著者
ジョルジョ プレモセリ
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.19-35, 2014-03-01

本論では、泰山府君を中心に陰陽道における祭祀と祭文という視点から平安後期における陰陽道の「宗教性」に関して考察を試みる。そのため、泰山府君が『今昔物語集』の中でいかに描かれていたかに着目し、古記録から泰山府君祭の記録に焦点を当てる。さらに、陰陽道独自の世界観を描いている祭文から泰山府君はいかなる陰陽道神であったかを検討する。祭文の中では、泰山府君が「冥道諸神十二座」の「十二冥道の尊長」として新たに位置づけられるが、このような展開は、『今昔物語集』や古記録にはみえない。十二世紀初期から安倍泰親が安倍家の陰陽師としての権力を押し出して、泰山府君祭を作り上げた始祖安倍晴明のように泰山府君の利益を貴族社会に宣伝した。平安後期の祭文における陰陽道固有の世界観の中では、泰山府君は顕密体制論の中の仏教的存在には解消できない面も見えてくる。そのことによって、祭祀や祭文を中心に考える見方が陰陽道研究の新たな展望を示していくだろう。
著者
長谷川 裕
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.25-45, 2015-05-29 (Released:2016-07-19)
参考文献数
23

本稿の課題は,新自由主義時代へと社会のあり方が変容する中で,生活困難層の子育て・教育,生活にいかなる変化が生じているかを検討することである。生活困難層の子育て・教育,生活の実態は,私たち共同研究グループが,北日本の大都市B市のある大規模公営団地の居住者を対象として,1990年前後及び2010年前後の2回にわたって実施した調査によって得られたデータに基づいて把握した。その際,社会哲学者の後藤道夫の大衆社会論に依拠し,大衆社会統合と新自由主義的諸施策によるその再収縮という観点から社会の変容を捉えた上で,生活困難層の子育て・教育,生活の実態の変化の性格を掴もうと試みた。 大衆社会統合は,全体社会の既存秩序に適合的な一定の生活様式を,大衆に自明視させることによって成立する。日本の大衆社会統合の場合,個別家族ごとに,その諸局面で競争的関係に組み込まれつつ働き暮らすという社会標準の示すところが,その自明視された生活様式であった。 1990年前後の調査時には, A団地居住の生活困難層にもこの社会標準の自明性がかなりの程度浸透しており,そのことによる統合がかれらにも及んでいた。2010年前後の調査時には,従来の社会標準は揺らぎを見せるようになっていたが,それに基づく働き方・暮らし方に代わって現実的に広範に存立可能な新たなものが見出されているわけではなかった。生活困難層は,個々の個人・世帯で日々の生活やその困難にやりくりをつけようとして,結局のところ依然として統合の下にあるというのが,この時点の実相だった。
著者
伊原木 大祐
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.339-362, 2009-09-30

神義論をめぐる現代的論争は、J・L・マッキーによって提示された「悪の論理的問題」をいかに克服するかという課題から始まった。しかし、そこから出された対案の多くは、「悪の情動的問題」に対する有効な解決法とはなりえていない。本論文は、とくに感情面を重視した応答の一つとして、ジョン・K・ロスによる「抗議の神義論(反-神義論)」に注目する。ロスの(反)神義論は、ヴィーゼルやルーベンスタインと共にアウシュヴィッツ以降の時代状況を強く意識している点で、数あるキリスト教神義論の中でも独自なスタンスを保っている。また、その議論は、悪における「正当化しえないもの」の要素に注目している点で、エマニュエル・レヴィナスらの現代哲学的位相とも深い部分で接している。この点を確認した後、ドストエフスキーが『カラマーゾフの兄弟』で描いたイワン・カラマーゾフの「反逆」を分析することで、ロスの議論を宗教哲学的な観点から補完する。
著者
石井研堂 著
出版者
博文館
巻号頁・発行日
vol.第2編, 1914
著者
陸軍歩兵学校 編
出版者
陸軍歩兵学校将校集会所
巻号頁・発行日
vol.第2巻 分隊戦闘, 1938
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.291, pp.35-37, 2008-12

山形県を中心に事業展開する食品スーパーのヤマザワは、競合する大規模ショッピングセンターの増加などにより経営環境の厳しさが増すなか、社員の働き方を見直して利益を維持し、2005年には東証一部上場を果たした。 同社の山澤進会長は、社員のコスト意識を高めようと「改善、改革としつこいほど繰り返し、コストダウンを実現することこそ大きな進歩と、社員に訴えている」 …
著者
中川 七三郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.680-683, 1987-10-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
3

