著者
石垣 智也 尾川 達也 宮下 敏紀 平田 康介 岸田 和也 知花 朝恒 篠宮 健 市川 雄基 竹村 真樹 松本 大輔
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11957, (Released:2021-02-10)
参考文献数
24

【目的】在宅環境での2 ステップテストの信頼性と妥当性の検討を行い,歩行自立の基準値を見出すこと。【方法】訪問リハビリテーション利用者を対象とした横断調査のデータベース(10 施設226 名)から,目的別にデータを抽出した(信頼性98 名,妥当性117 名,基準値209 名)。調査項目は基本情報と膝伸展筋力,歩行能力として2 ステップテストによる2 ステップ値や歩行自立度などとした。歩行手段と距離により屋内杖歩行から屋外独歩800 m 以上と12 種の歩行自立条件を設定し,各自立を判別するカットオフ値を検討した。【結果】2 ステップテストの検者内信頼性は良好であり,固定誤差は認めないが比例誤差が示された。2 ステップ値は膝伸展筋力より歩行能力との相関係数が高く,歩行自立条件に応じた段階的なカットオフ値が設定できた。【結論】2 ステップテストは在宅環境でも信頼性と妥当性があり,歩行自立に対する基準値を有する歩行能力評価である。
著者
羽生 善治 松本 大 梅田 望夫
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
pp.202-206, 2002-07-01

司会 今日は競争社会の中に生きる皆さんに、日本を取り巻く閉塞感をどうすれば打破できるか話し合っていただきたいと思います。 かつて私は『将棋の子』(大崎善生著、講談社)という本を読み、そこに描かれた奨励会(プロ棋士の養成機関)所属の子供たちの凄まじい競争に驚愕しました。その激烈な競争を日常として育ってきた羽生さんには、今の日本社会はどう映るのでしょうか。
著者
鷹澤翔 松本大士 吉沢剛 横田裕丈 岩田泰典 嘉陽拓
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
第49回日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
2014-04-29

【目的】加齢での筋力低下や座位姿勢での作業による体幹の不良姿勢として頭部前方突出位(以下,前突位)が見られる。また,臨床において前突位が上肢機能不全を引き起こしている症例をよく見かけ,前突位を修正する事により上肢挙上角度が増大することをしばしば経験する。先行研究では,前突位による上肢挙上動作での肩甲骨の動きや肩甲骨周囲筋群の活動を中心とした様々な研究は行われている。しかし,前突位と肩関節挙上角度に関して報告している研究は少ない。そこで今回は,頭部位置の違いが肩関節屈曲角度に及ぼす影響を解明することを目的とした。【方法】対象は整形外科的疾患のない健常成人男性10名(平均年齢27.2±4.0歳,身長175±5.9cm,体重65.5±9.9kg,BMI21.4±3.2)の両上肢で測定を行った。測定はベッド上座位(股関節,膝関節屈曲90°)で,足部の位置は肩幅とした。中間位は矢状面上で坐骨結節と肩峰を床面に垂直な直線で結び,この直線の延長線上に耳垂中心がある位置と設定した。前突位は,C7を触知し位置変化がないところまで前方突出してもらい,これを個人の前方突出位と設定した。左右肩関節自然屈曲を3回ずつ測定した。測定は最初に中間位での肩関節屈曲角度を測定し,その後前突位での角度を測定した。なお各測定は疲労の影響を避けるため,各測定時間には十分な休憩をとった。測定は,肩関節屈曲とし,日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会が制定する関節可動域検査法で行った。角度計は検者が神中式角度計を使用した。統計処理は,各肢位での最大屈曲角度での2変数の差をt-検定を用いて検定した。すべての統計解析はStatcel3を用い,有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づき対象者に対し研究の趣旨と内容,得られたデータは研究以外で使用しないこと,および個人情報漏洩に注意することについて十分な説明のうえ同意を得て研究を行った。【結果】頭部両肢位での上肢屈曲角度は,中間位で右150°±11°,左148°±11°,突出位で右138°±11°,左134°±13°であった。中間位と前突位での上肢屈曲角度は有意な差が認められた。突出位で有意に上肢屈曲角度は低下した。(p<0.05)【考察】本研究により,頭部前方突出の増加に伴い肩関節屈曲角度が低下するということが明らかになった。この結果について,野田らの報告では前突位と中間位を比較すると,前突位で肩甲骨は下方回旋を呈したとされており,肩甲骨の可動性が低下したためと考えられる。正常な肩関節屈曲での肩甲骨の動きは,上方回旋・後傾・内転が生じるとされている。また,前突位では頸椎から肩甲骨へ付着している僧帽筋上部線維と肩甲挙筋が伸張され,肩甲骨下方回旋・前傾が起きたのではないかと考える。野田らの報告と前述した筋が伸張されることを踏まえると,肩甲骨上方回旋・後傾が制限され,関節窩上方変位が阻害されたと考える。よって,正常な肩甲上腕リズムが破綻したことにより肩関節屈曲角度の制限に至ったと考える。今回の結果から,頭部位置の変化では肩甲骨への影響が大きいのではないかと考える。しかし,今後の課題として頭部位置の違いだけではなく,脊柱・骨盤の肢位の関係,肩甲骨周囲の筋活動についても検討していくことが必要であると考える。【理学療法学研究としての意義】肩関節疾患の上肢挙上角度を目指した介入として,頸部アライメントの評価,治療を行うことの有用性があると示唆された。
著者
松本 大輔 青木 輝勝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMM, マルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.287, pp.71-76, 2011-11-07
被引用文献数
1

