- 著者
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篠原 鼎
- 出版者
- 社団法人 全日本鍼灸学会
- 雑誌
- 全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.3, pp.303-315, 1991-09-01 (Released:2011-05-30)
- 参考文献数
- 23
1. 自律神経機能の検査法を纒めると, 次のようになる。1) 健常者の安静仰臥位におけるMとCV安静仰臥位は, 副交感神経機能の優位状態である。安静仰臥位で, Mに異常があること自体, すでに自律神経の不均衡があると考えられる。Mの高値は, 交感神経の機能亢進型である。Mの低値は, 交感神経の機能低下型である。CVの高値は, 副交感神経の機能亢進型である。CVの低値は, 副交感神経の機能低下型である。2) 健常者の深呼吸負荷におけるMとCV安静仰臥位での深呼吸負荷は, より副交感神経機能の優位状態である。安静仰臥位に比較して, Mが減少しCVが増加するのが正常で, Mの減少CVの減少と, Mの増加CVの増加と, Mの増加CVの減少は, 異常である。3) 立位負荷におけるMとCV立位負荷は, 交感神経機能の優位状態である。安静仰臥位に比較して, Mが増加しCVが減少するのが正常で, Mの増加CVの増加, Mの減少CVの減少, Mの減少CVの増加は, 異常である。2. 健常者の年齢補正は, 次のようになる。1) 安静仰臥位における心拍数年齢補正式は,Y=126.153-16.187×LogeX(Xは年齢)。2) 安静仰臥位における変動係数年齢補正式は,Y=10.818-1.993×LogeX(Xは年齢)。3) 深呼吸負荷における変動係数年齢補正式は,Y=24.293-4.738×LogeX(Xは年齢)。4) 立位負荷における変動係数年齢補正式は,Y=7.398-1.277×LogeX(Xは年齢)。3. 一目瞭然であり, かつ全く新しいMCV図法を, 指尖容積脈波計に応用することにより, 安静仰臥位と深呼吸負荷と立位負荷の, MP-PとCVP-Pのデータを, MCV図にプロットすると, 交感神経機能や副交感神経機能の, 総合的な評価ができる。またMCV図法は, いろいろな負荷検査に対しても, 使用できるものである。ただし, 測定条件は心電図計よりも厳密にすることが大切である。