著者
LIM Guanie
出版者
GRIPS Policy Research Center
雑誌
GRIPS Discussion Papers
巻号頁・発行日
vol.19-04, 2019-06

This paper focuses on China’s outward foreign direct investment (FDI), arguably one of the most prominent forms of ‘new’ capital entering the Association of South East Asian Nations (ASEAN) in recent times, not least since the Belt and Road Initiative (BRI) was announced by Chinese President Xi Jinping in 2013. Despite initial warmth and hopes for Chinese capital to uplift the economies of the region, recent years have witnessed some high profile pushback against China by some ASEAN members. Key concerns include but are not limited to new, often project-related concerns as well as old, if unspoken, fears that ‘China is buying the world’ through a spate of ‘debt trap diplomacy’. This paper aims to shed light on this issue, focusing on China’s outward FDI into ASEAN. Through an analysis of statistical information, it shows that Chinese FDI in ASEAN economies is considerably ‘smaller’ than what popular rhetoric suggests. Firstly, Chinese outward FDI, while increasing in value, is not more significant than the region’s traditional investors, mainly Japan and ASEAN itself. Secondly, the quality of Chinese outward FDI is considerably less sophisticated and sustainable than what is commonly expected. Much of it is directed towards tertiary industries such as real estate activities, which contain a rather speculative element.
著者
山根 信二
雑誌
情報教育シンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.165-170, 2015-08-10

本発表では,従来の情報科学のカリキュラムに体系的なゲーム研究・ゲーム学を取り入れた事例を 報告する.情報科学の学生を対象としたゲームデザイン科目を開設する場合,国内では参考になる事例が 少ないため,海外のカリキュラムフレームワークを参考にし,大学レベルの日本語教科書がなかったため ゲームデザインの英語教科書を用いた.そして情報科学の重要なトピックを含むゲームデザイン教科書を 採用することで,情報科学の重要な領域をゲームデザインを通じて学ぶことができた.さらにオンライン ディスカッションを導入して学外の専門家の参加を得ることができた. ゲームデザインを通じてコンピュータサイエンスを学ぶことで,従来の学習内容を見直す場合もある.た とえば専門家の社会的責任については,バグなどの従来の知見だけでなくユーザエクスペリエンスをつく りだす専門家倫理や社会的責任の困難さについて実践的に扱うことができた.要素技術だけではなく体系 的な学習としてのゲーム開発者教育プログラムの開発はコンピュータサイエンス・情報科学に有益な視点 を獲得することができる.
著者
印道 緑
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.17, pp.103-129, 2019-03

この論文では、初級日本語の授業において教師と学習者がどのようなインターアクションを行っているのかを、教師の教授行動と学習者の反応、特に自発的行為としての学習者の発話に焦点を当てて明らかにする。インターアクションの分析の枠組みとしては、教師の教授行動の中の「質問の技術」「説明の技術」「学習者への指示の技術」の3つ、学習者の行動からは「教師の質問への反応」「学習者による自発的言語行動」の2つと、「それらに対する教師の対応(フィードバック)行動」の計6つのカテゴリーを取り上げる。この論文の目的は、教師側と学習者側の2方向の行動からクラス内のインターアクションの様相を把握することによって、より効率的で、複数の学習者間のインターアクションが活発に行われる授業を構築する方法を提案することである。
著者
清水 順子
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.17, pp.59-72, 2019-03

本稿は、日本語学校における非常勤日本語教師が抱く葛藤をTAEで分析したものである。グループインタビューからTAEのステップをすすめ、「教室での効力感を抱くが、現実との交渉では本音でつながることができず、不安によって委縮している」という結果が得られた。結果の考察からは、非常勤講師の雇用形態や同僚性を気付きにくい職場、制度上の問題が浮かび上がってきた。
著者
吉川 和夫
雑誌
宮城教育大学紀要 = Bulletin of Miyagi University of Education
巻号頁・発行日
vol.53, pp.193-200, 2019-01-31

2011年に作曲したピアノ連弾曲 ”Moment of Silence for 2011.03.11” について、成立の契機と作曲意図、作品分 析について述べ、同作品の全曲楽譜を掲載する。また、関連する作品についてのデータを記す。
著者
伊豆 哲也
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.1076-1081, 2015-10-15

