著者
関根 道和
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.435-438, 2010 (Released:2012-03-27)
参考文献数
5

1) 医療の成熟度の高まりとともに,人材管理,技術管理,財務管理のバランスが求められるようになり,医師の生涯学習の一環として経営学習得の重要性は高まっている.2) 経営学は医学部の卒前・卒後教育のなかで学ぶ機会が少なく,多忙な生活の中で自身のキャリアパスを中断することなく学習する方法として,遠隔学習は有用な手段である.3) 中途退学等を防ぐためには,受講側の時間管理やモチベーションの維持とともに,提供側の管理運営システムの構築やリアリティを高める工夫が必要である.
著者
北村 義浩
出版者
国立感染症研究所
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

HIVのインテグラーゼに対するマウスモノクローナル抗体を作製し、このマウスモノクローナル抗体から単鎖抗インテグラーゼ抗体分子(scAbE)を作製した。scAbEとHIVのアクセサリータンパク質であるVprとの融合タンパク質(scAbE-Vpr)、およびVprと結合することが明らかになっているペプチドモチーフ(WxxF)を付加したscAbE分子(scAbE-WxxF)を作製した。さらにscAbEとHIVのキャプシッドタンパク質(CA)との融合タンパク質(scAbE-CA)も作製した。これらタンパク質を発現するヘクターDNAをHIV infectious clone DNA(pLAI)とともにヒト細胞293Tにtransfectして培養上清中のウイルスを回収した。ウイルス粒子のタンパク質について、ウェスタンブロット法で調べたところscAbE-VprとscAbE-WXXFは効率よくウイルス粒子内に取り込まれていた。しかし、scAbEあるいはscAbE-CAはウイルス粒子には取り込まれなかった。これらウイルスの感染性をMAGIアッセイ法にて調べた。同じ量のRT活性で比較した場合、野生型ウイルスに比べてscAbE-Vprを取り込んだウイルスとscAbE-WxxFを取り込んだウイルスとでは、感染性が最大で、それぞれ10^3倍、10^4倍低下した。scAbE-WxxFを安定に発現するHeLa細胞を樹立できたが、その一方で、scAbE-Vprを安定に発現するHeLa細胞は得られなかった。このようにウイルス粒子に取り込まれてそのウイルス粒子の感染性を低下せしめる分子は全く新規の抗ウイルス治療分子であるので、packageable ativiral therapeutics(PAT)と命名した。scAbE-Vprとは異なりscAbE-WxxFは細胞毒性を呈さず、より理想的なPAT分子と思われた。この分子はAIDSの遺伝子治療に応用できるだろう。
著者
高崎 理子
出版者
中央大学大学院事務室
巻号頁・発行日
2019-03-15

【学位授与の要件】中央大学学位規則第4条第1項【論文審査委員主査】西海 真樹(中央大学法学部教授)【論文審査委員副査】北村 泰三(中央大学法務研究科教授),宮野 洋一(中央大学法学部教授),目賀田 周一郎(中央大学法学部教授),中坂 恵美子(中央大学文学部教授)
著者
大木 弘治 内田 宗志
出版者
メジカルビュー社
巻号頁・発行日
pp.532-535, 2019-05-19

はじめに大腿骨寛骨臼インピンジメント(femoroacetabular impingement;FAI)は, 2003年にGanzらによって新たに提唱された概念であり,大腿骨や寛骨臼の形態 異常により,インピンジ(衝突)することで股関節痛が誘発され,さらには股関節 可動域制限を生じる。股関節唇損傷や変形性股関節症の一因として,広く認識さ れるようになった。 FAIは形態により,①大腿骨頚部の骨性隆起によるcam type,②寛骨臼縁の過被 覆によるpincer type,③その両者が併存するmixed typeの3タイプに分類される。 最初の治療は,投薬,リハビリテーションなどの保存療法が中心であるが,そ れでも改善しない場合,あるいはエリートスポーツ選手などでは手術療法が選択 肢の1つとなる。手術は,寛骨臼と大腿骨の膨隆部分を切除してインピンジメント を解消し,またインピンジメントにより損傷した関節唇を修復もしくは再建する が,最近ではより低侵襲な治療として,股関節鏡視下での手術が広く行われるよ うになった。 本稿では,筆者らがFAIの手術において行っているコツについて述べる。
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.446, pp.37-44, 2011-11

