著者
前田 繁男 無敵 剛介
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.385-390, 1991-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
14

経穴部の鍼通電刺激時における電気的特性の検討を非経穴部と比較して行い, また, 鍼通電刺激中の皮膚血流変化から経絡の流注の方向と陰イオンの流れる向きとの関連について考察し以下の見解を得た。(1) 経穴部 (合谷と手三里) 及び隣接した非経穴部に刺針し電気鍼刺激を行い電気鍼施行中に針の間に流れる電流波形を分析し, 両者のインピーダンスを比較すると経穴部の方が非経穴部よりインピーダンスは小さく, またベクトルインピーダンスメーターでもこのことが確かめられた。(2) 鍼通電刺激時の電流の向きと皮膚血流量変化の関連については, 陰イオンの流れが経絡の流注と同方向の場合に有意な血流量の増加がみられた。
著者
廣田 里子 伊藤 和憲 勝見 泰和
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.68-75, 2006-02-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
14

【目的】慢性腰痛に対してトリガーポイント治療が有用であるとする報告はあるが、圧痛点治療との効果の違いは詳細に検討されていない。そこでトリガーポイント治療と圧痛点治療の効果の違いを明らかにするために慢性腰痛患者9例を対象に比較試験を行った。【方法】6か月以上の腰痛を訴える65歳以上の患者を対象とした。患者を組み入れ順にトリガーポイント治療群と疼痛局所に存在する圧痛点への治療 (圧痛点治療群) に振り分け、5回 (週1回) の治療を行い、1か月後に追跡調査を行った。評価項目は腰部の主観的な痛み (Visual Analogue Scale : VAS) 及びquaity of life (QOL) の把握 (Roland-Morris Disability Questionnaire : RDQ) とした。【結果】トリガーポイント治療群ではVAS・RDQともに有意な改善を認めた。圧痛点治療群では改善は有意ではなく、トリガーポイント治療群の改善のほうが顕著であった。【考察と結語】圧痛点治療よりトリガーポイント治療の方が顕著にVAS・RDQの改善がみられ、治療効果に相違がみられた。このことからトリガーポイントは治療効果の点からも単なる圧痛点とは異なるものと考える。
著者
大場 雄二 小島 孝昭 白石 武昌
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.429-437, 2000-08-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
25

腰痛治療点として臨床的に良く用いられる「委中」は「遠位取穴・遠位経穴刺鍼」として知られている。その「委中」刺鍼刺激の意義を検討した。経穴の応答性を腎兪で被験者一人につき両側で、300回以上にも及ぶ電気刺激で得られた「強さ一時間曲線」から時値を求め、それに対する「委中」刺鍼刺激の影響を健康成人健常者 (男性6名、女性6名) と中等度腰痛患者 (男性6名、女性4名) で比較観察した。・健常者群では腎兪での応答性は、男の時値は女より低く、応答性は高いといえる。「委中」刺鍼により腎兪での応答性は男女とも大きな変化はなかった。・腰痛患者群の腎兪での応答性は、健常者群と比し、著明な上昇 (痛み・過敏) が認めらた。その反応は、遠位経穴「委中」刺鍼により、明らかな時値の上昇即ち応答性の低下が認められ、「遠位経穴・委中刺鍼」に依る鎮痛効果が示唆された。・臨床上の「委中」刺鍼による腰痛に対する治療効果とその意義を考察した。
著者
呉 孟達 Huang LAWRENCE C-L
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.626-641, 2008 (Released:2008-11-21)
参考文献数
19

今回われわれは西洋医学的に"迷路性耳鳴"と診断された65例の耳鳴症例に対して、 中医学的虚実弁証の理論を導入することによって、 新たに耳鳴を三つの、 西洋医学と中医学両方法論を加味した類型、 すなわち実証型迷路性耳鳴、 虚証型迷路性耳鳴および中間証型迷路性耳鳴に分類した。 次いで、 これらのそれぞれの病態証候に応じて、 中医学的"治病求本"の原則に基づき、 鍼治療を行った。 耳鳴治療効果の判定は主に治療前後の自覚的な 「耳鳴表現スコア」 と他覚的な 「耳鳴ラウドネス」 という二つの耳鳴パラメータの変化を用いて比較検討した。 治療後の 「耳鳴表現スコア」 もしくは 「耳鳴ラウドネス」 が有効を示した65症例全体の「粗有効率 (GER)」は72.3%、 両者がともに有効を示した 「自他覚的有効率 (BER)」、 つまりより厳密な有効率としては47.7%であった。 三つの中医学的病証型のうち、 実証型の有効率が最も高く、 そのBERは66.7%を示していた。 次は虚証型で、 そのBERは48.7%であった。 中間証型は最も悪く、 そのBERはわずか10%であった。 各病証型のBERに対し、 相互間の統計学的有意差はなかった。 一方、 治療終了2ヶ月後の効果判定では、 全体のGERは55.4%、 BERは38.5%にまで低下し、 治療効果の減少傾向が見られた。 特に虚証型のGERは統計学的有意な低下を示した。 結論として迷路性耳鳴に対する鍼治療を行うにあたって、 中医学的虚実弁証論の応用は大変重要であると考えられる。 65症例の臨床治療分析を通して、 虚証型や中間証型に比べて、 実証型耳鳴は鍼治療に最も高い反応を示すことが判明した。
著者
北小路 博司
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.29-37, 2012 (Released:2012-07-05)
参考文献数
10

