著者
山本 照子
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.213-228, 2016-12-31 (Released:2017-01-25)
参考文献数
126
被引用文献数
1

近年,関節リューマチや歯周病で見られる炎症性骨破壊において,病的な状態での骨代謝に影響を及ぼす免疫系の関与が注目されている。歯周病は細菌による自然免疫応答についで獲得免疫応答が誘導されて,急性炎症から慢性炎症に至り,歯槽骨破壊がもたらされるという,免疫応答の結果として惹起される。骨代謝と免疫系は,骨髄の微小環境ならびに多くの制御因子を共有し,相互制御が行われている。矯正的歯の移動においても,免疫応答で誘導される様々な炎症性サイトカインが発現し,これらは歯の移動に必須な歯槽骨吸収に関与している。矯正的歯の移動における骨吸収には,骨表層にある破骨細胞と骨芽細胞のみならず,骨中に埋め込まれて互いに細胞性ネットワークを形成している骨細胞が,メカニカルストレスに著しく応答して細胞間コミュニケーションをはかり,破骨細胞形成における司令塔的な役割を果たすことがわかってきた。歯の移動の圧迫側歯槽骨では,骨細胞が骨免疫因子とも言えるosteopontin(Opn)や結合組織成長因子(connective tissue growth factor,CTGF/CCN2)を産生し,その結果,免疫系因子と骨系細胞による破骨細胞形成のメカニズムが働き,活発な骨吸収が生じる。本稿ではメカニカルストレスによる矯正的歯の移動の分子メカニズムについて我々の知見を紹介し,免疫細胞を支持する骨髄環境の制御における骨細胞の新たな役割について述べる。
著者
大墨 竜也 竹中 彰治 坂上 雄樹 若松 里佳 寺尾 豊 大島 勇人 興地 隆史
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.291-301, 2014

本研究では,リステリン<sup>®</sup>の刺激性や使用感の改善を意図して開発された新規アルコール非含有洗口液<sup>®</sup>ナチュラルケア;N 群)の <i>Streptococcus mutans</i> 人工バイオフィルムに対する浸透性と殺菌能を既存洗口液[Listerine<sup>® </sup>Zero(Z 群),リステリン<sup>®</sup>フレッシュミント(F 群)および 0.12%グルコン酸クロルヘキシジン含有洗口液(CHG 群)]との比較により評価した。人工バイオフィルムはガラスベースディッシュ上で 24 時間嫌気培養することにより作製した。洗口液の浸透性は calcein-AM で染色したバイオフィルムの底面の蛍光消失を共焦点レーザー顕微鏡で経時的に解析することにより評価した。殺菌能は 30 秒作用後の生菌数測定およびバイオフィルム底面の Live/Dead 染色像により評価した。その結果,各洗口液とも 50%蛍光消失時間はバイオフィルムの厚みと正の相関を示し,N 群の浸透速度はZおよびF群と同等かつ CHG 群より有意に高値であった。 生菌数はN,ZおよびF群は同等で共に CHG 群より有意に低値であった。また, Live/Dead 染色像はN,ZおよびF群とも 99%以上が propidium iodide (PI)陽性細菌であり陽性率は CHG 群より有意に高かった。以上の結果から,N 群の浸透性と殺菌能は,Z 群および F 群と同等かつ CHG 群より有意に優れていることが示された。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(3):291-301,2014
著者
齋藤 淳
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.155-159, 2016-09-30 (Released:2016-11-03)
参考文献数
11

この度,香港における歯周病専門医認定試験に外部評価者として参加する機会を得たので,歯周病専門医の育成システムと認定試験の実際について報告する。
著者
小鷲 悠典 沢辺 正樹 木下 四郎
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.511-515, 1976-12-28 (Released:2010-07-16)
参考文献数
12

