著者
林 耕司
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.218-221, 1997 (Released:2006-05-12)
参考文献数
5

失語症者に対する言語治療の目的が失語症者に日常生活での意味ある参加を促し,社会的不利の軽減と障害の受容を促すことにあるとするならば,失語症者が環境に適応しようとするつど立ち現れてくるさまざまなバリアー (障壁) を取り除くべく果敢に挑戦していくのが言語治療士の重要な仕事だと考えられる。本稿ではまず,人間は関係のなかで生きており,そのなかで得た病は積極的意味を持つという視点を提供した。さらに,地域に復帰していく失語症者を支えるという言語治療士の役割の視点から,失語症言語治療の枠組みのなかに言語ボランティアを導入し失語症者の生きがいを援助してきている実際の活動の “言の葉の会活動” と “病院言語ボランティア活動” を紹介した。そして,言語ボランティアがもたらす意味を考察し,併せて失語症者自身がトーンチャイムを利用してボランティア活動を行っていることも紹介した。
著者
小山 真人
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.349-371, 1998-10-30 (Released:2017-03-20)
参考文献数
53
被引用文献数
2

Reevaluation of places, type, magnitude, and influences of the 800-802 A.D. eruption (Enryaku eruption) of Fuji Volcano, Japan, was made through tephrochronology and analyses of historical records. The Nishi Kofuji fissure on the northeastern slope is newly recognized as a crater of the 802 A.D. flank eruption. The Nishi Kofuji fissure ejected fallout scoria toward ENE and lava flows, which can be correlated with Takamarubi and Hinokimarubi 11 Lavas on the northeastern foot. The Tenjinyama-lgatonoyama fissure on the northwestern slope probably erupted during the Enryaku eruption and ejected fallout scoria and lava fiows. A series of historical documents and paintings (Miyashita documents), which are unauthorized, personal records and are regarded to be unreliable by many historians, includes many detailed descriptions of paleogeogra-phy around Fuji Volcano and of the Enryaku eruption. Although some of the descriptions were exaggerated and conflict with geological observations, some of them are concordant with geologic data. The Enryaku eruption probably gave serious damages to ancient traffic routes particularly on the northwestern-northeastern foot of Fuji Volcano. The Gotenba area, which is located on the eastern foot, was also damaged by thin ash-fall and probably by lahars. This caused a temporal, southward relocation of the offical trafiic route, which had passed through the Gotenba area.

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1931年04月10日, 1931-04-10
著者
香月 興太 瀬戸 浩二 菅沼 悠介 Dong Yoon YANG
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.128, no.3, pp.359-376, 2019-06-25 (Released:2019-07-11)
参考文献数
22
被引用文献数
3 5

A suitable sampling tool is indispensable for making sediment observation. Eleven portable sediment core samplers using lake sediment observations are introduced: two box core samplers, four dropping core samplers, and five pushing core samplers. Some are popular for making sediment observations. However, others are unique and are not well known, although they have excellent characteristics. Their structures, merits, demerits, and suitable lake conditions are explained. Core samplers introduced are: Ekman-Birge grab sampler, Smith-McIntyre grab sampler, Rigo gravity corer, Limnos corer, Knocking corer, Mackereth piston corer, Proto-type pushing piston corer, Seto-type undisturbed separable piston corer, Suganuma-type portable percussion piston corer, Multisampler, and Russian Peat sampler.
著者
長瀬 勝彦
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.58-68, 2005-09-20 (Released:2022-08-05)
参考文献数
16

意思決定の規範的研究には,人間の意思決定は事前に設定された何らかの理由に基づいておこなわれるという前提がある.しかしながら,そのような認識は多くの実験研究によって修正を迫られている.人間は意思決定に際して必ずしも事前の理由を必要としないし,事前と事後とで理由が入れ替えられたり,事後的に想起された理由が誤っていたり,他人に理由を説明するときにはそうでないときと異なる理由が採用されたりする.
著者
根来 龍之 後藤 克彦
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.40-51, 2005-12-20 (Released:2022-08-05)
参考文献数
10

本稿では,技術革新をきっかけとした既存品と代替品の代替構造を分析し,代替戦略の構築方法を提案する.まず,代替品と既存品の関係を4つに分類し,各分類毎に代替品企業の攻撃戦略と既存品企業の防衛戦略の定石を示す.次に,提案するフレームワークをICタグの事例に適用して,方法の有効性を例示する.代替品と既存品は,買い手のニーズをそれぞれの製品機能によって取り合う構造になっている.この機能に着目する考え方が本稿に一貫する着想である.
著者
恩蔵 直人
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.19-26, 2006-03-20 (Released:2022-08-05)
参考文献数
15

