著者
東 賢太朗 Kentaro AZUMA
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-11, 2009-03-06

フィリピン・ボラカイ島は、美しいホワイトビーチが世界的に知られる観光リゾート地である。本稿では、今後のボラカイ島の観光文化に関する研究への予備的考察として、観光と環境、および観光と生活のそれぞれの関係性に注目する。フィールドワークによって得た資料や情報から、観光化や観光開発による環境の喪失という齟齬が生まれていること、また観光圏と生活圏が地理的かつ機能的に分化しながらアクターの往来によってコンタクトゾーンが生起していることを明らかにする。その上で、生活環境主義における「居住者の生活の便宜」について考察を行う。
著者
奥野 拓 高橋 正輝 山田 亜美 川嶋 稔夫
雑誌
じんもんこん2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.3, pp.199-206, 2014-12-06

公立はこだて未来大学では,函館市中央図書館と連携して歴史資料の登録から公開までの業務をサポートするデジタルアーカイブCMS を開発し,デジタル資料館として運用している.蓄積された膨大な歴史資料のファインダビリティを改善し,多目的に活用する目的で,LOD 化に取り組んでいる.他の歴史コンテンツと関連付けるため,日付,人物,場所をリソースとして抽出し,絵葉書資料RDF データセットを作成している.また,歴史的エピソードを仲介させることにより,間接的に関連する絵葉書資料を閲覧できるシステムを構築している.さらに,デジタル資料館の歴史資料を引用して特集コンテンツを作成するデジタルテーマ展や,市民が歴史資料にアノテーションを行う市民編纂SNS,様々な歴史資料RDF データセットを利用する観光アプリの構築を検討している.
著者
伊丹 伸 福田 耕治 杉野 隆三郎 三宅 修平 Itami Shin Fukuda Koji Sugino Ryuzaburo Miyake Shuhei 阿南工業高等専門学校創造技術工学科 東京情報大学総合情報学部 Department of Creative Technology Engineering National Institute of Technology Anan College/ Faculty of InformaticsTokyo University of Information Sciences
巻号頁・発行日
vol.21(1), 2017-09-30

生物の複雑な行動を定量化する手法の確立は,数理情報学の産業応用上重要な課題である.本研究では,カオス・フラクタル解析を用いて,光刺激に対する魚群の遊泳行動の定量化を試みる.試験魚は水産学上有益性の高いマアジとし,LEDによる光刺激は赤色・緑色・青色・白色と4種類の波長を与え,異なる光刺激に対する魚群行動パターンの相異をみるために実験を行った.水槽実験から取得した動画像データより,個々のマアジの遊泳軌跡を抽出して時系列データに変換,その群行動パターンの特徴量として最大リアプノフ指数とHiguchi法によるフラクタル次元を算出した.その結果,魚群行動の定量化に成功し,特に赤色時の遊泳行動にカオス・フラクタルによる特徴量の大きさの違いが確認できたことを報告する.
著者
星山 幸男 佐々木 康明
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学研究紀要 = Bulletin of Tohoku Fukushi University (ISSN:13405012)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.201-216, 2013-03-22

社会教育施設における指定管理委託の問題は、すでに多くの検討がなされているが、東日本大震災の被害を受けたところでは、この制度の本質にかかわる新たな問題が浮かび上がっている。そこで、宮城県南三陸町の総合スポーツ施設ベイサイドアリーナの事例を分析し、社会教育の課題に迫った。 事例では、施設が指定管理体制に移行された経緯と委託業務内容、震災発生時の状況と対応、その後の経過とスタッフの対応、指定管理者である企業から派遣された職員が直面した現実、そこで浮き彫りになった問題点について具体的にみていった。そこから、自治体と企業の板挟みとなり、それでも不眠不休の対応を進めた職員の姿が明らかとなった。 指定管理委託された社会教育施設では、公的施設であるがゆえに、自治体と指定管理者との二つの指揮系統下におかれる職員の性格のあいまいさが問題であり、専門的職員としての捉え直しの必要性が課題であることが明確になった。さらに、施設の管理運営の連続性・継続性と行政・指定管理者間の連携の問題、職員の専門性確保と研修の問題が課題であることを明らかにした。
著者
土田 哲也 福島 亮介 金子 尚樹 伊藤 秀一
出版者
横浜市立大学医学会
雑誌
横浜医学 = Yokohama Medical Journal (ISSN:03727726)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1・2, pp.29-34, 2017-05-30

IgA血管炎は,小児に好発する血管炎で川崎病に次いで多く,紫斑,腹痛,関節痛,糸球体腎炎を特徴とし,自然治癒が多く重症例は少ない.私たちはステロイド薬で症状は改善したが,ステロイド薬の減量中に突然の消化管出血を来たしショックに陥った一男児例を経験した.8 歳男児.紫斑と腹痛で来院し,IgA血管炎の診断で入院加療となった.ステロイド薬で症状は改善したが,ステロイド薬の漸減中に突然の腹痛,大量の血性下痢,顔色不良,末梢冷感,頻脈,さらに紫斑の再燃を認めた.腹部超音波検査と腹部造影CT検査で小腸から上行結腸にかけての腸管壁の肥厚と腹水の貯留を認めたが,出血源の特定は困難だった.ショックに大量輸液,濃厚赤血球輸血を速やかに行い循環動態は安定した.血管炎にステロイド薬の増量と第XIII因子の投与を行い,翌日以降の再出血はなかった.血液濃縮所見と腸管の浮腫や腹水より,ショックの原因は血管炎に伴う消化管出血と血管透過性亢進による血管内脱水の双方が推定された.消化器症状の改善とともに腹部超音波検査所見も改善した.ショックに至る例は成人を含め報告例は少ないが,本症例と同様にステロイド薬で症状が軽快した後にショック状態を呈した例がみられた.IgA血管炎は,ステロイド薬の減量中に消化管出血をきたすことがあり,身体所見,血液検査所見だけでなく,腹部超音波検査所見を定期的に観察することが重要であろう.
著者
後藤 真由子