This investigation was carried out to determine whether two water pressure irrigating devices (Porta dent and Water pik) were effective in removing dental plaque in facial crevicular and interproximal areas in man and to compare the effects on the plaque removing ability of these two irrigating devices, rinse and toothbrushing (Roll method).Nine adults who had normal dentition, few dental restorations and clinically healthy periodontal tissue were served as the subjects of this study. They were cleansed all the tooth surfaces and made plaque score O. They were forbidden to use toothbrushes and other oral hygiene aids for 24 hours. After the plaque scores before cleansing were evaluated, they practised the given cleansing method for five minutes and the plaque scores after cleansing were evaluated.They took part in four cycles of this experimental process.The averages of the percentage of plaque removal on all the tooth surfaces were as follows:(I) facial----1) 11.7% Porta dent, 2) 10.7% Water pik, 3) 3.3% rinse and 4) 72.7% toothbrushing.(II) facial proximal----1) 9.3% Porta dent, 2) 18.1% Water pik, 3) 5.4% rinse and 4) 22.3% toothbrushing.The results of an analysis of varience showed statistically significant difference at five percent level between Porta dent and rinse in facial area, between Water pik and Porta dent in facial proximal area, and between Water pik and rinse in facial proximal area.In facial area, the plaque removal effect of toothbrushing was more striking than any other methods.
著者
川本 亜紀 岩野 義弘 本橋 碧 清水 千津子 坂井 雅子 菅野 直之 伊藤 公一
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.349-356, 2014-03-28 (Released:2014-04-10)
参考文献数
23

歯周疾患に影響を与える修飾要因の 1 つに女性ホルモンの影響が考えられる。排卵日や妊娠中の女性ホルモンの増加に伴い,特定の歯周病原菌が増殖し,また宿主の免疫応答が変化すると言われている。今回,広汎型侵襲性歯周炎患者に対し,月経周期,妊娠期,産後期を考慮して行った歯周治療の 1 症例を報告する。患者は 27 歳の女性で,前医での歯周治療後 1 週間経過しても歯肉からの出血が止まらず心配となり当歯科病院を受診した。全身的既往歴,出血傾向に問題はなかった。28 歯中 4 mm 以上の歯周ポケットの割合は 15.5% で,そのうち 27,31,32,33,37,44,47 には 6 mm 以上の歯周ポケットが認められた。初診時(排卵日)は PCR 50.0%,BOP 70.8% で,来院2回目(卵胞期)は PCR 50.0%,BOP 27.8% であった。月経周期において,女性ホルモンの分泌が少ない時期に歯周基本治療を行い,SPT 移行時(排卵日)には 4 mm 以上の歯周ポケット 0.6%,PCR 26.7%,BOP 5.4% に改善した。妊娠時および出産後の排卵日においても歯肉の状態は良好であった。本症例より,妊娠中は歯周病再発の危険性が高いためセルフケアの徹底が重要であること,また産後は患者の生活環境に合わせた口腔衛生管理が必要であることが示された。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)55(4):349-356,2013
著者
横須賀 直美 田中 敏之 胡谷 佳津志 岩井 達明
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.960-969, 1989-09-28 (Released:2010-11-29)
参考文献数
30
被引用文献数
6 6

ラシ (通常歯ブラシ) を対照とした細菌学的汚染について検討した。対象10名を用い, 1, 8, 20日間, 両歯ブラシを交互に計6期間使用させ, 保管条件を一定 (20℃, 65%) とした。試験終了後, 再び保管環境下で乾燥を行い, 0~24時間で毛束を抜毛し, 上下に切断後'付着菌を計測した。その結果, 1) 抗菌コート歯ブラシと通常歯ブラシ毛東上部では, 乾燥時間の経過とともに付着菌が減少した。2) 通常歯ブラシの毛束下部では使用期間が長くなるにつれて, 乾燥時間ごとの付着菌数が明らかに増大した。3) 付着菌種は, 短期使用においてグラム陽性菌が多く、長期では陰性桿菌が検出された。4) 抗菌活性は, 毛束下部では20日間使用後も残存し, 抗菌コート歯ブラシの細菌汚染への有効性が認められた。
著者
角田 正健 佐藤 春海 大串 勉
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.490-498, 1981-09-28 (Released:2010-07-16)
参考文献数
21
被引用文献数
9 18

The purpose of this study was to clarify the effect of sodium copper chlorophyllin (Chn.) for halitosis.Volatile sulphur compounds (V. S. C) produced during the incubation of whole saliva were analyzed by gas chromatograph. The changing of leucocytes and epithelial cells in incubated whols saliva were observed using microscope. The effect of anti-bacteria against oral anaerobic bacteria was also observed.The following conclusions were obtained as the result of judging the halitosis control effect of Chn. by its experimental use of the saliva of periodontal patients having halitosis1. By adding and incubating 100mg, 50mg, 10mg and 5mg Chn. respectively into 1ml saliva, V. S. C. were not detected. However, when sampled at 1mg addition under the condition of incubate 36 and 48 hours, a small amount of V. S. C. was detected.2. The destruction speed of cellular components by incubate, in comparision with a controlled group, was not effected by addition of Chn.3. By microscopic observation, cell attachment on obsorption of Chn. were found which suggested its combination with protein.4. Almost any effect of anti-bacteria or bacteria growth prevention against oral anaerobic bacteria of Chn. was not observed.
著者
鴨井 久一 宮田 裕之 扇 正一 清水 智幸 小出 和良 中島 茂 小島 武志 西澤 聡 東堤 稔 坂本 雅子 土屋 利政 波多江 新平
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.660-666, 1990-06-28 (Released:2011-06-15)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