飲食業では、20歳代で店長になる人は、珍しくありません。今回の例のように、初めてお店を任された店長は、スタッフとの人間関係で悩むことがあると思います。若くして店長に抜擢される人は、人一倍努力するタイプが多いはず。そのため、経験の浅いパートやアルバイトのスタッフの未熟な点が目に付いて、厳しく指導したくなるかもしれません。
著者
Koichi Ito Emiko Chiba Noriko Oyama-Manabe Satoshi Washino Osamu Manabe Tomoaki Miyagawa Kohei Hamamoto Masahiro Hiruta Keisuke Tanno Hiroshi Shinmoto
出版者
Japanese Society for Magnetic Resonance in Medicine
雑誌
Magnetic Resonance in Medical Sciences (ISSN:13473182)
巻号頁・発行日
pp.mp.2020-0182, (Released:2021-05-15)
参考文献数
23

Purpose: To assess the diagnostic performance of the tumor contact length (TCL) and apparent diffusion coefficient (ADC) for predicting extraprostatic extension (EPE) of prostate cancer with capsular abutment (CA).Methods: Ninety-three patients with biopsy-proven prostate cancer underwent 3-Tesla MRI, including diffusion-weighted imaging (b value = 0, 2000 s/mm2) and radical prostatectomy. Two experienced radiologists, blinded to the clinicopathological data, retrospectively assessed the presence of CA on T2-weighted imaging (T2WI). TCL on T2WI and ADC values were measured on detecting CA in prostate cancer. We used the receiver operating characteristic curves to assess the diagnostic performance of TCL and ADC values for predicting EPE.Results: CA was present in 58 prostate cancers among 93 patients. The cut-off value for TCL was 6.9 mm, which yielded an area under the curve (AUC) of 0.75. This corresponded to a sensitivity, specificity, and accuracy of 84.2%, 61.5%, and 69.0%, respectively. The cut-off value for ADC was 0.63 × 10–3 mm2/s, which yielded an AUC of 0.76. This, in turn, corresponded to a sensitivity, specificity, and accuracy of 84.2%, 59.0%, and 67.2%, respectively. The combined cut-off value of TCL and ADC yielded an AUC of 0.82. The specificity (84.6%) and accuracy (81.0%) of the combined value were superior to their individual values (P < 0.05).Conclusion: A combination of TCL and ADC values provided high specificity and accuracy for detecting EPE of prostatic cancer with CA.
著者
岩橋 尊嗣
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.183-183, 2012

