著者
岡本 真
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.632-643, 2007 (Released:2007-02-01)
参考文献数
8

「Web2.0」時代における学術情報発信のあり方について展望と課題を示す。まず「Web2.0」の理解の仕方を説き,続いてブログにおける学術情報発信の実例に基づいて「Web2.0」が学術情報発信にもたらす価値を説く。特にユーザー参加の拡大と参加拡大のためのデータ開放の意義を強調する。同時にユーザー参加による学術情報発信の活性化を阻む要因の存在を指摘し,現時点におけるブログを中心としたWebでの学術情報発信におけるコミュニケーションモデルの限界を示唆する。最後に課題を解決するための方策として,学術情報発信組織が有する大規模データの開放を提案する。
著者
原田 隆史
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.725-737, 2012 (Released:2012-02-01)
参考文献数
20
被引用文献数
2

Project Next-Lは,次世代の図書館システム開発の主導権を図書館関係者自身の手に取り戻し,オープンソースによる図書館システムの仕様を図書館員が共同で作成することを目指すプロジェクトである。Project Next-Lの仕様をもとに開発された統合図書館管理システムNext-L Enjuは,一般的な図書館システムの機能を備えるほか,Web2.0に対応した各種の新機能,図書と電子ジャーナルなどの電子的情報資源を一元的に管理する機能,FRBRに対応した書誌レコードを管理する機能など,数多くの新しいサービスに対応する仕組みを備えている。また,Next-L Enjuはオープンソース・ソフトウェアとして公開されており,自由に利用することができるという点も大きな特徴である。Next-L Enjuは2012年1月から正式公開された国立国会図書館(NDL)サーチのベースとして採用されているほか,物質・材料研究機構の図書館や南三陸町図書館で実際に稼働しはじめるなど利用が広がりつつある。
著者
北岡 元
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.583-588, 2017-11-01 (Released:2017-11-01)
参考文献数
6

インターネットという情報の巨大な伝送装置を得,おびただしい量の情報に囲まれることになった現代。実体をもつものの価値や実在するもの同士の交流のありようにも,これまで世界が経験したことのない変化が訪れている。本連載では哲学,デジタル・デバイド,サイバーフィジカルなどの諸観点からこのテーマをとらえることを試みたい。「情報」の本質を再定義し,情報を送ることや受けることの意味,情報を伝える「言葉」の役割や受け手としてのリテラシーについて再考する。第6回は,インフォメーションからインテリジェンスをつくり出すための「分析」に的を絞り,分析が失敗する原因にも着眼しながら,広がりゆくインテリジェンス研究の実際を追う。
著者
小林 龍生
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.176-184, 2015-06-01 (Released:2015-06-01)
参考文献数
2
被引用文献数
3

符号化文字集合を論じるうえで欠くことのできない,字体と字形という2つの言葉の意味を明確にしたうえで,利用者集団や目的によって字体を区別する粒度が異なることについて論じる。

8 0 0 0 OA 水はめぐる

著者
サイエンスウィンドウ編集部
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
サイエンスウィンドウ (ISSN:18817807)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.1-40, 2018 (Released:2018-06-11)

