1 0 0 0 行の哲学

著者
紀平正美著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1923
著者
馬場 智一
出版者
一橋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

平成24年度は交付申請書に記載した研究実施計画のうち(1-3)~(1-5)および(2-1)~(2-3)を遂行した。これによりレヴィナスによる西洋哲学批判には以下の二つの重なり合う焦点があることが明確になった(1)パルメニデス、プラトンから始まる「融即」の哲学の歴史。(2)特にその中でも近代哲学の前提する主体概念の「照明」構造。上記の二つの焦点は、レヴィナスが翻訳したフッサールの『デカルト的省察』とレヴィナスが聴講したハイデガー講義『哲学入門』における相互共存在をめぐる対立にその出発点がある。融即概念はハイデガーがこの講義で「前学的」な現存在の相互共存在を特徴づける際に訴える「マナ表象」に近いものである。レヴィナスは、社会性の存在論的基礎をこうした相互的な合一に置くことに対して強く反対し、またフッサールのように照明の構造を備えた「閉じた」モナドから出発することも拒否した。この批判はしかし外在的批判ではなく、そもそも融即状態とは何かについての現象学的な分析に支えられている。この分析がいわゆる「イリヤ」の概念であり、ハイデガーやフィンクの「像」論への批判もこうした背景から初めて理解される。レヴィナス自身の立場は、同僚のジャコブ・ゴルダンの影響下、マイモニデス以来の無限判断の論理に基づいている。レヴィナスは西洋哲学を〈同〉の哲学の歴史として大胆に批判していることはよく知られているが、それが前提とする「融即」概念がどのようなものなのか、正確な吟味はなされてこなかった。また非常によく知られた「イリヤ」概念がそうした批判的哲学史観とどのような関係にあるのかも余り論じられなかった。さらにはその出発点にあるフライブルク留学期の意義が、その後の思想展開に照らし合わせて推し量られることも稀であった。平成24年度の研究成果はこうした現状に対して大きな貢献ができたといえる。
著者
和泉 ちえ
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、古典期アテナイにおいてフィロソフィアをはじめとするギリシア的諸学問を巡る系譜論的視座が如何に形成され変容したのか、その諸展開の細部を文献学的論拠と共に全面的に再検討した。ペリパトス学派に由来する哲学史の枠組みを敢えて前提に据えずに原典資料を精査することを通して、【1】フィロソフィアの起源をイオニアに求めるペリパトス学派的哲学史の形成過程とその特異性を明らかにすると共に、【2】アカデメイアをはじめとする他の諸学派が展開する学問系譜論の各々と詳細に比較分析し、【3】ギリシア世界における学問文化勢力地図の変容の細部を,古典期アテナイという文脈に則して詳述し総合的に検討した。
著者
津上 英輔
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

観光とは快のための旅である。ところが従来の観光研究において、個人を観光に駆り立てる快の本性については、論じられなかった。その結果、社会的行動としての観光の重視と個人的行為としての観光の蔑視との間の齟齬が解消されずにいる。本研究では、観光者の写真撮影、旅先での美食とショッピングについて観光学の成果を踏まえた美学的考察を行ない、観光の快が美的=感性的(aesthetic)なものであることを確かめた。
著者
厚東 偉介
出版者
早稲田大学産業経営研究所
雑誌
産研アカデミック・フォーラム (ISSN:13439561)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.9-35, 2014-03-03

2013年6月25日 於:早稲田大学国際会議場井深大記念ホール
著者
野中郁次郎編
出版者
ナカニシヤ出版
巻号頁・発行日
2012
著者
関村 誠
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

プロティノスにおけるアイステーシスの機能の明確化とその意味づけに努め、アイステーシス論が哲学的思索の中に組み込まれていることを示した。感性的な諸局面の議論に関して、プロティノスがプラトン思想をいかに解釈して引き継ぎ、あるいはいかに独自展開しているかを、両哲学者のテクスト批判を遂行して見極めることを試みた。その結果、アイステーシスのある種の働きが「判断」に連係して哲学構造に組み込まれて、感性と知性とを結びつける積極的な面をもつことを示すことができた。
著者
稲垣 友美
出版者
早稲田大学哲学会
雑誌
フィロソフィア (ISSN:05540690)
巻号頁・発行日
no.29, pp.100-123, 1955-12
著者
中村 浩爾
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.11-44, 2009

国家と市民社会の二元論に対して, 国家・市場・社会の三元論や国家・市場・コミュニティ・アソシエーションの四元論など, 多様な市民社会論の展開がある. マルクス主義の側も深化ないし修正を迫られていると同時に, 新しい市民社会論の側にも課題がある. 市民社会の構造, 編成, 構成員について考えた場合, 個人的構成か集団的構成かということが問題となり, 家族と階級が論点となる. また, 市民社会のメルクマールがフランス革命の理念たる自由・平等・友愛とされることが多いが, 友愛は軽視されてきた. 元来この三理念は古代に遡るものであって, マルクスらも言及しているものである. それ故, この三理念をめぐる議論も論点となる. 更に, 市民社会における社会規範の存在様式について考える場合, 法哲学的観点からは, 法律のみならず, 他の社会規範も視野に入れなければならない. とくに, 慣習が重要であるが, 本稿では, 法律, 道徳, 慣習を, 市民社会の三元構造と対応させることによって, 他の論点とも関連させながらそれを明らかにする.There are various theories on the civil society, as the three elements theory of the state, market and society or four elements theory against the dualism of the state and civil society. In considering about the structure, constitution and constituant memmber, it will come into question whether the civil society is constituted by the individual or the groups among which the family and the class are important. The liberty, equality and fraternity used to regarded as the ideas of the civil society from both camps are also the subjects of argument. From the viewpoint of legal philosophy, we cann't discuss about a mode of social rules in the civil society without counting in not only the law but also other social rules, among which the custom should be made much of. My purpose is to make it clear by corresponding the law, the morality and the custom to the three spheres.