著者
玉瀬 耕治 相原 和雄
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.23-31, 2004-03-31

According to Doi' s AMAE theory, it was predicted that there is some relationship between students' AMAE and Big-Five as personality traits. A new rating scale to assess the state of students' AMAE was developed on the basis of a previous study by Tamase and Wakimoto (2003). The AMAE scale consisted of 20 items, which constituted 4 subscales: AMAE-Desire, AMAE-Acceptance, AMAE-Contortion, and AMAERejection. The first two subscales were supposed to evaluate interdependent aspects of AMAE, whereas the last two subscales were supposed to evaluate distorted aspects of AMAE. One hundred and twenty-four undergraduate students participated as the rater who rated the AMAE scale (20 items) and an abbreviated form of Big-Five;Neo-PI-R, NEO-FFI (60 items). It was found that there were significant positive correlations between AMAEDesire and neuroticism (N), between AMAE-Acceptance and N, extroversion (E), or agreeableness (A), between AMAE-Contortion and N. It was also found that there were significant negative correlations between AMAEDesire and openness (O), between AMAE-Contortion and O or A, between AMAE-Rejection and E, O, or A. The implication of these findings was discussed in line with the predisposition of Japanese culture.
著者
藤田 正
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.81-86, 2010-03-31

大学生のメタ認知的方略と学習課題先延ばし行動との関係を明らかにするために、大学生161名を対象に、自己調整学習方略尺度と学習課題先延ばし傾向尺度(「課題先延ばし」と「約束への遅延」より構成)を実施した。自己調整学習方略尺度25項目について因子分析を行った結果、「努力調整・モニタリング方略因子」と「プランニング方略因子」の2因子が抽出された。変数間の関係を調べるために相関を検討した。その結果、「努力調整・モニタリング方略因子」は、「課題先延ばし」と「約束への遅延」の両方と有意な負の相関が見られた。また、「プランニング方略因子」は、「課題先延ばし」との間にのみ有意な負の相関がみられた。これらの結果から、自己調整学習方略を構成する2つのメタ認知的方略が先延ばし行動に影響していることが明らかになった。
著者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
奈良教育大学実践センターニュース
巻号頁・発行日
no.25, 2000-06-30

特集:教育臨床研究部門の活動紹介/特集教育臨床活動に参加して/新メンバー紹介/センター関連委員会の報告/編集後記
著者
市来 百合子 生田 周二 上田 光枝
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
no.19, pp.19-26, 2010-03

本研究の目的は、保健室登校の生徒数が近年増加傾向にある中で、保健室に来室する児童生徒への支援として自己表現や内省を促すようなアートワークブックを作成することにある。第1報(市来他, 2009)では、養護教諭らに半構造化面接を行い、これまで創作や表現活動を導入した経験を聞き取り、そのメリット、困難性について検討した。本論文では第1報での結果を鑑み、文献研究によって保健室登校の支援の本質的意義とそこでのアートワークブック作成の意味について検討し、2000年1月から2009年8月までにCiNiiに登録されている先行研究および関連図書をレビューして今後のアートワークブックの内容の骨子を構築することを目的とした。保健室登校の支援は教室復帰のみをその最終目的とするのではなく、その過程の中で内省を深め、自己理解や自己指導力を育成する視点が重要である。そのために保健室で養護教諭に受容、共感されながら行う表現、創作活動が自己対象体験となり、自己愛の修復につながると考えた。文献研究の結果、概ね3段階の支援を想定することが有効であり、アートワークブックの内容もこの3段階が反映されるような内容を含む必要があることが示唆された。その内容は、1)子どもと信頼関係を結び、あるがままを受容する時期→こころの居場所への導入に関連した課題 2)自発的な活動に取り組んだり、自己理解や内省が進む時期→自己表現を促進する課題 3)社会化の過程で対人関係の経験を意識していく時期→社会化の過程を支援する課題であり、加えて4)身体感覚の表現と言語化に関する課題の重要性についても検討した。
著者
豊田 弘司 岸田 麻里
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-5, 2006-03-31

本研究の目的は、心理学の授業で教材として使用可能な恋愛感情尺度の簡易版を作成することであった。研究Iでは、予備調査に基づき、大学生476名に対して、松井ら(1990)のLETS-2(Lee'sLove Type Scale 2nd version)を実施し、因子分析から30項目を選択した。そして、選択した異性によって各恋愛感情得点の異なることを見いだした。研究IIでは、「現在つきあっている異性もしくは将来つきあう異性」について,254名の女子大学生に研究Iで選択された30項目を評定させた。各項目に対する評定値について因子分析の結果に基づき、松井ら(1990)のLETS-2と同じ6つの因子に対応する項目の負荷量が高い項目を3項目ずつ抽出し、合計18項目の簡易版恋愛類型 尺度を作成した。この尺度の各因子ごとのα係数は,.69~.84であり,信頼性をもつものと考えられた。
著者
藤田 正 岸田 麻里
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
no.15, pp.71-75, 2006-03