サイエンスウィンドウ2018冬号の冊子体一式(PDF版)およびHTML版は下記のURLで閲覧できます。 https://sciencewindow.jst.go.jp/backnumbers/detail/93 目次 【特集】 水はめぐる p.06 水から見える世界と私たちのつながり(沖大幹 国際連合大学) p.12 ナノカーボンで世界の水問題に立ち向かう(遠藤守信 信州大学) p.16 島の水環境と暮らしを考える新たな挑戦(琉球大学「水の環でつなげる南の島のくらし」プロジェクト) p.18 江戸・東京の上下水道と暮らし(東京都水道歴史館) p.20 子どもたちに水の未来を託すために(横浜市立緑小学校・サントリーホールディングス株式会社) 【REPORT】 p.24 「越境する」をテーマにさまざまな対話が展開(サイエンスアゴラ2017) 【連載】 p.02 かくれてるカモ?:ライチョウ p.26 空からジオ:とかち鹿追ジオパーク/北海道 p.28 動物たちのないしょの話:フンボルトペンギン(長崎ペンギン水族館) p.30 タイムワープ夢飛翔:水 / 生命を育んだ奇跡の化合物 p.32 自然観察法のイロハのイ:冬も野外に出て樹木観察を楽しもう p.34 科学写真の言霊:マイケル・ファラデーの言葉より p.36 発見!くらしの中の科学:壁や床に化石が入っているのはなぜ? p.38 読者の広場:サイエンスウィンドウカフェ p.40 空からジオ:解説
著者
池田 貴儀
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.428-440, 2010 (Released:2010-11-01)
参考文献数
40
被引用文献数
3

本稿は,これまでの灰色文献をめぐる動向について灰色文献の現状と課題の整理を行いながら,論考するものである。特に,インターネットの普及は,資料の多くが電子化されWeb上で公開される機会が増加するという流通の面だけでなく,灰色文献の範囲や灰色文献そのものの在り方にも大きな変化をもたらしつつある。本稿ではまず,灰色文献の概略を説明し,その特徴,定義,範囲について整理する。加えて,灰色文献国際会議における議論を中心とした世界的な灰色文献の動向について触れる。最後に,灰色文献への現場の取り組みとして日本原子力研究開発機構図書館の事例について,紹介する。
著者
高久 雅生 谷藤 幹子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.29-41, 2012 (Released:2012-04-01)
参考文献数
35
被引用文献数
3 1 2

物質・材料研究機構(NIMS)では,2008年よりデジタルライブラリー構想に基づく機関リポジトリNIMS eSciDocの開発と運用を始めた。eSciDocは柔軟な拡張可能性と豊富なWeb APIを併せ持つドイツ製のオープンソースのリポジトリソフトウェアであり,単に文献リポジトリにとどまらず,eサイエンスのための汎用ツールとしての機能を持ち合わせている。このような利点を活かして開発,運用してきた機関リポジトリNIMS eSciDocの現状と課題を報告する。あわせて,機関リポジトリと対をなして取り組んでいる研究者総覧SAMURAIについても報告する。SAMURAIは,NIMS研究者約500人を対象に,その連絡先や業績文献,研究内容などをわかりやすく伝えるサービスとして,機関リポジトリや外部データベースと密に連携しながら,2010年より運用を開始した。本報告では,これらのサービス内容と利用動向とともに,今後の展開について述べる。
著者
森 臨太郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.855-864, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
4

1992年に設立され,系統的レビューの手法を確立したコクランは,現在130か国・地域を超える3万7,000人の人々が協力して,手軽に無料で入手できる信頼性の高い医療情報を提供している。設立当初から,研究や診療の意思決定に医療消費者(患者)の参加を真摯に取り組んできた。医療消費者はコクランの系統的レビューの査読を行い,設定したゴールが適切か,コクランのメッセージがわかりやすいかなどに重点をおいてチェックする。完成したコクランレビューには抄録のほか一般語訳が必ず付けられ,いくつかの国・地域では,研究教育機関だけではなく,市民に広く公開されている。研究や診療政策現場における医療消費者参加の現況を踏まえ,今後,医療消費者が「どのように参加するか」が重要になると考えられる。
著者
独立行政法人科学技術振興機構
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
JSTnews (ISSN:13496085)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.10, pp.8-11, 2014-10-01 (Released:2020-03-31)

プラスチックは製品として米国で約100年前に誕生した。日本で日用品として出回ってから半世紀になる。軽くて強く、加工が簡単で使い易いなど、メリットが多い。しかし原料として石油資源を大量に消費することや、自然界に廃棄物として長期間残存し、たくさんの生物に害を及ぼしてしまうことが大きな問題になってきた。これらを解決すると期待されるのが「微生物工場」による生分解性プラスチックの大量生産技術。その裏では微生物を相手に実用化への苦労の日々が続いた。生分解性プラスチックが、地球生命圏の救世主になる日は来るのだろうか。
著者
野波 健蔵
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.755-763, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
参考文献数
6
被引用文献数
5

