著者
山田 幹夫
出版者
日本理科教育学会
雑誌
日本理科教育学会全国大会要項
巻号頁・発行日
no.57, 2007

4年生の星学習を昼間、教室で実習をして体感理解、わかる星学習とします。科学の祭典などで親に連れられた幼稚園児から低学年児童にもでき、もちろん高学年の子供にも実施できます。大学生が新卒などで学校に新採用されるとその多くが4年生の担任に配属されます。そこで4年生の理科の星単元を自信を持って指導ができるためのものです。大学の教育学部の理科教育講座で実施【香川大学教育学部平成3年から11年まで】してきわめて効果が大きいことがわかりました。最近の事例:同志社女子大学:平成18年10月、四国学院大学:平成18年7月、で実施、もちろん中学生、高校生にも実施できます。(教員対象では科学教育研究協議会全国大会のナイター講座、埼玉大会以降10回ほど、また教育センター(香川県、福岡市)での研修講座で実施してきました。)
著者
荻原 庸平 小林 辰至
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.1-9, 2010-11-05
参考文献数
10

本研究は,小学校教員養成課程の学生を対象として,天文に関する体験や興味・関心が,天体の運行の理解に及ぼす影響を質問紙調査により検討することを目的とした。まず,天文に関する体験や興味・関心等を問う質問項目について因子分析を行うとともに,抽出された各因子の項目について体験の程度を得点化した。次に,天体の運行に関する理解の得点の上位群,下位群について平均値の差を検討した。その結果,以下のことが明らかとなった。(1)因子分析の結果,「天文に関する直接的体験」,「天文の授業に対する興味・関心」,「天文に関する間接的体験」,「立体的な絵を描く体験」の4因子を抽出した。(2)日没後に上弦の月が見える時の太陽と月の位置関係を問う問題の正答率は16.5%と低率である等,学生の天文に関する理解は極めて低かった。(3)天体の三次元的な位置関係の把握が必要な,月の満ち欠けに関する理解の平均得点は,因子「天文に関する直接的体験」と因子「天文の授業に対する興味・関心」において上位群が下位群よりも有意に高かった。(4)二次元的な動きに見える天体の日周運動に関する理解の平均得点は,因子「天文に関する直接的体験」及び因子「天文の授業に対する興味・関心」のいずれにおいても,上位群と下位群との間に有意差は認められなかった。
著者
堀 友里恵 松本 謙一
出版者
日本理科教育学会
雑誌
日本理科教育学会北陸支部大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, 2010-10-16

小学校第3学年理科「風やゴムの働き」で、単元「電車でGo!〜3つのパワーをつかって〜」の実践を行った。手・風・ゴムの3つの力を並行して扱い、決められた駅にちょうど紙コップを止めるゲームである。ここでの子どもの姿から、子どもたらはゲームに勝つことだけを考える中、意識しないながらも自然とエネルギー的な見方を育てることができることが分かった。
著者
川﨑 弘作 中山 貴司 松浦 拓也
出版者
日本理科教育学会
雑誌
日本理科教育学会理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.241-249, 2012-11

本研究では,振り子に関する子どもの認識を基盤とし,振り子の概念を獲得させるための学習指導法を考案することを目的とした。認識調査に基づき考案した学習指導法は,次の(1)〜(3)の3点に集約できる。(1)振り子の周期と「おもりの重さ」「振れ幅」「糸の長さ」の3条件との関係を,「速さ」と「移動距離」という視点から考えさせる,(2)振り子の始点と終点は同じ高さになることを提示する,(3)「おもりの重さ」によって「速さ」が変わらないことを提示する。そして,小学校第5学年の児童69名(実験群35名,統制群34名)を対象に,実験群には考案した学習指導法を,統制群には通常の学習指導を行った。振り子に関する概念調査を行った結果をもとに共分散分析を行ったところ,学習から2ヶ月後の概念調査時において実験群の方が統制群よりも得点が有意に上昇しているという結果を得た。以上のことから,本研究で考案した学習指導法は,獲得した概念の定着に有効であることが明らかになった。
著者
川上 昭吾 渡邉 康一郎
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1-14, 2010-03-03
参考文献数
57
被引用文献数
1

