著者
村澤 和多里
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
no.94, pp.81-101, 2013-11

近年「ひきこもり」の多様性が指摘され、厚生労働省(2010)による「ガイドライン」ではさまざまな角度から状態を判断する「多軸評価」が提案されている。しかし、これまでも指摘されてきたように、ひきこもり状態に陥るまでの経歴に目を向けると多くの共通性が認められるという側面もある。本研究では若者自立支援施設を利用している「ひきこもり」経験者を対象に面接調査を行い、多様な背景をもつはずの彼らが類似した体験を経た挙句、「ひきこもり」という状態に陥っていくプロセスについて検討した。その結果、「いじめられ体験」「不登校」「就労の失敗」などがキャリア形成を阻害していることの他に、表面上はキャリア形成に影響がないように見える「透明な排除」のプロセスが浮かび上がった。More recently, the Japanese Ministry of Health, Labour and Welfare have suggested six specific criteria required to valuation Hikikomori. While the degree of the phenomenon varies on an individual basis, often the processes into Hikikomori are very simila論文Article
著者
安岡 譽 橋本 忠行
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 = Journal of the Society of Humanities (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
no.98, pp.83-113, 2015-10-01

2012年度のノーベル医学生理学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授らが開発したiPS細胞(人工多機能性幹細胞)の出現は,従来の人間の性や性愛の概念について根本的な再考を余儀なくされることを予測させた点で,私たちに大きな衝撃を与えている。そこで筆者らは,まずこれまでの人間の性と性愛について,精神医学と臨床心理学の立場からの理解のレビューを試みた。そのうえで次に,将来に予測される人間の性と性愛に関する概念に大きな変更を余儀なくされる可能性について検討した。そして,iPS細胞の技術の今後の発展がもたらすと予測される事態と課題は,1)同性配偶による子の誕生と「処女生殖」(単為生殖)の可能性,2)男性と女性という2性の概念そのものの変化の可能性,3)性の精神病理を新たな視点から理解することと,性的障害の診断と治療に関して慎重な判断と対応がせまられること,4)当面は,家族・家庭の再生と再建がより重要な課題となること,と考えられた。最後に,筆者らの現時点での人類の未来予測を述べ,若干の考察と私見についてふれた。
著者
深町 晋也 渡邊 卓也
出版者
札幌学院大学総合研究所
巻号頁・発行日
2018-02-20

開催:札幌学院大学総合研究所講演会 開催日:2017-11-25 会場:札幌学院大学3号館4階 第2会議室
著者
新田 雅子
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
no.93, pp.105-125, 2013-02

本稿は、ここ数年の「孤独死」をめぐる言説的飽和状況がかならずしもその現象特性を踏まえた対策につながっていないという問題意識を動機とする、実践のためのレビューである。「孤独死」は高度経済成長を経た1970年代の日本において「都市の孤独」あるいは「老人問題」として注目され始めた現象である。1990年代以降は貧困との結びつきが問題となる一方で、単身世帯の急増にともなって「人生の閉じ方の一様態」という捉え方も社会的に受容されつつあり、「孤独死」の意味合いはさらに多層化し、「孤立死」という用語も用いられるようになってきた。2000年代後半には社会的排除の結果としての孤独な死が相次いで報道され社会問題化するなか、「孤独死(孤立死)」対策が講じられてきた。現在の「孤独死(孤立死)」対策は、その概念の多義性や現象としての捉えにくさゆえに、コミュニティの活性化による「孤立」の予防に主眼が置かれている。しかしながら現に社会的孤立状態にある人びとが抱える「死に至るほどの困難」に対して、それは有効に作用しえない可能性を指摘した。This paper is a welfare sociological review of the discourse on "kodokushi " that means lonely death without anybody noticing and discovered several days later. The purpose is to examine the measures and strategies against kodokushi from critical point of論文
著者
早田 和弥
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学総合研究所紀要 = Proceedings of the Research institute of Sapporo Gakuin University (ISSN:21884897)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.31-40, 2015-03-31