日本では,これからの季節,温度と湿度の高い生活環境を迎える.そして,梅雨どきのジメジメ感は不快指数を一気に押し上げる.においと湿度の関係の定義は未だ確立されていないが,一般的には,湿度が高くなると,においに対しても敏感になりがちである.これは,高湿度によりもたらされる身体的な不快感との相乗効果も考慮する必要がありそうだ.また,高湿度になると空気の循環性が悪くなり,におい物質は滞留し易くなる.このような現象によっても,人はにおいをより強く,不快に感じるようになる.さらにこの時期,気温・湿度の上昇にともない微生物の働きが活発化する.この時に問題になるのがカビ・バクテリア(細菌)によって作りだされるにおい物質である.本特集では,微生物分野の研究で活躍されている専門の方々に,以下に示すテーマについてご執筆いただいた.いずれのテーマも,読者の方々に有益な情報となり興味深く読んでいただける事を確信している.鍵氏(東工大大学院)には「居住空間での微生物由来揮発性有機化合物(MVOC)について」という題目で執筆していただいた.真菌(カビ)や細菌(バクテリア)などの増殖と代謝過程において様々なMVOCが産生される.ここでは,カビによって作られるMVOC に特化しての記述である.主たるMVOCはアルコール類,ケトン類,アルデヒド類,スルフィド類,低級脂肪酸類,テルペン類,フェノール類等で,これら多種の物質が複合されて,カビ臭が形成されるようだ.通常,ジェオスミン,2-メチルイソボルネオール類がカビ臭の典型とされるが,室内空間のカビ臭は単純ではなく複合臭である事が解る.柳氏(工学院大)には「空調システム内微生物の汚染とカビ臭の対策」という題目で執筆していただいた.空調システム(エアコン)内は,微生物(カビ,バクテリア)が容易に増殖できる環境が整っている.特に冷房時は栄養分,温度,湿度,酸素(空気)の条件が揃っており,微生物の増殖が活発化され,それに伴ってにおい物質も産生される.また,空調システムで生起する微生物汚染は,外部から空調系を経由する在郷軍人病(レジオネラ肺炎)と空調系自身が汚染源となる加湿器病に分類される事,調査事例も含め空調システムから分離された微生物,さらに殺菌法についても詳細に述べられている. 丸山氏(帝京大),安部氏(帝京平成大)らには「植物精油の抗真菌・抗炎症効果〜真菌感染症治療への可能性〜」という題目で執筆していただいた.近年,日本でもアロマセラピーや森林浴などという言葉が定着しつつある.趣味・嗜好的な分野と思われがちだが,植物精油の働きの一つとして,抗菌性・抗炎性など医療としての効能が注目されている.精油には既存薬剤にはない優れた皮膚浸透性や揮発性という物理的特性があり,これを生かした活用法が差別化となる.精油は細菌より真菌に対して強い効果を示すとされ本文中では,白癬菌(水虫)およびカンジダ菌に対する精油の有効性(治療効果)について詳細に述べられ,さらに,抗炎症効果についてもそのメカニズムとともに述べられている.最後に,竹内氏(奈良女子大),木内氏(産総研),鈴木氏(奈良女子大)らには「文化財保全のためのカビ臭対策」という題目で執筆していただいた.文化財の保護・保存で最も厄介なことはカビの発生による損傷であるとも言われている.記憶に新しいものとしては,古墳壁画のカビによる破損消滅がある.国宝や国宝級と言われる文化財がカビによって,いとも簡単に壊されていくのには驚かされる.しかしカビが,目に見えるレベルに達すると,既に被害が出ているらしい.著者らはカビによって産生されるにおい物質に着目し,これらをいち早く検出する事で,目視での確認以前の状態でカビ発生を早期確認出来る手法を開発した.本文ではこれらの研究結果について解説されている.最後になったが,本特集を企画するにあたり,ご多忙中にも関わらず執筆をご快諾いただいた著者の方々に,本紙面を借り深く感謝申し上げます.

1 0 0 0 日ノ岳遺跡

出版者
長崎県立美術博物館
巻号頁・発行日
1981
著者
川岸 佑衣果 高田 暁
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.59-62, 2020

夏季の室内で人体が湿度による不快を感じる条件を明らかにするため、住宅内の居室における暑さ、ジメジメ感、ムシムシ感の有無の調査を行った。一方、人工気候室で、気温 28~31℃の範囲で複数の相対湿度条件に被験者を曝露する実験を行い、温冷感、快適感、乾湿感、ジメジメ感、ムシムシ感、ベタベタ感について申告させた。被験者実験で申告された不快感は温冷感に必ずしも相関せず、PMV が 0~+0.5 の環境であっても不快感、ジメジメ感、ムシムシ感の申告がみられた。気温 28~29℃の範囲の高湿度条件では、暑さを伴わない不快感が発生する可能性があることが分かった。
著者
江川 悠斗 谷口 義明 井口 信和
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.1298-1306, 2021-05-15