佐渡を代表するものといえば, おけさ, 金山, トキとともに佐渡味噌がある。この佐渡味噌は, 味噌の種類からいっても, 仙台味噌, 信州味噌とともに日本の代表的米 (辛) 味噌の一つである。佐渡が対島暖流の影響で比較的暖かく, 味噌の原材料の自給は勿論, 桶・樽材の生産, そして製品味噌の船便移出など, 味噌産業の興隆に好条件に恵まれていた。本稿では, その佐渡味噌発展のバックグランドについて解説していただいた。
著者
川口 淳
出版者
日本計量生物学会
雑誌
計量生物学 (ISSN:09184430)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.145-174, 2013-02-28 (Released:2013-03-07)
参考文献数
116
被引用文献数
2

Imaging techniques have been used for effectively studying the brain in a non-invasive manner in several fields, for example, psychiatry and psychology. In this review, we focus on two imaging techniques that provide different views of brain structure and function. Structural magnetic resonance imaging (sMRI) provides information about various tissue types in the brain, for example, gray matter, white matter, and cerebrospinal fluid. Functional MRI (fMRI) measures brain activity by detecting changes in cerebral blood flow. These techniques enable high-quality visualization of brain activity or the location of atrophies; moreover, these techniques facilitate the study of disease mechanisms in the healthy brain and might lead to the development of effective therapies or drugs against such diseases. However, raw MRI data must be statistically analyzed to obtain objective answers to clinical questions. Therefore, statistical methods play a very important role in brain research. Here, we briefly review the most commonly used statistical analyses, namely, data pre-processing, general linear model, random field theory, mixed effect model, independent component analysis, network analysis, and discriminant analysis. Further, we provide information about brain imaging data structure and introduce useful software to implement these methods.
著者
中山 有 神田 学 木内 豪
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.25-33, 2007 (Released:2007-04-23)
参考文献数
14
被引用文献数
9 8

近年,ヒートアイランド現象をはじめとして都市の熱環境が悪化する傾向にある.気圏に対する都市の熱的影響については多くの研究がある一方,水圏に対する熱的影響はあまり明らかになっていない.そこで本論文では都市と水圏の境界にある下水処理場で水温観測を行い,都市下水道の水・熱輸送実態を明らかにした.以下に得られた結果を述べる.1. 下水道を流れる下水のうち,土壌から下水管への浸出水は下水全体の約2割を占める.2. 都市活動で排水に付加された熱は都市でのエネルギー利用全体の1割(年間値)に相当する.3. 夏季に水利用に伴って付加された熱は下水道を流下する間に土壌への熱伝導によってその40%が減ぜられて水圏へと放流される.4. 冬季に水利用に伴って付加された熱は下水道を通ってそのまま水圏へと放流される.

6 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1930年10月22日, 1930-10-22
著者
青田 寿美
出版者
大阪府立大学日本言語文化学会
雑誌
百舌鳥国文 (ISSN:02853701)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1-13, 2018-03-25

百舌鳥国文. 29, p.1-13
著者
三上 繁実 川野 順一郎 奥田 治雄 上原 年博 千葉 光雄 坂内 達司
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.20, no.21, pp.19-22, 1996-03-15
被引用文献数
1

The development of a practical VTR that is compact, inexpensive and offers high picture quality has been pressing requirement Comparing present HDTV VTRs (1-in. digital VTR and UNIHI VTR etc.) with current conventional-definition television (CDTV) VTRs used in broadcasting, there is much room for improvement in terms of cost (VTR & tape), function and performance, mobility and maintenance for practical use. To solve these problems at an early stage, we have developed an HDTV VTR using a 1/2-in. tape cassette by making effective use of a current CDTV digital VTR (D-5 VTR) and applying bit rate reduction technology.
出版者
鶴声社
巻号頁・発行日
1884
著者
馬場 悠男 松井 章 篠田 謙一 坂上 和弘 米田 穣 金原 正明 茂原 信生 中山 光子
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

上野寛永寺御裏方墓所から発掘された徳川将軍親族遺体のうち保存の良い15体の人骨について、修復・保存処理を施し、形態観察・写真撮影・CT撮影・計測を行って、デジタルデータとして記録保存した(馬場・坂上・河野)。さらに、遺骨の形態比較分析(馬場・坂上・茂原・中山)、ミトコンドリアDNAハプロタイプ分析(篠田)、安定同位体による食性分析および重金属分析(米田他)、寄生虫卵および花粉分析(松井・金原他)を行い、親族遺体の身体的特徴と特殊な生活形態を明らかにした。