統計的手法に拠り,標記短歌の音韻解析を行った結果を示す.解析対象は,本邦初の歌集である万葉集所収短歌(全4183首),並びに古今和歌集から始まり新続古今和歌集で完結した二十一代勅撰和歌集所収の短歌(全33692首)であり,延べ37875首に及ぶ.本研究の主たる目的は,先に提示された俳句に対する解析結果との比較を通して,短歌に固有な音韻規則の有無を明らかにすることにある.大規模統計解析に拠り,俳句と共通の音韻規則が短歌に対しても確認された.即ち,短歌一首を構成する任意の句尾間に於いて,同音回避現象が起こっていることが証明された.一方,句頭部の母音間では俳句とは異なる結果が得られた.俳句に於いては,句尾の場合とは対照的に,句頭音間には有意な連関は見出され無かったが,短歌に対しては句頭音の間にも同音回避が認められた.本解析結果は,俳諧の連歌に於ける禁制の一つである去り嫌い或いは嫌物,更には伝統的フランス詩法に於ける不調和音回避の法則を髣髴させる.
著者
早田 和弥
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学総合研究所紀要 = Proceedings of the Research Institute of Sapporo Gakuin University (ISSN:21884897)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.31-40, 2015-03

統計的手法に拠り,標記短歌の音韻解析を行った結果を示す.解析対象は,本邦初の歌集である万葉集所収短歌(全4183首),並びに古今和歌集から始まり新続古今和歌集で完結した二十一代勅撰和歌集所収の短歌(全33692首)であり,延べ37875首に及ぶ.本研究の主たる目的は,先に提示された俳句に対する解析結果との比較を通して,短歌に固有な音韻規則の有無を明らかにすることにある.大規模統計解析に拠り,俳句と共通の音韻規則が短歌に対しても確認された.即ち,短歌一首を構成する任意の句尾間に於いて,同音回避現象が起こっていることが証明された.一方,句頭部の母音間では俳句とは異なる結果が得られた.俳句に於いては,句尾の場合とは対照的に,句頭音間には有意な連関は見出され無かったが,短歌に対しては句頭音の間にも同音回避が認められた.本解析結果は,俳諧の連歌に於ける禁制の一つである去り嫌い或いは嫌物,更には伝統的フランス詩法に於ける不調和音回避の法則を髣髴させる.Phonological patterns of tankas in Collection of Ten Thousand Leaves (composed of 4183 poems)as well as in Collection of Ancient and Modern Japanese Poetry to New More Collection of Ancient and Modern Japanese Poetry (composed of 33692 poems) are analyzed statistically, where the sum of the poems amounts to 37875. The main purpose of this study is,in comparison with previous results on haikus, to explore the possibility of a phonological rule inherent in tankas. Indeed,a large-scale statistical analysis has demonstrated the rule in common with that of haikus. Namely,it has been verified that the phenomenon of avoided rhyming occurs between feet of any lines. For the initial vowels on lines,however,one has obtained the results different from those of haikus. Although for haikus there was no significant correlation among vowels on the beginnings of lines,for tankas the avoidance of the identical sounds has been seen even there as well. The present results might remind readers of sarikirai or kiraimono,both of which were imposed as a forbidden rule in rengas, as well as of the avoidance law of inharmonic sounds in the context of the traditional French poetry.言語学Linguistic
著者
久保田 義弘
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学経済論集 : Sapporo Gakuin University Review of Economics (ISSN:18848974)
巻号頁・発行日
no.7, pp.41-83, 2014-03-10

本稿(スコットランド王国の周辺国のノーザンブリア)では,5世紀から11世後半までのノーザンブリア研究ノート
著者
奥谷 浩一
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学総合研究所紀要 = Proceedings of the Research Institute of Sapporo Gakuin University (ISSN:21884897)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.59-69, 2015-03