高精度のアダルトアニメフィルタリングシステムを実現するためには、複数の特徴量を組み合わせてフィルタリングシステムを構成する必要があり、そのために、利用しうる新たな特徴量を提案していくことが重要になる。本稿では、アダルト情報を含むアニメに当てはまる性質に基づき、新たな特徴量として"同一輝度値を持つ画素の割合"を利用することを提案する。フレームの画素値をヒストグラム化することによりこの特徴量を記述し、閾値処理を施すことによってアダルト映像の判定を行うパラメータとする。映像ソースを利用した実験により、提案した特徴量がアダルトアニメフィルタリングに有用な特徴量であることを示す。また、複数の特徴量を組み合わせることによってより精度良くアダルトアニメを検出できるフィルタリングシステムを構築できる可能性について考察する。
著者
水野 紗也子 荒木 郁聖 加洲 みさ 静木 恵利華 駄田井 千夏 朴 玲奈 松本 大輔
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101159-48101159, 2013

【はじめに、目的】 妊娠中、出産後の女性は、身体的にも精神的にも問題が起こりやすい時期であり、身体的な問題としては、肩こりや腰痛、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などが挙げられる。妊娠高血圧症候群においては、約10%の妊婦が発症すると言われている。精神的な問題では産後うつ病などがあり、2002年のわが国の産後うつ病発症率は8%と言われていたが、2005年には12.8%と増加傾向にある。このような身体的および精神的な問題に対して、継続した運動が効果的であることは以前からも言われているが、妊娠中、出産後の運動はさまざまなリスクが伴い、個人の判断で運動を実施することが困難な場合もある。そのため、アメリカでは米国産婦人科学会が運動のガイドラインを示しており、妊娠中や出産後の運動が確立されているが、日本では、未だ確立された運動のガイドライン等はなく、この時期の運動の確立には至っていない。 そこで、本研究の目的は出産後の運動習慣がその後の骨密度やうつ傾向にどのように影響しているのかを明らかにすることとした。【方法】 対象は初回測定時に産後6ヶ月以内の女性18名(34.2±4.2歳)とした。対象者の体組成(体組成計:TANITA社製)、骨密度(超音波骨密度測定装置:GE healthcare社製)を測定し、同時に妊娠前、妊娠中、出産後、それぞれにおける運動習慣、健康状態、精神状態についてのアンケートと、エジンバラ産後うつ評価質問紙票(以下EPDS)を用いた産後うつのチェックテストを行った。 測定とアンケートを6ヶ月の期間をあけて2回(産後前期、産後後期)行い、6ヶ月間の変化を分析した。また、産後前期のアンケート結果より、産後前期に運動を行っていた者を運動実施群とし、全く行っていなかった者を運動非実施群として、2群間の骨密度およびEPDS得点を比較した。 統計解析は、6ヶ月間の比較は対応のあるt検定、2群間の比較は対応のないt検定、およびχ2検定で行った。統計ソフトはSPSS20.0Jを用い、有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究はヘルシンキ宣言に基づき、すべての対象者に本研究の趣旨を説明し参加の同意を得た。【結果】 産後前期から産後後期にかけての全体的な変化をみた結果、骨密度の指標となるステフィネス値(以下SI値)では、産後前期には98.6±18.5だったのに対し、産後後期には89.2±17.5と有意な減少が認められた(P<0.01)。