明治以降の鍼灸に関する医療制度・教育・研究の三分野について歴史的経過を俯瞰し、 日本鍼灸の特質を検証することとした。 鍼灸に関する医療制度と鍼灸教育は、 明治維新を契機として西洋化による富国強兵の施策のもとに制定されたものであった。 すなわち、 西洋医学を日本の正統医学としたことから、 伝統医学である鍼灸は医療制度外に位置づけられる一方、 鍼灸教育においては西洋医学を基盤とすることが義務付けられた。 こうした制度上の矛盾を抱えたまま現代に至っているが、 教育においては、 西洋医学を基盤としたことから東西医学両医学による鍼灸教育が展開され、 このことが多様性を特質とする独自な日本鍼灸の形成をはかる土壌となった。 鍼灸研究は、 鍼麻酔以降飛躍的に活発化し、 特に機序解明に向けた基礎的研究は大きく進展した。 加えて大凡20年前から教育研究、 調査研究、 東洋医学に関する研究も増え、 鍼灸に関する広い分野にわたり学術研究は確実に進展している。 こうした鍼灸学研究の進展は、 鍼灸高等教育化、 鍼灸のグローバル化等の要因によるものであるが、 学会の学術活動の牽引も強く寄与したと思われた。 日本鍼灸の特質を更に向上させ、 発展させるには、 今一度、 鍼灸の歴史的変遷を俯瞰し、 長所と短所を明らかにし、 将来に向けた課題を明確化し、 すべての鍼灸師が共有することこそが、 新たな第一歩を踏み出すことに繋がるものと確信する。
著者
雨貝 孝
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.13-31, 2008 (Released:2008-05-27)
参考文献数
8

日常的なスポーツ:運動はその生理的効果としての循環系の活性化、 代謝系の活性化、 ストレスの解消を通して、 免疫系に対して(1)バリアーシステムの強化、 (2)防御系細胞の増加、 (3)細胞移動能力の亢進、 (4)サイトカイン産生能の亢進などにより増強効果を示す。 その結果として、 スポーツの感染症予防効果、 体質改善効果、 老化に伴う免疫低下の改善が示されている。 他方、 強度の運動ことにオーバー・トレーニングの免疫系への急性障害として、 過度の運動や無酸素運動がストレスとなり視床下部―下垂体―副腎軸の活性化にともなう副腎皮質ホルモンの効果として免疫抑制作用を示すこと、 運動に伴う組織障害による炎症性サイトカインの産生により急性炎症が起こること、 局所での疲労に伴う障害因子による粘膜等のバリアーシステムへの障害などがある。 体調に合った適度の運動の持続が免疫系にもプラスの効果を示すといえよう。
著者
高橋 則人 鶴 浩幸 江川 雅人 松本 勅 川喜田 健司
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.706-715, 2005-11-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
10
被引用文献数
1

【目的】施設入所高齢者の風邪症状に及ぼす間接灸の効果を、少数例においても臨床試験が可能な単一被験者研究法 (n-of-1 デザイン) を用いて検討した。【方法】老人保健施設入所中の高齢者2名に対し、16週間にわたって試験を行なった。試験は介入期間8週と対照期間8週をランダムに割付けるn-of-1無作為化比較試験 (n-of-1RCT) デザインで行なった。介入期間の間接灸は週3回、大椎穴と左右風門穴に各3壮ずつ行なった。評価は風邪の有無および風邪症状に関する項目を4ないし5段階評価にて行なった。【結果】風邪の有無に関する項目では介入期間と対照期間との間に有意な差を認めなかった。また風邪症状に関する項目においても、介入期間と対照期間との間に有意な差を認めなかった。【考察・結語】今回の試験では間接灸の風邪症状に対する効果は認められなかった。その要因としては、治療 (刺激) 部位や刺激量の不足、および被験者の生活環境の影響、さらに今回のような風邪症状等の研究に対するn-of-1 RCTデザインの適性の問題などが考えられた。
著者
ミヒェル ヴォルフガング
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.150-163, 2011 (Released:2011-08-11)
参考文献数
59
被引用文献数
1

