著者
三宅 芙沙 堀内 一穂 宮原 ひろ子 早川 尚志 笹 公和 箱崎 真隆 前原 裕之 栗田 直幸 木村 勝彦 門叶 冬樹
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2020-08-31

樹木年輪の14Cや氷床コアの10Be、36Clといった宇宙線生成核種は、観測史上最大とされる1956年のSEP(Solar Energetic Particle)イベントの数十倍という過去の超巨大SEPイベントの優れた代替データである。本研究は、年輪の14Cと氷床コアの10Be、36Cl分析から、完新世(過去1万2千年間)における最大のSEPイベントの同定と、超巨大SEPイベントの発生頻度及びその発生特性の解明を目的とする。我々の太陽における発生特性を、太陽型恒星の恒星フレアと比較することで、太陽型恒星における太陽の普遍性と特殊性を評価する。
著者
横倉 真弥
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
2013

identifier:http://hdl.handle.net/2237/17969
著者
小田 寛貴
出版者
名古屋大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究では,加速器質量分析法(AMS)による^<14>C年代測定が古文書の年代判定法としてもつ有効性を検証することを目的とし,文献史学・書跡史学などの立場から歴史学的な年代が一年〜数十年単位で明らかになっている古文書・古経典の^<14>C年代測定を行った.一般に木製文化財には心材部や伐採後乾燥させた木材が利用されるため,その^<14>C年代は歴史学的年代よりも古くなるが,本研究によって,古文書・古経典については^<14>C年代が歴史学的年代とよく一致するという結果が得られ,AMS^<14>C年代測定法が古文書の年代判定法として有効であることが示された.さらに,この研究成果の上に立ち,文献史学・書跡史学などの手法だけでは年代を特定することができなかった古文書資料についてAMS^<14>C年代測定法を適用し,それらの年代決定を行った.浄瑠璃寺阿弥陀如来像の胎内に納められていたと伝えられる印仏は,印刷物であるため書風などからの年代決定が困難な資料であったが,^<14>C年代測定によってこれらが11世紀から12世紀前半のものであることが判明した.実践女子大学蔵源氏物語は室町後期の学者三条西公条の筆と伝えられていたが,AMS^<14>C年代測定によって,これが近世に入ってからのものであることが明らかにされた.また古筆切に適用することで,AMS^<14>C年代測定が散逸物語の年代判定などに重要な知見を与えることも本研究によって示されている.さらに,経筒などに入れられ土中に埋納されていたため炭化してしまった経典についても,AMSが有効な年代決定の手法となることが示された.また,近世前期末葉の薄墨紙の^<14>C年代測定では,この紙が漉き返しの紙ではなく新たに漉いた紙に墨を添加したものであることを支持する結果が得られた.
著者
荒木 聡彦 塩井 成留実 澤田 均 松井 太衛
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

「がん細胞や白血球の血管貫通」における血管壁の開口現象の分子機構は、よく分かっていない。血管貫通においては、出血性ヘビ毒ADAMが血管開口を引き起こすことから、ADAMによる血管細胞間解離を解析した。既にLRP6の切断が血管壁開口現象に必要であることを示唆していたが、今回はADAMの結合標的を探索した。その結果ADAMBP1細胞膜タンパク質(仮称)がヘビ毒ADAMに結合することを示すとともに、ADAMBP1阻害抗体により細胞間解離等が阻害されることを示し、ヘビ毒ADAMの結合受容体であることを示唆した。また他にADAMに結合する候補タンパク質として、ADAMBP2,3,4,5を見出した。
著者
小栗栖 等
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

中世の手書き写本は、様々な略号が使用される上、句読点もない。文字自体も現代のものとは異なる。そのため、たとえ活字で中世の言葉を読めたとしても、写本そのものを専門外の人間が読むことは極めて困難である。校訂作業とは、そうした手書き写本を印刷本の体裁に仕立て直す作業である。本研究の目的は、フランス最古の叙事詩、『ロランの歌』の、シャトルー写本、ヴェネツィア写本を校訂し、さらに、そのテキストをコンピュータで容易に扱えるようにするところにある。本研究の主な内容は、校訂作業と、その作業を容易にしたり、校訂テキストを扱うための電子ツールを作成するところに存する。
著者
松原 隆彦
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

