著者
上平 正道
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究では、申請者が開発した遺伝子導入用のカチオニックリピッドベシクルからなる人工遺伝子キャリヤーに対し遺伝子導入効率の向上のために、(1)導入するDNAの保護のためのDNA側のDNA結合性タンパク質による処理、(2)細胞指向性をもたせるためのリピッドベシクルへのリガンドの導入、および(3)ゲノムへの目的遺伝子の組込み機能を付与するためのレトロウイルスインデグラーゼの導入について検討した。まず、導入したDNAの細胞内での分解を抑制し、核への移行を促進する機能を付与するために、安全性が確認されており、DNAと複合体を形成することが知られているプロタミンを遺伝子導入の際に加えることを検討したところ、用いた全ての細胞株およびプラスミドで、プロタミンの添加による遺伝子導入効率および発現量の向上が認められ、最大20倍以上の導入効率および発現量の増大が達成できた。つぎに、組織や細胞への指向性を増すために、細胞表面レセプターと結合するリガンドのリピッドベシクルへの導入を検討し、ターゲットとする細胞で3〜4倍の遺伝子導入効率の増大を達成できた。さらに、本研究の遺伝子キャリヤーリピッドベシクルに対象細胞のゲノムへの組込能を付与するため、レトロウイルスの宿主ゲノム組込みにおいて中心的な役割を担っているインテグラーゼの発現ベクターを作製し、インテグラーゼの認識配列であるLTR領域を部分的に組み込んだ目的遺伝子とともにCHO細胞に遺伝子導入したところ、ゲノムへの組込み効率を十数倍向上させることができた。
著者
三分一 政男
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
1967

博士論文
著者
木村 俊秀
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
2005

博士論文
著者
塩瀬 博子 SHIOSE Hiroko
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
2017-03-27

主論⽂のリポジトリ公開版を公開(2018.5.11)
著者
亀山 義郎 阿座上 孝 福井 義弘
出版者
名古屋大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1989

研究目的:マイクロ波の熱作用と放射線の電離作用のいずれも、胎児大脳が高い感受性を示すため、両者が複合して作用した場合、単独では障害効果が少ない条件でも、脳に非可逆的障害をもたらす可能性がある。本研究はこの点を検討するため、マウス胎児にマイクロ波、γ線のそれぞれ単独および併用照射を行い、大脳発達障害を検索した。研究方法と結果:妊娠13日のSlc:ICRマウスに2.45GHzのマイクロ波をON15秒、OFF15秒で反復照し、10分後から直腸温が42.5℃を越えないようにOFF時間を調整した。処理時間は15分と20分の2条件、マイクロ波の比吸収率は葉480mw/gあった。マイクロ波処理9時間後に胎児を採取して組織切片にし、大脳外套の細胞死の頻度を調べたところ、対照群の0.14%に対して、15分、20分処理によってそれぞれ1.6%、3.0%に増加していた。一部の母獣を出産させ、生後6週で観察した仔獣は、20分処理群の脳重が低値を示した。後頭部大脳皮質の組織切片から算出した神経組織切片た神経細胞の核の直径は、対照群に比較して有意に小さく、細胞密度は有意の高値を示した。Co-60δ線0.24Gyに被曝させ、その直後にマイクロ波15分処理を行った実験では、δ線単独被爆の9時間後の大脳外套の細胞死は8.5%であったのに対し、δ線とマイクロ波に複合被爆したものでは19.5%に上昇していた。この結果はδ線とマイクロ波の作用が相互的以上であることを示している。なお、生後6週の観察では、複合被曝群の大脳は小さく、組織学的に大脳皮質の菲薄法化、皮質構築加乱れを示す例がみられた。今後は、マイクロ波と放射線の被曝間隔を変えて、マウス胎児大脳への複合効果を検討する予定である。
著者
中井 孝子
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
2017-03-27
著者
速水 敏彦
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