EPDS得点においては産後前期から産後後期にかけて有意な差は認められなかった。 また、運動実施群と運動非実施群の2群間で骨密度およびEPDS得点を比較した結果、骨密度においては、SI値の変化率(産後後期SI値/産後前期SI値)が運動非実施群では87.1±5.0%だったのに対して、運動実施群では94.0±7.4%と、運動実施群において骨密度の減少が有意に抑制されていた(P<0.05)。EPDS得点では、運動非実施群では5.4±3.8点だったのに対して、運動実施群では2.6±2.4点と減少傾向にあった(P=0.07)。そして、産後前期から後期にかけてのEPDS得点の改善率は、運動非実施群では11%だったのに対して、運動実施群では89%であった(P<0.05)。【考察】 骨密度においては、産後前期から産後後期にかけて全体的に減少し、また、その中でも運動実施群において、骨密度の減少が抑制されていた。この産後前期から産後後期にかけての骨密度の有意な減少は授乳期であったことが大きく影響していたと考えられ、また、その中でも運動を行うことで骨形成に必要な運動負荷が骨へ与えられたため、運動実施群では骨密度の減少が抑制されたことが考えられる。 EPDSにおいては、運動実施群では非実施群に比べ得点が低い傾向にあり、また、改善率に差が認められた。これは、うつ病患者に対する運動療法では、投薬治療と同等の効果が得られることや、理学療法士の介入による運動療法が産後うつ病の発症リスクを減少させることから、運動療法が一般的なうつ病患者に治療効果があるのと同様に産後うつ病においても運動療法の効果がみられたことが考えられる。【理学療法学研究としての意義】 本研究より、産後女性に対する運動療法は骨粗鬆症や産後うつ病の予防につながることが示唆された。現在日本では産後女性に対する理学療法士の介入はほとんどない。しかし、理学療法士の専門性の観点から考えると、妊娠中・出産後に対して、精神的・身体的問題の改善や、運動機能の維持、ハイリスク妊娠の方への運動療法が行える可能性があると考えられる。今後、この産科領域は理学療法士が大いに介入できる分野だと考えられる一方で、介入に向けて適切な運動開始時期、運動量、頻度を明確にしていく必要があるといえる。
著者
岸田 和也 石垣 智也 平田 康介 山野 宏章 松本 大輔
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.53-59, 2019 (Released:2019-02-26)
参考文献数
23
被引用文献数
1

〔目的〕回復期リハ病棟退院直後に訪問リハを利用した日常生活活動に介助を要する者の家族介護負担軽減とその関係要因を検討すること.〔対象と方法〕17名を対象に介護負担尺度(J-ZBI_8)の開始時と30日後,終了時(180日後または調査終了時)との変化量と各評価項目の相関分析を行った.〔結果〕介護負担軽減は,30日後では頻回な訪問リハの実施,良好な利用者家族関係,頻回な家族教育,密なケアマネジャーとの連携,終了時では頻回かつ密な家族教育と有意な関係を認めた.〔結語〕退院後の介護負担軽減には,短期的には集中的な介入による頻回な家族教育,良好な利用者家族関係の支援や他職種連携,中長期的には指導内容を実践できるよう,密な家族教育が重要であることが示された.
著者
石垣 智也 尾川 達也 宮下 敏紀 平田 康介 岸田 和也 知花 朝恒 篠宮 健 市川 雄基 竹村 真樹 松本 大輔
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.261-270, 2021 (Released:2021-06-18)
参考文献数
24