Wi-Fiネットワークを介して様々なIoT機器がインターネットに接続されているが,小規模組織や家庭ではIoT機器が適切に管理されておらず,十分なセキュリティ対策が講じられていない場合がある.管理されていないIoT機器を管理するためには,まず,無線LAN内のIoT機器を把握する必要がある.そこで本稿では,ノートPCのみを用いて無線LAN内のIoT機器の把握を支援できるシステムを提案,開発する.提案システムは,まず,無線LAN内の無線フレームを観測することにより,無線LAN内に設置されたIoT機器のアドレス一覧を取得する.また,IoT機器から送信される無線フレームの受信電波強度を利用して,システム利用者がシステム上に表示されたアドレスと実際のIoT機器の対応付けを行う際の補助を行う.さらに,利用者が所在を把握していないIoT機器がある場合は,そのIoT機器の設置場所に利用者を誘導する.本稿では,研究室内に設置したIoT機器を利用した実験により,提案システムを用いてIoT機器の把握を支援できることを示す.
著者
福嶋 聖淳
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.17-22, 2020

<p>インターネット上の情報は今日の社会において欠かすことのできないものとなっており,2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)を後世に伝えていくためにも,それらの保存が課題の一つである。国立国会図書館はインターネット資料収集保存事業(WARP)により,東京2020大会に関連する様々なウェブサイトの保存に努めている。ウェブアーカイブに関する国際協力組織であるIIPCにおいても同様に,オリンピック・パラリンピックに関するウェブサイトの保存が図られている。近年は,ウェブアーカイブの研究利用も進められており,オリンピックやスポーツ関連のウェブアーカイブを利用した試みもなされている。</p>
著者
宮澤 隆仁 宮岡 誠 佐藤 潔
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.124-128, 1995

右中頭蓋窩底部より発生, 右側頭葉に埋没するように発育し, CT上神経膠腫との鑑別が困難であった46歳男性の脳内神経鞘腫の一症例を報告する. 術中所見より本腫瘍は中頭蓋窩底部硬膜内三叉神経硬膜枝より発生したと考えられた. 脳神経との関係をもたない脳内神経鞘腫15例について文献的考察を加える.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュータ = Nikkei computer (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.887, pp.46-51, 2015-05-28

自動発注プログラムの不具合により、証券会社が予期せぬ大量注文をした場合などに有効な機能だ。「特定のサーバーが"暴走"状態となっても、別サーバーから止めることができる」と川井部長は説明する。 証券会社のサーバーごとに、注文を抑止するしきい値…
著者
中村 潤平 本村 浩之
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
pp.21-001, (Released:2021-04-30)
参考文献数
25

The threadfin bream genus Nemipterus Swainson, 1839 (Perciformes: Nemipteridae) currently includes 29 valid Indo-West Pacific species, eight of which have been recorded from Japanese waters. During an ichthyofaunal survey of Tanega-shima Island, Osumi Islands (Kagoshima Prefecture), Japan, a single specimen (246.9 mm standard length) of the Japanese Threadfin Bream Nemipterus japonicus (Bloch, 1791) was collected at a depth of 10 m on 13 January 2020. The specimen was characterized by seven anal-fin soft rays, 47 lateral-line scales, 6 + 10 = 16 gill rakers, a moderately deep body (depth 33.9% of standard length), long pectoral fin (posterior tip vertically level with anal-fin origin), posterior tip of depressed pelvic fin reaching between anus and anal-fin origin, upper lobe of caudal fin filamentous, and body pinkish dorsally and silver ventrally, with 1 longitudinal yellow stripes on the lateral surface, and a reddish blotch on the lateral line above the pectoral fin. Although the species is widely distributed in tropical and subtropical Indo-West Pacific waters from the Red Sea and the east coast of Africa to Taiwan and the Malay Archipelago, and bears the specific and Japanese names japonicus and Nihon-itoyori, respectively, it has at no time been recorded from Japanese waters. Therefore, the present specimen of N. japonicus, described here in detail, represents the first reliable record from Japan and northernmost record of the species in the western Pacific Ocean. The specimen collected from Tanega-shima Island was most likely to have been transported from Taiwan or the Philippines by the Kuroshio Current, the species being unlikely to reproduce in Japanese waters.