著者
畑林 一太郎 新井 紀子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.511-515, 2011-12-01
参考文献数
4

学校教育法施行規則等の省令改正を背景に,研究機関毎での研究者総覧構築のニーズが高まっている。研究者向けサイエンス基盤サービスResearchmapには,外部システムに対してデータ提供する機能が用意されている。この機能を利用することで,各研究機関は機関毎の研究者総覧を低コストかつ,短期間で公開することが可能になった。また,研究者は自身の研究活動における情報を高品質でかつ,長期間にわたって安定的に公開することが可能になった。本論文では,同機能を使った研究機関の研究者総覧をクラウド上に構築した際のメリットを提示する。
著者
時実 象一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.426-434, 2014-10-01

この記事は,ここ数年のオープンアクセスの動向について詳述するもので,前後編に分かれる。この前編では,はじめにオープンアクセスの定義と歴史について,特にゴールド・オープンアクセスとグリーン・オープンアクセスについて簡単に説明した。近年研究助成機関と各国政府のオープンアクセス志向が強まり,米国・英国など主要国で助成研究成果論文の無料公開が義務付けられている。なかでも,2013年2月の米国OSTPのメモ,2012年6月の英国のFinch Reportとその影響,ECの動向などについて解説した。さらに,米国では,この義務化に対応するための出版社の取り組みCHORUS,図書館の取り組みSHAREなどの動きがある。 CHORUSはCrossRefのFundRefに支えられている。こうした,義務化を支えるインフラストラクチャーについて述べた。
著者
大島 裕明 山本 祐輔 山家 雄介 高橋 良平 ヤトフト アダム 中村 聡史 田中 克己
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.2-7, 2011-01-01
被引用文献数
1

Web情報には多様な情報が存在しており,本当に信じてよいのかどうかは慎重に検討しなくてはならない。特に,Web2.0コンテンツは,これまでの本や新聞などのメディアよりも,情報の品質が低い可能性があるため,信憑性の検証が必要であると考えられる。本稿では,そのようなWeb情報の信憑性という課題に対して,情報技術がどのような役割を果たせるかということについて議論する。まず,情報の信憑性という概念について整理を行う。また,現在,Web情報の信憑性に関連して行われている研究について紹介する。さらに,われわれが行っているWeb情報の信憑性検証技術に関する研究の紹介を行う。
著者
林 賢紀
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.242-247, 2008-05-01

本稿では,Web上の検索エンジンについて標準的な検索手法になりつつあるOpenSearchについて概説するほか,1)OPACを題材として,図書館システムに標準で用意された検索ページを解析し,タイトル検索のみ可能なシンプルな検索ページへ再構成を図ることで検索に必要な最小限の要素の把握,2)OpenSearch Descriptionファイルを作成し,Firefox上から直接OPACを検索するプラグインの作成,3)作成した検索プラグインの設置とインストール方法について解説する。
著者
山崎 久道
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.46-51, 2008-02-01

図書館や情報サービスにおいて,分類はどんな位置づけにあるのか,あるいは分類的思考というものがあるとすれば,それにはどんな意義があるのか。こうした点に関連して,分類することの意義,時間という経営資源の節約,情報検索における分類的思考の意味,情報サービスにおける分類的思考の効果,予見可能性を提供することの重要性,学問分野の俯瞰,語からの検索の限界,OPAC利用の問題点など,さまざまな視点から述べる。最後に,一般社会における分類的思考の問題点を示す。分類的思考は,図書館や情報サービスにおいて基盤的位置を占めるものと結論付ける。
著者
廣田 未来
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.489-494, 2011-12-01
参考文献数
9
被引用文献数
1

お茶の水女子大学附属図書館では,2007年から「ラーニング・コモンズ」「キャリアカフェ」といった学生のための学習空間の創出に取り組んできた。全学的な教育改革の動きに連動したこの取り組みにより,学生支援のための学内の各部署の連携が促進されている。また,学生と図書館職員の協働「LiSA(リサ):Library Student Assistantプログラム」を通して,学生の「学習支援」「キャリア形成支援」にも取り組んでいる。小規模図書館であるお茶の水女子大学図書館が学内の他の部署との連携や学生との協働によって,どのように学習空間と学生支援の充実に取り組んできたかを報告する。
著者
原田 隆史
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.182-186, 2011-05-01

日本における図書館システムは1980年代から導入が進められ,主として図書館のハウスキーピング業務の効率化に大きく寄与してきた。しかし,その後の図書館システムの進歩は遅く,特に利用者サービスの中核をなすオンライン閲覧目録(OPAC)については,他のWebサービスと比較して時代遅れであるとも言われてきた。近年,このような状況が少しずつ変化してきている。たとえば,クラウド・コンピューティングを利用した図書館システムやオープンソース・ソフトウェアとして開発されたシステムの出現,ディスカバリ・インタフェースと呼ばれる新しいOPACの提供などはその代表である。また,図書館が取り扱う資料自体も従来の紙媒体の資料だけではなく,電子ジャーナルや電子書籍など多様なものとなってきている。本稿では,このような多様化してきた図書館システムの状況について概説する。
著者
木村 幹夫
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.378-384, 2012-09-01

