著者
杉谷 巌
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.135-138, 2012 (Released:2013-02-28)
参考文献数
6
被引用文献数
1

日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会共同編集による『甲状腺腫瘍診療ガイドライン』では,甲状腺乳頭癌(PTC)に対する甲状腺切除術式について,「甲状腺全摘術が,甲状腺葉切除術に比べて,再発・生命予後を向上させるというエビデンスは弱いが,ハイリスクと評価したPTCに対して甲状腺全摘術を推奨する」と述べ,低危険度癌に対しては甲状腺温存切除を容認している。当科における経験では低危険度群の治療成績は甲状腺切除範囲にかかわらず良好であり,最近では患者のインフォームド・デシジョンを重視して治療方針を決定している。一方,高危険度群の治療成績は甲状腺全摘・放射性ヨード内用療法によっても劇的な改善は見込めそうになく,他臓器合併切除なども含めた局所根治手術に加え,新たな治療法の開発が期待される。PTCのリンパ節郭清については予防的側頸部郭清を行わない方針により良好な治療成績が得られている。
著者
柴田 希
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2018

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著者
小川 圭一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.288-303, 2016 (Released:2016-10-20)
参考文献数
41
被引用文献数
2

本研究では,出発地・目的地間の自転車の車道横断回数を考慮して,自転車の通行方向を左側のみの一方向通行とする整備や規制をおこなった場合と,双方向通行とする整備をおこなった場合との,出発地・目的地間の交通事故遭遇確率の比較をおこなう.具体的には,格子状の道路ネットワークをもつ京都市中心部と,非格子状の道路ネットワークをもつ京都市郊外の洛西ニュータウン付近とを対象として,出発地・目的地間の交通事故遭遇確率の算定をおこない,格子状,非格子状といった道路ネットワーク形状に関する特性と,自転車の通行位置と通行方向による交通事故遭遇確率との関係について比較をおこなう.
著者
横内 裕人
出版者
日本古文書学会
雑誌
古文書研究 (ISSN:03862429)
巻号頁・発行日
no.73, pp.147-149,図巻頭1枚, 2012-06
著者
下間 浩平
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.146-151, 2015-05-23 (Released:2015-07-11)
参考文献数
11

本稿では,『出版指標年報』『出版年鑑』『出版物販売額の実態』『特定サービス産業実態調査』の問題点と矛盾点について考察する.まず前者2者について,掲載される範囲と除外される範囲の検 討を行い,これらは出版社全体の売上のうち限られた部分しか掲載しておらず,さらにどの程度の割合が掲載されているか不明瞭であることを明らかにする.次いで後者2者について,金額を推定した根拠が明確でないこと,数字に不可解な変動が見られることを示す.その上で,4者に掲載されている数字を比較検討し,これらの間に多様な矛盾点があることを示す.結論として,出版業界に関する定量的な研究は,現状ではほとんど意味をなさないことを指摘する.
著者
阪口 慧
出版者
東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻
雑誌
言語情報科学 (ISSN:13478931)
巻号頁・発行日
no.11, pp.19-35, 2013

本稿は日本語形容詞「やばい」の意味・機能の拡張を考察対象とし、形容詞の否定的意味から肯定的意味及びその他の意味・機能への拡張のメカニズムを考察する。日本語形容詞「やばい」は否定的な意味を本来持ち、現在では肯定的意味、否定も肯定も担わない意味(絶対値的意味)及び強調詞として使われる。それらの意味・機能の異なりは、スケールドメインにおける概念化の差異によると考える。「やばい」のそれぞれの意味に対応するスキーマとして、肯定的スキーマ、否定的スキーマ、絶対値的スキーマを措定し、それぞれのスキーマ間の拡張関係を認知言語学の観点から考察する。絶対値的スキーマと便宜的に名付けたものは「やばい」の否定的スキーマから肯定的スキーマへの拡張、及び形容詞から強調詞(副詞)用法への拡張を可能にする上位スキーマ的節点であると主張する。また絶対値性は「やばい」の意味拡張を説明するためだけに持ち出した概念ではなく、肯定・否定性を持つ語の意味拡張及び機能拡張の分析に有効な概念であることも加えて主張する。
著者
田所 摂寿
出版者
作新学院大学
雑誌
作大論集 (ISSN:21857415)
巻号頁・発行日
no.7, pp.67-82, 2017-03

要約 本論文では、"カウンセリングコンピテンス"という概念を中心として、カウンセラー教育プログラムについて検討を行った。カウンセラー教育において重要な概念となる「科学者−実践家モデル」や、心理臨床実践におけるエビデンスの扱い方についても概説した。本論文のキー概念であるカウンセリングコンプテンスの要因としては、①知識(knowledges)、②素質と経験(senses and experiences)、③人間観(哲学)と態度(veiwof human nature and attitudes)、④スキル(skills)、⑤臨床実践量(practices)の5つを取り上げ、それぞれの要因について詳細な説明を試みた。併せて、これらの要因を「カウンセリングの質」を測るための計算式に表現することも試みた。今後の課題としてはカウンセリングコンピテンスを測定する尺度を作成し、実証していくことが挙げられた。