著者
工藤 剛治
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.13-33, 2009-12-10

日本は第2次大戦に敗北し,占領軍によって社会経済上の大きな変革を迫られた。この「GHQ革命」は農地解放や財閥解体を断行し,労働組合の合法化を実現したが,そのことによって,戦後日本の階級構造は戦前日本,戦時期日本あるいはGHQが想定したアメリカ型の階級構造とは著しく異なるものになっていった。大企業の場合,経済パージによって中堅・若手の経営幹部が経営トップの位置につき,また株式の相互持合なども活用しつつ,資本と経営の分離を加速していった。その結果,他国に例を見ないほど,資本所有者からの経営者の自立が促された。これら新経営者にとって長年勤めてきた企業こそ,その権力母胎であったから,彼らは企業を共同体とみなすイデオロギーを発達させた。その結果,対労働の関係では,彼らは階級的労働組合を嫌い,企業内労働組合=第 2組合を育成する政策を採用した。こうして戦後日本の大企業経営者は,資本と労働をともにコントロールする「経営者革命」の達成に成功した。このユニークな階級構造を反映した経営スタイルこそ「日本的経営」と呼ばれるものであった。
著者
張 明
出版者
学習院大学大学院
巻号頁・発行日
2019-03-31

本研究は現代日本語における字音接辞を研究対象とし、連体詞型字音接頭辞というグループを中心に、その造語機能を記述するものである。 第1部では、準備段階として、基本概念である「字音接辞」「造語機能」について述べる。 第1章では、字音接辞の内包的定義の規定を行う。本研究は、字音接辞であるかどうかについて、「何と結合するか」ということを重視し、「すでに存在する、和語・外来語の語基、および、字音複合語基、そして、それらの結合形に、前部分あるいは後部分から結合する、字音形態素」を「字音接辞」と規定する。また、現代日本語の語構成意識を重視し、二字漢語を単純語として取り扱い、二字漢語を構成する一字漢語は接辞と見做さない。 第2章では、字音接辞の分類を行う。本研究は国語辞典7種を参照し、そこに挙げられている用例に基づいて字音接辞を選定する。字音接頭辞は「①名詞型」「②形容詞型」「③連体詞型」「④副詞型」「⑤動詞型」「⑥助動詞型」「⑦助詞型」「⑧接続詞型」の8種に分類する。字音接尾辞は大きく「①名詞型」「②動詞型」「③助詞型」「④品詞分類ができないもの」の4種に分類する。そのうち、「①名詞型」は更に「ア.もの性」「イ.こと性」「ウ.ひと性」「エ.ところ性」「オ.組織性」「カ.とき性」の6種に細分類する。 第3章では、字音接辞が持つ造語機能について述べる。先行研究にしたがい、字音接辞には、結合機能・意味添加機能・品詞決定機能・文法化機能の4つの造語機能があることを認める。本研究の研究対象である「連体詞型字音接頭辞」は、結合機能と意味添加機能しか持たないため、それぞれの連体詞型字音接頭辞が、どのような語基と結合し、どのような意味用法を持っているのかということを中心に記述することを確認する。 第2部では、連体詞型字音接頭辞の造語機能を具体的に記述する。個々の連体詞型字音接頭辞の記述に入る前に、第4章で、連体詞型字音接頭辞全体について説明する。次に、第5章〜第16章で、個々の連体詞型字音接頭辞の造語機能の記述を行う。 第4章では、まず、第2部の研究対象とする連体詞型字音接頭辞には、「亜」「一」「各」「旧」「現」「原」「故」「後」「今」「昨」「准」「準」「諸」「助」「正」「先」「前」「全」「総」「続」「他」「当」「同」「当該」「半」「汎」「副」「某」「本」「毎」「明」「翌」「来」「両」の計34あるということを確認する。次に研究方法として、第3章で述べたように、連体詞型字音接頭辞がどのような語と結合するか(結合機能)、連体詞型字音接頭辞自体がどのような意味を表すか(意味添加機能)という2つの造語機能を中心に、個々の連体詞型字音接頭辞の記述的研究を行うということを述べる。用例は基本的に『現代日本語書き言葉均衡コーパス』(BCCWJ)から用例を集めるが、『ヨミダス歴史館』や、テレビ番組、ウェブサイトなどを補助的に利用する。第5章では、「本法律案」「当委員会」のように、直示と前方照応両用法を持つ「本」と「当」の記述を行う。第6章では、「同病院」「同事務所」のように、前方照応的用法を持つ「同」の記述を行う。第7章では、「某大学」「某メーカー」の「某」のように、不定機能を持つ「某」の記述を行う。第8章では、「全国民」「総人口」のように、「すべて」を表す「全」と「総」の記述を行う。第9章では、「両手」「両チーム」のように、「二つの」を表す「両」の記述を行う。第10章では、「各地域」「毎日曜日」のように、「それぞれ」を表す「各」と「毎」の記述を行う。第11章では、「現政権」「今世紀」のように、「現在」を表す「現」「今」の記述を行う。第12章では、「前首相」「旧ソ連」「昨年度」「先場所」のように、「過去」を表す「前」「旧」「昨」「先」の記述を行う。第13章では、「翌年度」「来シーズン」「明十五日」「後半生」のように、「未来」を表す「翌」「来」「明」「後」の記述を行う。第14章では、「副社長」「助監督」「半導体」「準決勝」「准教授」「亜熱帯」のように、「不完全」を表す「副」「助」「半」「準」「准」「亜」の記述を行う。第15章では、「当該チーム」「当該列車」のように使われる二字字音接頭辞「当該」の記述を行う。第16章では、「その他」(「一会社員」の「一」、「原材料」の「原」、「故ダイアナ妃」の「故」、「諸外国」の「諸」、「正社員」の「正」、「続群書類従」の「続」、「他地域」の「他」、「汎スラヴ」の「汎」)の記述を行う。終章では、論文全体を総括し、今後の課題について述べる。
著者
横山 俊一郎
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian cultural interaction studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.305-317, 2016-03-31