高赤方偏移宇宙の大規模構造からいかにダークエネルギーをはじめとする宇宙論的な情報を得るかについて、解析的な方法と数値的な方法の両面から詳細に研究した。とくにバリオン音響振動を用いてダークエネルギーの制限を得るために必要な理論的に強力な手法を開発した。そして実際のSDSSデータを解析した。さらに、宇宙初期状態を探るために重要な、ゆらぎの非ガウス性に関する情報を得るため、必要な理論的手法を確立した。その手法を用いて、宇宙マイクロ波背景放射温度ゆらぎのデータを解析した。
著者
杉山 直 野尻 伸一 市來 淨與 辻川 信二 西澤 淳 松原 隆彦
出版者
名古屋大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-06-29

Planckを中心とする最新の天文観測データを用いてダークエネルギーモデルに対する制限を得た。理論的に動機づけされた様々なダークエネルギーモデルの提案を行うと共に、現在の観測を満足する理論のパラメータ領域を求めた。ダークエネルギーとダークマターが相互作用を持つモデルにおける宇宙論的摂動論を構築し、そのようなモデルは宇宙の構造形成を遅くすることを見出した。宇宙大規模構造に形どられたボイドの数密度やサイズに対するダークエネルギーの密度揺らぎの影響を定量的に明らかにし、Alcock-Pachinskyテストによりダダークエネルギーの密度と状態方程式への制限が偏り無く行えることを示した。
著者
久保田 富雄
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
1958

博士論文
著者
北浦 靖之
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

分岐鎖アミノ酸(BCAA:Leu, Ile, Val)の代謝を促進させることによる走運動持久力、肥満・インスリン抵抗性に対する影響について解析した。まず、新規BCAA代謝促進因子を発見し、そのin vitroでの作用メカニズム、in vivoでの血中BCAA濃度への影響を明らかにした。また、BCAA代謝がビタミンB1により促進され、ビタミンB1の摂取および遺伝的BCAA代謝促進による走運動持久力、肥満・インスリン抵抗性への影響を明らかにした。さらにBCAAに対するmTORC1の反応が、BCAA代謝促進および食餌中タンパク質含量により影響を受けることを明らかにした。
著者
谷本 祥
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

代数方程式で定義される幾何学図形を代数多様体と呼び、その方程式を満たす有理数解をその多様体上の有理点と呼ぶ。Manin予想とはFano多様体と呼ばれる多様体上の有理点の数え上げの問題、つまりその多様体上の有理点の数え上げ関数の漸近公式に関する予想である。そのManin予想の幾何的側面を高次元代数幾何特に極小モデル理論を用いて研究する。特に、整数点や有理曲線のManin予想に関する研究を行う。
著者
浦 正広
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
2012

名古屋大学博士学位論文 学位の種類 : 博士(情報科学)(課程) 学位授与年月日:平成24年3月26日
著者
遠藤 知弘
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