東日本大震災時にメディアが果たした役割を実証的に検証した。被災3県の地上波テレビ,ラジオは,津波からの避難時には放送の停波がほとんどなく,大津波警報や余震情報をリアルタイムで放送した。震災当日から特番編成を立ち上げ,以後CMなしの24時間放送を数日間継続し,被災状況に加え,ライフライン情報,生活関連情報,安否情報,避難所情報などを放送した。また,被災地では津波からの避難時および直後の時期にラジオを筆頭にマスメディアが大きな存在感を示した。東京など周辺地域ではSNSやストリーミング・サイトなどネット系メディアの役割も注目されたが,被災3県についてはマスメディアの貢献度,評価は,ラジオを筆頭にネット系メディアのそれをはるかに上回っていたことが実証された。
著者
片岡 真
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.32-37, 2006-01-01
参考文献数
15
被引用文献数
2

九州大学附属図書館では, 情報検索の結果からの一次資料や関連情報へのナビゲーションを目的として, 2005年4月からSerials Solutions社製リンクリゾルバArticle Linkerを導入し, 九州大学附属図書館学術情報リンクサービス「きゅうとLinQ」と名付けてサービスを開始した。本稿では, まずこれまでの本学での「きゅうとLinQ」への取り組みを通して, リンクリゾルバのしくみを説明する。そして学術ポータルには, 学術情報検索の入口としての機能の他に, 情報検索結果から一次資料や関連情報を適切にナビゲートする機能が必要であることを明らかにする。最後に, 今後の電子リソースマネジメントの方向性について考察する。Article Linker, an OpenURL link resolver made by Serials Solutions, was implemented to provide context-Sensitive linking at Kyushu University in April, 2005, and it was named "Cute LinQ", Kyushu University Library's Appropriate Link Resolution. First of all, this article will explain how "cute LinQ" works and how it functions well in recent situations of information retrieval. Then, it is clarified that academic portals are required to navigate to the appropriate copy from search results, in addition to the navigation into various kinds of information retrieval services. At the end, the future developments in electronic resources management will be considered.
著者
佐藤 翔
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.492-498, 2013-12-01

図書館公式ブログやTwitterの普及により,発信される情報の量が増え,それらを網羅的に追うことは難しくなっている。その中で従来以上に情報の取捨選択の重要性が増している。図書館系ニュースサイトは読者に代わって一次ニュースからの取捨選択を担う,エージェントとなりうるものである。読者は自身の嗜好をはてなブックマークやTweetを通じてフィードバックすることで,ニュースサイトを自分に適したものへと育てていくことが可能である。
著者
鎌倉 幸子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.300-305, 2014-08-01

ファンドレイジングは資金調達をするだけではなく,支援者と受益者とをつなぎフレンドレイジングをする貴重なツールとなる。その間にいる架け橋がファンドレイザーの役割だと考える。ファンドレイジングは闇雲に実施しては非効率である。シャンティ国際ボランティア会は,限られた時間や人材というリソースの中で,効率的に管理,運営するためにドナーピラミッドを活用している。団体を知らない人たちに認知してもらうことが最初の一歩となる。支援者の負担が少ないメールマガジンの登録から,イベント参加,物品の寄贈,単発寄付,マンスリーサポーターのような継続寄付,大口寄付とドナーピラミッドの底辺から頂点までステップアップしていくためのプログラムを紹介する。
著者
當山 仁健
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.520-525, 2006-11-01

OPACでの検索の際,複数の利用者が同一の検索質問を用いたとしても,利用者のプロフィール(知識世界,背景等)が異なれば,検索質問で表現を試みている概念は異なり,情報要求も異なることが多い。そこで,検索結果を利用者のプロフィールに合わせて調整することにより,利用者満足度の高いOPACの構築が期待できる。また,従来の文字列検索によるOPACでは柔軟性に乏しく,情報検索の道具としては不十分である。これらを踏まえ,沖縄国際大学図書館において,適合性判断基準の一つとして貸出履歴を利用したOPACを実装した。本システムでは柔軟な検索結果が得られるよう,従来の文字列検索ではなく連想検索技術を用いている。
著者
小林 卓 高橋 隆一郎
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.397-402, 2009-08-01