【目的】在宅環境での2 ステップテストの信頼性と妥当性の検討を行い,歩行自立の基準値を見出すこと。【方法】訪問リハビリテーション利用者を対象とした横断調査のデータベース(10 施設226 名)から,目的別にデータを抽出した(信頼性98 名,妥当性117 名,基準値209 名)。調査項目は基本情報と膝伸展筋力,歩行能力として2 ステップテストによる2 ステップ値や歩行自立度などとした。歩行手段と距離により屋内杖歩行から屋外独歩800 m 以上と12 種の歩行自立条件を設定し,各自立を判別するカットオフ値を検討した。【結果】2 ステップテストの検者内信頼性は良好であり,固定誤差は認めないが比例誤差が示された。2 ステップ値は膝伸展筋力より歩行能力との相関係数が高く,歩行自立条件に応じた段階的なカットオフ値が設定できた。【結論】2 ステップテストは在宅環境でも信頼性と妥当性があり,歩行自立に対する基準値を有する歩行能力評価である。
著者
赤尾 静香 朴 玲奈 梅田 綾 森野 佐芳梨 山口 萌 平田 日向子 岸田 智行 山口 剛司 桝井 健吾 松本 大輔 青山 朋樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】妊娠,出産は急激な身体の変化を伴うことで,さまざまなマイナートラブルが起こるといわれている。その中でも骨盤痛含む腰痛は妊婦の過半数が経験し,出産後も痛みが継続するという報告もされている。また腰痛を有する妊婦は身体活動が制限されることにより,ADLやQOLが低下すると報告されている。妊娠中に分泌されるリラキシンホルモンの作用により,仙腸骨靭帯や恥骨結合が弛緩することが原因で発症する腰痛を特に骨盤痛と呼び,出産後はオキシトシンの作用によりすみやかに回復するとされている。しかし実際に出産後1ヶ月以上経過した女性を対象とした研究は少なく,妊娠期の身体変化が及ぼす影響が出産後どのくらい持続しているか報告している研究は少ない。そこで,本研究では,妊娠期での身体変化が回復していると考えられる産褥期以降の女性における骨盤痛の有無と骨盤アライメント,腰部脊柱起立筋筋硬度に着目し,その関連性について検討することを目的とした。【方法】対象は名古屋市内の母親向けイベントに参加していた出産後3ヶ月以上経過した女性77名(平均年齢30.7±4.2歳,平均出産後月6.3±2.6ヶ月)とした。測定項目として骨盤アライメントの測定には,骨盤傾斜の簡易的計測が可能なPalpation Meterを上前腸骨棘と上後腸骨棘の下端に当て,静止立位時の左右の骨盤前後傾角度,上前腸骨棘間距離(以下ASIS間距離),上後腸骨間距離(以下PSIS間距離)を測定し,骨盤前後傾角度の左右差,ASIS間距離とPSIS間距離の比を算出した。腰部脊柱起立筋筋硬度の測定には,生体組織筋硬度計PEK-1(株式会社井元製作所)を使用し,第3腰椎棘突起から左右に3cmおよび6cm離れた位置を静止立位にて測定し,一ヵ所の測定につき5試行連続で行った。得られた値の最大値,最小値を除いた3試行の平均値を代表値とした。アンケートは基本項目(年齢,身長,体重,妊娠・産後月齢,過去の出産回数),骨盤痛,腰背部痛の有無,マイナートラブルの有無(尿漏れなど),クッパーマン更年期指数,エジンバラ産後うつ病質問票,運動習慣に関して行った。対象者は産後3ヶ月から12ヶ月までの者を抽出し,今回は骨盤痛に腰背部痛のみを有する者を除外した。骨盤痛(仙腸関節,恥骨痛のいずれか)の有無により痛みあり群と痛みなし群の2群に分けた。統計解析は,SPSS22.0Jを用い,Mann-Whitney U検定およびχ<sup>2</sup>検定を行った。【結果】痛みあり群は42名(79.2%),痛みなし群11名(20.8%)であった。痛みあり群は痛みなし群と比較してASIS間距離とPSIS間距離の比が有意に小さかった(痛みあり群2.82±0.81:,痛みなし群:3.47±1.29,p<0.05)。その他の骨盤アライメントと腰部脊柱起立筋筋硬度に有意差はみとめられなかった。また,尿漏れについて,痛みあり群では7名(16.7%),痛みなし群にはいなかった。【考察】本研究の結果より,産後女性において骨盤痛が持続していることが明らかとなった。またこれまで妊婦において非妊娠者と比較しASIS間距離,PSIS間距離が有意に大きくなると報告されている。本研究では痛みあり群でASIS間距離とPSIS間距離との比が有意に低いことから,PSIS間距離がASIS間距離と比較し回復が遅いことが,痛みの誘発に関連しているのではないかと想定される。また妊娠後期おいてPSIS間距離と臀部痛,尿漏れに有意な負の相関がみとめられるという報告もあり,本研究の結果から産後女性においても同様の結果が得られた。これらから骨盤の安定性に関与するとされている筋が,出産後も十分に機能していないことが想定される。しかし本研究では腹筋群,骨盤底筋群の評価は行っておらず,骨盤アライメントと筋の関連性は証明できなかった。今後は評価項目を増やし,骨盤アライメントが回復しない原因を検討することが必要である。本研究により産後女性の骨盤痛に対し,妊娠期での影響を考慮した上でのアプローチが必要であると示唆された。【理学療法学研究としての意義】本研究結果より,産後女性でも妊娠期に特徴的な骨盤痛が持続していること,出産後3ヶ月経過しても骨盤アライメントが回復していないことが明らかとなった。現在,日本では妊婦,産後女性に対する理学療法士の介入はほとんどない。しかし今後産後女性の骨盤痛と骨盤アライメントの関連性を明らかにすることで,骨盤痛に対する治療やその発症を予防するための理学療法介入方法の検討につながると考えられ,理学療法士の介入の可能性が示唆された。
著者
加藤 大樹 高橋 絢子 松本 大和 笹崎 晋史 高橋 絢子 松本 大和 野村 こう 高橋 幸水 天野 卓 山本 義雄 並河 鷹夫 万年 英之
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.149-155, 2013-05-25
参考文献数
17

