著者
浅見 吏郎 アサミ シロウ Shiro Asami
雑誌
札幌大学総合論叢
巻号頁・発行日
vol.39, pp.41-61, 2015-03
著者
稲垣 久和
出版者
東京基督教大学教授会
雑誌
キリストと世界 : 東京基督教大学紀要 = Christ and the World (ISSN:09169881)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1-19, 2012-03

人間が生きること,それも「善く生きること」は哲学の出発点にあった。そのために,今日では道徳,倫理だけでなく,政治,経済,教育,福祉が関わる。これら全体が関わるところに現代人の「幸福な生活」が可能になる。21 世紀の文明の変転期には,枢軸時代の大思想を再解釈していく必要性が出てきている。キリスト教と同時に,東アジアの伝統と対話しつつ儒教の「天と良心」,仏教の「慈悲と四諦苦集滅道)」の認識を深めて欲望をコントロールしつつ,他者と地球環境を配慮(ケア)するような「ケアの倫理」の確立に向かいたい。倫理を発想するスタイルとしては,「正義の倫理」は孤立した抽象的個人の見地に立ち,普遍的原理を結論するだが「ケアの倫理」は,具体的状況における対人関係を前提として,奉仕と同情に基づいた判断をする。 学問は内容が学際的であればあるほど哲学的な認識論と存在論が明らかにされなければ,ただの総花式の寄せ集めになってしまう。経済,政治,法律,道徳,倫理。宗教まで扱わねばならない今日の福祉学には,ますますその傾向が強くなっている。では今日の福祉学の背景となる哲学とは何か。われわれは公共哲学に基づいた福祉。すなわち公共福祉を提起したい。 キリスト教の果たすべき社会的責任とは,十字架の贖罪愛を通した common grace から来る。アリストテレス的な「友愛」をさらに上から“引っ張る”アガペーの隣人愛をもって,キリスト者は「よきサマリア人」としてのケアの倫理を社会に実践する主体となるべきだ。これは NPO 等の中間集団で発揮され市民社会の原動力となる。賀川豊彦の協同組合運動も現代の市場経済のゆがみを是正しようとした。そして彼の行動はキリストの十字架の贖罪愛から来ているのであり,すべての。現代の希望もまたここから出てくるのである。
著者
福吉 勝男
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-16, 2004-01-10

現代的視点からヘーゲル家族論のもつ積極的意義と問題点および課題について検討した。まず、積極的意義として次の三点が指摘される。第1は、子どもの「自立」と「人格の自由」の重要性を強調した点である。第2は、一夫一婦制婚姻を婚姻形態の原則として確認している点である。そして第3には、「家系」の廃棄という民主主義思想を貫いている点である。次に、問題点として以下の諸点を指摘しうる。第1は、男女特性観、男性による女性支配観が鮮明にみられることである。第2は、先の男女特性観と密接に連関して、「市民社会」で職業に就く(男性たちによる)自由競争の重視ないしは偏重の考えが明確にされていることである。そして第3には、男女ともに自立した「個人」で家族を形成し、「個の自立を基礎とする共働き家族」と言い表わされる「現代家族」の視点が欠如している点である。こうした問題点からしたがって、今日私たちが家族論を検討するさいに重要な課題として考えなければならないことは、男女が共同してともに「家庭」にも「社会」にも参画しうる社会(「男女共同参画社会」)の推進に向けて、どのような内容の家族・社会政策を要求し、そしてそれをいかにして実現し実施していくのかということである。
著者
吉長 裕司 金川 明弘 川畑 洋昭
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.12, pp.3252-3255, 2003-12-15

