著者
森川 敏育
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学人文学部研究紀要 (ISSN:13495607)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.97-116, 2005-03-31

2001年4月28日,台湾高雄県阿蓮郷の光徳寺に日台両国の宗教関係者が集まり,日本から運ばれた37体の孝養観音聖像の開眼法要が営まれ,台湾三十三観音霊場聯誼会会員寺院に引き取られて,台湾に三十三観音霊場が出来あがった。観音霊場を巡拝する宗教的習慣のない台湾に,日本人を対象とした観音霊場が創設された歴史的背景を明らかにし,同時に台湾の観光資源として日本人観光客を誘致する可能性について検討を行った。
著者
岩田 誠 宋 時栄
出版者
徳島文理大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2010

腸とその関連二次リンパ系器官に存在するレチノイン酸(RA)産生能を持つ樹状細胞(DC)は、T細胞活性化の際に、RAを与えることによってT細胞に小腸ホーミング特異性を刷り込み、さらにTGF-β依存性の制御性T細胞分化を促進し、炎症に関与するTh17細胞の分化を抑制する。従って、これらのDCによるRA産生の制御は、腸管免疫の構築ばかりでなく、経口免疫寛容の誘導にも関与すると考えられてきた。しかし、実際に経口免疫寛容がビタミンA由来シグナルに依存するかどうかの確たる証拠はなかった。本研究では、DCにおいてRA産生の鍵を握る酵素retinal dehydrogenase 2(RALDH2,ALDHIA2)発現の制御と免疫寛容の誘導について、レチノイドシグナルの役割を軸として解析した。その結果、ビタミンA欠乏マウスでは経口免疫寛容が正常に誘導されないことを明らかにした。さらにその原因として、特に腸間膜リンパ節DCの性質変化が大きな関与をしていることを見出した。これらのDCは、コントロールマウスのDCより成熟型であり、活性化によって主に炎症性サイトカインを産生した。また、効率良くTh17細胞など好炎症性ヘルパーT細胞の分化を誘導する能力を有していた。従って、レチノイドシグナルは、T細胞の機能分化に影響を与えるばかりでなく、腸間膜リンパ節DCの性質制御にも大きな役割を果たしていることが示唆された。我々は誘導型Foxp^<3+>制御性T細胞(iTreg)の分化誘導におけるレチノイドシグナルについても解析した。生理的な主要RAであるall-trans-RAは、生理的濃度で核内受容体ヘテロダイマーRAR/RXRのRARに結合するが、RXRからの刺激がiTreg誘導に影響を与えるかどうか不明であった。RARだけでなくRXRからの刺激を加えることによってiTreg誘導が促進されることを見出した。
著者
中野 明彦
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-6, 2005 (Released:2005-04-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

わが国から発信される学術成果の8割が海外の雑誌に,しかもその多くが商業誌に掲載されており,このことが情報発信のあり方としてさまざまな問題を生んでいる。国内の雑誌,特に学協会が発行するいわゆる学会誌というものが,もう少し力をつけ,研究者が投稿したいと考えるような雑誌に脱皮していくことができれば,この問題の解決に少なからず寄与できるはずである。本稿では,創刊以来30年の伝統を持つ英文学術論文誌Cell Structure and Functionを完全な電子ジャーナルに移行させ,冊子体を廃止するという大きな決断を行った日本細胞生物学会の取り組みを,学会の立場から紹介する。
著者
芳年
出版者
秋山武右エ門
雑誌
月百姿
巻号頁・発行日
1888
著者
Takeshi IZUTA
出版者
The Society of Agricultural Meteorology of Japan
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.1-2, 2019 (Released:2019-01-10)
参考文献数
5

In the 21st Century, air pollution and climate change are very serious environmental problems for forest ecosystems all over the world. Therefore, many researches are needed for understanding the responses of forest ecosystems to air pollutants such as ozone (O3), a main component of photochemical oxidants, and climate change such as elevated atmospheric CO2 and air temperature. The 28th IUFRO (International Union of Forest Research Organizations) Biennial Conference of Research Group 7.01 (Impacts of Air Pollution and Climate Change on Forest Ecosystem) entitled “Actions for Sustainable Forest Ecosystems under Air Pollution and Climate Change” was held in Fuchu, Tokyo, Japan (Tokyo University of Agriculture and Technology) on 22-26 October, 2017. At this biennial conference, we had an excellent opportunity to discuss close relationships among air pollution, climate change and forest ecosystems. This special issue of Journal of Agricultural Meteorology is dedicated to the original articles derived from the organized sessions of the 28th IUFRO Biennial Conference of Research Group 7.01 as follows: (1) Asian forest ecosystem under changing environment, (2) Developing detection, monitoring and evaluation, (3) Ecophysiological and genetic understanding of plant responses, (4) Water and nutrient cycles in forest ecosystems, (5) Modelling and risk assessment, and (6) Forest ecosystems under multiple stressors. The following briefly introduces the 5 original articles in this special issue.