2014年度修士論文要旨, 情報科学研究科メディア情報専攻
著者
浅沼 裕治 中京学院大学短期大学部保育科
雑誌
中京学院大学短期大学部研究紀要 = Bulletin of Chukyo Gakuin University Junior College (ISSN:24334898)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.1-13, 2018-03

本稿は、父子家庭の父親の語りにみられる、自身が育てる子どもの性別および発達段階の違いによる家族ケアの困難性を明らかにすることを目的とする。分析方法としては、計量テキスト分析を採用し、語りの内容をKH coder にて解析した。これまでの父子家庭研究においては、父子家庭の「父親―子ども」というカテゴリーにおいての支援が模索され、子どもの性別や発達段階を考慮した支援内容については考察がなされていない。本稿での分析の結果、これらの点について父親が家族ケアを行う際に抱える困難として、顕著に発現するものであることが示唆された。そして、こうした諸点を考慮に入れた支援施策の構築がなされる必要性が提示された。
著者
Tatsunori Hirai Hironori Doi Shigeo Morishima
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, 2018-03-15

This paper presents a topic modeling method to retrieve similar music fragments and its application, Music-Mixer, which is a computer-aided DJ system that supports DJ performance by automatically mixing songs in a seamless manner. MusicMixer mixes songs based on audio similarity calculated via beat analysis and latent topic analysis of the chromatic signal in the audio. The topic represents latent semantics on how chromatic sounds are generated. Given a list of songs, a DJ selects a song with beats and sounds similar to a specific point of the currently playing song to seamlessly transition between songs. By calculating similarities between all existing song sections that can be naturally mixed, MusicMixer retrieves the best mixing point from a myriad of possibilities and enables seamless song transitions. Although it is comparatively easy to calculate beat similarity from audio signals, considering the semantics of songs from the viewpoint of a human DJ has proven difficult. Therefore, we propose a method to represent audio signals to construct topic models that acquire latent semantics of audio. The results of a subjective experiment demonstrate the effectiveness of the proposed latent semantic analysis method. MusicMixer achieves automatic song mixing using the audio signal processing approach; thus, users can perform DJ mixing simply by selecting a song from a list of songs suggested by the system.------------------------------This is a preprint of an article intended for publication Journal ofInformation Processing(JIP). This preprint should not be cited. Thisarticle should be cited as: Journal of Information Processing Vol.26(2018) (online)DOI http://dx.doi.org/10.2197/ipsjjip.26.276------------------------------
著者
山崎 裕司 遠藤 晃洋
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 = Journal of Kochi Rehabilitation Institute (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-10, 2017-03-31

認知症患者の日常生活動作障害に対する行動分析学的介入について紹介した.応用行動分析学では動作障害の原因を,認知機能や身体機能の問題だけでなく,知識の問題,技術の問題,動機づけの問題から分析していく.知識の問題に対して間違った手順を修正する口頭指示は無効であった.知識の教示とフェイディングによる介入の有効性が示された.技術の問題に対する介入では,逆方向連鎖化や段階的な難易度設定,プロンプト・フェイディングなどの技法を用いた介入の有効性が報告されていた.動機づけの問題に対しては,強化刺激の整備によって適切な行動を増加させ得ることが示された.さらに,言語指示に従えない重症例に対する介入が本報告されていた.問題行動に対する介入では,不適切な行動を消去し,それに拮抗する適切な行動に強化刺激を与える介入が実施されていた. 多数の先行研究は,認知症を有する対象者に適切な行動を学習させ得ることを示した.応用行動分析学的介入は,認知症患者の日常生活動作能力を改善させるであろう.
著者
野津 加奈子 山崎 裕司
出版者
高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 = Journal of Kochi Rehabilitation Institute (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.63-66, 2007-03-31

認知症患者の立ち上がり動作練習への参加行動を促進するため,行動分析を用いた介入を実施し,その効果についてシングルケースデザインを用いて検討した.対象は,脳梗塞,左大腿骨頚部骨折,心不全の既往を有する89歳の高齢患者である.介入時点での日常生活動作は全介助で,立ち上がり練習場面では指示に従うことはまったく不可能であった.介入では,上肢のリーチ位置を明示した視覚的プロンプトを設置した.そして,動作遂行の試みを賞賛や注目によってシェイピングした.その結果,立ち上がり練習頻度は徐々に増加し,設定した立ち上がり練習課題をすべて遂行することが可能となった.認知症患者の動作練習において視覚的プロンプト,シェイピングなどの技法の有効性が示唆された.