バングラデシュ在来ヤギ53個体とフィリピン在来ヤギ30個体におけるmtDNA D-loop HVI領域の塩基配列を決定し,DNAデータバンクにあるアジア在来ヤギの情報を加え,A,Bハプログループの起源について考察を行った.バングラデシュとフィリピン在来ヤギではそれぞれ25および5ハプロタイプに分類され,AおよびBハプログループから構成されていた.両国の在来ヤギのBハプログループにおける塩基置換率は,それぞれ0.0009と0.0006であり,極めて低い多様性を示した.また家畜化起源を推測するため,中東からの地理的距離と塩基置換率の相関を調べた.Aハプログループにおける順位相関係数は<I>r</I>=-0.7200であり有意な負の相関を示した(<I>p</I>=0.0469).一方,Bハプログループにおいては有意な相関を得られなかった(<I>p</I>=0.7782).この結果は,ヤギのAハプログループの起源が中東である仮説を支持していたが,Bハプログループの起源に関しては不明確であった.
著者
松本 大樹 木村 容子 佐藤 弘
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.325-329, 2012 (Released:2013-02-14)
参考文献数
17

更年期女性の動悸に対し,桂枝加竜骨牡蛎湯が有効であった症例は報告されているが,冷えに対する効果に言及した報告は認めない。今回動悸と冷えに対し,桂枝加竜骨牡蛎湯が速やかに奏効した症例を経験したので冷えを中心に考察を加え報告する。症例は48歳,女性。2-3年前より動悸,手足の冷えが出現し,X 年5月8日当院を初診。虚証で動悸と不眠を訴え,腹診所見の腹部動悸から,桂枝加竜骨牡蛎湯7.5g/日を投与したところ,服用2週間で動悸,手足の冷えが改善した。1年後に5g/日と減量したが,症状は落ち着いている。今回の症例では,臍上悸を伴う動悸と手足の冷えに対し,桂枝加竜骨牡蛎湯が速やかに奏効した。桂枝加竜骨牡蛎湯はのぼせを伴う上熱下寒型の冷えに限らず,のぼせの訴えがない場合でも,動悸や臍上悸などの気逆によると考えられる所見を伴う手足の冷えには,桂枝加竜骨牡蛎湯を応用できると考えられた。
著者
松本 大輝 松井 勇佑 山崎 俊彦 相澤 清晴 片桐 孝憲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.6, pp.1-6, 2014-08-25