これまで、動機づけの研究分野では外発的動機づけと内発的動機づけは対立する概念として扱われることが多かった。また、両者の関係に注目したいくつかの研究も認知的評価理論にみられるように外発動機づけの内発的動機づけへの妨害的効果が強調されてきた。しかし、子どもたちについての日常的観察からもわかるように先生や両親からの賞賛や賞品の授与、あるいはきびしい競争に勝ち抜くといった類の外発的動機づけは子どもたちのコンピテンスを高場させる面もあわせもっているように思われる。すなわち、外発的動機づけ→コンピランスあるいは自信の高まり→内発的動機づけの形成というル-トも考えられる。教育的視点からはこの過程にもっと注目して、どのような場合に内発的動機づけが生起するのか明らかにする必要がある。そこで、次のような研究が実施され、一定の結果をえた。(1)技能学習(ピアノ,習字,珠算,水泳などの学習)過程の検討:技能学習の初期、中期、終期での内発的動機づけや外発的動機づけについて大学生を対象にして回顧させるやり方で質問紙法により検討した。結果としては練習初期の外発的動機づけとその後の内発的動機づけとの間に正の関係が認められた。(2)幼児の課題遂行における外的報酬の効果の検討:個別実験的方法により検討した。この結果、幼児が課題遂行に成功した場合、言語的賞賛だけでなく、外的報酬も与えることが内発的動機づけの高さの指標である課題へのPersistenceを高め挑戦的な課題選択に関係することが明らかにされた。(3)教室場面での教師の子どもに対する動機づけ:小学校教師を対象にして1時間程度の面接を実施し、子どもに対する動機づけの実態や信念を尋ねた。教師の大半は小学校の低学年では賞賛競争,賞品といった外発的動機づけが子どもの内発的動機づけを形成するのに意味があるとみていた。
著者
花井 一夫
出版者
名古屋大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

1.黄体化ホルモン(LH)に対するモノクローナル抗体(Spac LH RIA kit)を用いた免疫学的測定法にて、血清LHが測定不能であった5例の患者より採血し、リンパ球を分離後、ゲノムDNAを抽出した。polymerase chain reaction(PCR)法で、このゲノムDNAよりLHbeta鎖DNAの各エクソンを増幅した。アガロース電気泳動法により増幅された各エクソンの大きさを正常LH遺伝子と比較したが、明かな遺伝子の欠損は認められなかった。2.TA-cloning kitを用い、増幅されたLH-beta鎖のDNAをクローニングした。各クローンDNAに塩基配列をシークエンシングしたところ、トリプシン^8(TGG)がアルギニン(CGG)に、またイソロイシン^<15>(ATC)がセレオニン(ACC)に変異していることが明かとなった。3.これらの変異により、制限酵素の切断部位が変化することが明かとなったので、患者家族のゲノムDNAも同様に処理し、restriction-fragment-length polymorphism法により遺伝子異常の有無を調査した。その結果、患者家族内にheterozygoteの存在が明かとなり、遺伝的経路も解明された。さらに、免疫学的測定法により、heterozygoteはその血清LHの測定値が正常者の約半分であることが観察された。4.この変異LHの生物学的活性を、マウス精巣細胞を用いたin vitroにおけるテストステロン産生能により測定したが、正常LHとの間に差異は認められなかった。
著者
山中 宏二 小峯 起 高橋 英機 三澤 日出巳 内匠 透 錫村 明生 竹内 英之 高橋 良輔 山下 博史 遠藤 史人 渡邊 征爾
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

筋萎縮性側索硬化症(ALS)のモデルマウスを用いて、グリア細胞の一種であるアストロサイトの異常に着目して研究を行った。ALS患者・マウスのアストロサイトでは、サイトカインTGF-β1が異常に増加し、グリア細胞による神経保護環境を阻害することにより、病態を加速していることが判明した。TGF-β1の阻害剤投与により、ALSマウスの生存期間が延長したことから、TGF-β1はALSの治療標的として有望であると考えられた。また、ALSマウスの病巣では異常に活性化したアストロサイトが見られ、その除去機構として、自然免疫分子であるTRIFが関与するアポトーシスが関与していることを見出した。
著者
小島 一晃
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
2007

identifier:http://hdl.handle.net/2237/8249
著者
有田 隆也 鈴木 麗璽
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は,協力が創発するメカニズムが生物進化・文化進化するダイナミクスを解明し,応用することを目的とした.まず,進化シミュレーションにより直接互恵と間接互恵が協働的に動作して裏切りの侵入を防ぐことが示された.次に,マルチプレイヤー型オンラインゲーム型実験環境により,ゲーム内挙動と心的特性の関係を明らかにした.また,大規模ソーシャルゲームの行動データを統計分析し,コストが大きいコミュニケーションが協力行動につながる可能性を示した.さらに,間接互恵に基づく協力行動を二重化ゲーミフィケーションによって促進するプラットフォーム概念を提唱,実装し,被験者実験によりその効果を確認した.
著者
代田 清嗣
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
2017

