著者
荒川 修 塩崎 雄之輔 菊池 卓郎
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.297-301, 1999-03-15

リンゴ樹の樹冠内の光条件の測定方法について, 樹冠内の全天光に対する割合を, 照度(lx), 光合成有効光量子束(μmol・m^<-2>・s^<-1>)および日射量(W・m^<-2>)の測定から求め, その違いについて検討した.照度の測定による相対照度と光合成有効光量子束の測定による相対光合成有効光量子束との間には高い正の相関が認められた.しかしながら, 両者の値は明らかに異なり, 相対光合成有効光量子束は相対照度の値に比べて6.0%高かった.このことは, 1日の積算の光合成有効光量子から求めた相対光合成有効光量子と相対照度との関係にも認められ, その差は曇天日で6.7%, 晴れの日で6.8%だった.日射計による1日の積算日射量から求めた相対日射量と相対光合成有効光量子との間にも高い正の相関が認められたが, 相対日射量の値が相対光合成有効光量子の値に比べて11%高かった.
著者
柴田 克己 福渡 努 和田 英子 佐々木 隆造
出版者
日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, 2004-09-25

ニコチンアミドは, ヒトにおいてもトリプトファンからde novo合成される. トリプトファン-ナイアシン転換係数を60とすると, 日本人では, ナイアシン当量摂取量の半分はトリプトファンから生合成されたものであるため, この係数をどのように扱うかは, ナイアシンの必要量算定においてきわめて重要な問題となっている. ところが, このde novoニコチンアミド合成経路が, ヒトにおいて摂取ニコチンアミド量によって影響を受けるか否かについては, 未だに報告がない, もし, 摂取ニコチンアミド量によってde novoニコチンアミド生合成経路がフィードバック阻害をうけているならば, ナイアシンの必要量の策定に大きな影響を及ぼすことになる. そこで, 6名の女性を被験者として, ニコチンアミドの付加がde novoニコチンアミド生合成経路の中間代謝産物の産生に及ぼす影響を調べた. その結果, アンスラニル酸, キヌレン酸, キサンツレン酸, 3-ヒドロキシキヌレン酸, キノリン酸の産生量はニコチンアミドを89μmol/日, 310μmol/日, 562μmol/日という量を付加させても, 全く変動しなかった. すなわち, de novoニコチンアミド生合成経路は目的産物であるニコチンアミドによってフィードバック阻害を受けていないことが明らかとなった. したがって, ナイアシンの必要量を算定する上で, 摂取ニコチンアミド量を考慮に入れたトリプトファン-ナイアシン係数を算定する必要がないことが, はじめて明らかとなった. 〔論議〕勝沼会友 代謝経路におけるfeed back inhibitionは, その系の最初のステップになることになっているので, うまくデザインされていると思います. トリプトファンからナイアシンへの合成系の終末産物は何でしょうか. それによりデザインは変えねばならぬと思いますが. 柴田委員 ありがとうございます. 最終産物はニコチンアミドです. ヒトには, ニコチンアミド→ニコチン酸の反応を触媒するニコチンアミダーゼ活性は検出されていませんので. 上田委員 こういう栄養実験の被検者はどのように生活管理されるのでしょうか. といいますのは, 運動したり紫外線を受けたりすると, NAD→ポリ(ADP-リボース)系が動いてNAD合成にも影響するように思われます. 柴田委員 外での積極的な運動をさせていません. 一定の生活を送るように管理しています. 先生のサジェストは, 食事摂取基準の策定において, 大変重要なことですので, 検討してみる必要があると考えます.
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流 (ISSN:0385230X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.86-101, 1997-07