大学生を対象としたタッチタイピング教育において,打鍵能力に加えて学習者の初期熟達感(慣れの意識)を測定した.「少し慣れた」以上の初期熟達感に達した日と,練習目標とした自己流タイピングの入力時間を更新した日との関係に着目し,学習者を,(1)「慣れた日」が「更新した日」より早い群,(2)「慣れた日」と「更新した日」が同じ群,(3)「更新した日」が「慣れた日」より早い群の3群に分類した結果,3群間の自己流タイピングの入力時間に1%水準で有意差があることが確認された.この結果に基づき,各群の習熟特性を考察するとともに,学習者の自己流タイピングと初期熟達感を考慮に入れた練習目標の設定方法を提案した.
著者
十亀 雄太 羽田 久一
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.471-475, 2019-09-13

人々が服を直用する際,それに応じた目的や他人にどのように知覚されたいかを,意識的に選択をする.しかしながら一日の途中で服を変えることは難しく,ほとんどの場合着替える場所が必要であったり,着替えるための服を持ち歩かなければならないなどの手間がかかる.そこで本研究では,布を形成する繊維にチューブを使い,チューブ内に鮮明な色のインクを流すことによって明確に色を変化させることが可能な布の開発を行う.
著者
粕淵 彩花
出版者
日本女子大学国語国文学会
雑誌
国文目白 (ISSN:03898644)
巻号頁・発行日
no.53, pp.123-134, 2014-02-28
出版者
思文閣出版

