著者
小西 哲郎
出版者
長崎外国語大学・長崎外国語短期大学
雑誌
長崎外大論叢 = The Journal of Nagasaki University of Foreign Studies (ISSN:13464981)
巻号頁・発行日
no.7, pp.39-49, 2004-06-30

This paper analyzes the Gospel of Matthew in description of Jesus genealogy as it identifies the distinction between two groups of Christians : Jewish Christian and Gentiles. Contrary to the genealogy commonly proposed by the Jews, Matthew includes four female gentiles in his genealogical description. In this paper, I examine among other things, why Matthew chose to include the gentiles in his genealogy.
著者
奥津 憲聖
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = The Bulletin of National Institure of Japanese Literature Archival Studies (ISSN:18802249)
巻号頁・発行日
no.13, pp.131-148, 2017-03-16

本稿では、1968(昭和43)年から1981(昭和56)年にかけて横浜市の企画調整局長や技監を務めた田村明の個人文書が持つ歴史的価値を明らかにし、その編成のあり方を検討する。田村は革新市政期の横浜市をブレーンとして支えた人物であり、先進的な都市政策を立案して現在の横浜の都市構造の礎を築いた都市計画の専門家である。地方自治体の政治過程に参画した専門家の個人文書は、公文書の内容からは明らかにすることができない政策立案の背景を現在に伝える。特に都市計画家の個人文書には公的記録の不足を補う歴史資料としての価値が認められる。田村明個人が作成・収受・整理し、自宅で保管していた文書群は彼の没後、「田村明資料」として横浜市史資料室に寄贈された。本稿では同資料の構造分析を行い、彼が生涯にわたって展開した機能の連続性と組織性を明らかにした。その上で「都市プランナー」、「家族」、「個人」という3 つのシリーズを設定し、同資料を編成した。さらに田村の経歴を反映させたサブシリーズと同資料に含まれる文書の内容に基づいたサブシリーズをシリーズ「都市プランナー」の下に並置させた。先行研究の編成論を踏まえながら、アーカイブズの内的秩序の構成理論に基づき提示した新しい編成手法は他の個人文書の編成にも応用することが可能である。This paper aims at elucidating the historical value and arrangement process of a collection of private records produced by Tamura Akira (1926-2010), a professional urban planner who served as the head of the planning and coordination bureau as well as chief engineer for City of Yokohama from 1968 to 1981. In those years when the reformist was the mayor, Tamura served as the brains behind Yokohama’s development, offering progressive proposals relating to urban planning, and setting the groundwork for the modern-day urban structure of Yokohama. Participating as he did in the political process of local government, Tamura’s private records give us a glimpse into the background of certain policymaking—information which is not generally included in public records. Tamura’s records—what are now referred to collectively as the Tamura Akira Documents—which were originally produced, collected, and organized in his own house, were donated to City of Yokohama Municipal Archives Reference Room after his death. This paper aims at analyzing the general contents of these records, as well as the continuity and organizational potential of Tamura’s works. I have organized his records into three series, depending on their content: there are records about his profession, about his family life, and about his personal life. In Addition, I have provided the first series with sub-series which depend on his career and interest. While consulting previous research into the process of document arrangement, I present here a new method, based on archival theory, of arranging private records in general.
著者
壬生 幸子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = Journal of kyoei University (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
no.16, pp.201-214, 2018-03-31

『記』『紀』のオケ王(仁賢天皇)・ヲケ王(顕宗天皇)兄弟の物語には,王統上重要な二王の即位の正当性を語るとともに,王統譜においてとりわけ重要な位置にあるオケの正統性を語る狙いがある。『古事記』は,ヲケとシビの歌垣と,それに続く二王によるシビ討伐のプロットを物語に組み込むことでこの狙いを達成した。二王がシビを武力討伐し,さらにオケが王位継承を宣明することで,二王の即位の正当性とオケの正統性を示している。また,二王の姨・イヒトヨ王の,二王の即位への関与は抑制的に記される。二王はシビ討伐により自らの力で王権を掌握したのであって,そこに日継を知らす王として認められていたはずのイヒトヨ王の関与をみることはできない。
著者
増村 雅尚
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学紀要 = Bulletin of Sojo University (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.109-114, 2019

