著者
松村 護
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2019-04-25

植物のトライコーム(毛状突起)が雨を危険信号として感知し、感染回避のために疾病防御応答を誘導することを明らかにしたが、その遺伝子発現制御機構は明らかになっていない。葉面に対する機械刺激によって細胞内にCa2+流入が生じることから、Ca2+を介した遺伝子発現制御機構の詳細を明らかにする。また、シロイヌナズナの葉面に機械刺激を予め負荷しておくと、抵抗性反応が強化されるプライミング効果が認められた。そこで、本研究では、クロマチン修飾に関わる因子を介した遺伝子発現制御に着目し、プライミング制御に関わる分子機構について解明することを目的としている。
著者
BUSTOS Itzel
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は、抗PD-L1抗体を腫瘍溶解性ウイルス表面に発現させることにより、ウイルスにPD-L1発現細胞への指向性を付加するだけでなく、免疫チェックポイント阻害剤としての機能を付加した画期的な新規ウイルスを開発することを目的とした。抗PD-L1抗体遺伝子ベクターの構築に成功したが、目的のウイルス(HF10αPD-L1)の作成には至っていない。マウス扁平上皮癌SCCⅦの両側側腹部腫瘍に対するHF10と抗PD-L1抗体との併用により、両側の腫瘍に対して強い抗腫瘍効果を示した。この抗腫瘍効果の増強には腫瘍への免疫細胞の浸潤の関与が示唆された。
著者
王 昊凡
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2015-04-24

本研究では日本国外の寿司店の増加を事例に、食のグローバル化という社会現象ついて検討した。上海にある寿司店314軒のうち計92軒へのヒアリング調査を行い、調査では生食向け魚介の仕入れ状況、職人の技能養成状況、献立立案や調理実施に関する現状、接客の有り様を調査した。加えて、上海銅川市場において、生食向け魚介の流通を取り扱っている業者へのヒアリング調査も行った。社会学においてグローバル化は長らく重要な研究テーマとなっており、食のグローバル化ではG.リッツァが「マクドナルド化」概念を提唱したこともあって、多国籍企業による大規模チェーン店の展開と、それに伴う合理化した店舗運営に着目してきた。しかし、食は実際には中小零細規模での越境が容易であり、現実にも起こっている点や、食材の品質を考慮した際に、合理化が安定した店舗運営と利益の向上につながるとは限らないという点で、特徴を持っている。食べものがもつこの2つの特徴によって、そのグローバル化のあり方がどのように左右されるかを知るために、本研究では寿司を事例に検討している。本研究の知見をまとめると、以下3点のことがいえる。第一に、②食材の品質と関連して、寿司が多種多様な生食向け魚介を用いるにもかかわらず、上海ではそれを適切に仕入れることが難しいため、職人的技能に頼らざるをえない麺があった。第二に、マクドナルドのような合理化した店舗運営ではなく、技能を身につけた職人の柔軟性によって、仕入れた食材の品質が不安定であること、仕入れた食材の種類が足りないためにメニューが限られること、消費者が多様であるためにその嗜好に合わせなければならないことといった課題を解決する仕組みができあがっている。第三に、そのことは単にひとつひとつの寿司店が安定して運営できることのみならず、上海における寿司店の多様化に寄与した。
著者
竹内 努
出版者
名古屋大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2012-04-01

現代宇宙論はビッグバン宇宙論の骨子をほぼ確立し, ビッグバンに先行する急激な膨張期であるインフレーションの検証へと向かっている. インフレーション理論は第一原理から完全に決定することは難しく, 宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の偏光のBモード成分を精密に解析することによって初めてシナリオを絞り込むことができる. しかし, 現実的には銀河系や系外銀河などのCMBの前景放射が重なるため, CMBゆらぎの抽出は極めて困難である. CMBゆらぎの観測は飛躍的進歩を遂げたが, 観測精度の向上, 特に偏光ゆらぎの精密化に伴って, CMBと前景成分を分離するための本質的に新しい統計的解析方法が必要になってきている. これが領域A04のメインテーマである。本研究では、これまで天文学分野ではほとんど用いられていなかった自己組織化状態空間モデルという統計的方法を発展させ、Planck衛星のデータをCMBのゆらぎ、銀河系外前景放射、銀河系前景放射、ノイズの4成分に分解し、CMBゆらぎを精密に解析することで初期宇宙の情報を抽出する方法を構築する。前年度はまずこの状態空間モデルで用いる前景放射の各成分の統計的性質を明らかにするため、独立成分分析(ICA)を用いた成分分離法を確立し、分子輝線成分、連続波成分のパワースペクトルを求めた。この成果は学術論文として公表済みである。この統計的性質を仮定することで、状態空間の決定ができる。前年度末にPlanckのデータが公表され、本年度にかけて関連論文も出版されているが、現時点では前景放射の様々な不確定要素が決定していない状態である。このため、H25年度は不定性を含んだ状態で統計的推定を行う自由度を残した解析コードを準備した。新しい観測的制限がつき次第完成できる。当初の目的は達成したと考えているが、新しい銀河系星間物質観測をインプットとし、Planck, BICEP2など次世代データへの応用を引き続き試みていく。
著者
村上 英治
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大學教育學部紀要. 教育心理学科 (ISSN:03874796)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.iii-iv, 1983-12-24

