著者
山下 仁 形井 秀一 石崎 直人 江川 雅人 楳田 高士 宮本 俊和 小松 秀人
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.57-67, 2006-02-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
34

2004年度に引き続き、鍼の安全管理に関連する情報のレビューを行った。2005年度に取り上げたテーマは次のとおりである : 1. 刺鍼時の安全性2. 鍼の品質と強度3. 用具の滅菌と保管4. 周辺器具の衛生と扱い方5. 行政側から発行された指導要領・通達6. 衛生管理面に関する届出基準と鍼廃棄システムこの作業で示された安全性に関する情報が、今後の学校教育、日常臨床、マニュアル作成、および研究に反映されることが望ましい。
著者
篠原 昭二 福田 文彦 小川 卓良 山下 仁
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.98-113, 2012 (Released:2012-08-06)
参考文献数
14

本シンポジウムは、 この度の学術大会で行われる東京宣言採択に向けて、 企画されたものである。 従って、 宣言書の起草案の骨子となる(1)日本鍼灸の歴史(2)現状分析(3)将来と課題について、 起草案を作成した東京宣言起草委員会の委員の代表にシンポジストをお願いした。 (1)の日本鍼灸の歴史については、 本シンポジウムの前に行われる教育講演を受けて、 特に日本の鍼灸発展に関して重要な事項を簡潔に説明いただいた。 (2)の現状分析については、 研究面と臨床面とに分け、 お二人の先生に解説いただいた。 (3)の将来と課題は、 歴史と現状分析を受けて、 現状の問題点を明らかにした上で、 今後如何に日本の鍼灸を発展させていくかを提案していただいた。 鍼灸医療に携わる諸兄にとっては、 現在の鍼灸の臨床、 研究並びに教育、 研修について少なからず課題をお持ちであると思料するところであるが、 個々の問題点は議論しても系統的且つ総括的に話し合う場は、 今までにはなかったかもしれない。 そこで、 このシンポジウムでは、 多くの方々から意見を頂戴した結果として、 歴史的事実や現状分析から課題となる問題点をできる限り抽出したものを報告した。 そして、 日本の鍼灸が将来、 今以上に広く汎用される療法となるためのひとつの方策を中心に検討し、 シンポジウムの結論とした。
著者
形井 秀一
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.242-255, 2015 (Released:2017-01-19)
参考文献数
26
著者
久住 武 久住 真理 羽賀 隆之 渡辺 尚彦 三辺 武幸 浅賀 英世 岡本 途也
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.7-13, 1993-03-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
18

【目的】頭痛は「健康成人の約75%が経験したことがある」とする報告にみられるように, 鍼灸臨床の場においてもよく経験する症状である。頭痛に対する鍼灸治療の効果は, 既に多くの報告がある。しかし, 鍼刺激を検査目的で用いた報告は少ない。我々は, 過去15年来, 耳鳴りや頭痛に対して鍼刺激を検査目的に用い, その意義について検討してきた。今回, 耳鼻咽喉科から検査目的で紹介された痛み患者に対し, 痛みが鍼刺激で再現できた例について検討したので報告する。【対象及び方法】昭和57年4月から平成2年10月までの間に, 痛みを主訴として昭和大学病院耳鼻咽喉科から同院東洋医学診療室に依頼されたもののうち, 顔面の痛みを訴えるものを対象とし, 耳鼻科的, 眼科的検査にて異常を認めないことを条件とした。刺鍼はステンレス鍼 (50mm 20号鍼) を用いて, 大後頭神経ブロック点に刺入し, 刺鍼時の痛みとひびき感の関係を観察した。【結果】1) 大後頭神経ブロック点への刺鍼で, 眼の奥や内眼角部にひびき感が生じることを再度確認した。2) 三叉神経痛や原因不明の眼痛として治療されてきた患者の中に, 鍼のひびき感が (1) 痛みの性質と似ている, (2) 部位が一致, (3) 鍼の操作に同期して痛みが再現できるなど, 痛み症状と一致する例がいた。3) 痛みを鍼刺激で再現できた例は, 鍼治療の有効率も高かった。【まとめ】大後頭神経ブロック点への刺鍼は, 眼の奥にひびき感を生じ, この感覚を検査目的として応用することによって, 診断が可能になった例を認めた。このことから, 本法による鍼刺激は痛みの診察に際して, 結果2) (1)~(3) と,結果3) の治療的に意味があることから, 治療手段としても, 観察検査法の1つとしても有用であると考える。
著者
石崎 直人 矢野 忠 山村 義治
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.159-166, 2003-05-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
27

