著者
田崎 和江 山内 順公 犬飼 将成 中山 和正 犬塚 俊裕 森井 一誠 片桐 有由未 糸野 妙子
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.389-405, 2004-11-25 (Released:2017-07-14)
被引用文献数
2

雨水が樹冠を通過することにより水質がどのように変化するのかを明らかにするため,スギ,コナラ,モウソウチタの林外雨,林内雨および樹幹流の水質測定と溶存イオンをED-XRFにより分析した.雨水の採取や測定は2004年2-3月金沢大学角間キャンパスで行った.また,雨水が森林の樹木を伝わり土壌に行く物質循環を明らかにするため,スギ,コナラ,モウソウチクの樹皮の浸出実験と土壌の透過実験を行った.その結果,スギ,コナラの樹皮の浸出液のpHは酸性化し,モウソウチクは弱酸性化した.このpHの変化は溶出したK,Caなどのイオンによって生じる.樹皮の浸出実験の前と後をSEM-EDXで観察したところ,浸出後の表面は平滑になっていた.また,3種の樹木の樹幹流を土壌に透過させるとpHは4-6の一定の値に収束した.これは土壌中に存在する粘土鉱物のイオン交換能を示唆している.さらに,土壌は植生によって溶脱するイオンの種類と量が異なる.以上の結果は,雨水が樹幹を伝わることにより大きく水質および化学成分を変化させることを明らかにした.この結果は森林環境保全を行う上で重要である.
著者
佐藤 博幸
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.23-35, 2019-03

障害者差別解消法施行下における障害者福祉に関する市民意識調査を実施し、障害当事者71人を含む180人から回答を得た(回収率70.59%)。この結果、市民の間で法律や制度に関する理解は一定の理解が進んでいるものの、近所づきあい等地域生活の場面や社会参加の機会に障害に根差した差別を体験したことのある障害当事者が60.56%に及び、障害の種別により被差別体験に差があることが明らかになった。障害当事者の地位向上を図るために、厳しい雇用環境の改善と併せ日常生活における合理的配慮の提供の理念が広がっていくことが望まれた。合理的配慮の提供を感じる人の割合は、直接的なコミュニケーション場面で高く、文書による連絡など間接的なコミュニケーション手段では低い傾向がみられた。一方、ノーマライゼーションが進展していると考える者は全回答者の36.67%にとどまり、法律や制度に対する認知度と障害者福祉の充実度に対するとらえ方に開差がみられた。今、障害者福祉は、障害者差別解消に向けノーマライゼーション理念の浸透を実感できる共生社会の実現に向けた取り組が求められている。障害当事者の活動を制限し、社会への参加を阻んでいる社会的障壁を取り除くことは、障害者福祉の直面してきた大きな課題である。障害の社会モデルを土台にした合理的配慮の提供の広がりは、この課題解決に向けこれからの障害者福祉を進展させていく大きな力になるものと考えられる。
著者
通商産業省
出版者
経済産業省
巻号頁・発行日
vol.平成元年度,
著者
鈴木 典子
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.855, pp.35-37, 2020-06
著者
瀬島 順一郎
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.855, pp.32-34, 2020-06
著者
砂田 向壱
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.855, pp.23-25, 2020-06
著者
田村 けい
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.855, pp.5-7, 2020-06
著者
下條 満代 照屋 晴奈 權 偕珍
出版者
一般社団法人 Asian Society of Human Services
雑誌
トータルリハビリテーションリサーチ (ISSN:21881855)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.39-50, 2020

In order to form a symbiotic society in Japan and to realize inclusive education, which is an idea to learn together regardless of disability, it is urgent to actively hire teachers with disabilities even at school. However, since research on faculty with disabilities is said to have been conducted since the fiscal year 2019 onward, the actual situation has been investigated. And the current situation and issues regarding the employment of faculty with disabilities are almost unclear.Therefore, in this study, based on the viewpoint of improving the QOL (Quality of Life) of teachers with disabilities, we analyze the previous studies related to the employment of persons with disabilities at schools in Japan, and clarify the current situation and academic issues regarding the employment of teachers with disabilities. As a result of the analysis, many previous studies have been found in the area of "employment stability", but they also point out the current situation and it was revealed that further studies are needed. Moreover, in the "physical and mental health" area and the "life stability" area, there were very few cases applicable, and it became clear that research was not progressing.
著者
諏訪 竜一 大見謝 恒太 西原 隆 高橋 昌弘 住 秀和 殿岡 祐樹 河野 恵美子
出版者
公益社団法人 日本アロマ環境協会
雑誌
アロマテラピー学雑誌 (ISSN:13463748)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.19-23, 2020

<p>沖縄県における海洋汚染の主たる原因の一つとして,畑地からの赤土流出が挙げられる。これらの赤土流出保全のため沖縄県においてはベチバー(<i>Vetiveria zizanioides</i>)がグリーンベルトとして広い地域に植栽されている。本研究では,このグリーンベルトとして栽培がされているベチバーから精油の採油が可能であるか,また,市販の精油との比較,さらに採取時期による採油率の変化および成分変動の有無について検証を行った。本研究で比較のために用いた二つの市販精油(インドネシア産およびスリランカ産)では精油中の組成成分の構成が異なっていた。採油を行った精油中の特長では,最も主要な成分ではkhusimolやvetiselinolなどのアルコール類が主要であり,この傾向はインドネシア産と同様であった。また,初夏と初冬における採油率(乾物重あたり)を比較した場合,初夏において0.62%であるのに対して初冬においては0.34%であった。一方,精油製造時に季節を問わず,構成成分の変動が比較的小さかった。このため,採油時期に起因する品質の不安定の懸念が少ないことが示された。今後,グリーンベルトを用いた精油の製造が進むことにより,一次産業とアロマ業界が複合することによる環境保全の促進につながることが想定される。</p>