著者
橋本 亘 谷口 真一郎 柴田 隆一郎
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.363-366, 2013-06-15 (Released:2013-10-16)
参考文献数
8

急性大動脈解離(acute aortic dissection: AAD)に類似した症状を呈し,診断に苦慮した急性特発性脊髄硬膜外血腫(acute spontaneous spinal epidural hematoma: ASSEH)の1例を経験した。症例は49歳の男性。ゴルフプレー中に背部痛が出現し救急搬送された。搬入時は苦悶表情で心窩部痛と背部痛を認め,血圧は192/100mmHgと高値であった。搬入後,一過性に両下肢脱力を認めたが改善した。発症様式や症状から急性大動脈解離などの循環器疾患を疑い精査を進めた。しかし諸検査を行ったが確定診断は得られなかった。入院後も背部痛は続いており,一過性に両下肢脱力を認めていたことより磁気共鳴画像検査(magnetic resonance imaging: MRI)を行ったところ頸椎~胸椎レベルに脊髄硬膜外血腫を認め,ASSEHと診断した。神経症状が安定しており保存的加療を行い後遺症なく自宅退院となった。ASSEHの発生は稀であるが,急性期の診断や治療の遅れが後遺症を残す可能性がある疾患であり,救急鑑別疾患のひとつとして認識することが重要である。
著者
石崎 裕子
出版者
国立女性教育会館
雑誌
国立女性教育会館研究紀要 = Journal of the National Women's Education Center of Japan
巻号頁・発行日
vol.8, pp.61-70, 2004-08-01

1998年版『厚生白書』で紹介された「新・専業主婦志向」は、「男は仕事と家事、女は家事と趣味(的仕事)」という新たな性別役割分業意識に基づいた20、30代の女性を中心とした専業主婦志向である。パートタイマーとして補助的労働に従事したり、いわゆるキャリアウーマンとして男性に伍して働きながら、家庭と仕事を両立させるくらいなら、経済力のある男性と結婚し、専業主婦として、経済的、時間的に余裕のある生活を送りたいという若い女性たちの選択肢の一つとしての専業主婦願望が、この調査結果から読み取れる。本論では、女性雑誌『VERY』を資料に用いて、女性の生き方の選択肢が曲がりなりにも多様化する中で浮かび上がってきた若い女性たちの専業主婦志向が、どのように描かれているかを明らかにしていく。家庭の経済的基盤を夫に支えてもらい、ランチやお稽古事を満喫する『VERY』に登場する幸福な専業主婦たちの姿は、「新・専業主婦志向」を見事なまでに体現している。
著者
中西 好子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.224-231, 2018-03-15

はじめに 1994(平成6)年の地域保健法の施行後,市・特別区の保健所は設置数,組織体制,業務内容などの面で大きく変貌してきた.都道府県,政令指定都市,特別区の保健所は同法の施行から統合が進み,大幅に減少している,一方,中核市保健所は,中核市制度の発足と,その設置基準の緩和による中核市の増加に伴い,増加している. 市・特別区の保健所は,自治体ごとに組織は多様であるが,①保健所固有の感染症業務,②食品,医事薬事などの生活衛生関連業務,③市町村業務である保健サービスの母子保健や予防接種,特定保健指導,高齢者保健対策,健康づくり対策などを同一の自治体内で実施できることと,福祉や教育などの市の部局と連携して上記への対策ができることが大きな強みとなっている.広域的ないし重大な感染症や食中毒などの健康危機の発生時には,国や県との綿密な連携が必要である. 保健所の全体数は,ピーク時の1991(平成3)年度の852カ所から2017(平成29)年度の418カ所となり,ほぼ半減した(表1)1).特に県型保健所の多くが二次医療圏ごとに1カ所に集約され,政令指定都市および特別区の保健所も統合によって大きく減少している. 1989(平成元)年当時,10の政令指定都市では行政区に1つずつ保健所があったが,その後,福岡市と名古屋市を除いて1市・1保健所となった.1997(平成9)年度に札幌市で9→1,広島市で8→1,北九州市で7→1となり,1998(平成10)年度には神戸市で9→1に,2000(平成12)年度には大阪市で24→1カ所に順次統合された. 人口が360万人を超える横浜市も,2007(平成19)年度に,それまで18あった保健所が1カ所となった.2010(平成22)年度には京都市で11→1に,2015(平成27)年度には仙台市で5→1に,2016(平成28)年度には川崎市で7→1カ所に統合された.1992(平成4)年度に政令指定都市に移行した千葉市を皮切りにして政令指定都市に移行した市は1市・1保健所体制である. 現在,政令指定都市で複数の保健所を設置しているのは,福岡市の7カ所,名古屋市の16カ所である.東京都の特別区は,地域保健法の施行前から荒川区と渋谷区が1カ所であったのを除き,各特別区に戦前の行政区ごとに2〜4カ所の保健所があったが,1997(平成9)〜2002(同14)年度に順次,1区・1保健所に集約され,元の保健所は保健センター(福祉部門や子育て部門との統合が行われるなど,機能がさまざまで,名称も保健相談所,健康福祉センター,保健福祉センター,健康サポートセンターなどがある)となった. 一方,中核市制度が1995(平成7)年に発足し,また,その法定人口が30万以上から20万人以上とされるなど,その設置基準が緩和されたため,保健所の設置市は増加してきた.その他の政令市の設置保健所は中核市への移行で減少している.
著者
大北 全俊
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.94-101, 2010-09-23 (Released:2017-04-27)
参考文献数
13

