著者
山下 麻衣
出版者
京都産業大学マネジメント研究会
雑誌
京都マネジメント・レビュー (ISSN:13475304)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.25-38, 2014-09

本論文の目的は,日清戦争以降から満州事変以前において,日本赤十字社がどのような救護をおこなっていたのかを明らかにすることにある.日本赤十字社の主たる事業上の使命は,戦傷病者をケアすることであった(「戦時救護」).但し,国際赤十字社は,1920 年以降,健康管理や疾病予防のための取り組みを行なうようになった.この流れを受けて,日本赤十字社は,少年赤十字を結成し,学校看護婦および社会看護婦を養成し,林間学校を文部省と協力して行なうようになった(「平時救護」).これら事業は日本における健民健兵政策と強く結びついていた.
著者
片桐 新自
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.1-46, 2021-09-30

筆者は、1987年から5年おきに7回30年の長きにわたって大学生の価値観調査を行ってきている。その間に1995年に一度、1987年時点で大学生だった若い社会人の価値観調査を行い、学生時代から価値観がどう変化するのかを調べたことがある。今回25年ぶりに、大学を卒業した社会人の調査を実施し、大学卒業後どのように価値観を変化させるのかを明らかにした。7回の大学生調査との比較や、1995年の社会人調査と比較することで、「年代(年齢)」「世代」「時代」の影響によって価値観がどのように変わっているかが明らかになった。仕事上の立場の変化、結婚し子どもを持つことによる社会的立場の変化の影響は、当然ながら多くの項目で見られる。また他方で、年代(年齢)を超えて、同じ時代を生きるものとして同じような価値観の変化をしているものも見られることも明らかになった。
著者
山川 雄巳
出版者
関西大学法学会
雑誌
關西大學法學論集 (ISSN:0437648X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4-5, pp.737-789, 1995-01-20

村井正教授還暦記念論文集
著者
野添 文彬
出版者
沖縄国際大学法学会
雑誌
沖縄法学 (ISSN:02870649)
巻号頁・発行日
no.49, pp.107-142, 2021-03

日本学術振興会科学研究費若手研究「沖縄への米軍基地集中に関する外交史-三つの局面の分析(研究課題番号18K12737)」の研究成果である
著者
河添 博幸
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.203-219, 2006-03-31

現代日本のみの問題とは言い難いが、男性主導社会と言われて久しい。このことが現代の社会において負の影響を及ぼしているのではないか、このような論調が一般的になりつつあることは否めないであろう。では、その負の影響とは一体何であるのか、そしてそれはどのような経緯において生じたのか、その起因となるものは何なのか、これらを探求すべく我々は、男性らしさとは何か、女性らしさとは何かという「らしさ」について再考しなければならないと思われる。
著者
Chene Brent de
出版者
早稲田大学英語英文学会
雑誌
英語英文学叢誌 (ISSN:13476440)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.14-15, 2015-03-25
著者
関家 ちさと Chisato Sekiya
出版者
学習院大学
巻号頁・発行日
2018-03-31