本研究は、正課外活動が実際に学生にどのような影響を及ぼすのか、及ぼした影響が学生生活、ひいてはその多様化した社会生活で必要とされる「生きる力」にどのように貢献するかを調査する必要があると考え、学生生活において正課外活動がどのような心理的影響を及ぼすかについて検証を行い、大学生の正課外活動における心理的効果を検証する資料を得ることを目的とした。その結果をまとめると①本学男子バレーボール部員は大会前に緊張と不安が増しつつ、活気があふれる。②敵対心や怒りなどの外向きの変化はなく、「自分自身」にポジティブな働きかけを行う傾向であった。③「疲労」項目に変化がなく、心のコンディションは良好であった。④試合前には友好関係を強固にしようとする傾向にあった、となった。本学男子バレーボール部は、試合において「緊張-不安」から敵対心を持つのではなく、互いの「友好」関係を向上し、チームとして「活気」あふれる状態を作り出していた。これはチームスポーツを行う上で、非常に良好な状態であったと考えられる。
著者
澤田 忠幸
出版者
石川県立大学
雑誌
石川県立大学研究紀要 = Bulletin of Ishikawa Prefectural University (ISSN:24347167)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.77-85, 2019-03

本研究では、地方A 大学の1 年生135 名を対象として、初年次教育科目の授業前後で行った学生調査および学校法人河合塾と株式会社リアセックが開発したPROG(Progress Report On Generic Skills)の結果から、1 年前期終了時における汎用的技能(generic skills)の習得レベルの実態と個人差を規定する要因について検討を行った。その際、Astin(1993)のI-E-O モデルを基に、入学時点での学生の心理的特性要因、前期を通じた学生の成長指標(算出された各前期変化量)、授業経験後における習得技能(前期終了時の自己調整学習方略)の各尺度得点とPROG スコアとの関連を検討した。その結果、リテラシースコアと関連する要因は見出されなかった。一方、入学時の自己効力感の高さのみならず、前期を通じて自己効力感が高まった者、前期終了時にメタ認知的な自己調整学習方略を習得している者ほど、コンピテンシー総合スコアが高いことが明らかとなった。
著者
迫田 賀章 青田 直大 河野 健二
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2016-OS-138, no.17, pp.1-7, 2016-08-01

多量のデータを効率的に保持・管理・運用できるストレージシステムとして,キーバリューストア (KVS) が広く一般的に用いられている.本論文では,不揮発性 DIMM(NVDIMM) を用いた KVS のスループット向上手法を提案する.NVDIMM は,通常の DIMM に NAND Flash による待避領域を設けたものであり,不意の電源遮断等に対してもメモリの永続性を提供する.NVDIMM は DIMM と同等のレイテンシでアクセス可能である反面,その容量は DIMM のそれを超えることはできない.KVS は SNS などに用いられることが多く,読出し・書込みの比率が 1:1 となっており,書込みに対しても高いスループットが求められている.本論文では,書込みに対しても高いスループットを達成できる Log-Structured Merge-Tree(LSM-tree) に着目し,NVDIMM を用いて LSM-tree の性能向上を実現する.LSM-tree では,二次記憶上のデータ構造を再構成するコンパクションという処理が頻繁に行われるため,コンパクション時のアクセス遅延が増大する.LSM-tree の管理情報のみを NVDIMM 上に保存することで,コンパクション時の二次記憶へのアクセスを削減し,アクセス遅延の増大を抑える手法を示す.
著者
加賀江 優幸 南出 靖彦
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.1-10, 2015-09-21