イラストは身近な表現手段であり,近年では,pixiv といったイラスト投稿 SNS サイトで多くのイラストが共有・閲覧されている.しかし,イラストの検索方法や表示方法にはあまり注視されていないというのが現状である.そこで,本稿では,著者の画風の類似性に基づいてイラストを平面上にマッピングし可視化する手法を提案する.これにより,ユーザは好みのイラストに似た画風のイラストを一度に複数閲覧することができ,より効率よくイラストを閲覧することができる.Illustration is a common way of communication. A lot of illustrations are uploaded, shared and viewed on illustration-sharing SNSs such as pixiv. However, how to retrieve and display illustrations has received relatively sparse attention. We propose a method of visualizing illustrations based on drawing style similarity of authors. By using this method, users can see illustrations which have similar drawing styles to their favorite one at a time and enjoy seeing illustrations more efficiently and effectively in illustration-sharing SNSs.
著者
松本 大成 志田 純一 上ノ町 重和 濱田 貴広 山口 徹 弓削 英彦 有薗 剛
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.577-580, 2008-09-25 (Released:2008-11-20)
参考文献数
6

症例は70歳男性.草取りをした後に右前腕の疼痛が出現したため,クリニックを受診し,筋肉痛の診断でステロイドの局注を受けた.翌日,疼痛の増悪と前腕の腫脹を来たし,近医へ入院となった.抗生剤投与するも,腫脹は上腕まで広がり,Vitalの悪化と意識レベルの低下をきたしたため,受傷後2日目に当院紹介,救急搬送された.入院時,既に意識レベルの低下を認め,右前腕から上腕まで著明な腫脹と暗赤色調の紫斑と水泡形成を認めた.単純レントゲン,CTにて皮下から筋層内まで及ぶガス像を認め,ガス壊疽の診断にて緊急手術(上腕及び前腕切開排膿,デブリードマン)を施行した.培養にてKlebsiella pneumoniaeを認めた.全身管理の甲斐なく術翌朝永眠された.非クロストリジウム性ガス壊疽の死亡率は25.1% と生命予後不良の疾患である.いかに早期診断,早期治療,迅速な救命処置が必要か考えさせられる症例であった.
著者
松本 大毅 広城 吉成 堤 敦 神野 健二 新井田 浩
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.127-132, 2005-02-01 (Released:2011-06-27)
参考文献数
11

Sayanokami spring water exists in the new campus of Kyushu University, which is located on the western part of Fukuoka City. This spring water is one of the important water resources for agriculture around the new campus area. The construction of the new campus started last June, 2000. In this study, to understand the hydrological properties of the Sayanokami circumference, 222Rn and tritium were used as tracers, respectively. Consequently, it was found out that the residence time of Sayanokami spring water is 10-20 years. Moreover, the residence time and the catchment area of Sayanokami spring water were estimated using groundwater flow model. As a result, the residence time of Sayanokami spring water was evaluated to be about 25 years at most and the catchment area was specified. It is concluded that the accuracy of estimation of residence time and catchment area of the spring water can be improved by analysis of radioactive isotopes and groundwater flow model.
著者
志茂 大輔 皆本 洋 福田 大介 岩田 陽明 松本 大典 旗生 篤宏 岡澤 寿史 辻 幸治 森永 真一
出版者
マツダ株式会社
雑誌
マツダ技報 (ISSN:02880601)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.21-27, 2022 (Released:2022-12-26)
参考文献数
7

