- 著者
-
逢見 憲一
- 出版者
- 日本公衆衛生学会
- 雑誌
- 日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.6, pp.452-460, 2004 (Released:2014-08-29)
- 参考文献数
- 23
目的 1899年以降の人口動態統計について,今後の分析の基礎とするため,各年代の報告書における背景や意図を把握することを目的とした。方法 厚生労働省図書館の所蔵する報告書を主に通覧し,作表の様式について変遷を観察・記述して分析を加えた。成績 1899年以降第二次世界大戦前の人口動態統計の作表の様式は,時期を経るにつれて変遷がみられた。その様式は,(1)明治期から大正初期,(2)大正中期,(3)大正後期から昭和初期,(4)昭和10年代,のものに大別された。 また,明治から大正中期までの時期には,道府県に明確な序列がみられた。この序列は1923年に改められ,これ以降,道府県を地理的に鳥瞰する配列で統計が作表されるようになっていた。さらに,1919年には,総覧において「總數」と「内地總數」が表の冒頭に掲載されるようになっていた。結論 1899年以降の人口動態統計について,とくに第二次世界大戦前の報告書における様式には,時期とともに変遷がみられた。明治後期から大正期にかけて,道府県から「国家」へ,道府県民から「国民」への人口動態における視座が変化したことが示唆された。