本稿では,ドローン産業が高揚期に入ってきたことを述べた後,現状の技術的課題に触れ,量産型国産ドローンであるミニサーベイヤーの最新モデルを紹介する。また同機に登載された非GPS環境下での自律飛行が可能なSLAM技術について紹介していく。そして,完全自律制御飛行のコアとなる3技術(GNC:ガイダンス・ナビゲーション・制御)を説明し,ガイダンスのないナビゲーションと制御のみで飛行している問題点も指摘する。さらに農業,インフラ点検,測量,警備,災害対応の5つの分野で先行してドローンが利活用され,物流分野から始まる空の産業革命など,ビジネスの最前線について述べる。最後に,既存の千葉市ドローン宅配プロジェクトの現状と課題について言及する。
著者
関嶋 政和
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.900-907, 2016-03-01 (Released:2016-03-01)
参考文献数
13

1つの薬を上市するまでに12年から14年の期間とおおよそ26億ドルの資金が必要とされており,近年,これらの期間と費用を削減するために創薬分野においてIT技術を駆使したアプローチ(IT創薬)に大きな注目が集まっている。創薬では天文学的な数の薬候補化合物の中から,薬効があり副作用の少ない化合物の探索が日夜行われており,IT創薬を活用することで機械学習の手法で薬効がある化合物を予測したり,創薬の標的タンパク質の立体構造情報を用いたバーチャルスクリーニングを実施したりすることで創薬のプロセスを効率化することが期待されている。IT創薬技術の啓蒙(けいもう)と人材育成に資することを目的として,誰でも無料で参加できるIT創薬のオープン創薬コンテストを並列生物情報処理イニシアティブの主催で開催した。参加者は自らの手法で著者らが指定する220万化合物から標的タンパク質の機能を阻害する化合物の候補を選抜し,著者らはそれらを実際にバイオアッセイにより評価を行った。さらに,技術やノウハウの共有のために,参加者の利用した方法論と得られた化合物の成果情報の公開を行った。
著者
藤田 節子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.492-503, 2010
被引用文献数
1

近年,学術論文の参照文献に,インターネット情報の利用が増加している。Webページは更新や削除が頻繁に行われるため,インターネットからの参照文献は読者が後になって入手できるとは限らない。本調査は,2007年と2005年に刊行された図書館情報学関係学術誌4誌に掲載された論文の参照文献のうち,インターネット情報を参照した858件の入手可能性を調べた。その結果,2007年では参照されたインターネット文献のうち28%,2005年では41%が,論文の著者が記述したURLのもとでは見つからなかった。見つからなかったインターネット文献を,そのサイト内で検索したり,検索エンジンを使うと,2007年は89%,2005年では82%が入手可能になった。参照されたインターネット文献の保存,サイト運営者の適切な管理運営,著者の正確な引用と,必要十分な書誌記述が入手可能性を高める。
著者
原田 明彦 間杉 奈々子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.716-724, 2015-01-01 (Released:2015-01-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

特許係争に対して高い証拠能力をもつ実験ノートを作成することは,先発医薬品メーカーにとって重要な課題である。実験ノートが証拠として認められるためには,網羅性,検索性,保全性,実証性を満たしている必要がある。実験ノートを完全電子化し,書式のテンプレート化,検索機能,データバックアップおよび監査証跡ならびに長期署名サービスを活用することで,これらの要件を実現した。Computerized System Validationを適用することによって,電子実験ノートがFDA 21 CFR Part11に定める要件を満たすこと,および電子実験ノートが前述の要件を満たすシステムであることを担保し,電子実験ノートの知的財産保護への活用を果たしている。