日本では、新卒者を専攻を問わず採用し、長期のOJTとOff-JTを通して育成する人材育成(本研究では企業内養成訓練とよぶ)が人材育成の中核にあり、人事管理はこの企業内養成訓練を前提として形成されている。従来の研究では、日本型の企業内養成訓練は、高度で豊富な知識をもった人材を生み出しており、日本の競争力の源泉とされてきた。しかし近年、職場の人員削減などによって現場の教育環境が悪化し、企業内養成訓練が十分に機能していない可能性が指摘されている。もし、日本型の企業内養成訓練が社員を効果的に育成できず再編が避けられないとすると、それを基盤に形成されてきた日本型人事管理の改革は避けられない。つまり、わが国企業の人事管理の将来を考えるうえで、日本型の企業内養成訓練の特徴と有効性について研究する意義は大きい。しかしながら先行研究をみると、日本型の企業内養成訓練とくに基幹職(いわゆる「総合職」)の企業内養成訓練に焦点を当てた研究は限られ、①企業内養成訓練の実態が十分に把握できていない、②企業内養成訓練の効果が実証的に明らかにされていない、③企業内養成訓練と人事管理との関係性が十分に検討されていない、という現状にある。そこで、本研究は基幹職の企業内養成訓練に焦点をあて、フランスとの比較から以下について明らかにする。①日仏の企業内養成訓練の特徴を明らかにする。②両国の企業内養成訓練の有効性を評価する。③企業内養成訓練を補完する両国の人事管理の特徴を明らかにする。なお、フランスを比較対象としたのは、「資本主義の多様性」の研究によって、フランスは人事管理の基盤となる雇用システムが日本と共通していることが明らかにされているからであり、これによって日本型の企業内養成訓練の国際的な特徴を鮮明に捉えることができると考えている。企業内養成訓練の特徴は、就業1年目~10年目までの「仕事経験」と「OJT・Off-JTからなる訓練経験」から把握する。企業内養成訓練の効果は、就業10年目と課長職の時点で、「どの程度重要な仕事を担当する人材に育成されているか」という視点から把握する。この「仕事の重要度」は、a.仕事の幅、b.仕事の難易度、c.仕事の裁量度の面から、独自開発した仕事分析表を用いて定量的に評価する。本研究は大別して①企業内養成訓練に関する個人調査と、②人事管理に関する企業調査からなる。個人調査は基幹職の人事スタッフを対象とし、主に「大学での教育経験」と、就業1年目~10年目までの「仕事経験と訓練経験」について、ヒアリング調査(日本20人、フランス14人)とアンケート調査(日本34人、フランス17人)を行った。なお、人事スタッフを対象としたのは、国や産業を超えて業務内容に大きな違いがないためである。企業調査は従業員規模1,000人以上の企業を対象とし、基本的な人事制度について、ヒアリング調査を行った(日本7社、フランス7社)。調査は日本、フランスにおいて、それぞれの言語で実施した。以上の研究課題と方法に基づいて、本論文は本編(第I編~第IV編)と、附属資料の事例集(第I編~第II編)、添付資料の調査表から構成される。本編の第I編は2部構成で、第1部で本研究の背景、問題意識、分析枠組みを提示し、調査対象や調査・分析方法について論じる。さらに第2部で、先行研究の成果を整理し、既存研究の限界と本研究の重要性を明確にする。第II編は2部構成で、第1部で日本の企業内養成訓練、第2部でフランスの企業内養成訓練について分析する。第III編は2部構成で、第1部で日本の人事管理、第2部でフランスの人事管理について分析する。第IV編は3部構成で、第1部で両国の企業内養成訓練を比較し、それぞれの企業内養成訓練の特徴を明らかにするとともに、その有効性を評価する。第2部で両国の人事管理を比較し、各国の人事管理がどのように企業内養成訓練と関わっているかを明らかにする。第3部で、両国の企業内養成訓練の強みと弱みを包括的に評価し、本研究の成果をまとめる。そして最後に、本研究が既存研究や実務に与える貢献と、残された課題を整理し、今後の研究の方向性を提示する。主な研究結果は以下のとおりである。第一に、両国の企業内養成訓練の特徴的な違いとして、つぎの3つが指摘できる。①養成訓練の開始時期の違いであり、日本は就職後から養成訓練が始まるのに対して、フランスは高等教育機関の在学中から学生個人によって養成訓練が始まる。②人材育成方針の違いであり、日本は多能型の人材育成策をとり、10年間の前半に「仕事の幅」が拡大するが、フランスは専門職型の人材育成策をとり、前半は特定の範囲に限定してキャリアを築き、人事課長に昇進する後半に「仕事の幅」が急拡大する。③訓練主体、訓練機会、訓練方法の違いであり、日本は初期能力が十分な水準にないため、企業が主体となり豊富な訓練機会を一律に提供するのに対し、フランスは在学中の養成訓練を通して即戦力に育った人材を採用するため、就職後の訓練機会は限定的であり、基本的には個人による能力開発が中心で、訓練は業務上必要な場合に限って個別に提供される。第二に、日本型企業内養成訓練の有効性を評価すると、日本企業は専門知識や実務経験がない新入社員を、段階的な仕事の高度化と手厚いOJTとOff-JTによって多能的な人材に育成できている。しかしその育成スピードをみると、フランスに比べ5年ほど遅く、養成にかかるスピードに課題がある。第三に、両国の企業内養成訓練を補完する人事管理の特徴はつぎのとおりである。日本は多能型の人材育成に対応し、採用では専攻を問わず、職種を限定しない新卒一括採用をとる。社員格付け制度は、将来的に柔軟に「仕事の幅」を拡大させられるよう職能等級制度が用いられる。基本給は職能等級に対応し、職務能力に対して報酬は支払われる。教育訓練をみると、新入社員のみならず非管理職にはOJTと多数の階層別研修を実施し、多能型人材に育成する。これに対してフランスは、専門職型の人材育成に対応し、採用は専攻を加味した職種別採用の方法がとられる。社員格付け制度では、職務の重要度によって社員の序列を決める役割等級制度をとる。基本給は役割等級に対応し、役割に対して報酬は支払われる。新入社員を含め非管理職層への教育訓練は限定的であり、職務に必要な能力が欠けている場合に限って、個別に訓練する。以上の研究成果は、大卒ホワイトカラーのキャリアに関する代表的な国際比較研究である小池(2002)理論を実証的に裏付けるとともに、日本が他国に比べて「遅い昇進」である理由を明らかにした点で、研究上の貢献がある。さらに、本研究が独自開発した「仕事の重要度」の分析枠組みとその評価方法は、客観的な測定が難しいキャリアや人材育成に関わる研究に、一つの方向性を示すことができた。また実務上の貢献として、日本の企業内養成訓練が養成スピードの面で課題があることを初めて実証的に明らかにし、日本企業に現状の企業内養成訓練を再検討することの重要性を示した。さらに、フランスの企業内養成訓練と人事管理の特徴を明らかにしたことで、日本企業が具体的な改革策を作成する際の素材を提供した。ただし、本研究には次の課題が残されている。まず調査研究の方法上の課題として、調査対象とする国や職種、キャリアタイプを拡大して同様の研究を行い、本研究で得られた成果をより一般化した知見とする必要がある。また本研究では、能力水準の測定に個人の業績を考慮していないため、企業内養成訓練の効果の測定方法も改善する必要がある。つぎに、理論的な貢献からみた課題として、先進国の雇用システムを分類した代表的な研究であるMarsden(2007)理論への挑戦がある。同分類はブルーカラーに対する実証研究に基づいて行われたものであり、ホワイトカラーにも同様の分類が適用可能であるというMarsdenの主張には、日仏ホワイトカラーの実証研究である本研究からすると疑義が残る。しかし、本研究では十分に同分類の適用可能性について明らかにできないため、今後の課題としたい。さらに、各国の企業内養成訓練はその企業を取り巻く外部労働市場と整合的に形成されていると考えられるため、今後は両者の関連性にまで視野を拡げて国際比較研究を行う必要がある。
著者
小倉 清子
出版者
京都大学地域研究統合情報センター
雑誌
地域研究 (ISSN:24337358)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.83-101, 2015-04-30