identifier:http://hdl.handle.net/2237/26606
著者
川合 伸幸 香田 啓貴
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ヒトは多くの対象に恐怖を感じるが、ある対象は進化の過程で獲得された結果、生得的に恐怖を引き起こすと考えられている。たとえば、高所やヘビがその代表とされる。従来の理論では、ヘビとクモが進化的に脅威を与える対象であるとされていたが、より近年の理論はヒトや霊長類の大脳はヘビを検出するために視覚システムを大きくしたと仮定する。そのことを実験室で育ち、ヘビを見たことがないサルと、ヒトを対象とした行動および脳波の実験で検証した。どの実験でも、ヒトやサルはヘビに強く注意を向けることが示されたがクモには注意を惹き付けられないことが明らかとなり、ヘビだけがヒトや霊長類の生得的な脅威の対象であることを証明した。
著者
近藤 滋
出版者
名古屋大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

分節パターンを決定するメカニズムを解明する目的で、以下の2つの研究を行った1)ニワトリ胚の分節現象が反応拡散波の性質を有することを示す実験反応拡散系の特徴として、外科的なかく乱に対して修正作用を持つことがあげられる。体節形成に反応拡散の原理が働いているのであれば、胚を変形させても同じ大きさの体節を作れるはずであり、そのような現象が起きれば、他のモデル(clock and wavefront model)と区別をつけることができる。体節形成期のニワトリ胚をピンセットで物理的に伸張させ、細長い中はいようにしたところ、伸張度合いにかかわらず同じ大きさの体節ができることを確認した。これは、体節形成に反応拡散の原理が働いていることの傍証である。2)ゼブラフィッシュの模様形成遺伝子の探索ゼブラフィッシュの皮膚模様も自発的に成立する等間隔パターンである。同じ分子メカニズムが働いている可能性があると考え、模様形成遺伝子のクローニングを行った。これまでに、模様形成に関係する2つの遺伝子のポジショナルクローニングに成功している。Obelix変異は、縞の幅が広くなる変異を示す。原因遺伝子はKir7.1というKチャンネル分子であった。この遺伝子は色素細胞でのみ発現しており、また、変異体の遺伝子はKの透過性を失っていることがわかった。縞が斑点に変わる変異遺伝子レオパードのクローニングも行ったが、これはGAP JUNCTION関連の遺伝子をコードしていた。現在これら2つの遺伝子の変異がどのような機構で模様を替えているのか計算機によるモデル化を行っている。
著者
宮武 勇登
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

現代科学の多くの分野で,長時間スケール数値計算の需要が高まっている.そのためには,微分方程式の数理的/物理的性質(例えばエネルギー保存則)を活用した構造保存数値解法が適切だが,計算機パワーのハード面の成長に伴い,現場のニーズも多様化・大規模化している現在,精度と計算コストのギャップといった問題がこれまで以上に顕著化している.これらの問題に対して,現状では,各分野の専門性や経験によって解決案が研究されているが,本研究では,より数理的/分野横断的な立場から,汎用性の高い高速かつ高精度な並列構造保存数値解法を開発することを目的とする.本年度はこの目的に対して,主に,微分方程式を離散化した際にあらわれる線形方程式の性質やその解法に関して研究を行った.不連続Galerkin法は比較的容易に高精度な離散化を行える一方,離散化後にあらわれる線形方程式の性質(条件数など)が悪くなることがある.この問題に対する先行研究として,離散化の際に人工的なパラメータを導入するアイデアが知られており,本研究では,構造保存不連続Galerkin法への展開を考え,実際にいくつかの散逸系に対しては有用性を確認できた.ただし,保存系に対してはこのアイデアの素直な適用は難しく,また散逸系に対しても,ほとんど効果の見られない問題例も存在する.その他にも,線形方程式を数値計算するための反復解法についても研究を行い,新しいタイプの適応型SOR法を導出した.