本稿では,まず,民族的,言語的,文化的少数者(マイノリティ)を主たる対象とする図書館サービスである多文化サービスの発展経緯を公立図書館,大学図書館それぞれについて,少し詳しく述べた後に,その意義について,1)知る権利,2)コミュニティの構成員としてのマイノリティ,3)人権の尊重,4)障害者サービスとの共通性,の4つの観点から論じる。続いてこの問題についての国際人権の動向や国際機関の動きを記し,それらを踏まえることの重要性に触れ,最後に,今後私たちが図書館関係者として,自分たちの関わるコミュニティ(地域・大学)において多文化サービスに関わっていく際に踏まえておくべきことについて提言を行う。
著者
増井 ゆう子 山本 和明
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.169-175, 2015-04-01

国文学研究資料館(NIJL)では,向こう10年間にわたる大型プロジェクトが始まった。計画名称は「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」である。古典籍の画像データベース構築に加えて,それを研究資源とした国際共同研究を実施していく。今後は異分野との融合研究を視野に入れた,より意欲的な共同研究の展開に努めることになる。本稿では,国文研が継続的に実施してきた古典籍の調査収集事業を経てこのプロジェクトがあることや,これまで構築してきた古典籍の書誌データが土台となることについて述べ,かつ今後の展望を紹介したい。
著者
長神 風二 池城 かおり
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.238-243, 2011-06-01
被引用文献数
2

科学研究を,その進展の過程から社会と共有することを目指すサイエンスコミュニケーションと,知の蓄積と流通を担う図書館の活動との間には,共通点も多い。本稿では,まず,図書館やサイエンスコミュニケーションについて考えてきた筆者が,2011年3月11日の東日本大震災を直接的に経験することで得た知見を体験談として記す。非常時に,生命と直結する情報をどう扱っていくかは,双方の専門家にとって重い課題である。図書館とサイエンスコミュニケーションの相互の専門性を協創的に用いることで,学術的な研究成果の発表システムの刷新など,新規の学術の可能性を拓く可能性があることを示唆する。
著者
森實 彩乃
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.223-229, 2014-06-01

近年,安価な労働力として学生を雇うアルバイトとは一線を画し,学生と職員が協働して図書館を運営する学生協働という取り組みが注目され,多くの大学図書館で実施されている。筆者も大学在学中に学生協働を経験した一人だ。その時に得た経験から大学図書館員という仕事に興味を持ち,母校の大学図書館に就職して今年で3年目になる。本稿では,学生時代の実体験を振り返りながら,学生協働の意義と課題について考察するとともに,図書館員になるための最近の勉強法や,図書館員として実際に働いてみて感じたこと,図書館員の将来について思うことを述べる。
著者
鹿島 みづき
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.307-318, 2003-06-01

2002年10月にNIIメタデータデータベース共同構築事業のスタートとともに,日本でもメタデータという言葉を耳にする機会が増えた。しかしその意味が本当に理解され,浸透するまでにはまだ時間かかかるように思える。メタデータと図書館目録が今後どのような形で共存していくのかも図書館の現場では未だ不透明な部分が多い。そのような中,米国議会図書館から新たなメタデータの開発が明らかにされた。MODS, Metadata Object Description Schemaである。本稿ではその開発の中心的な人物Rebecca S. Guenther氏によるMODSの紹介論文に焦点を当てながらMODSとはどのようなメタデータなのか,なぜ開発されたのか等を解明する。その際,日本で多くの図書館プロジェクトが採用するダブリンコアとの比較を中心にメタデータの図書館との関わりを整理したい。MODSが主張する,古くて新しい図書館の概念は今後どのように日本を含む世界の図書館コミュニティに受け止められるのか,興味深いところである。
著者
藤倉 恵一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.342-347, 2012-08-01
参考文献数
18

図書館においては,個人情報保護法の施行後も個人情報の流出・漏洩や紛失に関する事件・事故は後を絶たず,相当件数が発生している。個人情報の盗難や紛失だけでなく,図書館システムの不備に起因する情報流出事故も発生した。また,名簿などの個人情報を含む資料の扱いは図書館によって大きくゆれており,事件や報道の影響を受けて提供制限や受入停止をするなど図書館の根本的役割を自ら否定するような運用も少なくない。本稿では,図書館業務実務における個人情報保護のあり方について,図書館の基本理念である「図書館の自由に関する宣言」の視点を含めて検討する。
著者
山名 早人
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.343-348, 2011-09-01
参考文献数
22

近年のウェブサーチエンジンは,その検索結果ページに様々な情報ソースからの検索結果を統合して表示する。統合される情報ソースは,ウェブページだけではなく,ニュース記事,ブログ記事,画像,動画,Twitterなどのリアルタイム情報などである。しかし,こうした様々な情報ソースからの検索結果は常に表示されるわけではない。ウェブサーチエンジンは,どのクエリに対して,どの情報ソースを対象に検索し,どの検索結果を統合すべきかを判断している。本稿では,こうしたウェブサーチエンジンにおける統合検索で用いられている技術とその評価手法を紹介すると共に,統合検索の今後について述べる。