著者
佐藤 寛之
出版者
東京理科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

ユークリッド空間における制約つき最適化問題の実行可能領域がリーマン多様体をなす場合には,その問題をリーマン多様体上の無制約最適化問題と見なすことができる.本研究では,大規模な最適化問題に対する有効な手法として知られている非線形共役勾配法のうち,ユークリッド空間において比較的弱い条件下で大域的収束性が証明されている Dai-Yuan 型の方法をリーマン多様体上に拡張することで,リーマン多様体上の新たな最適化アルゴリズムを提案した.また,リーマン多様体上の信頼領域法に基づいて,複数の長方行列の同時特異値分解アルゴリズムを提案した.
著者
坂本 徳仁 後藤 玲子 宮城島 要 中田 里志 吉原 直毅
出版者
東京理科大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2020-10-27

本研究課題は、東京理科大学・一橋大学で定期的に開催してきた規範経済学研究会の日本側研究者チームと、英国ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのVoorhoeve教授らとの国際共同研究を推進し、①不確実性の文脈に応じた望ましい政策評価方法の構築、②異なる集団・自治体・国家間の福祉比較の方法の開発、③さまざまな評価の方法の理論整備と応用可能性の拡大、といった問題を分析する。本研究課題では、実務上恣意的に用いられてきた政策評価の方法を理論的に検証し改善を加えることで、「望ましい社会とは何か」という規範分析の最重要課題に科学的な回答を提供する点に特色と意義がある。
著者
下仲 基之
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

創傷治癒過程の制御は,細胞外マトリックスや血液中の有形成分および可溶性成分,そして線維芽細胞と血管構成細胞との間の多次元的な相互作用に加え,細胞間コミュニケーションツールとして最近注目を集めているエクソソームのタンパク質やmiRNAによるタンパク質発現制御などが極めて重要な役割を担っていると考えられる。本研究では,創傷治癒過程の制御におけるエクソソームの重要性を,線維芽細胞の3D培養系に血管内皮細胞の灌流培養系を組み合わせたex vivoの創傷治癒モデル系を用いて解明していく。
著者
北村 大介
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

自己免疫疾患や慢性アレルギーといった免疫病の原因である自己抗体やIgE抗体の産生機序は不明である。しかい近年、B細胞除去療法の結果より、記憶B細胞の断続的な活性化が長期抗体産生に関わっていること、また、記憶B細胞の抗原提示・エフェクター機能が病因として注目されている。本研究では、このような病原性記憶B細胞に焦点を当て、自己免疫疾患の病態における記憶B細胞の役割や作用機序、制御機構を明らかにし、病原性記憶B細胞を標的とした免疫制御方法を見出すことを目的とする。その成果は、自然抗体や制御性B細胞を損なうことのない、免疫病の新たな原因療法の創出に繋がると期待される。
著者
堀田 義太郎
出版者
東京理科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

差別概念の哲学的な分析論の主要な議論を検討した。①被差別者に与える害や不利益に注目する帰結主義的な立場としての不利益説、②差別者の動機や悪意に注目する悪意説、③帰結にも意図にも還元できない「意味」があるという意味説を検討した。現在の議論では不利益説が主流である。不利益説は差別がもたらす害悪の大きさに関する直観にも適合しており一定の説得力がある。本研究では、しかしこの立場では十分に差別の悪質さを分析することはできないことを明らかにし、意味説に一定の利点があることを確認した。差別の悪質さを評価するための規範的な根拠の解明が今後の課題である。
著者
吉岡 伸也
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

フォトニック結晶を利用した構造色を持つチョウやゾウムシを対象に、結晶の配向と光学特性の関係を調べた。特にチョウの一種(マエモンジャコウアゲハ)については、単一鱗粉内の特定の結晶ドメインにおいて詳しい研究を行った。その結果、直交偏光配置では、入射する偏光の方向と結晶方位との関係により反射の強度が大きく変化することを明らかにした。また、表面構造の観察から得られた結晶配向を仮定した理論計算を行い、多結晶に分かれたフォトニック結晶構造が直交偏光配置で観察される鱗片のステンドグラス状の模様を生み出していることを明らかにした。
著者
菅原 慎矢
出版者
東京理科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

制度開始から15年以上がすぎ、介護保険は様々な問題を孕みながらも進展を広げてきた。しかしその実態と効果に関しては、データの不足を背景として、十分な実証分析がなされてきたとは言いづらい。この状況に対して、2015年以降、国際的にみても珍しい規模のビッグデータである介護レセプトデータが、研究者に提供されることになった。本研究は、まずこのデータへの先進的なデータサイエンス手法の応用を通じ、エビデンスに基づく効果的な科学的介護を提案する。さらにこの知見を社会実装するための考察を行う。2019年度の研究内容としては、動学パネルモデルの一つであるPanel VARモデルを用いて、介護サービスへの支出と要介護度の動学的な関係を明らかにする研究を、大阪経済大学石原庸博氏と共同で行った。本研究については、東京経済大学におけるセミナー発表と、関西計量経済学研究会における発表を行った。本研究については英語論文を投稿準備中である。また、2018年に行っていた、この論文は介護レセプトを用いて介護保険サービスの組み合わ せの効果を検証した論文"What composes desirable formal at-home elder care? An analysis for multiple service combinations"が査読付き英文誌 Japanese Economic Reviewに受理された。また、最近の研究から得られた知見を日本語でまとめた論文「わが国における高齢者介護制度の課題と展望」を、季刊個人金融に掲載した。一方で、2020年度における研究のためにデータの申請を行い、介護DBに関して利用の許可を得た。
著者
仲吉 信人
出版者
東京理科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は次の二つの事項を達成する.1:地上気象ビッグデータ取得デバイスの開発,2:地上気象ビッグデータの数値気象モデルへの同化手法の構築,および計算精度の向上性の評価.それぞれについて今年度の実施状況は以下の通りである.1.地上気象ビッグデータ取得デバイスの開発:3つの球形温度センサを用いた気象3変数逆同定システムであるグローブ風葬放射センサを従来の直径12 mmから4 mmまでダウンサイズすることに成功した.また,同定する3気象変数として,風速・日射・輻射熱の組み合わせから風速・日射・気温の組み合わせを逆同定するシステムを新たに構築した(Globe Radio-anemo Thermometer; GRaT).GRaTとすることで,正確な気温測定に必要であった強制通風筒が必要なくなるため,システム全体の低消費電力化,さらなる小型化が可能となった.GRaTに関して特許の出願を行った.加えて,PM2.5を測定する簡易・小型測定デバイスを開発した.2.地上気象ビッグデータの数値気象モデルへの同化手法の構築:地上気象ビッグデータの気象シミュレーションへのデータ同化インパクトを評価するため,オープン気象モデルWRFの3Dvarを用いたデータ同化数値実験を行った.夏の晴天日を対象としたシミューレーションにより地上気象データの同化が上空の気象解析値を有意に修正させることが確認された.一方で,精度の向上は確認されておらず,2020年度は4dvarを用いた同化数値実験を行う.上記に加え,上空風速の簡易・安価な測定原理であるCIV(Cloud Image Velocimetry)の開発,および羽田・成田空港を離発着する航空機から排出される排熱・排ガスのメソ気象用データベースの構築を行なった.
著者
吉田 映子
出版者
東京理科大学
雑誌
理学専攻科雑誌 (ISSN:02864487)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.85-90, 2002-10-01