楕円曲線暗号とは,楕円曲線を用いて構成される公開鍵暗号技術の総称で,スマートカードによる認証,デジタル機器の認証,ビットコインなどで利用されています.楕円曲線暗号の最大の特徴は,短い鍵長で他の公開鍵暗号と同等の安全性が保証される点です.本稿では,なぜ楕円曲線暗号の鍵長は短くできるのか,どうやって広く利用されるようになったかについて,ライバルであるRSA暗号と比べながら紹介します.
著者
徐 方啓
出版者
近畿大学商経学会
雑誌
商経学叢 = Shokei-gakuso: Journal of Business Studies (ISSN:04502825)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.363-385, 2012-12-01

[要約] 華為技術(以下, ファーウェイという)は1987年任正非によって創設された会社である。 設立当初の資本金は21000万元しかなかった。 香港から電話交換機を輸入して中国内陸の県に販売することから, ビジネスの道を辿りはじめた。 しかし, 24年後の2011年度, ファーウェイは2309億元の売り上げをもって中国一のICTメーカーになった。 非上場企業のため, その会社の実態はほとんど知られていない。 そのため, 筆者はこのことを意識して, ファーウェイの競争戦略を「農村から都市を攻める」「新興国から先進国を攻める」に絞って考察した上で, その成功要因を4つまとめている。 すなわち, (1)毛沢東軍事思想の活用, (2)技術立社, (3)世界の強豪との提携, (4)高品質, 低価格と良いサービス, である。 さらに, なぜファーウェイは時々外国政府に市場から追い出されるかについて, その原因を独自の視点で分析した。 [Abstract] Huawei Technologies (hereafter Huawei) was founded by Reng Zhengfei in 1987. He only raised RMB21, 000 as capital for the small enterprise and started their business that imported PBX's (Private Branch eXchanges) from Hong Kong and resold them. But the enterprise became the number one ICT maker in China with its sales and operating revenue of RMB203.9 billion. However, Huawei's actual condition little is known, because it is an unlisted company. Therefore, the author was discussed the competitive strategies of to attack the city from rural and to attack from emerging to developed countries, and summarized its success factors. These are, (1)the use of Mao Zedong's military thought; (2)technology-driven company; (3)partnership with the world' s powerhouses; (4)high quality, low price and good service. In addition, the author answered the question, "Why the company sometimes was cast out from foreign governments?" with original perspective.
著者
南 憲治
巻号頁・発行日
vol.17, pp.A67-A80, 1984-02-01

本研究では,性役割に対する考え方が大きく異なると思われる2つの地域の小学生に質問紙調査を行い,児童の性役割の受容度に地域差がみられるか否かを検討しようとした。具体的には男尊女卑の傾向が根強く残っており,これと結びついて男女それぞれに望ましい行動様式が決まっている沖永良部島の1小学校と,男女を差別的に扱う伝統的な性役割観から男女の役割の違いを強調しない方向へ変わりつつあると考えられる兵庫県の2小学校を取り上げた。沖永良部島は鹿児島市から約500km南にある,人口,約17,000人の離島である。調査を行ったO小学校の児童の大半は農家の子どもたちである。田畑において男は主に農機具を使い,力を要する作業に従事しているのに対して,女は補助的な仕事(草を取ったり,花を摘むなど)をするだけであり,男女の役割は明確に区別されている。家庭でも男女の仕事は異なり,母親が炊事をしている間,父親は牛などの家畜の世話をしている。そして,男子は父親,女子は母親の仕事を手伝いながら大きくなり,男女それぞれに期待される役割は小さい時からはっきりと異なっている。これに対して兵庫県の2小学校は,大阪のベッド・タウンに当たる宝塚市のN小学校と,神戸市近郊に位置する三木市のM小学校で,ともに新興住宅地にあり両小学校ともサラリーマン家庭の児童が多い。また,共働き家庭の児童も多く,「男は仕事,女は家庭」といった伝統的な性役割観にも変化がみられ,男女の違いが強調されることは比較的少ないと考えられる。ところで,従来の調査によると,小学校の中学年頃から性役割の受容度において男女差が現れ,女子の性役割の受容が困難になることが指摘されている。たとえば,高橋(1968)は,小学校の1年生から中学3年生までの子どもに,自分の性に生まれてよかったか否かを尋ねた。それによると,男子は一貫して自分の性に対する評価が高いのに,女子の場合は,自分の性に生まれてよかったと回答する者の割合が,小学校の4,5,6年から急速に減少している。そこで,本調査では,性役割の受容において男女差が生じてくると思われる小学校の4,5,6年生を調査対象に選び,前述の性役割の受容度における地域差と同時に,男女差もあわせて明らかにしようとした。