- 著者
-
高木 秀雄
柴田 賢
- 出版者
- 日本地質学会
- 雑誌
- 地質学論集 (ISSN:03858545)
- 巻号頁・発行日
- no.56, pp.1-12, 2000-03-15
- 参考文献数
- 101
- 被引用文献数
-
11
本論は, 古領家帯構成要素の対比に関連するこの数年の研究成果をまとめる.その対比を明らかにするためには, さらなる年代学的検討を必要とするが, 竜峰山変成岩や水越層は南部北上帯の古生界に, また肥後変成岩や朝地変成岩および随伴する花崗岩類については, 大島変成岩, 寄居変成岩, 阿武隈帯の竹貫変成岩やそれらに随伴する花崗岩類に対比可能である.このことは, 九州の肥後帯そのものが古領家帯であることを示唆している.古領家-黒瀬川地帯を復元するために, 走向移動運動に分配されたプレートの斜め収束ベクトルのデータと, 脆性-延性剪断帯の幅と変位量の関係から, 中央構造線の総変位量の見積もりを実施した.MTLの白亜紀半ば以降の総変位量は, 100〜200kmと見なされる.この見積もりと, 柴田・高木(1989)および大槻・永広(1992)の地体構造形成モデルに基づき, 白亜紀半ばの古領家-黒瀬川地帯の復元モデルを提唱する.