丸山眞男の『日本政治思想史』は戦後の日本思想史研究の画期をなす業績のひとつである.しかし,その後の日本思想史研究の蓄積は,この著作の時代的制約とさまざまな問題点とを明らかにしつつある.丸山は,東アジアの思想圏全体を俯瞰することなく,儒教と朱子学を我が国の封建制社会の支柱となった思想体系とのみみなし,江戸時代初期に強固に確立されたこの思想体系が荻生徂徠などの思想のインパクトを受けて解体され,これと並行して近代的意識が形成されたと解釈する.こうした理解は,この時代の複雑で豊かな思想空間を単純な図式によって把握し,限られた射程の準拠枠によって評価するものである.本論文では丸山のこうした日本思想史論の問題点をアウトラインにおいて提示する.Masao Maruyama's Nihon Seiji Shisoshi Kenkyu ("Studies on the Intellectual History of Tokugawa Japan")is among the landmark studies that were published after Japan's defeat in World War II on the history of Japanese thought. However, an array of studies on the history of Japanese thought following the work of Maruyama have elucidated various problems in, and wartime constraints on, this work. Maruyama did not expand his vision to look at other East Asian thought,and he regarded Confucianism and a Neo-Confucian school called the Chu Hsi School as the system of thought that had become the mainstay of Japanese feudalism. According to Maruyama, the system of thought that was solidified in the early Edo era was later broken down under the influence of the thought of Sorai Ogyu and others concurrently with the formation of a modern consciousness. This grasp of the history of thought in the Edo era presents a simplistic picture of the complex thought and the varied thinkers of those days, and Maruyama's frame of reference is not large enough to evaluate the thought of the Edo era. This study outlines some of the issues in Maruyama's studies on the history of Japanese thought.教養教育Liberal Arts
著者
久保田 義弘
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学経済論集 (ISSN:18848974)
巻号頁・発行日
no.6, pp.1-24, 2013-10

本稿は,ローマ帝国がブリティン島から撤退した5世紀はじめから8世紀末のヴァイキングの襲来までのスコットランドにおいて,ピクト人の活動,ピクト人によって形成されたアルバ王国,ならびに,中世中期の中央集権的なアサル王朝の成立の一翼を担ったキリスト教についての一考察である。第1節では,6世紀から8世紀前半のピクト王国を,ブリィディ1世から7世紀初めのネフタン2世,次に,タロルガン1世とブリィディ3世によるノーザンブリア王国との連携から対立,そしてピクト王国の独立をブリィディ4世とネフタン4世兄弟の治世によって概観する。第2節では,オエンガス1世とコンスタンティン王,およびオエンガス2世の治世からピクト王国を概観する。論文Article
著者
久保田 義弘
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学経済論集 = Sapporo Gakuin University Review of Economics (ISSN:18848974)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-25, 2015-03-10

本稿では,9世紀から10世紀にかけてのスコットランドがピクト王国からアルバ王国への発展・移行したこと,ならびに,その同時期におけるその周辺国の事情を概観する。特に,ピクト王国が後世になって“Viking”と呼ばれている人々(民族)の侵攻に対峙し,その戦いの結果,スコットランドの統一王国であるアルバ王国が形成された。また,ヴァイキングとの戦いから,スコットランドと同時に,イングランドにおいては,ウェセックス王国がイングランド全体を治めるようになり,イングランド統一王国が形成された。さらに,周辺国の事情では,特に,ヴァイキングとアイルランド王(上王:high king)との敵対,あるいは,両者の共闘を通じて,ヴァイキングの果たした歴史的役割の一端を考察する。本稿は,3節から構成され,第1節では,ピクト王国からアルバ王国への移行期となる9世紀中旬から9世紀末までの時代を概観する。その時代は,スコットランド王のケニス1世からドナルド2世までの治世に対応する。第2節では,スコットランド王のコンスタンティン22世の治世とその周辺国の事情を概観する。同時に,特に,アイルランド王国の上王とヴァイキングの対立あるいは共闘についても概観する。第3節では,資料を通して,ピクト王国からアルバ王国に移行する時代は,コンスタンティン2世の治世に対応していることを概観し,併せて,それを検証する。
著者
久保田 義弘
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学経済論集 : Sapporo Gakuin University Review of Economics (ISSN:18848974)
巻号頁・発行日
no.7, pp.1-27, 2014-03-10

