著者
若林 秀隆
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.43-49, 2016 (Released:2016-04-05)
参考文献数
22
被引用文献数
1

リハビリテーション栄養とは,栄養状態も含めて国際生活機能分類で評価を行ったうえで,障害者や高齢者の機能,活動,参加を最大限発揮できるような栄養管理を行うことである.サルコペニアは,加齢のみが原因の原発性サルコペニアと,活動,栄養,疾患が原因の二次性サルコペニアに分類される.サルコペニアの治療はその原因によって異なり,リハビリテーション栄養の考え方が有用である.特に活動と栄養による医原性サルコペニアの予防が重要である. 老嚥とは健常高齢者における嚥下機能低下であり,嚥下のフレイルといえる.老嚥の原因の1 つが嚥下関連筋のサルコペニアである.サルコペニアの摂食嚥下障害とは,全身および嚥下に関連する筋肉の筋肉量減少と筋力低下による摂食嚥下障害である.特に誤嚥性肺炎後に認めやすい.サルコペニアの摂食嚥下障害への対応は全身のサルコペニアと同様で,特に早期リハビリテーションと早期経口摂取が大切である.
著者
花澤 寿
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.47-51, 2012 (Released:2017-02-16)
参考文献数
14

進化心理学では,心の構造は進化の産物であるという前提に立ち,行動や心理的傾向の適応的意味や機能的意味を明らかにしようとする。精神障害の理解に進化心理学を適用することにより,その症状・特徴がなぜ生じてきたのかという究極要因の検討が可能になる。本稿では,現在までに提出されている摂食障害の進化論的仮説を概観し,進化心理学・進化精神医学による摂食障害の理解と治療の可能性について検討した。主要な仮説として,①生殖抑制説,②同性間競争説,③飢餓環境からの移動のための適応説をとりあげた。いずれの仮説も,現時点では実証困難であるが,摂食障害の不可解な特徴(長期の拒食,女性に極端に偏る性比,過活動,やせの否認と身体像の歪みなど)をある程度説明することに成功しており,停滞状態にある摂食障害の病態理解と治療法に新たな展開をもたらす可能性が示唆された。
著者
吉田 唯
出版者
東大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2020-09-11

神代文字は、江戸時代から近現代まで一部の信奉者によって古代の文字(漢字伝来以前の日本固有の文字)であると信じられており、神代文字に関する書籍についても、非学術的なものが大半を占める。本研究課題は、近世の偽作である神代文字資料に着目することで近世以降の学問史、宗教史、あるいは政治史のなかで神代文字を捉え直し、それが昭和戦時期に興隆を見せた思想的背景を明らかにすることを目的としている。
著者
岩澤 美帆
出版者
日本人口学会
雑誌
人口学研究 (ISSN:03868311)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.47-61, 2017 (Released:2017-11-20)

婚姻関係にない父母のもとに生まれる婚外子は婚内子に比べ養育に必要な資源や投資が制限されやすく,その実態把握は次世代育成に関わる重要な関心事となる。しかしながら今日の欧米社会と異なり婚外子割合が低い日本では,標本調査による婚外子の捕捉が難しかった。2001年に始まった出生児を対象とした大規模調査である「21世紀出生児縦断調査」では約600ケースの婚外子を含むため,家庭環境や暮らし向き等の定量的な記述が可能である。本稿では米国や日本における婚外出生をめぐる議論や知見を整理した上で,上記調査データ6年分を二次利用し,婚外子の人口学的特徴,両親の属性,経済状況,母親や子供の人間関係,父親の育児参加等,子供の成長に影響を与える諸側面について,父親との同別居による違いおよび婚内子との比較の観点から明らかにした。 日本の婚外子は婚内子に比べて第1子が多いこと,都市部在住が多いこと,低体重児が多いこと,両親に喫煙者が多いこと,経済的に困窮している世帯が多いこと,母親のネットワークが狭いこと,子供の遊び相手の範囲が狭いこと,父親がいない世帯では母方祖父母との同居割合が高まるが,母親とその親との精神的結びつきは希薄である可能性などが明らかになった。0歳時点で父親と同居している割合は,8,9割とされる北欧社会,5割とされる米国に比べても低く,3人に1人以下であった。一方で半数の子供が6歳までに父親あるいは母親の新たなパートナーとの同居経験がある。別居の父親の状況や子供との関係については情報が限られるが,別居の父親からの支援は極めて限定的であることが推測される。質的な調査によってこれまでも日本の婚外子に対する社会的なサポートの必要性が指摘されてきたが,量的調査によっても,日本の婚外子とその家族が経済的に困窮し,家族の結びつきが弱く孤立しやすい状況にあることが確かめられた。一方で,継続的に父親と同居している婚外子や母親の社会経済的地位が高いケースも一定数含まれているほか,同居している婚外子の父親の育児参加は,婚内子の父親と変わらないなど,婚外子をめぐる環境が多様であることも明らかになった。
著者
辻田 眸 塚田 浩二 椎尾 一郎
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1_25-1_37, 2009-01-27 (Released:2009-03-27)
被引用文献数
2