国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。
著者
柳沢民雄
出版者
名古屋大学
雑誌
言語文化論集
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, 2002-03-08
著者
深澤 龍一郎 村上 裕章 長谷川 佳彦 稲葉 一将 山下 竜一
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2018-06-29

本研究は、札幌(北海道大学)、名古屋(名古屋大学)、大阪(大阪大学)、福岡(九州大学)に研究拠点を設け、平成30年度から令和3年度までの合計4年間、全国各地の行政不服審査会の答申を収集・整理・分析することを主な手法として、行政不服審査会の審理を継続的観察の対象とすることにより、目下のところブラックボックス化している行政不服審査の審理原則を実証的に解明しようとするものである。
著者
道家 紀志 吉岡 博文 川北 一人
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

植物の感染防御応答の初期始動シグナルであるオキシダティブバースト(OXB)系の分子的実態とその制御機構の解明とOXBの制御下で局部的および全身的に発現する防御遺伝子とそれらの二次元的変動を総合的に解明する3カ年計画を実施し、次の成果を挙げた。1)感染・エリシターに対する細胞応答のOXB系うぃ担う酵素系として推定されるNADPH酸化酵素のサブヨニットであるgp91phoxホモログの2種のcDNAをクローニングし、それらはNADPH結合、6箇所の膜貫通、2箇所のca^<2+>結合ドメインをもつなど構造を推定し、その一つは常時発現、他は感染応答性であるという遺伝子の発現様相を明らかにした。2)OXB系の活性化は、インタクトな状態の細胞ではOXB応答機能はなく、傷や感染刺激で速やかに活性化され、その状態の細胞ではca^<2+>チャネル、カルモジュリン、ca^<2+>依存タンパク質リン酸化酵素が関与することを薬理学的に明らかにした。3)エリシター処理などでOXBを誘導し、その下流において発現が誘導される遺伝子をディファレンシャルディスプレー法およびサブストラクション法で各種の誘導性遺伝子をクローニングした。4)OXB関連タンパク質(SrtbohAとB)、NADPH生産に関わるG-6-P脱水素酵素遺伝子の断片をPVXベクターに組み込みタバコに接種しジーンサイレンシングを実施し、非親和性疫病菌に対する抵抗性が打破されることを示し、OXBの防御応答における決定的な役割を確認した。5)局部的OXBの誘導は局部的防御代謝を活性化するばかりでなく、全身的獲得抵抗性誘導の引き金となり、Ca^<2+>インフラクスを起こし細胞の興奮様反応を連鎖的に進行させる情報が伝わり、その興奮が離れた組織でのOXB能をもつ活性化状態の組織に到達するとそこで再びOXBが起こり、それがSARの誘導の引き金となっていることを示唆した。
著者
鈴木 將文 長岡 貞男 横溝 大 Rademacher C 加藤 紫帆
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