大学生の日常生活における学習課題の先延ばし行動とその原因の関係を明らかにするために、大学生142名を対象に、予備調査に基づいて作成された先延ばし行動の原因調査項目と学習課題先延ばし傾向尺度(「課題先延ばし」と「約束への遅延」より構成)を実施した。先延ばし行動の原因調査項目を因子分析した結果、「興味の低さによる他事優先」、「先延ばし肯定・容認」、「課題困難性の認知」の3因子が見いだされた。次に、学習課題先延ばし傾向とその原因の関係を調べるために両者の相関を検討した。その結果、課題先延ばしと「興味の低さによる他事優先」、「課題困難性の認知」の間に正の有意な相関がみられた。また、約束への遅延と「興味の低さによる他事優先」の間に有意な正の相関がみられた。これらの結果から、大学生の学習課題先延ばし行動の原因として最も大きな影響をもたらすものは、課題に対する興味の低さにより他事を優先して行うことであると結論づけた。
著者
豊田 弘司
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.5-10, 2005-03-31

本研究の目的は、大学生における異性関係スキルが、異性の友人数と自己判断による異性からの好意度に及ぼす影響を検討することであった。611名の大学生に、異性関係スキルを調べる尺度の各項目について6段階で評定を求めた。因子分析の結果、男子学生では「会話スキル」及び「対人不安」、女子学生では「会話スキル」、「対人不安」及び「対人関係の自信」という因子が抽出された。重回帰分析による検討の結果、男子学生においては「会話スキル」と「対人不安」が異性からの好意度を21%、女子学生においては「会話スキル」、「対人不安」及び「対人関係の自信」が異性からの好意度の24%を予測することが示された。また、異性からの好意度の高群と低群の比較を行ったところ、両群間に差が認められる項目が明らかになり、異性からの主観的好意度の高い人と低い人に行動の違いのあることが明らかになった。
著者
豊田 弘司
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-6, 2004-03-31

本研究の目的は、大学生において同性および異性から好かれる男性及び女性の特性を明らかにすることであった。335名の大学生を調査対象として、「女性から好かれる女性」「女性から好かれる男性」「男性から好かれる男性」及び「男性から好かれる女性」について24項目の特性にあてはまる程度を6段階で評定してもらった。その結果、男女ともに異性から好かれる特性として「やさしい」「思いやりがある」「信頼できる」及び「友達を大切にする」が重視されていた。また、女性の方が男性よりも重視する特性が多いことが示された。一方、同性から好かれる特性については、男性と女性の違いは少なく、「話しやすい」「友達を大切にする」「信頼できる」「性格に裏表がない」「思いやりがある」「気さくである」「明るい」「おもしろい」及び「つきあいがよい」が男女ともに共通して重視されていた。
著者
大家 千恵子
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
no.19, pp.161-166, 2010-03
被引用文献数
1

筆者は、食育の題材「おこめ だいすき」を考案した。指導計画は全3時間で行った。紙芝居「おこめ だいすき」を使った授業では、全ての児童が4点の米の良さをまとめることができた。感想の中には、「これからご飯をしっかり食べてがんばりたいと思っている」という意見があり、米の良さを再認識できた児童がいた。紙芝居「おこめ だいへんしん」を使った授業では、米から作られる食べ物を料理法と一緒に学習した。児童は、米から作られる食べ物の多さに驚いていた。同時に、米を大切にすることの必要性を感じた児童もいた。調理実習「おにぎりパーティ」では、児童は自分で作ったおにぎりのおいしさに感動し、また自分で作ってみたいという気持ちを持った。事前、事後のアンケートを比較すると、明らかに米に良い印象を持つ児童が増え、米に関する知識の向上が確認できた。つまり、題材「おこめ だいすき」の教育的効果が認められた。
著者
小柳 和喜雄 信田 和則 松本 哲
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
no.18, pp.165-171, 2009-03

教科学習などにおけるデジタルコンテンツの教育活用が進められてきている。しかしながら、その利用に関わっては、その所在情報、内容情報について、学校や教員に十分に認識されているとは言い切れず、その活用可能性に関わって見通しがもてていない状況がある。そこで本研究報告では、現在出版されている教科書準拠のデジタルコンテンツ(国語科・社会科)に着目し、授業場面におけるその利用可能性とさらに改善が求められる点について検討を行った。
著者
玉村 公二彦 片岡 美華 小山 ありさ 宮地 里味
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.81-90, 2009-03-31

漢字書字に特異的障害をもつ学習障害児について、教育相談と支援を提供しつつ、そのプロセスの中でおこなってきたアセスメントと教育的支援の内容を報告した。本事例は、小学校4年生2学期から相談に入り、 5年生になって各過程度の支援をおこない、その認知や対人関係の特徴を把握したものである。漢字の書字障害は、特に字形の想起障害を特徴とする記憶に関連する問題と考えられたが、あわせて、本児は、不注意傾向、興味や対人関係の偏りなども指摘され、 LD、 ADHD、広汎性発達障害などのそれぞれの特徴をあわせもつと考えられた。発達障害の原因や特性から検討することを課題としつつも、教育相談・教育支援のプロセスの中で支援のあり方と手がかりを見いだすことの重要性を指摘した。
著者
池島 徳大 吉村 ふくよ 倉持 祐二
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.261-270, 2007-03-31