カーボンニュートラルに向けた再生可能エネルギー発電への移行期において,将来的な再生可能燃料の選択肢も考慮し,現実的なCO2削減のためには電動化とともに内燃機関の効率改善によるマルチソリューションが有効であると考えられる。その一つの答えとして新世代クリーンディーゼルエンジンSKYACTIV-D 3.3を開発した。排気量を従来の2.2Lから3.3Lに拡大することで高トルク・高出力化は元より,理想を追求したリーン予混合燃焼の拡大の手段としても大排気量化を用いることで,乗用車量産エンジン世界トップの実用域で広い熱効率,及び排気クリーン化を達成した。また低Pmax(最大燃焼圧)対応の構造系を進化させて摩擦抵抗を抑制し,更に直列6気筒による低振動と心地よいエンジン音を創り込んだ。これらの技術によって運転者が愉しく元気になる「走る歓び」,及び抜群の燃費とクリーン排気による「優れた環境性能」の両方をこれまでにない次元にまで高めた。
著者
堤 聡 木村 秀 松本 大資 古川 尊子 松岡 裕 木原 歩美 浜田 陽子 湯浅 康弘 石倉 久嗣 沖津 宏 阪田 章聖 山下 理子 藤井 義幸
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.124-127, 2011-03-25

リポイド肺炎は脂肪を貪食したマクロファージが出現する肺炎であるが,一般に無症状であり胸部異常陰影にて偶然見つかることが多い.今回診断に苦慮し胸腔鏡下肺生検にて診断しえたリポイド肺炎を経験したので報告する.症例は79歳,女性.僧房弁狭窄症に対する弁置換術後のフォローアップ中に,胸部X 線像で右中肺野にすりガラス陰影の出現を認めたため当科へ紹介された.明らかな自覚症状や各種検査での異常所見を認めなかったため経過観察としていたが,初診から8カ月後に肺野陰影の増強と拡大を認めたため胸腔鏡下肺生検を施行した.病理組織像では肺胞内に浸出物と泡沫状マクロファージを多数認め,最終的にリポイド肺炎の診断を得た.症状に乏しい胸部異常陰影の鑑別疾患のひとつとしてリポイド肺炎は考慮する必要がある.
著者
大川 穣 松本 大慶 大川 周治
出版者
日本顎口腔機能学会
雑誌
日本顎口腔機能学会雑誌 (ISSN:13409085)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.87-101, 2019 (Released:2021-01-30)
参考文献数
66

睡眠時ブラキシズム(Sleep Bruxism:SB)は睡眠障害の一病態とされている.また,SBは睡眠障害に関連して発症する顎運動異常であることから,睡眠障害を改善することによりSBは改善されるのではないかと考えた.睡眠障害に対する治療には,一般的に薬物療法(睡眠薬や抗うつ薬など)が実施されている.しかし,薬物療法は副作用が強いことから,補完療法である香りによる嗅覚刺激に注目した.本研究の目的は,香りを応用した嗅覚刺激がSBに及ぼす影響を明らかにすることである.健常有歯顎者26名(男性21名,女性5名,平均年齢24.8±3.2歳)を被験者として選択し,実験開始前に夜間睡眠時ポリソムノグラフ(PSG)を用いて26名全員がSBを発現することを確認した.嗅覚刺激にはラベンダー(LA),およびコントロール(CO)として脱イオン水を用いた.被験者26名をLA群とCO群にランダムに振り分け,嗅覚刺激を交互に付与するクロスオーバー試験を行った.初夜効果の影響を排除するとともに,Baselineのデータを採取する目的で,3夜連続によるPSGおよび携帯型高精度筋電計を用いた咬筋EMG測定を行った。クロスオーバーする際に各条件の持ち越し効果を消去するため,1週間のWashout期間ののち,嗅覚刺激の種類を入れ替えて2夜連続で,同様にPSGとEMGの測定を行った.PSGの分析により睡眠変数を算出し,咬筋EMGの分析からSB event数を算出した.PSQIを用いたアンケート調査により,被験者をFeel good sleep group,Feel bad sleep groupにグループ分けし,各群のSB event数を比較,検討した.その結果,以下の結論を得た.1.ラベンダーを応用した嗅覚刺激は6項目中5項目の睡眠変数において,睡眠状態の有意な改善を示した.2.BaselineおよびCO群と比較して,LA群のSB event数は有意に減少した.以上のことから,ラベンダーを応用した嗅覚刺激により睡眠状態が改善し,その結果として,睡眠時ブラキシズムの抑制効果が示された.3.PSQIによる主観的な睡眠の良,不良感とは関係なく,ラベンダーを用いた嗅覚刺激によりSB event数は減少する傾向が示された.
著者
松本 大理
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.73, pp.349-362, 2022-04-01 (Released:2022-07-21)
参考文献数
15