著者
山本 雅基 小林 隆志 宮地 充子 奥野 拓 粂野 文洋 櫻井 浩子 海上 智昭 春名 修介 井上 克郎
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1_213-1_219, 2015-01-26 (Released:2015-02-11)

本論文では,協働教育の教育効果を測定するための新しい手法について提案して,実証評価する.分野・地域を越えた実践的情報教育協働ネットワークenPiTでは,全国の大学院生に対して,情報技術の実践力を高める教育を実施している.実践力の育成を目的とする教育協働における教育効果の測定には,2つの課題が挙げられる.第一に,実践力は専門知識の定着を問うテストでは測定困難である.第二に,履修カリキュラムが異なる受講生を共通の指標で評価することも困難である.本論文では,学習経験を問う質問紙と行動特性を計測するテストを併用することにより,履修カリキュラムが異なる受講生の実践力を統一の基準で評価する手法を提案し,enPiTで実証評価した.
著者
高橋 奎太 奥野 拓
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.s2, pp.s142-s145, 2021 (Released:2021-12-10)
参考文献数
3

地域学習は、その地域に関する地理や歴史、文化を幅広く学ぶことができる授業であり、児童の身近な地域の社会的事象についての興味・関心を広げることができる。地域学習では、教員が副読本や複数のWebサイト上で収集した地域史資料を用いて授業を行っている。しかし、教員にとってWebサイトを横断して資料の収集を行い、教材を作成することは負担が大きい。そのため本研究では、Webサイト上の地域史資料を活用し、地域学習に必要な資料の探索が容易なシステムの構築を目指す。現在は、人物名や歴史的な出来事などの検索ワードから地域史資料を探索できる資料検索画面と閲覧中の資料に記述されている歴史的な出来事が起きた場所を古地図上から探索できる資料詳細閲覧画面を開発中である。
著者
小林 孝寛 藤井 正史 奥野 拓弘 藤原 修治 鈴木 直人
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.91.19019, (Released:2020-03-10)
参考文献数
24
被引用文献数
3

This study examined the effects of concealment on physiological and psychological responses during the Concealed Information Test (CIT). Sixty police officers who volunteered for the study were randomly assigned to either the one non-concealing group (truthful response group) or two concealing groups (“Yes”-only or “No”-only response groups). They underwent the CIT and completed questionnaires about affect and anxiety. Although no significant differences were observed in tonic physiological responses, affect, and anxiety between the non-concealing and concealing groups, the concealing groups had significant differences between critical and noncritical items in skin conductance response (SCR), heart rate, normalized pulse volume, and respiratory speed. In the non-concealing group, only differences in SCR were observed. These results suggested that concealment during the CIT affects phasic physiological responses to stimuli independently of the effect on tonic physiological responses, affect, and anxiety.
著者
奥野 拓 高橋 正輝 山田 亜美 川嶋 稔夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.3, pp.1-7, 2014-03-22

本研究は様々な形式でデジタル化され散在する地域の歴史資料を LOD 化し,関連付けることにより統合利用を可能とすることを目的とする.本報告では,函館地域の例として,絵葉書の画像アーカイブ,地域史年表,歴史上の人物紹介をそれぞれ RDF データセット化した事例を取り上げる.また,それらを関連付けた統合利用例として,「エピソードでつながる函館歴史写真」 と 「函館ゆかりの人物スポット」 を示す.Regional of historical records are digitized and on public via the Internet. This study aims at enabling integrated application of them by making LOD of them and link with each other. This report focuses on an activity in Hakodate, making RDF datasets of the archives of picture postcards, the chronology of city history, and the biography of famous historical persons. As examples of integrated applications, "The Historical Photographs of Hakodate Linked by Episodes" and "The Spots Associated with Persons of Hakodate" are shown.
著者
高橋 正輝 奥野 拓 川嶋 稔夫
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.9, pp.1-6, 2013-01-11