第I部: 暴力が壊す社会、生み出す絆
著者
伊藤 明良 山口 将希 黒木 裕士
出版者
日本生体電気・物理刺激研究会
雑誌
日本生体電気・物理刺激研究会誌 (ISSN:18821014)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.15-21, 2015-11

関節軟骨治療における低出力超音波パルス(LIPUS)の応用が模索されているが、未だその効果の詳細は解明されていない。本研究の目的は、LIPUSの関節軟骨破壊因子に対する即時的効果および骨軟骨欠損モデル動物に対する組織修復効果を検討することである。ラット培養軟骨細胞に対してIL-1βを添加し、LIPUSを0~120 mW/cm2強度で照射した。1時間後に関節軟骨破壊因子であるMMP13を中心としたmRNAの発現を解析した。その結果、IL-1βの添加によってMMP13の発現は有意に増加したが、LIPUS照射はその発現上昇の抑制効果を示し、その抑制効果はLIPUS強度が高い程大きかった。次に、ラット大腿骨滑車面に骨軟骨欠損を作成し、LIPUS照射を実施した。骨軟骨欠損部へのLIPUS照射は、擬似照射と比較して軟骨修復を促進した。以上のことから、LIPUSはIL-1βによって惹起されたMMP13 mRMA発現を強度依存性に即時的に抑制する可能性を有することが示唆された。また、LIPUSは骨軟骨欠損モデルラットの関節軟骨修復を促進する可能性を有することが示唆された。