スコットランド王国とイングランド王国の同君連合王国が成立し,前者の国王ジェイムズ6世がイングランド王ジェイムズ1世として戴冠することにカトリック教徒は反発した。本稿では,彼の統治政策に対するカトリック教徒の陰謀計画を概観する。彼は,エリザベス1世(Elizabeth I)(在位1558年-1603年)の宗教政策を継承し,国家(国王)に対する教会の従属の立場を堅持しつつ,カトリック教会の組織形態を温存する政策をとった。1559年にエリザベス1世のもとでイングランド王国においてカトリック教が禁止され,イングランド国教を忌避するカトリック教徒には罰金刑や死に至る反逆罪が科された。カトリック教徒は,ヨーロッパ大陸に逃亡し,スペイン王国やフランス王国の神学校でカトリック教の教育を受けた。カトリック教徒の勢力が,分裂し,新しい宗教勢力に押しつぶされようとしていたときに,エリザベス1世が1603年3月に崩御した。ジェイムズ6世がイングランド王ジェイムズ1世としての戴冠式を挙行する1603年7月までの間に,カトリック教徒によってメイン陰謀(Main Plot)(1603年7月)とバイ陰謀(Bye Plot)(1603年6月)が計画された。これも国教会の礼拝に参加しないカトリック教徒に課されていた重い罰金刑に対する不満から生じ,カトリック教徒による国教忌避者に対し課される罰金刑の緩和・廃止を求め,国王ジェイムズ1世をアラベール・ステュワートと据え替えることが計画された。しかし,カトリック聖職者の密告によってその計画の実行は阻止された。イエズス会の聖職者が,治安と制裁の恐怖のために,当局に密告したと思われる。ジェイムズ国王は,彼自身がカトリックに改宗したという噂をかき消すために,カトリック教徒に対する罰金刑の適用を強化した。これに対しカトリック教徒の中には,1605年11月の議会招集に合わせて,ウェストミンスターの議事堂を爆破し,国王を議員共々爆死させることを計画する者がいた。その政治的目的は,イングランドにカトリック国王による支配を再現することであった。実際,ジェイムズ国王に替わってその娘のエリザベス王女(Elizabeth Stewart)(1596年生-1662年没)を国王に据えることが彼等の計画であった。この計画の中心人物は,首領のロバート・ケイツビー,トマス・ウィンター,ジョン・ライトならびにガイ・フォークスなどであった。この火薬爆発未遂陰謀計画(1605年11月5日)は,ジェイムズ国王による国教徒優遇政策に対するカトリック教徒の反発にすぎないという印象を拭いきれない。その少数のカトリック教徒の運動は,イングランドの庶民全体を巻き込んだ運動には展開しなかった。その陰謀計画は,ジェイムズ1世の宗教政策に対する反抗に過ぎなく,イングランド王国を一層主教制の国に傾かせることになったと理解される。論文
著者
碓井 和弘
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学経営論集 (ISSN:18841589)
巻号頁・発行日
no.5, pp.43-52, 2013-03

伝統ある商業教育機関のシンボルには翼や杖,蛇がしばしば使われている。嚆矢は一橋大学である。それは,ギリシア神話のヘルメス,あるいはローマ神話のメルクリウスにまつわるものであり,ヨーロッパで繁栄していたベルギーに存在する商業学校のものを移入したのであった。ヘルメスは,豊穣神であるとともに,商業,盗み,雄弁,競技,道路,旅人の守護神でもあり,その最大の特徴は,コミュニケーション能力の高さと狡猾さである。しかし狡猾である商業には,不信感が付きまとう。商業が社会に存立する根拠が問われるのは,その商業への不信感が背景にある。M.ホールの「取引総数最小化の原理」は,取引においては人が移動する,と前提すれば理にかなっているように見えるが,情報技術の革新は状況を一変させた。この情報技術の革新は,マーケティングにも影響を与えている。『コトラーのマーケティング3.0』は,「参加」「グローバル化のパラドックス」「クリエイティブ社会」の3つを,時代を読み解くキーワードとしている。このマーケティングの変化を学ぶことは,商業教育の象徴と現代性を追求することにも繋がると考えた。論文
著者
久保田 義弘
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学経済論集 (ISSN:18848974)
巻号頁・発行日
no.5, pp.1-20, 2013-03

