著者
周天宇 中西恒夫 久住憲嗣 福田晃
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.5, pp.1-6, 2013-03-06

GPSならびにQZSSによる測位の精度を向上させるべく,捕捉した衛星の中から実際に測位に用いる衛星を選択するアルゴリズムを提案する。提案アルゴリズムは捕捉した衛星の中から仰角が1番目と2番目に大きい2機,ならびに仰角が近く,方位角が90°ずつ均等に空いている4機,計6機を選び出す。提案アルゴリズム「ファジイ6機衛星群選択アルゴリズム」は,既存のファジイ4機衛星群選択アルゴリズムの拡張である。開空条件の良い場所でも悪い場所でも,測位精度を示すGDOPが同アルゴリズムよりも良い値を示した。また,QZSSを併用する場合としない場合とでは,併用する場合のほうがGDOPが良くなることも確認された。
著者
清水尚彦
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.4, pp.1-6, 2013-03-06

本報告は、RTOSのLinuxへのマイグレーションや、RTOS教育を目的として、POSIXレイヤー上にタスクスイッチャーを構築したRTOS on POSIXの開発について述べる。RTOSレイヤーには、ToppersプロジェクトのToppersATK1を採用し、i386用のタスクスイッチコードおよびPOSIXレイヤーとの接続コードを新たに開発した。OSEKにおいて必須となっているにもかかわらず、ATK1に不足するメッセージ通信については、新たにCOM/CCCAコードを作成し、提供した。POSIXレイヤーとしてLinuxおよびCygwinを用いて実働を確認した。
著者
知場貴洋 兪明連 横山孝典
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.3, pp.1-6, 2013-03-06

本論文では,自動車などの組み込み制御システムを対象にした,分散共有メモリ機構を持つ分散リアルタイムOSについて述べる.まず,アプリケーションのタスクが共有メモリに読み書きをするためのメモリアクセス機能と,ネットワーク通信を用いた更新処理によって一貫性を保つ手法を提案する.そして,自動車制御向けのリアルタイムOSであるOSEK OSをベースに分散共有メモリ機構を備える分散リアルタイムOSを実装する.ネットワークには,TDMAプロトコルに基づくFlexRayを用いる.
著者
三浦 功也 太田 貴也 Daniel Sangorrin 本田 晋也 高田 広章
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.1, pp.1-6, 2013-03-06

本研究では組込み向け高信頼デュアルOSモニタSafeGを用いた,汎用OSの監視手法を提案・実装した.SafeGは単一の組込みシステム上で,リアルタイムOS(RTOS)と汎用OSを同時実行するために提案・実装された小規模なソフトウェアモジュールである.SafeGを用いてRTOSから汎用OSを監視することにより,汎用OSのカーネルや,既存の監視機構が正しく動作していることを保証することができる.そこで本研究では,SafeGを用いて,RTOSから汎用OSの実行シーケンスの監視を行う機構に着目し,その実装と評価を行うことで,実際に汎用OSの監視機構が実現できることを示した.
著者
Akisato Kimura Masashi Sugiyama Hitoshi Sakano Hirokazu Kameoka
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.136-145, 2013-03-12

It is well known that dimensionality reduction based on multivariate analysis methods and their kernelized extensions can be formulated as generalized eigenvalue problems of scatter matrices, Gram matrices or their augmented matrices. This paper provides a generic and theoretical framework of multivariate analysis introducing a new expression for scatter matrices and Gram matrices, called Generalized Pairwise Expression (GPE). This expression is quite compact but highly powerful. The framework includes not only (1) the traditional multivariate analysis methods but also (2) several regularization techniques, (3) localization techniques, (4) clustering methods based on generalized eigenvalue problems, and (5) their semi-supervised extensions. This paper also presents a methodology for designing a desired multivariate analysis method from the proposed framework. The methodology is quite simple: adopting the above mentioned special cases as templates, and generating a new method by combining these templates appropriately. Through this methodology, we can freely design various tailor-made methods for specific purposes or domains.
著者
菊池 浩明 佐久間 淳
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2011 論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.516-521, 2011-10-12

プライバシー保護データマイニングには,安全なマーケティングや匿名のヘルスケア,安全な疫学など多くの潜在的応用がある.本稿では,集合を秘匿したままで複数の集合の交わりの大きさだけを比較するプロトコルを提案する.提案方式はBloomフィルタの内積の大きさを予測する.固定長のフィルタの為,通信効率が高い.
著者
中村 聡史
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.142-149, 2013-01-15