In this paper, I consider about the thought and business of Honda Masazane who founded the silk industry in Kanazawa, in order to understand the personality of businessmen from Hakuen-Shoin. I take up his biography named "Danshaku-Honda-Masazane-Den". As a result of this study, I found that he was inclined toward Buddhism after he graduated from Hakuen-Shoin. But, I think that he upheld the practical aspects of Confucianism. Also, I noticed that Sumitomo's managers participated in the Zen group to which he belonged at that time.
著者
小倉 加奈代 松本 遥子 山内 賢幸 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
インタラクション2010論文集 (情報処理学会シンポジウムシリーズ)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.4, pp.259-266, 2010-03-01

本稿では,流速が異なる複数の時間流を持つチャットシステム“Kairos Chat”を提案する.対面口頭での対話では,人は議論の本筋とは関係の無い逸脱発言を行うことにより,議論の円滑化を図っている.同時に,逸脱発言を急速に忘却することで,議論記憶を自然に精錬化している.これは,人が各発言を,その内容に応じて異なる主観的時間流上で扱っている結果と見ることができる.しかし,従来のチャットシステムでは,すべての発言を単一の時間流上で扱うため,議論記憶としての発言履歴上に逸脱発言が混在し,精錬化が行われない.そこでKairos Chat では,各発言を内容に応じて異なる流速の時間流上で扱うことを可能とすることにより,逸脱発言のしやすさと,自然な発言履歴の精錬化の両立を目指す.被験者実験の結果,ユーザは自然に流速の違いを活用し,逸脱発言を気軽に行うとともに,発言履歴の精錬化が部分的に実現されることがわかった.また,各時間流と対話スレッドの関係性についても調査し,対話スレッドの中の4 割の隣接ペアが異なる時間流をまたぐものであることも明らかとなった. : In this paper, we propose a novel chat system named "Kairos Chat" that has multiple streams of time whose velocities are different. In a face-to-face communication, people facilitate a discussion using digressions and, at the same time, they naturally organize memories of the discussion by quickly forgetting them. We can regard this phenomenon as that they handle each utterance on a different stream of time based on its contents. However, the ordinary chat systems handle all of the utterances on a single stream of time. Therefore, the digressions are mixed into a chat log and the log cannot be naturally organized. Kairos Chat allows the users to handle each utterance on the different stream of time so as to strike a good balance between easy digressing and natural organizing of the chat log From experimental results with subjects, we found that the subjects naturally utilize the different streams of time, they readily digress and the natural organizing of the chat log can be partially achieved. We also investigated the relations between the streams of time and conversation threads and found that half of the threads drift among the streams.
著者
森安 孝夫 オチル モリヤス タカオ Moriyasu Takao Ochir Ayudai Очир А.
出版者
中央ユーラシア学研究会

目次1 (本文Mongli1.pdf) : 略号・文献目録 / 調査行程表・行程図 / 行動記録(1996,1997,1998年度) / GPS計測値表
著者
林 香奈
出版者
金沢大学外国語教育研究センター
雑誌
言語文化論叢 (ISSN:13427172)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.278-261, 2001-03-01

金沢大学外国語教育研究センター
著者
奈良 真由子
巻号頁・発行日
pp.1-40, 2013-03-22

授与大学:弘前大学; 学位種類:修士(教育学); 授与年月日:平成25年3月22日; 学位記番号:修第565号
著者
白 雲飛
出版者
Osaka Prefecture University (大阪府立大学)
巻号頁・発行日
2014

学位記番号:論人第20号, 指導教員:大形 徹