文字列から新たな文字列を生成する計算モデルとしてAlurとCernyによるストリーミング文字列トランスデューサ(Streaming String Transducer: SST)がある.SSTは,文字を受け取るごとに文字列を保存できる変数の内容を更新し,最終的には変数の内容を用いて出力文字列を構成するトランスデューサである.本研究では,関数的非決定性ストリーミング文字列トランスデューサ(関数的SST)の等価性判定を正規表現による文字列置換の等価性判定に応用する.ここで,関数的とは非決定性であっても出力がたかだか1つであることを示す.関数的SSTの等価性判定問題の決定可能性はAlurらによって証明されている.しかしながら,判定方法は複雑であり直感的な理解が困難であった.そこで,本論文では関数的SSTの等価性判定アルゴリズムの簡略化について述べる.また,本アルゴリズムの実装および実験結果についても述べる.正規表現による文字列置換はグループ変数にマッチした箇所を複数回出力することができることから有限状態トランスデューサでは模倣できない.そこで,本論文では正規表現による文字列置換を関数的SSTで模倣することにより,関数的SST上の検証問題に帰着させる.最終的には,関数的SSTの等価性判定アルゴリズムを正規表現による文字列置換の等価性判定に応用する.
著者
佐藤 慎 大城 昌平
雑誌
リハビリテーション科学ジャーナル = Journal of Rehabilitation Sciences Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
vol.8, pp.107-115, 2013-03-31

骨格筋減少症といわれるサルコペニアは高齢者の虚弱発生の主要な原因であり,老年医学及びリハビリテーションの観点からも重要な課題とされている.近年,国内外問わずサルコペニアに関する知見(判断基準,分類,メカニズム,治療など)が多数報告されている.その中でサルコペニアと栄養との関連性を指摘しているものがある.近年「栄養ケアなくしてリハなし」といわれ,低栄養状態が高齢者の生命予後やActivities of Daily Living(ADL)の悪化につながるとされており,栄養とリハビリテーションの関係が注目されている.本論文では,サルコペニアの概念・メカニズム・治療(栄養介入,運動介入)に関して述べ,さらに今後の課題として,トレーニング介入時の栄養状態に着目することの重要性に関して考察した.
著者
松田 宗 田中 法博 市川 拓磨 望月 宏祐 室屋 泰三 北村 仁美
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2014-CG-155, no.1, pp.1-7, 2014-06-21

分光的な光反射モデルに基づいた工芸作品の CG 再現手法を提案する.本研究では東京国立近代美術館に所蔵されている 「十二の鷹」 を対象とした.この工芸作品は明治期に鈴木長吉によって制作された金工作品である.最初に 「十二の鷹」 の一つの頭部をレーザレンジファインダで形状計測する.このとき欠損部分は複数のレンジ画像から合成して補完する.2 番目に金工作品の各材質をレンダリングするために分光的な光反射モデルを構築する.このモデルは金属,合金,不均質誘電体の反射を記述することができる.本稿では,合金として朧銀の反射特性をこのモデルで記述した.3 番目に RGB カメラ出力から分光反射率を推定するアルゴリズムを提案する.そして,工芸作品の材質はこの分光反射率に基づいて判別される.最後に推定した材質の情報で工芸作品の CG を生成した.
著者
市川 定夫
出版者
The Genetics Society of Japan
雑誌
JAPANESE JOURNAL OF GENETICS (ISSN:0021504X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.409-423, 1981
被引用文献数
18

Two triploid clones (KU 7 and KU 9) of Tradescantia heterozygous for flower color were exposed to 1 to 42.3R of gamma rays or the scattering radiation in the gamma field of the Institute of Radiation . Breeding. Occurrence of somatic pink mutations in the stamen hairs was investigated 10 to 16 (or 14) days after irradiation. The mutation frequency was found to increase linearly with increasing gamma-ray exposure in the both clones, and the frequencies of 0.437 and 0.468 pink mutant events per 103 hairs per R were determined for KU 7 and KU 9, respectively. When the data collected in the present study were analyzed together with those obtained in earlier experiments in the gamma field, linear relationships of the somatic mutation frequency with gamma-ray (2.1 to 201.6R) and scattering radiation (0.72 to 57.6R) exposures were confirmed. Scattering radiation was found to have a genetical efficiency more than two times higher than that of gamma rays. Variation of spontaneous mutation frequency observed in the present study and in earlier studies was inversely correlated to temperature variation.