著者
北村 拓也
出版者
滋賀大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

本研究の成果として「読解マップ」をいう新しいシンキングツールを開発し,それを授業に取り入れた。具体的には,文学的文章「走れメロス」の中で,「メロスは勇者か」に結びつく情報を読み取り,自分の解釈をまとめる場面で,また説明的文章「壁に残された伝言」で,「被爆の伝言は遺産である」と主張する筆者の根拠を読み取る場面で使用した。「読解マップ」とは,イメージマップをベースにしたシンキングツールで,文と文とのつながりと自分の意見をマッピングさせ,可視化できるように開発したものである。「読解マップ」について,生徒のアンケートによると「使いやすかった」「まとめやすかった」「見やすく整理できた」「つながりが意識できた」「後の自分の意見が書きやすかった」と97%の生徒がよい評価をしていた。また,授業を進める中で,読む目的や課題のステップがツールにも記入されているため,意識して読み進めることができ,課題に取り組むことができていたように感じる。何より「書く」という活動が増えるため,記憶に残る情報も多いのも良い点である。さらに,国語が苦手な生徒も,書ける情報は少ないものの,学習に参加をすることができており,この点もシンキングツールを国語の授業に取り入れる大きな利点であると感じた。「的確に読む」という点においても大きな成果が見られた。書きだすことにより気が付ける言葉があったり,可視化することにより読み落としに気が付いたりすることができ,広い情報の中から解釈をすることができていた。「走れメロス」の学習の中でも最初の解釈と最後の解釈で変容が見られたのも,より多くの情報の中から自分なりの解釈ができたからだと感じる。本研究を通じて,抽象的な思考が多い国語の中で,シンキングツールを使い,具体的に思考し,的確に読むことの重要性を改めて感じた。
著者
横山 和正
出版者
滋賀大学
雑誌
滋賀大学環境総合研究センター研究年報 (ISSN:13491881)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.9-19, 2006-03

A student program to identify the acorns in the University campus was created.It consists of:1. World and Japanese distrbution maps of beech and oaks.2. Practical keys to genera and species of Fagaceae to identigy Japanese oaks.3. Cholor photographs of acorns and leaves of oak trees in the campus. Students easily identified the acorns in the campus by this program, and this program seems to be helpful to understand taxonomy of Fagaceae and relatioship between oaks and human beings. Giant tree worship prevailed among the natives around the University, were investigated to understand Japanese characteristics to nature.
著者
堀越 昌子 大森 久和
出版者
滋賀大学
雑誌
滋賀大学教育学部紀要. 自然科学 (ISSN:04886291)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.94-101, 1980

Tar dyes were determined quantitatively in ice candies by double-wavelength spectraphotometry. Tar dyes were detected in 80% of colored ice candies, The meanvalue of the concentrations of tar dyes in ice candies was 7.78±6.40ppm. Tartrazine(Y4) was used most extensively and detected in 77% of ice candies which contained tar dyes. Brilliant blue FCF(B1) was detected in 43% of them. The mean value of the concentration of tartrazine was 7.21ppm and that of brilliant blue FCF was 0.76ppm. Ice candies which contained a single dye were 37%. The most ice candies contained plural species of dyes. The ratio of the mixture of dyes was determined by double-wavelength spectrophotometry. When there were many samples which contained a mixture of dyes and their specific absorption peaks different with one other, the double-wavelength spectrophotometric method was very useful.
著者
福浦 厚子
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

喜捨や慈善という社会に深く関わる行為を、モースの互酬性の概念を一つの手掛かりとして検討した。シンガポールの喜捨と慈善の特徴の一つは、近隣諸国からも関心が寄せられるほど活発な点である。その仕組みと社会における機能を明らかにした。またもう一つの特徴として2004年にシンガポール全国腎臓基金で起こった慈善に関わる一連の出来事と、慈善に対する市民からの理解おけるパラダイムシフトを取り上げ、合わせて検討した。
著者
中野 桂 和田 喜彦
出版者
滋賀大学
雑誌
滋賀大学環境総合研究センター研究年報 (ISSN:13491881)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.11-22, 2007-03
被引用文献数
1

The Ecological Footprint (EF) was co-developed by William E. Rees and Mathis Wackernagel at the Universityof British Columbia, Canada, in the early 1990s. In recent years, Ecological Footprint analysis has been widelyrecognized and applied in many parts of the world. In this paper, we first discuss the meaning andcontribution of EF analysis in terms of fostering the sustainability of human enterprise. We then review therecent development of EF calculation methods, with a focus on the use of the input-output matrix in EFestimation. We provide an interpretation of global hectarage with a simple numerical example. Thirdly, weattempt to calculate the EF of Shiga Prefecture, Japan, through input-output analysis. In the latter part of thispaper, we explore possible improvements in calculation methods which could reflect whether the use ofresources is sustainable or not. For example, we contemplate ways of taking into account the destructive userate (DUR), the natural capital depletion rate (NCDR) and prolonged impact management (PIM) costs.
著者
安谷 元伸
出版者
滋賀大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2016