本論考では、感染症対策、なかでも薬剤を使用しない非医療的な対策(nonpharmaceutical interventions:NPI)である隔離や検疫などの感染症対策をめぐる倫理的な問題とそのような対策を実施するにあたって必要と考えられる倫理的な配慮について明らかにすることを目的としている。主な倫理的な問題は、感染拡大の防止という社会的な利益を保全するために、個人の移動の自由やプライバシーの保護などの諸権利を制限せざるを得ないところに生じる。社会的利益と個人の権利・利益、両者をなるべく一致させる考えもあるが、個人の権利・利益の制限という事実は依然として残る以上、両者の均衡を図ることが不可避となる。しかし、両者の均衡を実現するということも根本的な困難をはらんでいる以上、当該施策が適切なものであるか否かということを公的に議論する過程や施策の対象となる個人への意見聴取など、両者の均衡を不断に模索する過程が倫理的な配慮として不可欠である。
著者
石坂 務 井上 雅彦
出版者
NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
雑誌
自閉症スペクトラム研究 (ISSN:13475932)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.5-13, 2020-09-30 (Released:2021-09-30)
参考文献数
22

本研究では、不登校状態にあった自閉症スペクトラム男児に対し、対象児が課題として有していた感覚過敏性とこだわり、暴力行為についての実態把握を行い、学校、教育委員会、警察、行政など、地域機関の支援体制を整えた。その上で、大学附属専門機関(以下、専門機関)が中心となり、行動論的アプローチを用いた登校支援を行いその効果を検討した。支援当初は男児の持つ過敏性の高さに対し、学校や家庭等周囲からの理解が得られにくく、男児は学校だけでなく外出自体に嫌悪的であった。そのため、当初の目標を学校への登校ではなく専門機関への来所行動に設定した。アプローチとして、過敏性に配慮し、調整した環境において対象児の好みに基づいてアニメやゲームの話をする等、本人の拒否が出にくい設定から来所課題を開始し、段階的に学校でも取り組める学習活動や運動を取り入れていった。また、並行して母親と面談を行い、家庭での環境調整を行うことで、暴言や暴力行為の低減をはかった。専門機関の来所行動を定着させたのち、学校と連携し登校支援を行った。連携に関しては、校内の支援チームと会議をもち、対象児の実態について引き継ぎを行い、かかわる教員、時間、学習活動を段階的に増やしていき、学校での個に応じた支援の引き継ぎと対象児の自発的な登校を定着させた。

14 0 0 0 OA 出版年鑑

著者
東京堂 編
出版者
東京堂
巻号頁・発行日
vol.昭和11年版, 1936
著者
Kai Yoshimura Masaaki Yamamoto Tomoya Inoue Hidenori Fukuoka Keiji Iida Wataru Ogawa
出版者
The Japan Endocrine Society
雑誌
Endocrine Journal (ISSN:09188959)
巻号頁・発行日
pp.EJ22-0108, (Released:2022-07-14)
被引用文献数
9

Coronavirus disease 2019 (COVID-19) is associated with endocrine disorders, but their long-term clinical course remains unclear. We here report the 15-month clinical course for an individual with multiple endocrine disorders of the pituitary gland and testis likely triggered by COVID-19. A 65-year-old man with no history of endocrinopathy was admitted for acute COVID-19 pneumonia. Although his respiratory condition improved after administration of antiviral drugs, his blood pressure dropped suddenly to a preshock level and was refractory to vasopressors. The circulating adrenocorticotropic hormone (ACTH) and cortisol concentrations were low, and secondary adrenal insufficiency was suspected. Administration of hydrocortisone rapidly ameliorated the hypotension, and the patient was discharged taking 15 mg of hydrocortisone daily. An insulin tolerance test performed 3 months later revealed impaired ACTH, cortisol, and growth hormone (GH) responses, indicative of combined hypopituitarism. The patient also manifested symptoms of hypogonadism, and a hormonal workup suggested primary hypogonadism. At 12 months after discharge, GH and ACTH responses had recovered completely and partially, respectively. After another 3 months, basal ACTH and cortisol levels had been restored to the normal range and the patient discontinued hydrocortisone replacement without exacerbation of symptoms, although his hypogonadism persisted. The patient thus developed transient GH and ACTH deficiency that lasted for more than a year as well as persistent primary hypogonadism during intensive care for COVID-19. Certain prolonged symptoms of COVID-19 might be accounted for by such hormonal disturbance.

14 0 0 0 OA 大日本仏教全書

著者
仏書刊行会 編
出版者
仏書刊行会
巻号頁・発行日
vol.第47巻 覚禅抄 第3, 1922
著者
Natsuki Hirakizawa Takeo Yamauchi
出版者
Arachnological Society of Japan
雑誌
Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1-5, 2021-06-28 (Released:2021-07-05)
参考文献数
14

The lithobiomorph centipede Lithobius (Lithobius) forficatus (Linnaeus 1758) is here reported for the first time in mainland Japan. All specimens were collected in Obihiro City, eastern Hokkaido, Japan. This species has a rather widely morphological variation and seems to inhabit synanthropic areas. The present study is the first record of indoor invasion of lithobiomorph species in Japan.
著者
山下知之編
出版者
山下知之
巻号頁・発行日
2022

14 0 0 0 OA 政治論略

著者
ボルク 著
出版者
忠愛社
巻号頁・発行日
1881

14 0 0 0 OA 日本一周

著者
田山花袋 編
出版者
博文館
巻号頁・発行日
vol.前編, 1915