現代では東洋医学と西洋医学を対立するものと見る研究者は少なくないが、 近世に遡ると、 互いに理解しにくいものに対する拒絶反応はあるものの、 有用と判断された医薬品や治療法は選択的に受容されていた。 16世紀中頃から東アジアに進出した西洋勢力に対し、 中国と朝鮮が反発の姿勢を見せる一方で、 日本はいわゆる 「鎖国政策」 以降も一定の交流を保ち続けた。 19世紀初頭まで 「東洋医学」 に関する情報の大半は中国からではなく、 長崎のオランダ商館を通じて西洋に伝わり、 中国の伝統医学のほか、 管鍼法、 打鍼法など日本独特のものも日中共有の治療法として紹介された。 鍼術と灸術の観察と受容は基本的に別々に進められた。 「火のボタン」 として16世紀に紹介された灸は、 1675年に刊行されたバタビアの牧師の著書により足痛風の治療薬Moxaとして注目され、 日本での研究成果も踏まえつつ、 西洋の医学界において本格的に議論されるようになった。 ケンペルが持ち帰った 「灸所鑑」 とその詳細な説明でさらに関心が高まり、 古代ギリシャやエジプトにも類似の治療法があったことから、 医術としての灸は比較的好意的に受容された。 灸術と同様に鍼術に関する最古の記述は日葡交流時代に遡るが、 ヨーロッパでの専門家による議論は、 出島商館医テン・ライネ博士が1682年に発表した論文集から始まる。 テン・ライネは鍼術を 「acupunctura」 と名づけ、 出島の阿蘭陀通詞に説明を受けた資料を紹介したが、 「気」、 「経絡」、 「陰陽」 などの理解に至らず読者を困惑させた。 その後商館医ケンペルが疝気を 「疝痛」 (colica) と見なし、 その治療法を詳細に記したが、 西洋の医学界で 「日本人と中国人は、 胃腸に溜ったガスを抜くために腹部に針を刺す」 という誤った解釈が広まり、 18世紀末までは来日した医師達も西洋の読者も、 鍼術に対する疑問を払拭できず、 有用性を認めることに極めて消極的だった。
著者
笠原 由紀 深澤 洋滋 田原 壮平 栗林 恒一 東家 一雄
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.2-12, 2009 (Released:2009-08-11)
参考文献数
27

【目的】免疫研究委員会の活動として、 臨床に携わる鍼灸師が持つ 「鍼灸と免疫」 に対する意識の現状分析を行い、 そこから示唆される今後の課題を提言することを目的とした。 【方法】東洋療法学校協会に加盟する専門学校43校、 および国内で鍼灸師の養成課程をもつ大学6校において勤務する鍼灸師を対象に無記名アンケートによる意識調査を行い、 単純集計により解析した。 【結果】調査対象校49校に総計960件のアンケートを送付し、 32校から263件の有効票を回収した。 鍼灸治療を受けている患者は一般に感染に対する抵抗力が高まっていると考える回答は56.4%、 また、 鍼灸は免疫力を高める予防医学の一つと考える回答は83.3%であり、 鍼灸は免疫に対して効果的と考える回答が多数を占めていた。 しかしながら、 実際の臨床現場において患者の免疫力を客観的に評価しているという回答は11.0%に留まり、 大多数が患者からの主観的な申告で判定しているという結果であった。 【結論】肯定的な回答が多かった鍼灸の免疫力向上作用について科学的検証を行うためにも、 鍼灸師が臨床現場で実施可能な非侵襲性かつ客観的な免疫力の評価方法を模索し導入していくことが重要と思われた。
著者
東家 一雄 深澤 洋滋 笠原 由紀 奥田 学 田原 壮平 栗林 恒一
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.767-778, 2006-11-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

