の経路として貧困による物質的困窮に加えて社会的排除や心理的苦痛などの影響も報告されている. これまでに日本で実施された貧困と健康に関する研究の多くは仕事を失った男性を想定したものであった.しかし,実際には女性の貧困率は一般に想像されているより高く,その健康影響が懸念されている.そこで,本稿では女性の貧困と健康をテーマに,女性の貧困の現状を示しながら,貧困の背景とその健康影響について考えてみたい.