序文 : 海賊行為とジグソー・パズルの欠けたピース / 稲賀 繁美目次研究計画および経緯 / 稲賀 繁美第Ⅰ部 インターネット時代の知的財産権と海賊行為ネットの海は無法か : インターネットにおける〈海賊行為〉について / 多田 伊織〈ひろゆき〉とは何だったのか : 「2ちゃんねる」からも「ニコニコ動画」からも離れて / 鈴木 洋仁マンガ翻訳の海賊たち : スキャンレーションにおける航海術をめぐって / 片岡 真伊反海賊版協定はなぜ破れたか / 山田 奨治[コラム]経営者・川上量生のビジネス書を読む : 「説明できない」ニコニコ動画を「誰もやっていない」ビジネスチャンスに変える術 / 鈴木 洋仁[コラム]デジタル時代の複製 / 新井 菜穂子[コラム]シンギュラリティーより愛をこめて / 森 洋久第Ⅱ部 剽窃・贋作・模造品の遊泳術「永仁の壺」と昭和の陶芸史 : ニセモノから芸術史を再考する試み / 藤原 貞朗捏造された人魚 : イカサマ商売とその源泉をさぐる / 山中 由里子前衛としての生き残り : 工藤哲巳の海賊的考察にむけて / 近藤 貴子シミュレーショニズムと日本 : あるいは日本現代美術における海賊行為の可能性と限界 / 平芳 幸浩展望の《仮山石》について : 中国現代彫刻における「仮(偽る)」という戦略 / 呉 孟晋[コラム]一八八八年バルセロナ万国博覧会における日本美術品の違法販売について : 新史料発掘と紹介 / リカル・ブル・トゥルイ[コラム]画家・藤田嗣治の「著作権」興亡史をたどる : 没後五〇年に向けてのノート / 林 洋子[コラム]機略に満ち溢れたインフォーマル経済 : タンザニアの模造品交易を事例に / 小川 さやか第Ⅲ部 「大航海時代」再考 : 海賊の海の歴史を再訪する海賊史観からみた世界交易史・試論 / 稲賀 繁美人類の敵 : グロティウスにおける海賊と航行・通商の自由 / 山内 進略奪品か戦利品か : 一六一五年のサント・アントニオ号拿捕事件と幕府の対応 / フレデリック・クレインス悪石島の寄船大明神とその周辺 / 榎本 渉[コラム]一六世紀宣教師記録に見る海賊 / 滝澤 修身[コラム]タイと「海賊」 / 平松 秀樹[コラム]広州十三行 / 劉 建輝第Ⅳ部 認知か越境か? : 近代国民国家体制の制度的綻びと海賊的侵犯行為と植民地美術行政における海賊的境界侵犯 : インドシナ美術学校とベトナム画家の「怪帆の術」 / 二村 淳子アントニン・レーモンドとル・コルビュジエ、建築における海賊行為 : 形式ではなく精神性が与えた影響についての考察 / ヘレナ・チャプコヴァーフランスにおける「任意の地区評議会」 : 海賊党の液体民主主義と近年の民主主義運用のふたつの動向から / 江口 久美[コラム]ユーゴスラビア内戦と「法」 : ものうり人の情景 / 山崎 佳代子[コラム]一九〇〇年、パリ : 模造された大韓帝国 / 李 建志[コラム]越境的あるいは海賊的 : 「タタールの木」をめぐって / 今泉 宜子[コラム]京都における人と野良猫の関係史 / 春藤 献一第Ⅴ部 海賊の修辞学 : 暗喩と交通修辞学における西洋と日本と中国 : その受容と変容をめぐって / テレングト・アイトル“Immature poets imitate; mature poets steal” : テクストの/における〈海賊行為〉にかんする予備的考察 / 三原 芳秋二一世紀に海賊化した「邦楽」 : 宮城道雄による邦楽器の改良と新しい楽曲制作でみる〈海賊活動〉 / 申 昌浩「民主主義」を抱きしめて : 石坂洋次郎映画はいかにして「民主主義」を戦後日本社会に受容させるに至ったか / 千葉 慶[コラム]海賊たちが帰る場所 : 彼は更に七日待って、鳩を放した。鳩はもはやノアのもとに帰って来なかった。(『創世記』八、十二) / 大橋 良介[コラム]殿様と熊とアイヌ文様 : 芸術/工芸/おみやげにおけるデザイン流用 / 中村 和恵[コラム]アラブ演劇の(非)流通から〈世界文学〉を踏み外す / 鵜戸 聡[コラム] 「公的研究費の不正使用に関するコンプライアンス研修会」を誉め讃える / 稲賀 繁美航海日誌抄録 : 海賊商品流通の学際的・文明史的研究で行った3つの美術展 / 大西 宏志あとがき : あらたな海賊学の船出にむけて / 稲賀 繁美共同研究会開催一覧人名索引執筆者紹介奥付
著者
楠木 伊津美 仙野 堅太 橋本 伸也 神林 勲 秋月 一城 大西 昌美 武田 秀勝 Itsumi KUSUNOKI SENNO Kenta HASHIMOTO Nobuya AKIZUKI Kazuki KANBAYASHI Isao ONISHI Masami TAKEDA Hidekatsu 藤女子大学人間生活学部 深川市立病院理学療法科 藤女子大学人間生活学部 北海道教育大学岩見沢校 松田整形外科病院口腔外科 北翔大学生涯学習システム学部 札幌医科大学保健医療学部 Fuji Women's University Fukagawa Municipal Hospital Fuji Women's University Matsuda Orthopedic Hospital Hokkaido University of Education Iwamizawa Hokusho University Sapporo Medical University
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.27-31, 2007-03-01

ヒトの生活において食事は重要な位置づけである。しかし、近年のライフスタイルの多様化に伴って食事の形態は変化し、「孤食」や栄養の偏った「偏食」がみられるようになった。そのような中で、「食育」が叫ばれてきている。食育の中でも食事の環境は大切であると考える。というのは、食事の環境は免疫機能の活性化を大きく左右し、加えて会食は、人間関係を形成するなど、社会的、精神的に良好な生活につながると考えられている。会食を行うことは、身体に必要な栄養素の摂取や心理面における満足感などの食事本来の目的のほかに、笑いや楽しみが得られ、ストレス軽減、免疫能の向上の効果があると考えられる。そこで、免疫系と内分泌系の機能検査として、末梢血中のNK細胞活性とコルチゾール値を用いて会食によるNK細胞活性、コルチゾール値の変化を検討し、会食がストレス軽減につながるかについて考察する。