平成16年度に発足した免疫研究委員会では、過去に国内外で発表された鍼灸と免疫に関する全ての基礎研究論文の記載内容を精査する目的でWeb上のデーターベースからキーワード検索により724論文を選び、そこから実験動物対象の原著論文52編とヒト対象の原著論文42編 (そのうち英文論文72編、邦文論文22編) を抽出した。それら94論文に記載された鍼灸刺激方法や実験対象、測定された免疫学的パラメーターなどについて詳細な検討を加えた結果、本領域の報告は極めて多様な実験条件設定の下で実施されていることが明らかとなり、今後のこの領域の基礎研究では相互に比較検討が可能な再現性の高いデータを蓄積しなければならないことが示唆された
著者
岩元 英輔 村瀬 健太郎 谷之口 真知子 本石 希美
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.176-185, 2013 (Released:2014-04-23)
参考文献数
15

【目的】通常治療・ケアに併用した異なる鍼通電療法 (Electroacupuncture: EA) の刺激部位が、 褥瘡の臨床評価に与える影響を検討したので報告する。 【方法】対象は骨盤部分の褥瘡を発生した患者 56 名を、 通常治療・ケアのみ行う対照群 (n=19)、 通常治療・ケアに褥瘡周囲への EA を併用する局所 EA 群 (n=19)、 通常治療・ケアに両側の委中穴 (BL 40)・承山穴 (BL 57) の EA を併用する遠隔 EA 群 (n=18) の 3 群間に封筒法にて無作為に割付けた。 通常治療・ケアの方法は褥瘡予防・管理ガイドラインに準拠した方法で行った。 局所 EA の方法は、 創部周囲の正常皮膚部位に 10 mm から 30 mm の深さで刺入し、 通電刺激の波形は双極性パルス波、 周波数 3 Hz、 刺激時間 10 分間を週 5 日行った。 遠隔 EA の方法は、 委中穴と承山穴に約 10 mm 刺入し、 局所 EA と同様の通電刺激を行った。 評価は DESIGN-R と創サイズを、 割付け結果を把握しえない看護師が開始時から 6 週後まで行った。 【結果】DESIGN-R と創サイズの実測値は 3 群間に有意差を認めなかった。 開始時を 100%とした変化率で比較した結果、 DESIGN-R 変化率は、 4 週後以降に対照群に比べ局所 EA 群に有意な低値を認めた (P 【結論】通常治療・ケアに併用した創部周囲への EA は、 褥瘡の早期改善に有用な方法であることが示唆された。

2 0 0 0 OA 脳活動と鍼灸

著者
梅田 雅宏 下山 一郎 木村 友昭 田中 忠蔵
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.686-697, 2004-11-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
14

中枢神経を介した鍼灸の治療効果を調べることを目的に、鍼灸刺激により生じる中枢神経の局所活動を人の脳で調べる方法について紹介する。鍼灸刺激は感覚刺激として入力され、中枢神経で処理される。この時の脳の応答を調べる方法として脳波が広く用いられてきた。しかし、脳波を利用した方法は中枢神経の活動場所を特定する点で問題があった。この問題を解決するために、神経の電気活動に伴って発生する微弱な磁場を空間的に並べられた受信コイルで捉え、磁場発生源の位置を推定するMEG法、この神経活動に伴い変化する血液中のオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンのそれぞれを、近赤外光の吸収スペクトルの差から分離して捉える赤外分光法、さらに、血液中に生じたデオキシヘモグロビンが持つ磁化率変化を信号強度に反映させた脳機能核磁気共鳴画像 (fMRI) 法を取り上げ、中枢神経における局所活動について調べる方法を紹介する。
著者
河内 明 豊田 住江 酒井 佳 北出 利勝 兵頭 正義
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.295-299, 1988-09-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
5

私達は, 音楽リズムを直接パルス波に変換し, 音楽と同調する音楽リズム低周波置鍼療法について従来の低周波置鍼療法との臨床効果を「肩凝り症」に限定して比較検討した。慢性化した肩凝り症の愁訴をもつ50名の患者を対象とし, これらの同一名患者を無作為に (1) 従来の3Hz連続波低周波置鍼療法群 (C群), 音楽の聴こえない音楽リズム低周波置鍼療法 (S群), (3) 音楽リズム低周波置鍼療法 (M群) の3群に分けて, その直後効果と快適度を比較した。治療は, 主に肩背部の圧痛および硬結部を基準とし, 使用鍼30ミリ20号鍼を用い, 音楽の種類は演歌, 通電時間15分とした。治療効果を比較するとM群 (有効率76%) は, C群 (60%), S群 (58%) に比べて約20%の有効率の増加が認められた。なお, 快適度についてもM群が, やや優れている傾向が認められた。すなわち, 音楽リズム低周波置鍼療法は, 音楽を同時に聴かせることが効果上, 心理的にも必要であることが分かった。