函館のデジタルアーカイブに含まれる大量の写真資料はメタデータが少なく,写真間が歴史的関連で関連付けられていない.そこで,函館の歴史に関する文献を利用することで写真資料のメタデータを補い写真間が関連付く可能性がある.写真資料と函館市史年表編,はこだて人物誌を Linked Open Data (LOD) として作成し公開する. LOD とは外部とのデータ連携を実現する技術である.函館の歴史資料を LOD 化することで,地域写真アーカイブの編纂を目指す.Photos in Hakodate photo archives have historical relations to each other, but there is no links between them. There is a possibility that the photos are linked by using historical records of Hakodate. This study aims to link the photos in the archives by generating Linked Open Data of photo archives, historical calendar, and historical figure of Hakodate.
著者
岡田 将太朗 奥野 拓
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:21888809)
巻号頁・発行日
vol.2021-IS-158, no.5, pp.1-4, 2021-11-27

本研究の目的は,マインドフルネスを用いてスマートフォン依存症を容易に改善できる仕組みを実現することである.そのために,マインドフルネス認知療法を支援するスマートフォンアプリを構築する.本研究ではマインドフルネス認知療法の一種であるマインドを用いる.マインドは,出来事や思考に対する自身の感情を擬人化して扱う手法である.自身の感情を擬人化し客観的に観察することにより,その感情を引き起こした出来事や思考に対するストレスを軽減させるという効果がある.本研究にて構築したアプリでは事前にユーザに,依存しているアプリとそのアプリを制限したい時間帯を設定してもらう.その後,設定した時間帯に依存アプリを開いた場合にのみ,本アプリが自動的に起動する.ユーザはその際に浮かんできた思考や出来事を記入する.記入後,それらの思考や出来事に対する感情が推定されるため,その感情を観察することでマインドを行う.しかしながら,先行研究においてスマートフォン依存症者にスマートフォンを通じてマインドフルネス認知療法を行うことや,推定された感情を観察してマインドを行うことの有用性については検証されていないため,本研究では脳波や構築したアプリから取得するデータを用いて,それらの有用性についても検証を行う.
著者
櫻井 浩子 山本 雅基 海上 智昭 小林 隆志 宮地 充子 奥野 拓 粂野 文洋 春名 修介 井上 克郎
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1_52-1_57, 2017 (Released:2017-02-04)
参考文献数
13

The education project, Educational Network for Practical Information Technologies, called enPiT, consists of four different important field in information technologies of information security, cloud, embedding system, business application, covers 100 universities, and more than 1,300 students have joined in enPiT. The difficulties and challenging points in enPiT exist in rich diversities of students, who are originally educated in different universities with different curriculums. This is why it is important to develop a measure of effectiveness of our education systems. In enPiT, we evaluate effectiveness by two ways of each practical skills and PROG test. In this paper, we report how to evaluate the effectiveness of practical education developed in the education project enPiT.
著者
奥野 拓 大場 みち子 山口 琢
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回全国大会(2015)
巻号頁・発行日
pp.1G2OS08a1, 2015 (Released:2018-07-30)

Linked Open Data(LOD)技術を利用して、地域の情報化を推進する、公立はこだて未来大学の取り組みを紹介する。取組の場は講義、学部・大学院での研究やProject/Problem Based Learning (PBL)形式の演習であり、対象分野は観光、地域の歴史や防災である。地域と連携した研究やPBLの活動内容と開発したアプリなどの成果について報告する。
著者
似内勇太 奥野拓
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.561-562, 2014-03-11