市場のコモディティ化に伴い,従来の市場参入戦略は大きな見直しを迫られているように思われる.特に経験価値など,顧客にとっての新たな価値に関する研究成果が蓄積されることにより,単に市場参入順位が遅いというだけで,後発ブランドとして処理できない状況に直面しつつある.本稿では,経験価値,品質価値,カテゴリー価値,独自価値といった4つの顧客価値に注目し,市場参入戦略の新しい枠組みについて考察した.
著者
小川 進
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.27-39, 2006-03-20 (Released:2022-08-05)
参考文献数
32

本稿は,近年台頭してきているユーザー起動法(User driven method:UD法)が持つ潜在力を引き出す条件につい て考察した.本研究は株式会社良品計画の事例を分析し,UD法を使って開発した製品が高い新規性と販売実績を実現できること,そのためにはいくつかの補完的資源と仕組み上の工夫が必要であることを明らかにした.最後に,UD法の実践においてブランド・コミュニティが重要な役割を演じる可能性があることを指摘した.
著者
西村 友幸
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.71-82, 2006-03-20 (Released:2022-08-05)
参考文献数
33

フォン・ヒッペルは,問題解決の場所を説明するために,期待利益仮説と情報粘着性仮説を提示してきた.本稿は,これら 2つの見かけ上距離のある仮説の統合を図る.具体的には, 「粘着的な知識(情報)は,供与するよりも内部活用するほうが,期待利益の点で有利である」という結論が導かれる.
著者
三品 和広
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.27-42, 2006-06-20 (Released:2022-08-05)
参考文献数
15

電機・精密機器業界の一部上場企業を,長期にわたる売上高営業利益率の降順に並べてみると,上位を占めるのは創業第一世代期にある企業で,下位を占めるのは創業第一世代が姿を消した後の企業であることがわかる.経営体制の属性は時の流れとともに必然的に変わりゆくが,それに応じて業績水準も変位する可能性がここに示唆される.本稿は,その可能性をデータで実証し,変化の早い企業と変化の緩やかな企業の間に横たわる差異を探索的に検証した.
著者
高尾 義明
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.69-78, 2006-06-20 (Released:2022-08-05)
参考文献数
40

組織メンバーの自発性発揮の典型としてコンプライアンス経営において注目される内部通報を取り上げ,自発性発揮をどのように捉えるべきかを理論的に検討する.組織市民行動との対比から内部通報の特性として複合性の増大を取り上げ,それを起点とした複合性縮減の可能性を指摘する.さらに,こうした組織メンバーの自発性発揮による複合性の提供を活用するための手がかりとしてルーマンによる相互浸透概念を提示する.
著者
椙山 泰生
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.52-66, 2005-12-20 (Released:2022-08-05)
参考文献数
29

コーポレートR&Dの技術的成果にとって,事業の構想やビジネス・アイデアの持つ意味を明らかにするのが本研究の目的である.この論点について探求するため,本論文では,R&Dプロジェクトを単位として調査を実施した.その結果,重量級PLの存在と事業部知識の反映の2要因がR&Dプロジェクトの技術的成果の向上に寄与していること,および技術的不確実性がモデレータ要因となっていることが確認できた.
著者
師錬 著
出版者
法蔵館
巻号頁・発行日
vol.巻之中, 1893
著者
星 周一郎
出版者
信州大学大学院法曹法務研究科
雑誌
信州大学法学論集 (ISSN:13471198)
巻号頁・発行日
no.12, pp.141-154, 2009-03

信州大学法学論集 12: 141-154(2009)
著者
星 周一郎
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.57-70, 2018

<p>未曾有の高齢社会化に伴い,高齢犯罪者に関わる犯罪現象が変化するとともに,その対応のあり方についても新たな検討が求められる.増加の著しい高齢者万引きに関しては,その多くが比較的軽微な事案であるため,刑事司法制度が予定する犯罪者処遇がほとんどなされない一方,その犯行動機,犯行原因に対応する形で,医療,福祉との間での有機的な連携の必要性がある.しかしながら,それ以上に当該行為の未然防止が重要である.そのためには,生体認証システム付防犯カメラシステムの利用や問題を抱えた高齢者の情報などの個人情報の取扱いについて,社会一般の理解を踏まえた上で,プライバシー保護とのバランスを図った枠組みの整備が求められる.他方で,近年になって社会の耳目を集めることの多い「介護疲れ殺人」については,裁判員裁判が開始されて以降,「懲役3年・執行猶予5年」という量刑が下されることが多くなっている.しかし,当該被告人の再犯可能性がほとんど認められない事案が多いことを考えると,執行猶予の期間量定の意義に関して理論的な再検討が求められると同時に,当該者の支援のあり方についても,従来の刑事司法の枠組みを超えた対応の必要がある.</p>
著者
星 周一郎
出版者
首都大学東京都市教養学部法学系
雑誌
法学会雑誌 (ISSN:18807615)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.361-394, 2015-07-31

前田雅英教授退職記念号 川村栄一教授退職記念号