歯周病原菌といわれる7菌種 (Bacteroides gingivalis, Bacteroides intermedius, Bacteroides melaninogenicus, Fusobacterium nucleatum, Actinobacillus actinomycetemcomitans, Capnocytophaga ochraceae, Eikenella corrodens) 及び対照として2菌種 (Streptococcus intermedius, Pseudomonas aeruginosa) に対して, ポビドンヨード液 (10% PVP-1) を用いて, その殺菌効果をin vitroで検討した。希釈倍率は原液及び100倍, 400倍, 800倍, 1, 600倍, 3, 200倍, 6, 400倍, 12, 800倍までを設定し, PVP-I接触時間は15秒, 30秒, 60秒とした。その結果, 歯周病原菌7菌種, 対照2菌種に対するPVP-Iの殺菌効果は, 400倍希釈, 15秒 (最少接触時間) で殺菌効果が認められた。このことは, 口腔粘膜の殺菌及び歯周ポケット内へのPVP-I薬液投与の有効性を示唆するものである。
著者
尾形 美和 白井 要 古市 保志
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.47-56, 2019-03-29 (Released:2019-03-28)
参考文献数
9

歯科処置の中でも歯周治療は治療頻度が高い処置であるが,観血処置であることからも菌血症を引起す可能性がある。本症例は,人工弁置換術の全身既往がある患者に対し,感染性心内膜炎予防に配慮し非外科的に歯周治療を行いSPTに移行した一症例である。患者は67歳男性で,下顎前歯の動揺を主訴に来院した。歯科既往歴が僅少であることで,歯科恐怖症を抱え,脳梗塞の既往から右半身麻痺であった。さらに多数の全身性疾患を有しており,付随し服用薬剤も多種であったことから,内科との連携を密に歯周治療を行うこととした。患者には,心臓弁置換術の既往があると菌血症によって感染性心内膜炎を併発するリスクが高く,歯周病がその動因になり得ることを説明した。その上で患者自身の口腔環境が,実際に菌血症を引起こしやすい状態であること,またブラッシングの重要性を説明し歯周治療の必要性を訴え歯周治療参加への同意を得た。結果,主訴である下顎前歯(41歯)は抜歯処置となったものの,歯周基本治療後の再評価時にはPCR値17.2%となった。また下顎前歯部に対し,当初の治療計画では補綴処置を行う予定であったが,歯周組織状態が安定していることからMTMを行い,歯列不正を正すことでブラッシングを行いやすい歯周環境を構築することとした。延いてはPCR値20%以下を維持しSPTに移行した。SPT中もブラッシングに対し高いモチベーションを保持していたため,全身疾患も悪化することなく経過した。感染性心内膜炎の発症を予防するためにも口腔衛生管理の徹底は不可欠である。
著者
高橋 佳奈 藤本 梓 藤本 淳
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.192-200, 2018

<p>広汎型重度慢性歯周炎患者を歯周基本治療にて治療した一症例について報告する。</p><p>患者は42歳女性。3ヶ月前から歯肉の発赤,腫脹が著しく出血が多くなったため前医を受診,当院を紹介され来院した。臨床所見は全顎的に歯肉の発赤,腫脹を認めた。特に上顎左側部には炎症性歯肉増殖がみられた。プロービング時の出血(BOP):31.9%,プロービングポケットデプス(PPD):4 mm以上52.1%,O'Leryのプラークコントロールレコード(PCR)50%。エックス線所見では下顎前歯部および臼歯部の一部に垂直性骨吸収を認めた。</p><p>検査結果の説明と口腔清掃指導を繰り返し行い,スケーリング・ルートプレーニングを行った。患者のモチベーション向上の一環として,長期経過や生活背景を患者とともに確認し,口腔内の状態について患者自身の理解の向上を図った。歯周基本治療が進行するとともに口腔清掃状態が向上し,歯肉の腫脹が消退した。再評価時にデンタルエックス線写真上で歯槽骨の改善を観察したため,歯周外科治療は行わず,口腔機能回復治療を行った。2015年9月サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)へ移行した。</p>
著者
稲垣 幸司 内藤 徹 石原 裕一 金子 高士 中山 洋平 山本 龍生 吉成 伸夫 森田 学 栗原 英見
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.201-219, 2018-12-28 (Released:2018-12-28)
参考文献数
50
被引用文献数
1