現在,Web上には人名,地名,住所など様々なデータが文章中に含まれ公開されている.文章をLinked Data化する場合,文章中のリソースの特定作業とプロパティの選定作業が課題となる.本研究では,Linked Data化する対象を観光情報サイト内の文章と定め,固有表現抽出を用いて文章に含まれるリソースの抽出とプロパティの推薦を行う.機械学習の手法の一つであるCRFを用いて固有表現抽出を行うために,観光情報サイト内に含まれる店名やメニューなどの観光属性情報を定義し,観光情報サイト内の文章から教師データを作成する.また,抽出結果に付与される属性情報とプロパティを関連付け,プロパティの推薦を行う.
著者
奥野 拓 高橋 正輝 山田 亜美 川嶋 稔夫
雑誌
じんもんこん2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.3, pp.199-206, 2014-12-06

公立はこだて未来大学では,函館市中央図書館と連携して歴史資料の登録から公開までの業務をサポートするデジタルアーカイブCMS を開発し,デジタル資料館として運用している.蓄積された膨大な歴史資料のファインダビリティを改善し,多目的に活用する目的で,LOD 化に取り組んでいる.他の歴史コンテンツと関連付けるため,日付,人物,場所をリソースとして抽出し,絵葉書資料RDF データセットを作成している.また,歴史的エピソードを仲介させることにより,間接的に関連する絵葉書資料を閲覧できるシステムを構築している.さらに,デジタル資料館の歴史資料を引用して特集コンテンツを作成するデジタルテーマ展や,市民が歴史資料にアノテーションを行う市民編纂SNS,様々な歴史資料RDF データセットを利用する観光アプリの構築を検討している.
著者
奥野 拓也 中村 和幸
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.61-74, 2016-12-14

セールスプロモーションは顧客の購買行動へ直接的に働きかけるため,多用されているマーケティング施策である.しかし,セールスプロモーションの効果に関しては他の要因から複雑な影響を受けているため純粋な計測が難しいが,要請は強い.本研究はそういったニーズに鑑み,市場反応が動的であると仮定し,プロモーション活動が来店・購買に与える影響を推定する.そのために,来店と購買の生起行動を確率モデルで構築する.構築した確率モデルを状態空間モデルで記述し,個人ごとに提供するプロモーションが与える影響の時間変化を推定する.スーパーマーケットのID付きPOSデータから価格帯の異なる2商品を用いた結果,長期的なプロモーションの購買へ与える影響が異なることが示唆された.両商品において継続的なプロモーション効果があるが,高価格帯で割引率の高い商品は低価格帯で割引率の低い商品よりも長期的にはプロモーション効果が弱くなることが確認された.In the marketing field, sales promotion is used extensively because it can directly work on consumer buying behavior. The measurement of the effect of the sales promotion is required though it is difficult because the effect is complexly affected from other factors. In this research, we estimate the effect of sales promotion on a shopping trip and purchase behavior by assuming dynamic market response. Probability model of the occurrence of the shopping trip and purchase behavior is constructed. This model is transformed to state space model and we estimate the time course of the effect of the individual promotion. We have targeted two items in analysis using ID-POS data of a supermarket. The result implies that the effect of long-term promotion is different between two items. More specifically, the effect of the promotion of the item that is high price and high discount becomes weaker than the one that is low price and low discount in long-term period though it is continued for both items in analyzed period.
著者
大場 みち子 山口 琢 伊藤 恵 奥野 拓
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.6, pp.1-4, 2014-05-31