糖尿病は、一旦発症すると治癒が困難であり、血糖コントロールの状態によってはさまざまな合併症を伴い、患者のQOLを著しく損なうのみでなく、医療費の増加にも大きく関わっている。しかし糖尿病発症前段階といわれる耐糖能異常では食事療法や運動療法などによる積極的な改善が可能であり、未病治としての鍼灸治療の適用によくあてはまる段階であると考えられる。糖尿病患者における鍼灸治療は症例報告や症例集積の形で報告されてきたが、糖尿病患者の性質上、インスリンや経口糖尿病薬など通常の医療を併用せざるを得ない場合が多く、鍼灸治療の付加的価値を明確にするには至っていない。動物やヒトにおける実験的研究も一部で報告され鍼刺激によりインスリン分泌が亢進する可能性が示されているが、経穴や対象の相違からさらなる検討の余地がある。一方、糖尿病発症予防における鍼灸治療のアプローチとして肥満の是正、あるいはインスリン抵抗性の是正などが考えられるが、最近のいくつかの報告は、鍼刺激によるインスリン抵抗性の改善の可能性を明確に示したものがあり、未病治としての鍼灸の適用の可能性を拡大するものである。
著者
加藤 麦 吉本 寛司 福田 文彦 石崎 直人 山村 義治 矢野 忠
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.442-445, 2002-08-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
5

インスリン非依存型糖尿病自然発症モデルラットであるOLETFラットのインスリン抵抗性に対する頭頂部への透熱灸の4週間連続施灸の効果について検討した。灸刺激によりGIRは無刺激群に比べ有意に高値を示し、インスリン抵抗性を改善する可能性が示唆された。
著者
形井 秀一
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.446-452, 2002-08-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
7
著者
近藤 宏 藤井 亮輔 栗原 勝美 田中 秀樹 黒岩 聡 半田 美徳
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.47-54, 2012 (Released:2012-07-05)
参考文献数
11

【目的】鍼灸マッサージ師の雇用希望のある診療所の状況や鍼灸マッサージ師の業務実態について分析し、 今後の診療所における鍼灸師およびマッサージ師の就業開拓の基礎資料とすることを目的とした。 【方法】診療所に従事する鍼灸マッサージ師の業務実態と今後の雇用ニーズ等に関する調査において鍼灸師またはマッサージ師の雇用希望があると回答した52施設を対象とした。 免許別に鍼灸師雇用希望施設 (n=5)、 鍼灸師およびあん摩マッサージ指圧師雇用希望施設 (n=25)、 あん摩マッサージ指圧師雇用希望施設 (n=22) の3群に分けて診療所の状況や業務実態について分析を行った。 【結果】産婦人科や婦人科のある診療所で雇用希望のあるのは鍼灸師のみであった。 整形外科やリハビリテーション科のある診療所では、 鍼灸師およびあん摩マッサージ指圧師のいずれも雇用希望が多い。 鍼灸師およびあん摩マッサージ指圧師の雇用満足度は、 費用対効果より患者ニーズからみた満足度の方が高い。 【結論】鍼灸師およびあん摩マッサージ指圧師の雇用ニーズのある診療所の特徴を分析することができ、 医療機関への就業の促進の一助となるものと考える。
著者
影山 照雄 鮫島 恭夫 小島 孝昭 澤津川 勝市 白石 武昌
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.339-346, 1994-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13