デジタルカメラやスマートフォンの普及により個人の日々の活動を記録するライフログが容易になった.ライフログには自動的に活動を記録するものと,ユーザが主体的に一人称視点で記録するものとに分けられる.後者のライフログはいわば個人の記憶の記録である.記録から記憶を呼び覚ます事が可能となり,利活用できるようになれば,個人の生活をより豊かにする可能性をもつ.しかし,その記録の利活用方法は十分に検討されていないうえ,ライフログはその性質上,膨大なデータとなるため利活用も容易ではない.デジタル写真を記録したものの死蔵している方も多いのではないだろうか.本稿では,特に写真を記録メディアとして用いた一人称視点ライフログの現状を俯瞰し,筆者のライフログ経験をもとに今後の展望について考察する.
著者
丸山 宏 佐々木 康裕
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.150-155, 2013-01-15
著者
呉 剣明 加藤 晴久 加藤 恒夫
雑誌
研究報告システムLSI設計技術(SLDM)
巻号頁・発行日
vol.2010-SLDM-144, no.69, pp.1-8, 2010-03-19

多数の携帯電話とデジタルサイネージのインタラクションを可能にするクライアントサーバー型 Bluetooth 通信方式を提案する.Bluetooth は省電力であり,携帯電話機にも普及が進んでいるが,多数の端末の同時接続と,双方向かつデータサイズを制限されないインタラクションは実現できなかった.これに対して,本論文は,ロールチェンジと複数の Bluetooth レシーバーの管理手法により,Bluetooth 仕様の制約を超える多数の携帯電話との同時接続を実現し,携帯電話とデジタルサイネージの間に大容量・双方向データ通信を可能とした.本方式に基づいて複数の携帯電話が同時接続する対戦型ゲームを試作し,レスポンス時間と通信速度の性能評価実験を通して,提案方式の有効性を検証した.

2 0 0 0 OA 目次・表紙

雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, 2013-01-15
著者
柏崎 礼生 高井 昌彰
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.404-413, 2013-01-15

ハイビジョン機器などの普及により高精細映像のストリーミングが可能となった. 大きなトラフィック要求を発生させるコンテンツを複数拠点で相互配送する場 合,クロストラフィックの発生によりパケット損失が起こり,映像品質の劣化 が問題となる.本論文では小中規模のマルチホーム環境に適用可能な,離散イ ベント型シミュレータを用いた適応的トラフィックエンジニアリング手法を提 案する.提案手法はネットワークの送信元と送付先の組合せからなる経路 の組合せに対して,ネットワーク情報の実測値をもとに漸進的な探索処理 を行い,実時間で準最適な経路を適用する手法である.クラウドコンピューティ ング環境の普及により強大な計算機資源を利用することが可能となったが, 本提案手法はこれを利用して高速な経路の組合せ評価を実現する.本提案 手法の実時間対応性とトラフィック負荷分散をシミュレータを用いて評価し, その有効性を示す.
著者
森田祐衣 米田宗弘 山本倫也 長松隆 渡辺富夫
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.601-603, 2011-03-02

近年、Microsoft Kinectなど身体的なインタラクションが可能なゲーミングインタフェースが多数開発され、市販されるようになっている。著者らは、テーブルトップインタフェースに視線計測を組み込むことで、視線とタッチを組み合わせた新たなアプリケーションが制作可能なEye-Tracking Tabletop Interface(以下ETTI)を開発している。本研究では、ETTIのコンテンツとして、人が物を取る際に先に目で対象物を見てから取るという特性に着目して、テーブルトップ対戦型百人一首ゲーム”百人eye首”を開発している。また、エンタテインメントコンピューティング2010においてデモンストレーションを行い、システムの有効性を確認している。
著者
吉村 健
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2012-SLP-93, no.4, pp.1-6, 2012-10-19

しゃべってコンシェルでは自然な発話により,携帯端末の基本機能 (電話,メール,スケジューラ,等) を利用したり,さまざまな情報 (地域情報,リアルタイム情報,デジタルコンテンツ,等) を検索したりすることが簡単にできる.そのようなサービスを実現するにあたり,ユーザの発話の内容を解析し,ユーザの求める最適なアプリケーションや各種専門検索エンジンに処理を橋渡しする意図解釈技術と,発話内容が質問である場合には,質問に対する回答そのものを提示する知識検索技術が適用されている.本稿では,しゃべってコンシェルのサービス概要と,そこで活用されている言語処理技術について述べる.
著者
五木 宏 竹内 飛鳥 藤田 篤 松原 仁
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2010-EC-17, no.12, pp.1-6, 2010-08-16