詳細な情報(幾何形状・核種組成)が不明あるいは不確かさが大きな核燃料を含んだ体系において、体系の未臨界度(どれだけ臨界未満なのかを示す指標)を測定する手法として、本研究では以下の研究に取り組む。①原子炉雑音(中性子計数の統計的揺らぎ)の情報から、体系が臨界近傍か否かを判断する手法を開発し、実証試験を行う。②過渡変化時における中性子計数率の時系列データの情報から、不確かさが大きな体系において未臨界度を概算する手法を開発し、実証試験を行う。③複数の中性子検出器信号から、体系固有の基本モード成分に相当する測定量を抽出する手法を開発し、体系固有の測定量を活用して不確かさを低減可能か検討する。
著者
オマ-ル オスマン 奥田 隆明 中村 英樹 林 良嗣
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究では、日本では従来より実施されてきた車検制度が、自動車の大気汚染物質排出を抑制する効果の分析手法を開発するとともに、その効果の事後的分析への適用をはかった。さらにその結果を踏まえ、車検制度を今後の発展途上国での交通公害対策として導入するにあたっての効果および課題について整理を行った。車検制度が自動車の大気汚染物質排出抑制に及ぼす効果には、1)代替促進効果:車検費用の賦課によって、車齢の高い車から新車への買い換えを促進させ、低排出車が早く普及する効果、2)車両整備効果:車両の劣化によって排出レベルが基準を上回るようになった車両に対し、整備によって排出レベルを低下させる効果、の2つがある。以上の効果を推計するために、まず1)については、車保有者の車両存廃選択行動を、集計ロジット型のモデルにより表現した。説明要因として、各車両の車齢に依存する維持・車検費用と、新車購入費用を組み込んだ。また2)については、運輸省が実施した排出ガス実態調査を利用して、車両の加齢による汚染物質排出量変化を車検制度がある場合とない場合に分けて推計るモデルを構築した。以上の計量モデルによる分析例として、日本の全乗用車を対象に車検制度による大気汚染物質削減効果を推計した。その結果、1989年においては、一酸化炭素については23.4%、炭化水素については16.0%、一定の削減効果があることが把握できた。また、両物質ともに、2)車両整備効果による削減が全体の95%以上を占めることも明らかになった。一方、発展途上国の車両整備制度に関する調査を行った結果、日本よりかなり緩やかであることが分かった。したがって、日本と同レベルの車検を実施した場合には、その効果は日本以上に得られることが予想される。
著者
飯田 忠 大野 栄三郎 石川 卓哉 川嶋 啓揮 藤城 光弘
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

膵がんに代表される難治がんは免疫チェックポイント阻害剤(以下ICI)に対して抵抗性であり、その原因としてCAFが重要な役割を担っている。近年の研究によりCAFを促進性から抑制性にリプログラム(CAF初期化)させることで抵抗性が改善される可能性が示唆されているがその有効性に関しては明らかとなっていない。我々はMeflinを指標とすることでCAF初期化薬の候補薬を既に同定しており、本研究ではこれらの薬剤とICIとの併用効果を検証し、間質をターゲットとした革新的新規治療法の確立を目指す。
著者
山田 高敬 赤星 聖
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

2021年度の主な研究実績は、以下の2点である。一つは、2020年5月にベルリン自由大学の研究チームと共同でオンライン開催した会議の際に提出した論文を加筆修正した。もう一つは、2022年3月に開催された米国国際政治学会で研究成果を報告したことである。前者に関しては、『国際政治』掲載の論文から得られたデータを新たな基準(特に方法論に関して記述的な研究と事例研究の違いに関する基準を明確化)で分析し直し、米国のInternational Studies Quarterly及びInternational Organization、ドイツのZeitschrift fur Internationale Beziehungeなど海外学術誌のデータとの比較可能性を向上させ、さらに日本の特徴である低理論依存性が日本における外交史研究や地域研究の優位性と強い相関があることを統計学的に示した。その上で、改めて日本の国際関係論がグローバルな国際関係論に統合するポテンシャルについてコペンハーゲン大学のクリステンセンの研究などを参考に多角的に検討した。後者に関しては、上記の研究成果をドイツ側の研究者と共有した上で、さらに発展させ、その成果を上述の米国国際政治学会で報告した。報告では、グローバルな国際関係論の「中心」の外郭に存在する日本とドイツの国際関係論がどの程度「中心」に統合されているのかを欧米の学術誌への投稿論文の数や海外博士号取得者の数などのデータを基に分析し、さらにそのような統合を妨げる要因についても検討した。分析の結果、日独の研究者の大部分が自国内で学位を取得していているため「中心」からの独立性が高いという点や、日本ではドイツよりも母国語での研究成果発表に重点が置かれている点、さらにはドイツと比較して英語を媒体とする海外専門誌における日本人研究者のプレゼンスが低い点などが明らかとなった。