15世紀末から16世紀前半のイングランド王国やフランス王国の対立する国際情勢の中で,スコットランド王国のアイデンティティを模索した国王ジェイムズ4は,イングランド王国の支配や征服を回避したが,徐々にイングランド王国との一体化政策に飲み込まれていった。本稿では,宗教改革前夜のスコットランド王国の歴史的出来事からそのことを検証する。イングランド王国によるスコットランド王国の征服・併合策謀は,エドワード1世(在位1272年-1307年)やエドワード3世(在位1327年-1377年)時代からすでに現れていたが,しかし,スコットランド王国のイングランド王国からの第1次独立戦争(1306年から1328年まで)や第2次独立戦争(1329年から1377年ごろまで)でのスコットランドの勝利によって回避された。その両イングランド国王は,スコットランド王国に臣従を迫り,スコットランドを直接的に支配しようとした。テューダ朝においては,ヘンリー7世の治世下での経済力伸展に基づいて,ヘンリー8世のフランス侵攻戦略と呼応させ,イングランド王国による一体化攻勢がスコットランドに向けられた。1603年のジェイムズ6世(在位1567年-1625年)による同君連合や1707年のイングランドとスコットランドの議会連合によるイングランド王国とスコットランド王国の併合・一体化に到る萌芽がすでにヘンリー8世の永久平和条約とジェイムズ4世とマーガレット・テューダの結婚(1503年)に始まっていたことを提示する。国際情勢下におけるスコットランド王国とウォーベック問題に対するジェイムズ4世の外交政策とその後のジェイムズ4世のイングランドとの対応とフロドゥンの戦いについて概観する。最後に,ジェイムズ5世の政治体制の特徴を概説する。論文
著者
小出 良幸
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
no.92, pp.1-23, 2012-10

付加体とは,海洋プレートが沈み込む海溝付近で形成される特異な地質体である。島弧−海溝系では堆積作用,火成作用,変成作用,付加作用が起こっているが,作用には固有の性質を持つ過程も多く,島弧の地質学的な特徴をもたらしている。なかでも付加体は,島弧−海溝系の解明に重要な役割を果たすだけでなく,島弧から大陸へと成長していく可能性もあり重要な鍵となると考えられている。付加体の地質学的に重要な位置づけを示し,その構成物の特性を概観した。論文
著者
邵 藍蘭
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学経営論集 (ISSN:18841589)
巻号頁・発行日
no.3, pp.43-57, 2011-03

論文
著者
杉山 吉弘
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 = Journal of the Society of Humanities (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
no.97, pp.25-42, 2015-02-01

本論の課題は古典ギリシャ以来のエコノミー概念の基本的な意味と用法を明らかにすることであり,したがってまたたとえばフーコーの言う権力の「エコノミー」とは何かを問うことでもある。まず最初に,ラローシュによる語源的研究を活用して古典ギリシャのオイコノミア概念の解明を試み,エコノミー概念の基礎的な成り立ちを明らかにした。その考察に依拠して,アリストテレスのオイコノミア,神のオイコノミア,自然のエコノミー,アニマル・エコノミー,モラル・エコノミーなど,エコノミー概念の系譜学における主要なテーマについてその概要を論述した。本論で明らかになったことは,エコノミー概念は共同体の「管理運営」または「統治」を基本的な意味としつつ,ある全体の統御,統御の術または学,(被)統御系という複合的な用法をもつということである。
著者
小出 良幸
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
no.96, pp.31-55, 2014-10

岩石の多様性を理解する上で、化学的多様性と形成年代、なかでも成因が重要である。岩石には、火成岩と変成岩、堆積岩の3つの成因がある。火成岩では固体が溶融し液体になり固化する、堆積岩では固体が離脱、移動し、再構成される、変成岩では固体が別の固体に再結晶する、というそれぞれの素過程がある。素過程ごとにいくつかの作用があり、作用ごとにいくつかの要因があり、それらにより多様性が形成されている。素過程における要因だけでなく、地球の冷却過程や表層環境の変遷など、長い時間スケールでの変化を反映した多様性もある。岩石の多様性の変化は、地球の不可逆な変化を記録している。地球初期にできた固体にはいくつかの由来の火成岩があり、もっとも根源的な成因の岩石となっている。火成岩は、岩石の多様性に大きな改変を起こす、弁証法的な発展過程をしている。The Factors of chemical variety, formation age, and the origin are important for making the rock diversity. There are the three origins of igneous, sedimentary, and metamorphic in rocks. In an elementary process of igneous rocks, solid (rock) turns into liquid (magma), and solidify (rock). In sedimentary rocks, solid (rock) breaks and moves as fragments, solute, reconstruct to rock. In metamorphic rocks, solid (rock) recrystallizes to rock. There are some functions for every elementary process, and some factors involving for every function. The functions and factors form the rock variety. The rock diversity reflected the change with long time scales, such as a cooling process of the Earth and modification of the surface environment of the Earth. Mode change of the rock diversity is recording an irreversible change of the Earth. The first solids in the early Earth were made from igneous rocks which formed by the different processes from magmatism. An igneous process is the principle of origin. The igneous process developing dialectical causes the large diversity of rock.論文Article