本研究では、アメリカの学校で行われているピア・メディエーション(仲間による調停)の実際を紹介し、その考え方や導入の方法、利点等についての知見を提供することを目的とした。ピア・メディエーションは、わが国の喫緊の教育課題となっているいじめ問題の対応策の一つとして、極めて有効な方法となりうる可能性をもち、今後、学校教育への導入が期待されるプログラムである。尚、メディエーション(調停 "Mediation")と関連する、交渉 "Negotiation"、仲裁(裁定) "Arbitration" の概念についても若干整理して示した。
著者
山田 佳那 松村 佳子
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.61-70, 2006-03-31

This research aims at preventing accidents during experiments in science classes. For the purpose we investigated various accidental instances that happen in past time. And in order to make survey of the kind of accidents that students have met, we sent questionnaires to the students of junior and senior high school, and those of the Nara University of Education. The results indicate that there is a coincidence between the accidents that can potentially happen when performing experiments and the safety guidelines which students suppose to follow. In addition, there are several differences for the students with respect to their grades, because of various surroundings, in the image for science, the safety perception and the dangerous experience. This fact may be due to the conditions which students are living in and the reduction in the science class experiments contents caused by changes in the course curriculums. Considering the current measures taken by the Board of Education and the information gathered about accidents during science experiments, we propose how accidents should be prevented when executing experiments in science classes.
著者
豊田 弘司
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.7-10, 2006-03-31

本研究の目的は、大学生の自尊感情と自己効力感が、これまでの随伴経験及び非随伴経験の程度によって規定されるか否かを検討することであった。476名の女子大学生に、牧ら(2003)が開発した主観的随伴経験尺度を実施した。被調査者には随伴経験・非随伴経験尺度の各項目に対する6段階評定を求め、自尊感情及び自己効力感尺度についても同じように評定を求めた。随伴経験及び非随伴経験を説明変数、自尊感情もしくは自己効力感を目的変数とする重回帰分析の結果、自尊感情は随伴経験及び非随伴経験尺度の評定得点によって21%が説明でき、自己効力感についても12%が説明可能であった。この結果は、両経験によって自尊感情及び自己効力感が規定される可能性の高いことを示すものとして解釈された。
著者
松浦 直己 岩坂 英巳
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.203-209, 2009-03-31

特別支援教育でCBTを応用した事例を報告する。その際、対象児の情緒と行動の問題をCBCL-TRFで評価した。対象児は9歳の男児。選択性緘黙及び学習障害を有していた。対象児の認知・行動特性として、①自罰的認知、②原因帰属の歪み、③恣意的で極端な行動様式が挙げられた。約2年後のCBCL-TRFの結果、いくつかの下位尺度で改善が認められた。 "不安抑うつ" 及び "社会性の問題" では大幅な改善が認められた一方で、 "ひきこもり" "思考の問題" では臨床域のままであった。本事例ではCBTの技法を4つの構造に分けて適用した。通常学級におけるCBT適用の有効性や、タイミングについて考察した。また、奈良教育大学で実施されている、認知行動療法に関する実践研究についての紹介を加えた。
著者
田渕 五十生 谷口 尚之 祐岡 武志
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
no.17, pp.289-297, 2008-03

本奈良県には「法隆寺地域の仏教建造物」、「古都奈良の文化財」、「紀伊山地の霊場と参詣道」の3つの世界遺産がある。これは日本では稀有なケースであり、世界遺産教育にとって、非常に恵まれた環境といえる。本稿は附属中学校の谷口と、法隆寺国際高校の祐岡による地域の世界遺産を教材化した実践報告である。それらの実践を通して「世界・地域遺産」教育という新しい概念を提起した。また、身近な地域の文化遺産、将来に残したい地域の自然景観などと結びつける学習過程を組むことによって、地域に世界遺産を持たない学校でも世界遺産教育が可能であることを論じた。
著者
豊田 弘司
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.7-10, 2010-03-31

本研究は、豊田(2008)と同じ質問紙を用い、小学1年生から中学2年生までの4,139名を対象にして、基本的生活習慣,社会的生活習慣,学習習慣及び情動知能という4つの要因間の関連性、およびこれらの要因に含まれる学習活動が学業成績に及ぼす影響を発達的に検討した。相関分析からは、学習習慣、社会的生活習慣および情動知能の間に関連性の強いことが示され、これらに共通する要因としての学習意欲の可能性が議論された。また、個々の学習活動と学業成績の相関分析では、理解への意欲がほとんどの学年において学業成績への影響が強いこと、および宿題の習慣が、どの学年においても一貫して学業成績を規定することが指摘された。この結果から、今後の課題として、理解への意欲を規定する動機づけ(内発的動機づけ、達成動機づけ)、及び宿題以外の学習機会を確保するための方法の検討が示唆された。