「耳鍼療法」は, 肥満 (症) 治療の一つとして時に劇的に減量効果を及ぼすという。その健常者の体重に及ぼす影響を検討した。6週間の「耳鍼留置」により, 漸次体重は減少し, 有意 (p<0.01) な体重減少者は増加した。その体重減少効果は抜鍼後 (2週) にも及んだ。抜鍼後2~3月後には概ね実験開始前の値に復し,「耳介鍼刺激」は体重減少作用があることを確認した。「耳介鍼刺激」による減量作用と食欲減少には相関がみられ, 実験動物 (ラット) での実験で明らかとなった耳介刺激が視床下部ニューロン活動を修飾することが非肥満, 健康者でも示唆された。
著者
東郷 俊宏 木村 友昭 形井 秀一 松本 毅 中野 亮一 金安 義文
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.90-103, 2014 (Released:2014-12-24)
参考文献数
10
被引用文献数
1

2009年に国際標準化機構(ISO)で設置が承認されたTC249では、 2010年の第1回全体会議 (北京) 以降、 2013年までに4回の全体会議を開催した。 この間、 鍼灸領域では、 鍼灸鍼の国際規格作成をscopeとするWG3と鍼灸鍼以外の医療機器の規格作成に特化したWG4の2つが設置され、 伝統医学領域の医療機器の国際規格策定が進められている。 日本としては、 現在国内に存在する関連規格 (JIS規格;厚生労働省の定める認証基準など) と齟齬を来す国際規格が策定されぬよう、全体の流れを注視しつつ議論に参画しているが、TC249に出席しているメンバーのほとんどは、臨床家や医学研究者であり、必ずしも医療機器の専門家ではないことから、議論はしばしば平行線をたどり、ハーモナイゼイションは困難な場合が多い。 本稿では、TC249における規格策定に関わってきた日本のエキスパートのうち、アカデミア2名、メーカー2名に2013年の5月に南アフリカ共和国のダーバンに於いて開催されたTC249 4th Plenary MeetingにおけるWG3, 4における議論についてそれぞれの立場から論じて頂いた。

1 0 0 0 OA めまいの臨床

著者
首藤 傳明
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.236-246, 1991-06-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
24

東洋医学古典では「眩」という語が回転性めまいを意味している。素問には「諸風掉眩ハ皆肝ニ属ス」という文章がある。この言葉を基にして曲泉・太敦を主穴とし, 他に補助穴を使用する, 固定した治療を設け, めまい患者100名に施術した。その結果88名がめまい消失, そのうち, 79名 (89.8%) が1-2回の治療となっている。はり治療は肩こりや運動器疾患以上にめまいに有効であることが分かる。
著者
尾崎 朋文 北村 清一郎 森 俊豪 竹下 イキ子 西崎 泰清 上島 幸枝 巽 哲男 合田 光男 堺 章
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.185-194, 1989-06-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
9

18遺体の両側で中頸および椎骨動脈神経節の出現率と大きさを調べた。また, 各神経節の椎骨, 天突穴, C6前結節, および輪状軟骨に対する位置, ならびにC6前結節の天突穴と輪状軟骨に対する位置を調べた。中頸神経節は右側で長さ14mm, 幅4mm, 厚さ2mm, 左側で各々14, 5, 2mmで約半数の例に存在した。その位置はほぼ輪状軟骨の高さで, C6前結節の内下方に近接した。中頸神経節の欠如例では, 交感神経幹はC6前結節のすぐ内方を通過した。椎骨動脈神経節は右側で長さ8mm, 幅5mm, 厚さ3mm, 左側で各々9, 5, 2mmで, ほぼ全例に存在した。位置は第7頸椎の高さで, 天突穴の外方15~30mm, 上方20 (左) もしくは25 (右) ~45mmの範囲に多く含まれた。C6前結節は, 天突穴の外方20~30mmで, 男性では輪状軟骨のやや上方, 女性ではほぼその高さに存在した。周囲の解剖構造物を比較すると, 中頸神経節では後方に頸椎横突起が存在するのみで, より安全な刺鍼が可能と考えられた。
著者
孫 基然
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.50-62, 2013 (Released:2013-06-17)
参考文献数
49

