著者
北野 浩一
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
ラテンアメリカ・レポート (ISSN:09103317)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.36-49, 2021 (Released:2021-01-31)
参考文献数
8

チリではコロナ感染症拡大阻止のための外出制限措置が長期にわたっていることから、国民生活の経済面での打撃は非常に大きい。政府は所得補助のための政策を多く実施してきたが、さらなる中間層向けの所得対策を求める政治的圧力は強く、年金基金の積立額10%の早期引出しを認める法案が成立した。短期的には景気回復にプラスの効果がみられるものの、長期的には基金方式の年金制度の弱体化だけでなく、安定的で健全な経済政策を実施してきた国というチリの評価が揺らぐ懸念がある。
著者
水谷 尚
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.48-53, 2014-06-20 (Released:2016-02-06)
参考文献数
16

高脂血症の治療の第一歩は,高脂血症の摘発である。そのためには,日常の診療の中で,疑わしい症例に対して,可能な限りスクリーニング検査を実施することである。高中性脂肪血症は血清の目視によって肉眼的に診断が可能であるが,高コレステロール血症は生化学的測定を行わない限り摘発が難しい。また,高脂血症を摘発した場合は,その原因が原発性であるか二次性であるかを鑑別し,適切な治療を行う必要がある。二次性の高脂血症はもとになる疾病のコントロールが最も重要なポイントとなる。高脂血症の治療には非薬物療法と薬物療法が有り,食事療法などの非薬物療法を先行して行った上で,それでもコントロール出来ない場合は,適切な薬剤による薬物療法を実施する。
著者
日本特殊農薬製造株式会社開発本部技術部
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.641-645, 1990-11-20 (Released:2010-08-05)

各種毒性試験を実施し, プロチオホスの安全性評価を行なった.プロチオホスのラットとマウスに対する急性毒性は比較的低く, 普通物に相当した. 眼および皮膚に対する一次刺激性と皮膚感作性は軽度であった. 一方, 亜急性毒性および慢性毒性/発癌性試験では, 高用量投与群において, ChE活性の阻害, 体重増加抑制や一部の臓器重量の増加等の変化がみられたが, 特定の病変は認められず, 発癌性も認められなかった. また, 繁殖性に及ぼす影響, 催奇形性および変異原性は認められなかった.プロチオホスは昭和50年9月に45%乳剤および2%粉剤の登録を取得し, その後水和剤, 微粒剤F等も登録された. 登録保留基準値は, 果実0.1ppm, 野菜0.1ppm, いも類0.05ppm, 豆類0.05ppm, 茶5ppm, てんさいおよびさとうきび0.5ppm, 夏みかんの外果皮5ppmと設定された.プロチオホスは定められた使用基準を遵守すれば, 安全性が高い薬剤であり, 農業資材の一つとして有用であると考えられる.
著者
村田 容常
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.90-91, 2019-02-20 (Released:2020-02-01)
参考文献数
3

メイラード反応とは糖とアミノ酸,タンパク質が反応して茶色く変色する一連の反応であり,加熱による色づきと香気の形成に大きく関わっている。パウンドケーキなどの焼いたお菓子では,この反応がおこり,焼き色がつくとともに甘い香りなど様々な香ばしい香りを呈する。糖がメイラード反応により分解して種々のカルボニル化合物が形成され,それらが再びアミノ酸と反応し,色や香りが形成される。
著者
小澤 芳樹
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.201-202, 2017-10-31 (Released:2017-11-03)
参考文献数
12
著者
橋爪 大輔
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.313-318, 2014-10-31 (Released:2014-10-31)
参考文献数
7
被引用文献数
4

Multipole expansion method is frequently used for refinements on electron density distribution of organic compound and metal complex crystals aiming at understanding nature of chemical bonds and intra- and inter-molecular interactions. In this article, short introduction of the method, and procedures on experiments and refinements are presented. Electron density distribution analysis of a singlet biradical compound generated in C-P-C-P four-membered ring is also presented. Topological analysis based on Atoms in Molecules theory is performed.
著者
山田 正信 森 昌朋
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.4, pp.720-725, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10

中枢性甲状腺機能低下症(CH)は,下垂体から分泌されたTSHの量的あるいは質的な低下で甲状腺への作用が減弱し発症する.意外にも多くのCHの血清TSH値は基準値内を示す.CHの約60%は下垂体腫瘍を原因とするが,近年,頭部外傷やくも膜下出血後,GH製剤や種々の薬剤,コントロール不良のBasedow病の母親から生まれた児などが新たな原因として加わった.CHは高LDL-C血症などの脂質異常症の原因となり適切な治療が必要である.