本研究では、抽象的な概念である思考を具体化し整理することで深い学びを促す教材の開発を目指した。特に、生徒たちの思考という行為を学習を通して段階的に深められるものとして捉え、思考ツールなどによって段階的な思考を可視化ができる可能性に着目した。そして、段階的に階層化された思考を具体的に表現する一連の活動を学習の中で継続していくことで、学びを深めていく「ディープラーニング」を充実させることができると考え、その実現のための学習展開及び、学習教材の開発と研究に取り組んだ。既に、先行研究において意見や学習の成果を「思考ツール」によって可視化する事業実践を進めてきた。そこで、これまで活用していたイメージマップ、分解の木、ステップチャート、プラスマイナスシート、ピラミッドストラクチャーなどの「思考ツール」の機能を再検討して、利用する場面を模索した。また、利用する際には、得られた情報や結果の重みや順位、有用性の度合いの判断等の意識づけを通して階層化を明確にする授業展開を進め、階層的思考を可視化する手法と活動を定着させた。研究を進める過程で「ディープラーニング」と「深い学び」の概念を整理して明示することができた。また、継続的に階層化した思考の可視化に取り組むことで、生徒が思考に対する意味の理解をメタ認知的に把握する姿勢が見られるようになった。そして、思考の拡散、細分化、分類に取り組めるようになったことで、得られた成果を活用する姿勢も生徒に意識づけることができた。結果、生徒間で意見交流の活発化が見られた。これら教材活用の方略や実践の内容等の研究成果は、複数の学会で発表することで貴重な見識を賜る機会を得た。それらをまとめた成果や課題は研究紀要等で報告を行った。また、校内の研究会の機会を活用して教員間で情報共有を進め、次年度以降の様々な実践における素地として活用されるよう成果物のデータ化を進めた。
著者
松原 伸一
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は,学習者の自己教育力を高めるための自己意識形成を支援するシステムの開発に関するものである。本研究の成果は,【encircled 1】授業展開の学習モデルの提案とその支援システムに関するもの,【encircled 2】自己教育力を高めるための分析視点の育成に特化した二値応答接近法の開発に関するもの,【encircled 3】自己教育力を高めるための状況下における質問とその応答に関するものに大別される。【encircled 1】は主に初年度に行われたもので,抽象的で曖昧な自己の持つ意識・概念を分かりやすく表現し,思考活動を活性化させることにより,問題を自ら意識させ,反省を促して,行動変容を自然な形で起こさせるようなソフトな学習(変容)モデルを前提としている。このような視点に立ち授業展開の学習モデル構築のための支援システムとしてハイパーテキストファイル生成システム(HTFGS)を開発した。【encircled 2】は第2年度において開発されたもので,学習環境および支援環境を検討し学習者の思考活動をさらに支援することを目的に,連想の考え方を取り入れ分析的視点の育成に特化した手法であり,これを二値応答接近法(BRAM:Binary Response Approaching Method)と名づけた。この方法は,ある刺激語を学習者に与えて連想させることにより,表出された語(連想語)を対象として,それらを分析するための思考活動を支援する方法である。第3年度においては,本手法を充実させる上で分析手法の拡張・充実が急務であったので,これを整理し分析手法を開発した。ここで開発された二値応答接近法の分析体系は,項目分析,関連分析,応答パターン分析(列パターン分析,行パターン分析,マトリックスパターン分析,2次元ソート分析,応答距離分析)および理由分析である。【encircled 3】については,第3年度に成果を得たもので,情報教育または情報技術教育において学習者が発する質問を状況設定の条件のもとに,被験者による応答実験を行ったものである。
著者
横内 淳史
出版者
滋賀大学
巻号頁・発行日
2021-03-26
著者
藤村 祐子 佐藤 仁 朝倉 雅史 岩田 昌太郎 川口 広美
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

日本では,教員の養成・採用・研修を連続体と捉えた上での「教員が学び続けることので きる環境整備」が提案され,専門職基準の策定とそれに基づく教員制度の全国的整備が進められている。米国ではすでに,教師教育のあらゆる場で専門職基準が活用され,専門職基準の制度化が進められてきた。専門職基準は,他律的活用と自律的活用の双方が想定されるが,米国では,その双方で機能している可能性がある一方,日本では,他律的活用が強調され,自律的な「能力参照枠」としての専門 職基準の活用は十分に検討されていない。本研究では,自律的・他律的な「能力参照枠」としての専門職基準の「内面化」の方略を提案することを目的とする。