我々は,安全なオンラインゲームを確立するための技術開発の一環として,多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲーム (MMORPG) における現実世界の貨幣による取引 (RMT) の問題の解決に取り組んでいる.本稿では,RMT 実施者の検出の効率の向上を目的として,MMORPG のプレイログデータおよびチャットログデータに基づく統計的な属性情報について述べる.我々は実際の商用 MMORPG のログデータおよび,ゲーム運営者によって発見済みの RMT 実施者のリストに基づいて,実際の RMT 実施者の行動の特徴を同定した.そして,ユーザ集合から,RMT 被疑者を抽出するクローズドテストによって,各特徴の有効性を確認した.今回の調査により,RMT 実施者の役割ごとに,行動やチャットの量に大きな違いがあることが明らかになった.
著者
山添隆文 栄藤稔 吉村健 辻野孝輔
雑誌
画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2011)論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.409-415, 2011-07-20

本稿では,重みつき有限状態トランスデューサ(WFST)を用い,ノイズ領域が文字列として誤検出されることが課題となる情景画像からの日本語語彙検出手法を提案する.提案手法では,情景画像から網羅的な文字候補を抽出し,それらすべての組み合わせを表現したWFST と,大規模な語彙データセットから辞書を構成するWFSTとを合成することより,最終的な語彙検出結果を得る.これにより,辞書に含まれない文字候補の組み合わせとなるノイズ領域を除去することが可能となる.また,情景画像からの文字候補の抽出において,画像における位置情報を保持したままWFST を生成するため,同一の画像領域から最適な語彙を検出することができる.日本語を含む情景画像のデータセットにより検証を行い,ノイズ領域を除去しつつ日本語の語彙を検出できることを確認した.
著者
高久雅生 江草由佳 岡本真 大向一輝
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT)
巻号頁・発行日
vol.2012-IFAT-108, no.4, pp.1-6, 2012-09-18

東日本大震災を契機として,博物館,図書館,文書館,公民館の被災・救援情報を集約するウィキサイトを構築した saveMLAK ウィキにおける編集がどのように行われたかを定量的に分析する.サイト設立から 1 年以上にわたる有志のボランティアによるウィキ編集行為の内容を明らかにすることを試みる.
著者
吉田 弘輝 藤井 章博
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP)
巻号頁・発行日
vol.2012-EIP-57, no.19, pp.1-6, 2012-09-06

従来, CAD 図面の運用機能は限られたニーズに対応するプロプライエタリ-なアプリケーションソフトウエアによって提供される場合がほとんどである. Web 技術の進展により多様な Web サービスが,共通の運用基盤,すなわち Web ブラウザと HTTP プロトコルによって提供できるようになっている.特に,最近 Web ブラウザに導入が進んだ HTML5 の canvas 機能により SVG 形式の画像情報をタブレットや PC 上に柔軟に利活用することが可能になった.本研究では,機械部品の CAD 図面等を基に作成した SVG データをリソースとして蓄積し, RESTful なアクセス機能を実装したデータベースシステムを構築した.また,こうしたリソースを利用して多様な電子商取引のニーズに対応するためのマッシュアップ機能を備えたミドルウエアの開発を行っている.機械部品流通などの分野における EDI に対するニーズは多岐にわたる.本稿では,開発中のシステムを利用して機械のメンテナンスのために部品の在庫管理を行うシステムの実装を述べ,特に SVG の利活用に関する課題を検討する.
著者
坂崎 尚生 側高幸治 長谷部 高行 山田 朝彦 大岩寛
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.2194-2203, 2012-09-15

2011年6月30日に政府・与党社会保障改革検討本部から社会保障・税番号大綱(案)[2]が示された.社会保障・税番号制度は,社会保障や税制を一体的にとらえ,社会保障給付等の効率性・透明性・公平性を高めようという観点から導入が検討されてきた社会基盤である.上記番号制度は社会保障・税分野で利用することを目的とした制度であり,民間への利活用は現段階では検討範囲外である.そこで,産業競争力懇談会(COCN)では,民間への利活用をテーマに,番号制度が国民に安心・安全な社会基盤として受け入れられるように,番号制度の民間利用に関する脅威分析を行い,セキュリティ対策を検討した.本論文は,医療,製品安全,金融の分野での想定したユースケースを基に,課題とその課題を解決するための技術的・制度的対応策をまとめたものである.