実践的な ICT 人材育成の場として,システム開発 PBL (Project Based Learning) を採用する高等教育機関が増えている.PBL は調査・提案から始まるため,進捗に従って必要な技術・スキルが判明してくるという特徴がある.学生は,これらに自ら気づいて学習することが期待されている.そこで,PBL の現実感を維持して,学生の自主性を促しつつも,技術の習得状況を体系的に把握して,最終的には必要な技術を身につけさせる仕組みの構築を研究目標としている.本論文では,この仕組みとして,(1) プロジェクトの進捗に従って明らかになる知識やスキルを講義などと関連づけ体系的にチームで共有する情報システムと,(2) 企業における OJT (On-the-Job Training) を参考に TA や先輩が後輩を指導する体制と,(3)PBL での役割を全員で体験学習するなど,講義・PBL 間の相互交流の仕組み,で構成する実践型 ICT 教育システムを提案する.As a place of ICT human resource development practical, higher education institutions to adopt (Project Based Learning) system development PBL is increasing. In order to begin the survey and proposals, there is a feature necessary technical skills that come been found in accordance with the progress PBL. The students, learning noticing themselves they are expected. Therefore, as a research goal to build a mechanism for maintaining the reality of PBL, even while encouraging the autonomy of the student, understand systematically the learning state of the art, makes wearing the technology necessary in the end have. In this paper, as this mechanism, and information systems to share in the team systematically in conjunction with other lectures and the knowledge and skills required by (1) PBL, OJT (2) Corporate (On-the-Job Training) seniors and the TA and led system juniors to reference, such as hands-on learning at all a role in (3) PBL, and the hands-on ICT education system to be configured in the mechanism, the interaction between the PBL and lecture proposed.
著者
奥野 拓 伊藤 恵 大場 みち子
出版者
公立はこだて未来大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ソフトウェア開発においては多くのドキュメントが作成される.しかし,ワードプロセッサ等で作成した場合,トレーサビリティの低下,メンテナンスコストの増大という問題が発生する.この問題を技術文書向けの XML 標準である DITA を導入することにより解決している.ソフトウェアドキュメントを DITA の構成要素であるトピックとして記述するために, 標準的なソフトウェアドキュメントの構造化モデルを作成し, トピック粒度の検討を行った.また,意味的な関連性によりトピックを検索する手法を構築し,DITA に基づいた統合ソフトウェアドキュメンテーション環境を汎用ウェブ CMSを拡張して構築した.
著者
奥野 拓也
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

本年度は昨年度まで用いてきたNiFe多結晶試料に加えCoNbZrアモルファス合金試料を用いて磁気渦中心の垂直磁化(吹き出し磁化)の磁気的性質を調べ、ブロッホポイント(BP)と呼ばれる原子サイズの磁気構造が関係する磁化反転過程CoNbZrはNiFeと同様磁気異方性が無視できるほど小さく、NiFeと比べ構造のみが違う(多結晶とアモルファス)系であると考えられる。まず膜厚60nmのCoNbZrアモルファス膜を直径450mmの円盤状ドットに加工し、CoNbZrアモルファス膜における吹き出し磁化の反転磁場を測定した。その結果、NiFe試料と比較して、反転磁場値はほぼ同じであった。両者の飽和磁化はほぼ等しく、反転磁場値は飽和磁化に依存することが示唆される。一方、反転磁場分布はCoNbZr試料の方が明らかに小さくなり、反転磁場分布が膜質によって大きく依存することがわかった。吹き出し磁化の反転過程においては原子サイズの磁気構造であるブロッホポイント(BP)が試料表面に生成し、進行すると考えられており、結晶粒界といった交換結合のミクロな分布が反転磁場分布に大きくするという以上の結果は、吹き出し磁化の反転過程がBPの生成、進行を伴うことを強く支持する。次に上記CoNbZr試料を用いて反転磁場の温度依存性を調べた。強磁性転移温度より十分低い温度領域では、反転磁場の温度依存性を調べることは、外部磁場に対するエネルギー障壁の高さの変化を調べることになる。反転磁場の温度依存性より、吹き出し磁化の磁化反転におけるエネルギー障壁の変化は外部磁場の1乗に比例することが判明し、通常の微小磁性体の3/2乗に比例する振舞いとは異なることがわかった。また、Thiavilleらがシミュレーション計算により求めたエネルギー障壁の外部磁場依存性と比較すると、実験結果との良い一致はみられなかった。シミュレーションではメッシュサイズ以下の微細磁気構造は原理的に再現できないことから、この結果は吹き出し磁化の反転に際し彼らのメッシュサイズ(2nm)以下の磁気構造、つまりBPの出現を示唆する。