携帯電話やメールなどさまざまな通信手段が普及したにもかかわらず,いまなお遠距離恋愛で悩んでいる人たちは多い.遠距離恋愛中のカップルは,個人差はあるにせよ,相手とつながり感を保ちたいという強いモチベーションをお互いに持っていると考えられる.こうした状況では,従来のアウェアネス共有システムのように弱いつながり感を共有するだけでなく,両者の生活空間での行為自体が相互に影響を与えあうような,比較的強いつながり感を提供する,いわば仮想的に同居しているような感覚を与えるシステムが有効になるのではないかと考えた.そこで,本研究では,プライバシーが守られる形で,遠隔地に設置されたランプ/ゴミ箱などの日用品の状態を相互に同期させることで,こうした仮想的な同居感覚を提供するシステム“SyncDecor”を提案,試作する.そして遠距離恋愛カップル間での遠隔実験の結果を示し,今後の展望を述べる.

6 0 0 0 スタア

著者
スタア社
出版者
スタア社
巻号頁・発行日
vol.6(2), no.111, 1938-01
著者
井上 雄吉
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.542-553, 2007-09-18 (Released:2007-10-09)
参考文献数
40
被引用文献数
5 3

半側空間無視(USN)に対する1 Hz反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の効果や,局所脳血流量(rCBF)の変化を調べてUSNの回復過程に関わる脳内機構について検討した.対象は,右大脳半球の血管障害22 例(脳梗塞19 例,脳出血3 例)で,発症からrTMS開始までが70~220 日(平均128.3 日)であった.rTMSは,左頭頂後部(P5)を運動閾値の90%の強度で,1 Hz,500発刺激を隔日で計7セッション施行した(2 例で2 クール施行).評価は,Behavioural inattention test(BIT)や視覚的探索課題-反応時間,Xe-CT(cold法)などを用いて行った.結果では,抹消試験や模写試験,視覚探索反応時間は,rTMS施行1 週~2 週後から改善を認め,その効果は終了2 週後も持続していた.rCBFでは,rTMS施行後に右小脳半球で有意の増加を認めた.以上より,健側半球への低頻度rTMSはUSNに対して有効と思われ,USNの回復には小脳を含む脳内機構の改善が重要と考えられた.
著者
下橋 淳子 寺田 和子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.62-67, 2001-06-30 (Released:2011-01-31)
参考文献数
13
被引用文献数
1

ミルクアレルギーに対する減感作食品としての発酵乳製品の有効利用について検討するため, 発酵温度と時間を変えたヨーグルト, 乳酸濃度を変えた乳酸酸乳および市販の発酵乳製品についてαs1-カゼインとβ-ラクトグロブリンを測定し, 次のような結果を得た.1. ヨーグルトの発酵温度を30.0, 37.5および45.0℃に設定した場合, 37.5℃発酵がアレルゲン性たんぱく質の低減化に最も効果的であった.2. 発酵温度の違いに関わらずβ-ラクトグロブリンは, 長時間発酵を続けることにより消失したが, αs1-カゼインは, 発酵温度と時間によって分解の程度は異なり, 発酵温度37.5℃では約20%, 30.0℃および45.0℃では約50%まで減少させることができた.3. 発酵乳のアレルゲン性たんぱく質含量の減少には, 乳酸による酸分解以上に乳酸菌自体のたんぱく質分解作用が影響していることが示唆された.4. 市販の発酵乳製品は, 一般に牛乳よりアレルゲン性たんぱく質は減少していたが, 製品により減少の程度は様々であった.5. 乳製品乳酸菌飲料や乳酸菌飲料には, β-ラクトグロブリンはほとんど検出されず, αs1-カゼインは残存している製品もあったが, はっ酵乳に比べるとアレルゲン性たんぱく質含量は少ない傾向にあった.

6 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1893年04月14日, 1893-04-14

6 0 0 0 映画撮影

出版者
日本映画撮影監督協会
巻号頁・発行日
no.82, 1983-09
著者
宇都 善満
出版者
社団法人 腐食防食協会
雑誌
防蝕技術 (ISSN:00109355)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.117-125, 1970-03-15 (Released:2009-11-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1