1985年から現在までのわが国における有意味受容学習の研究のまとめをおこなった。有意味受容学習はオーズベルによって提唱された先行オーガナイザ(Advance Organizer AO)を使う演繹的思考過程を重視する学習理論である。先行オーガナイザは,学習の始まりに使うものであり,それ以降の学習に見通しをもたせるような一般的で抽象的な概念である。私達研究グループは,図やモデルも先行オーガナイザとして使うことができることを明らかした。先行オーガナイザを使うポイントは,学習者に「わからないな。どうしてだろう」という疑問をもたせた状態にして(これを私達は「モヤモヤを作る」と呼んでいる)おくことである。本報告ではモヤモヤ作りと先行オーガナイザを「資料」として整理した。なお,「先行オーガナイザ」は研究上使っている言葉であり,授業では「ヒント」を主に使い,「これからの学習の核となる見方」という言い方もしている。同様に,有意味受容学習を今後は簡潔に「受容学習」として使っていきたい。受容学習の効果は,「学習者がわかる」こと,特に「理科を不得意とする子もよくわかる」こと,「発展学習をスムーズに導入することができる」こと,「わかるから,理科の授業が面白く感じる」ことなどである。受容学習は,発見学習に置き替わるものでない。受容学習も発見学習と同様,問題解決学習に含まれる。受容学習は演繹的な思考過程をとり,学習内容が抽象的な場合適している。その意味で,中学校では適した単元が多い。
著者
山谷 洋樹 鈴木 誠
出版者
日本理科教育学会
雑誌
日本理科教育学会理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.359-368, 2012-11

本研究は,男女や地域による生命観の違いを明らかにすることを目的とする。筆者らが開発及び改良した生命観測定尺度を用いて,小学校6年生,中学校2年生を対象に,生命観を構成する生物概念及び生命概念の各下位概念に含まれる項目平均値を下位尺度得点として求めた。その結果,次のことが明らかとなった。1 生命観には男女間で,両学年の「アニミズム」「命」の数値は女子の方が男子に比べて有意に高く,都市部に住む中学校2年生並びに農村部に住む両学年で女子の方が男子に比べて「命」の数値は有意に高くなるという差がみられた。また,中学校2年生では,女子の方が男子に比べて有意に高い得点を示す下位概念の数が多くなるという差がみられた。2 生命観には地域間で,都市部の方が農村部に比べて有意に高い得点を示した下位概念を含む上位概念は,小学校6年生では生命概念であり,中学校2年生では生物概念であるという差が見られた。両学年の男子では,都市部の方が農村部に比べて「機械論」の数値が有意に高いという差がみられ,地域を取り巻く環境の差が要因になっていると考えられる。
著者
田中 謙介
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.39-47, 2006-01-31
参考文献数
9
被引用文献数
2

観察・実験を重視し,体験的な学習を推進していくことが求められているなか,環境学習をはじめとして様々な化学種の定量分析をする機会が増している。微量分析には通常,高価な分析機器が必要となるが,教材として簡易比色計など自作装最も数々報告されている。今回は比色計よりも感度に優れる蛍光光度計を自作開発し,リボフラビン(ビタミンB_2),フルオレセインの濃度測定を行った。同一試料3回ずつの測定値は安定しており,2種の化合物ではいずれも良好な検量線が作成できた。以上の実験の後,本装置を用いた授業実践を行った。生物を選択する生徒16名を対象とし,一人一実験の形態でビタミン剤に含まれるリボフラビン含有量を測定させることを目的とした。授業の後,生徒の測定結果と質問紙調査から本装置の教材としての有効性を評価したが,(1)測定精度,(2)生徒の意欲・関心,(3)分析法への理解,(4)装置の操作性,いずれも良好な結果を得た。リボフラビンは栄養素としての位置づけから,理科のみならず家庭や保健においても重要な学習内容となっており,今回の教材には教科横断的活用が期待できる。