著者
大久保 等
出版者
八戸学院短期大学
雑誌
八戸学院短期大学研究紀要 (ISSN:21878110)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.45-57, 2016-03-31

宮沢賢治の詩の解説や一つの詩の中の部分的解釈は、多数の専門家によって試みられている。しかし、一つの詩の全体を通した現代語解釈は今まで見つけることができなかった。今回、宮沢賢治の詩の代表作の一つ『春と修羅』という詩について、幾つかの解説書を参考にして、また一部に筆者による具体的な説明を付け加えて詩全体の現代語解釈を試みた。 筆者は、宮沢賢治が、仏教の求道者としての生き方を探して苦しみもがいている描写と、まだ浅い春の、明るい日中の景色の描写との対比や、修羅としての賢治の感情が糸杉林の精神と交わり現実の感覚を失っている描写と、嵐がくる前の流れる雲や稲光が発光する描写との対比は、他に類を見ない、臨場感のある優れた映像効果を生み出していると考える。
著者
平川 晃弘 浅野 淳一 佐藤 宏征 手良向 聡
出版者
日本計量生物学会
雑誌
計量生物学 (ISSN:09184430)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.85-101, 2019-01-31 (Released:2019-05-11)
参考文献数
62
被引用文献数
1 1

In oncology, next generation sequencing and comprehensive genomic profiling have enabled detailed classification of tumors using molecular biology. It, however, may be unrealistic to conduct phase I-III trials according to each subpopulation based on the molecular subtypes. Common protocols that assess the combination of several molecular markers and their targeted therapies by means of multiple sub-trials are required. These protocols are called “master protocols,” and are drawing attention as a next-generation clinical trial design. In this review, we provide an overview of clinical trials based on master protocol including basket, umbrella, and platform trials along with their recent examples. We also discuss the statistical challenges encountered in their application.
著者
安木 新一郎
出版者
函館大学
雑誌
函館大学論究 (ISSN:02866137)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.177-181, 2020-03

ヒジュラ暦694 年(1295 年~ 1296 年)に東トルキスタンのホータンで作られた銀貨にはパスパ文字mが刻印されている。従来、ロシア語圏の研究者はこのmはチベット文字で、チャガタイ家の諸王のタムガ(占有標)、あるいは「母」を意味する頭文字だと解釈してきた。しかしながら、ホータンを含むトルキスタンのオアシス地帯はモンゴル帝国直轄領であり、1269 年に制定されたパスパ文字m はトルキスタン総督を世襲したヤラワチ一族を表したものと考えられる。

6 0 0 0 OA 音幻論

著者
幸田露伴 著
出版者
洗心書林
巻号頁・発行日
1947

6 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1915年08月12日, 1915-08-12
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.148-155, 2019 (Released:2020-01-31)

ショウロRhizopogon roseolus は食用の外生菌根菌である.本きのこの人工栽培には,本菌を宿主に感染・増殖させる方法の開発が必要であり,また,優れた特性を具備した菌株系統の選抜が必要とされる.さらに,栽培技術の向上には,実用形質を改変する交雑育種技術が求められるが,その技術開発には,本きのこの生活環に関する基礎的知見が必要とされる.根系無菌育成法で育苗したクロマツ実生にショウロ菌糸体を接種したところ,約2週間で外生菌根を形成し,さらに育苗に伴い著しく外生菌根形成数が増大した菌株系統を選抜した.また,ショウロ菌糸体粉砕液を用いて,自然条件下で宿主クロマツ実生に人工感染させる方法を開発した.プランター育成クロマツ実生にショウロ菌糸体粉砕液を接種したところ,接種後3-4ヶ月後にショウロ子実体が形成した.ショウロ子実体試料を塩酸ギムザで核染色し,顕微鏡観察することでショウロにおける減数分裂や減数分裂後の体細胞分様式を解析し,新規の核行動パターンを明らかにした.本きのこの担子胞子の形成,離脱と離脱後の細胞微細構造を解析したところ,担子胞子離脱様式は非射出型であることを明らかにした.また,担子胞子離脱後に,胞子壁が多層化した.ショウロ担子胞子の発芽率は個体間で変異があり,ベージュ色を呈するショウロ子実体由来の担子胞子の発芽率が最も高かった.また,培地成分を5倍希釈したMMN 寒天培地で良く発芽した.本きのこの担子胞子由来一次菌糸体をクロマツ実生根に接種したところ,外生菌根を形成した.ショウロのクランプコネクション形成検定培地を開発した.本培地に二次菌糸体を接種すると安定してクランブコネクションを形成したが,一次菌糸体では全く形成しなかった.以上の一連の研究でショウロにおける生活環を解明できたことにより,交雑育種技術の基盤を確立することが可能となった.

6 0 0 0 OA 振武余光

著者
兵庫県 編
出版者
兵庫県
巻号頁・発行日
1904

6 0 0 0 OA 下野国誌

著者
河野守弘 (越智直) 著
出版者
佐藤三一郎
巻号頁・発行日
vol.巻之11, 1893

6 0 0 0 OA 名古屋市史

著者
名古屋市 編
出版者
名古屋市
巻号頁・発行日
vol.社寺編, 1916
著者
玉木 千賀子 たまき ちかこ Tamaki Chikako 沖縄大学人文学部
出版者
沖縄大学人文学部
雑誌
沖縄大学人文学部紀要 = Journal of the Faculty of Humanities and Social Sciences (ISSN:13458523)
巻号頁・発行日
no.19, pp.81-92, 2017-03-24

本研究の目的は,ヴァルネラビリティに対する意向確認のとらえ方を社会福祉制度の動向に沿って考察することである.生活保護法をはじめとする戦後の社会福祉に導入された申請・措置方式,社会福祉基礎構造改革以降,福祉サービスの提供方式として用いられている契約方式の下では,自らの社会生活課題に対する認識の乏しい人や申請・契約の能力が十分に備わっていない人が支援から取り残されるという課題が生じた.そのようなヴァルネラビリティに対する支援上の課題は,申請・措置方式の時から指摘されていたが,生活困窮者自立支援法の施行によって漸くヴァルネラビリティに対する支援システムが制度化され,意向確認とそれに基づく支援の取り組みがはじめられたところである.また,障害者福祉の領域では,障害者権利条約の批准,障害者差別解消法の施行等を契機に,障害の状態にある人の意思決定支援のあり方の検討が進められている.社会福祉はヴァルネラビリティに対する支援に本格的に取り組みはじめており,そのような状態にある人に対する意向確認のあり方の検討は,個人を尊厳するというソーシャルワークの価値の具現という意味においてとりわけ重要な検討課題である.