日本歯周病学会では2006年に定めた歯周病分類システムの中で,「喫煙は歯周病の最大の環境リスクファクターである」という認識に基づき,リスクファクターによる歯周炎の分類の1つとして喫煙関連歯周炎を提示した。喫煙が関連する歯周炎に対する歯周治療において,患者の喫煙状況の確認,喫煙者への喫煙の健康障害についての情報提供による禁煙支援は,歯周治療の反応や予後を良好に維持するため,重要である。本論文では,喫煙に関連する国情,喫煙者の動向,禁煙支援教育の現状,歯科における禁煙支援の効果に関するエビデンスおよび歯周治療における禁煙支援の手順を概説する。
著者
藤友 崇 森本 佳伸 大井 潤 澤井 典子 石田 幸子 松原 善 一圓 剛 皆川 直人 鴨井 久博 田中 司朗 鴨井 久一
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.70-86, 2018-06-29 (Released:2018-06-29)
参考文献数
24

歯周病のリスク評価ができる自己申告アンケートは,歯周病の早期発見や疫学研究において有効な手段となるが,これまでに統計的,臨床的な妥当性を評価された日本人向けの歯周病リスク評価アンケートが開発された事例はない。本研究では,歯周病のリスクを評価できる日本語版自己申告アンケートを開発することを目的とした。歯周病患者50名と非歯周病患者51名に,歯周病で観察される症状の有無をアンケート形式で回答させた。アンケート回答に対して,多重ロジスティック回帰分析を実施し,歯周病を予測できるアンケート項目を抽出し,アンケートの質問項目の信頼性を確認した。また,ROC曲線解析を実施し,抽出されたアンケート項目による歯周病のリスク予測の精度を検討した。結果,50人の歯周病患者および50人の非歯周病患者を解析対象とした。多重ロジスティック回帰分析と歯周病の臨床的観点から,年齢,歯肉の腫れ,歯の動揺,プラークと歯石,口臭および掻痒感の6つのアンケート項目が自己申告によって歯周病のリスクを予測できる項目であることが分かった。また,ROC曲線解析によりAUCが0.90であった。本研究より,我々は,6つの自己申告アンケートで歯周病のリスクを判定できる日本人向けの歯周病セルフチェックアンケートを開発し,その信頼性,内部整合性及び精度を,40歳から83歳の大学病院歯科を受診した人を対象に検証した。
著者
佐々木 庸子 荒木 正大 目澤 優 Zhitao Wang 金子 博寿 小方 頼昌
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.176-184, 2008 (Released:2008-11-17)
参考文献数
39

低出力レーザーに細胞や組織の修復促進効果があることが知られている。CO2レーザーは, 治療用レーザーと言うよりもむしろ外科用レーザーであるが, 低エネルギー密度で照射することにより, 何らかの生物学的効果が得られると考えられる。骨シアロタンパク質(BSP)は, アパタイト結晶形成能を有し, 石灰化結合組織特異的に発現する非コラーゲン性タンパク質である。本研究では, 低出力のCO2レーザー照射がBSPの転写に与える影響を, 骨芽細胞様細胞であるUMR106細胞を使用して検索した。UMR106細胞をCO2レーザー(3 W, 20sec)で刺激すると, 12時間後にBSP mRNA量の増加が認められた。ラットBSP遺伝子プロモーター配列を挿入したルシフェラーゼコンストラクトを使用したルシフェラーゼアッセイの結果, 同エネルギーのCO2レーザー刺激により, 12時間後にpLUC4(-425∼+60)の転写活性が増加した。CO2レーザー照射による, pLUC4ルシフェラーゼコンストラクトの転写の上昇は, FGF2応答配列とHOX配列に2塩基対の変異を導入すると抑制された。ゲルシフトアッセイの結果, CO2レーザー照射後に経時的に抽出した核内タンパク質と, 逆方向のCCAAT配列との結合に変化は認められなかったが, 3'-FREとHOX配列と核内タンパク質との結合は, 経時的に減少した。以上の結果から, CO2レーザー照射による骨芽細胞でのBSPの転写調節は, ラットBSPプロモーターに存在するFREとHOX配列を介すると考えられた。