【目的】「盛んならず虚ならざれば、 経を以てこれを取る」 は最も重要な治療原則として知れているが、 その解釈は極めて混乱し統一されていない。 そこでこれを明らかにするためその原義を検討したので報告する。 【方法】『黄帝内経』 における 「盛んならず虚ならざれば、 経を以てこれを取る」 の出典を調べ、 今日までのこれに関する研究概況及び問題点を明らかにした上で、 更にその背景を見出し、 『黄帝内経霊枢』 禁服篇にのみ引用されている 『大数』 及び 『張家山漢墓竹簡』 脈書を利用し、 「盛んならず虚ならざれば、 経を以てこれを取る」 のルーツまで遡って、 その原義の解明を行った。 【結果】その結果、 これまで計四説、 十三の意見を確認することができたが、 どれも合理的に解釈できていないことを明らかにした。 【考察】「盛んならず虚ならざれば、 経を以てこれを取る」 は 「遍身診脈法」 を背景とすることと、 『黄帝内経霊枢』 禁服篇の解釈は本篇に引用されている 『大数』 と矛盾していること、 『張家山漢墓竹簡』 脈書にある 「諍 (静) ならば則ちこれを侍たも (持) つ」 は 「盛んならず虚ならざれば、 経を以てこれを取る」 の原型であることから、 その原義は、 脈形と脈拍とが正常な場合は、 治療せず、 いつも通りで対応すると解釈すべきではないかと示唆された。
著者
越智 秀樹 片山 憲史 池内 隆治 行待 寿紀 河窪 紳介 堀口 正剛 三船 哲郎 伴 眞二郎
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.247-253, 1990-09-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
23

変形性膝関節症の初期の患者 (20名, 平均年令61歳) に対して鍼治療, Silver Spike Point (以下SSPと略す) 療法および運動療法を併用した治療を行った。効果判定はわれわれが考案した変形性膝関節症評価表のスコアと, 変形性膝関節症の主徴の1つである大腿四頭筋の萎縮に対する客観的効果の指標として膝伸展筋力の測定を用いた。その結果初診時の平均スコアは23.4点であったが最終治療 (平均治療回数6回, 平均治療期間42日) の後では8.2点とスコアが減少し症状が改善した。また初診時の膝伸展筋力に比較し, 最終治療時では平均38.5%の筋力の増強がみられた。
著者
山下 仁 光藤 英彦
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.359-365, 1991-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
3

当研究所のケアシステムの役割と課題について, カルテ群の調査とケーススタディーを通して検討した。カルテ群の調査から, 自宅施灸指導に対する調査対象患者のコンプライアンスは全般的には良好であるが, 女性の背部施灸のコンプライアンスは低いことがわかった。またケーススタディーから, いわゆる現代の専門医療と, 当研究所の東洋医学的ケアとの, identity の違いを明確にした。検討の結果, 灸療を活用した東洋医学的ケアシステムは, 今日の医療の中で, 補完的役割を担えることが示唆された。また, 灸療の効果的な活用を妨げる因子の一部について, より具体的な探索を行うことが出来た。
著者
山下 仁 光藤 英彦
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.300-307, 1992-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
4
被引用文献数
1

灸療をセルフケアという形態で指導することは, 身体レベルのみならず生活レベルにおいても応用価値が高いと筆者らは考えている。“セルフケアとしての灸療”を推進する上での問題点を明らかにするため, 愛媛県南部の農業地域の住民49名を対象に自宅施灸指導と質問紙調査を1年間行い, (1) 家庭内ケア力の未活性, (2) 施灸行動のもつ時間的拘束性, (3) 灸の熱刺激に対する不耐性, (4) 灸痕に関する皮膚科的障害, (5) 灸療の適応または応用技術の限界, (6) 灸療の推進活動に対する社会的抑制力, という6つの問題点を抽出した。なお, これらの問題点にはそれぞれ対策を検討する余地があった。
著者
山下 仁 光藤 英彦
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.358-364, 1990-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
5

日常生活の諸負荷に抗して人が支障なく生活を営む能力を“耐久性”と呼びたい。健康と病気とを異なった次元の価値をもつ概念として位置づけるとき,“耐久性”は健康の次元における健康レベルの具体的指標になると考えられる。病人の“耐久性の低下”を示す諸病症に注目して case study を行ったところ, 慢性健康障害をもつ病人に対して筆者等の行っている灸療が, 積極的なケアとして病人の健康レベルの向上に関与していることが示唆された。東洋医学的伝承医術を運用するにあたっては, 健康への指向性をももつことが可能である。