研究期間の3年目に入り、研究を一層深化させるとともに、国内外の研究会、学会等で研究成果の発信を行った。具体的には、次のとおりである。(1)米国、ドイツ、英国、スイス等の研究者と実施した特許権侵害に対する救済措置に関する国際共同研究の成果をケンブリッジ大学出版から書籍("Patent Remedies and Complex Products: Toward a Global Consensus")として公刊した(オープンアクセスも可能な形で提供している。)。(2)特許制度の研究のためには、同様の保護対象を持つ営業秘密制度についても研究を行う必要があるとの認識から、営業秘密の国際的保護に関する研究を進めた。その成果を欧州の国際会議において、欧米の研究者と共通論題に関するパネルを組んで、パネリストとして報告を行ったのか、名古屋大学での国際会議等でも発表した(なお、2020年3月に、欧米の研究者も招いて国内で研究会を開催することを企画していたが、これは新型コロナウイルス感染症問題により中止した。)。(3)特許権の国際的保護に関し、実体法的側面と手続法的側面(国際私法の視点)の両方について研究を進め、成果を国際会議で発表した。経済学の観点からの研究としては、グレースピリオドに焦点を当てた研究を行い、国際会議で報告した。(4)標準必須特許を巡る問題につき、国内学会(法と経済学会)で報告するとともに外国研究者との共著書を出版した。(5)特許制度について考察する基礎として情報・データの法的保護に関する研究も行い、論文と研究会での研究報告を通じて成果を発表した。
著者
山中 章弘
出版者
名古屋大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2017-04-01

遺伝子操作によって記憶力が悪くなる動物はたくさん存在するが、記憶力が良くなる例は数少ない。メラニン凝集ホルモン産生神経(MCH神経)は、視床下部だけに少数の細胞体が存在し、睡眠中に活性化される。MCH神経の生理的役割解明のために、MCH神経を時期特異的に脱落させたマウスを作成したところ、記憶が有意に良くなることを見いだした。このことは、レム睡眠中のMCH神経活動が、記憶抑制・消去に関わっていることを示している。本研究では、MCH神経脱落により、神経回路の機能シフトが生じ、記憶が向上するメカニズムに迫り、睡眠と記憶消去との関係も明らかにすることを目的としている。MCH神経の活動を光遺伝学、化学遺伝学にて操作可能なマウスを作出し、神経活動操作を行った。その結果、MCH神経活動を活性化させると、海馬依存的な記憶が阻害・消去されること、逆に抑制すると記憶が向上することを見いだした。これらの結果から、MCH神経活動が海馬において記憶制御に関わっていることを示している。さらに、MCH神経活動をカルシウムインジケータであるGCaMP6を用いてインビボ記録するファイバーフォトメトリーを適用し、脳波筋電図記録による睡眠解析と同時に行ったところ、MCH神経活動がレム睡眠中、覚醒中に高くなることを見いだした。そこで、MCH神経活動をレム睡眠中、覚醒時それぞれにおいて光遺伝学で抑制を行った。その結果、レム睡眠中のMCH神経活動を抑制すると海馬依存的な記憶に影響があることを見いだした。
著者
丸尾 誠
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
2004

identifier:http://hdl.handle.net/2237/6642
著者
池田 賢司
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

本年度は, メタ理解の正確さに関して, 文章の読解過程を規定する要因として達成目標に焦点を当てた検討を行った。達成目標は大きく習得目標(例えば, 課題を通じて認知能力を向上させる)と遂行目標(例えば, 他の人よりも課題でより高い点数を獲得する)に分類される。特に習得目標はモニタリングを含むメタ認知的活動と関連しているため, 読解中に自分自身の理解状況や処理過程をモニタリグしていると考えられる。そのため, 習得目標が与えられた場合には, 遂行目標が与えられる場合に比べメタ理解は正確になることが予測される。実験では, 実験参加者にはまず達成目標の教示が与えられた。なお, 本実験で用いた教示により, 参加者の達成目標を操作可能であることが, 先行研究により示されている。達成目標の教示が与えられた後, 参加者に6本の文章の読解を求めた。読解後, 各文章の理解度を7件法で評定させた。最後に理解テストを実施した。実験の結果, 統計的な有意差は検出されなかったものの, 習得目標が与えられた場合に, 遂行目標が与えられた場合に比べ, メタ理解はより正確になるという仮説と一致するパターンが得られた。効果量の推定などから, 本研究において有意差が検出されなかったのは, サンプリングエラーの可能性も十分に考えられるため, 今後の研究へ向けての重要な指針を提供する研究となったと考えられる。また, メタ理解の正確さの介入法として, 本研究から目標の操作という可能性を提示できたといえる。つまり, 学習者に習得目標を持たせるよう方向付けることができれば, メタ理解の正確さは改善する可能性がある。しかしながら, 習得目標で得られたメタ理解の正確さもそれほど正確なものとはいえないため, メタ理解の正確さをより改善する方法, あるいは向上させる要因を明らかにすることが今後の研究では重要になると考えられる。
著者
堀口 真利子
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
2014

identifier:http://hdl.handle.net/2237/20510