- 著者
-
Danny W. Scott
William H. Miller Jr.
- 出版者
- 日本獣医皮膚科学会
- 雑誌
- 獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.1, pp.3-9, 2013 (Released:2013-04-10)
- 参考文献数
- 42
- 被引用文献数
-
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疥癬が疑われた犬350例と,耳介に皮膚疾患が認められたものの耳介―後肢反射が陰性であった1,345例の犬に関する後向き研究を行った。駆虫薬の投与後に症状が改善した犬の29%では,皮膚掻爬物鏡検により寄生虫が確認された。疥癬が確定された(皮膚掻爬物鏡検でダニが検出された)犬,ならびに疥癬が疑われた(皮膚掻爬物鏡検は陰性であったが駆虫薬の投与後に症状が改善した)犬の78.4%では耳介―後肢反射が陽性であり,またこれらの犬の全てで耳輪に皮膚症状が認められた。これに対し,疥癬とは異なる耳介の皮膚疾患を有する犬のうち,耳介―後肢反射が陽性であった症例はわずか1~12%であった。疥癬が疑われたものの皮膚掻爬物鏡検では陰性であった犬の83%で,駆虫薬の投与後に症状が改善した。疥癬が疑われたものの駆虫薬により症状が改善しなかった犬の多くが,アトピー性皮膚炎または食物アレルギーを有していた。疥癬は皮膚疾患を主訴として来院した犬症例の3.8%を占め,年齢,品種,性別による差は認められなかった。