2 0 0 0 OA 北越雪譜

著者
鈴木牧之 著
出版者
万笈閣
巻号頁・発行日
vol.2編 巻1, 0000

2 0 0 0 OA 義経記 8巻

出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
vol.[8], 1600
著者
田澤 実 淡河 由満子
出版者
法政大学キャリアデザイン学会
雑誌
生涯学習とキャリアデザイン (ISSN:13493051)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.87-102, 2018-11

Changes in career consciousness of university students resulting from a “Career Support Training” course, which is an experience-type subject, were examined. University students (N=155) that took the course responded to the Career Action-Vision Test (CAVT, Shimomura et al., 2013) in the early, middle, and latter period. The results indicated that both CAVT action and vision scores increased significantly from the early to the middle, and from the middle to the latter period. Moreover, examples of practice using a CAVT plot sheet were introduced based on the case of a student with increased CAVT scores and the case of a students with decreased CAVT scores.
著者
滑川 隆 中村 栄子
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.1069-1074, 2010-11-05
参考文献数
15
被引用文献数
3

A flow injection system for simultaneous determination of phosphate and silicate ions based on the formation of molybdenum blue is developed. This system is based on the difference of sulfuric acid concentration between phosphate and silicate on the formation of molybdenum blue. In this system, a part of sample zone in carrier is mixed with sulfuric acid solution and then, high and low concentrations of sulfuric acid zones are formed in the sample zone. In the low concentration zone, phosphomolybdenum, silicomolybdenum and isopolymolybdenum blues are formed. In the high concentration zone, only phosphomolybdenum blue is formed. Phosphate and silicate ions are determined by the difference of absorbance (830 nm) between high and low concentration zones. The determination limit of phosphate ion estimated was 0.003 mg L<sup>&minus;1</sup> as P and that of silicate ion was 0.04 mg L<sup>&minus;1</sup> as Si. The analysis rate was 6 samples h<sup>&minus;1</sup>. This system was available for phosphate and silicate ions in the sea water.
著者
森谷 峰雄 森谷 美麗
出版者
佛教大学
雑誌
文学部論集 (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
vol.87, pp.103-116, 2003-03-01

ミルトンの「パラダイス・ロスト』を元に、音楽作品を創作した有名な作曲家としては、Haydn,Franz Joseph (1732 -1809)とPenderecki,Krzysztof (1933年,11月23日ポーランド生まれ)の2人が知られている。前者は、3人の独奏者、合唱、管弦楽のための壮大なオラトリオ『天地創造』 (Die Schopfung) を創作し、後者はオペラParadiseLost (1978)を創作した。ペンデレツキのオペラは、登場人物がミルトン、アダム、イプ、サタン、パールゼブプ、モレク、ベリアル、マモン、神の声、死、罪、イスエル、ラファエル、ゼフォン、ガプリエル、メシア、ミカエルの17名である。内容は、アダムとイプ及び神との聞の平和・和解を中心に原作ミルトンの『パラダイス・ロスト』の主要な内容の全篇にわたっている。他方、ハイドンの方は、ミルトンの『パラダイス・ロスト』の中の一部(PL,Book,VIIの天地創造とBook Vのアダムとイブの朝の祈りの部分)から抜粋されている。もっとも、ハイドン自身がミルトンのParadise Lost全篇を読んで知っていたかどうかは不明である-ドイツ語訳の『パラダイス・ロスト』が完成されるのは、19世紀中葉になってからである。両者を聴いて比較すると、ハイドンの持つ宗教的深み、神への荘厳な感謝の念はペンデレツキにはない。もちろん、ハイドンにはペンデレツキの持つポリリズム(多線リズム polyrhythm) はない。この問題はここでは触れない。さて、本研究はミルトンの『パラダイス・ロスト』全篇12巻を音楽化する意思がある。ここでいう「音楽化」とは、言語芸術(詩)である『パラダイス・ロスト』に流れている創造精神を作曲者の思いのままに自由に形式にこだわりなく、音響乃至音楽-最終的には交響曲-に変換することであって、詩に節をつけることではない。ここで言う「音楽化」とは、原作の創造精神の自由な音楽的再創造のことである。すなわち、言語芸術の音響的芸術変換を言う。筆者らはすでに、ミルトンの詩をそのままコンピューターミュージック化した『音響失楽園』を有している。この音楽を作曲者がその自らの創造力でピアノ音楽へと再創造する。それは、おそらく、カトリック的な雰囲気をもつグレゴリウス聖歌的な曲になるだろう。現在、しかし、論文の原稿の量の制限からも、その他の理由から現在はできない。そこで、本稿は、ハイドンにならい、ミルトンの『パラダイス・ロスト』の一部を抜粋してピアノ作品に表現したい。テーマは、ペンデレツキの趣旨に似通う、アダムとイプそして、人類と神との平和である。『広島の犠牲者のための哀歌』 (Threnody for the Victims of Hiroshima,1961)を作曲したペンデレツキが戦争のむごたらしさ、残酷さを知り、平和を欣求する精神に溢れているように、ミルトンの中にも平和を求める気持ちは人一倍であった。ここで、平和というのは、事実としての戦争がない状態をいうのではなく、神・創造主とのつながりを得ている状態を言うのである。本稿は、ペンデレツキも着目した平和、人間と神との平和-これをへプライ語ではヒトラツァ(hitratstsa)という-の精神を与えられたアダムとイプが、心に真の平和を得て、楽園を去っていくまでを音楽化したものである。このピアノ作品は、Paradise Lost,Book IX,1134からBook XII,649までを音楽化したものである。イスラエルは、ミルトンの精神の中心思想を生んだ故郷である。しかるに、イスラエルは今日では世界で最も悲惨な国となった。この国においてほど、このヒトラツァが今や必要とされるところはない、と思われる。この曲はこの意味で、この国に捧げられてもよいのである。かつて、へブライ大学のトルーマン平和推進研究所(The Harry S. Truman Research Institute for the Advancement of Peace) の研究員(senior fellow) であった筆者には特別の思いが、この言葉ヒトラツァ(hitratstsa)にはある。なお、個人的なことで恐縮であるが、この言葉を教示してくださり、この曲についてもご配慮していただいたモーシェ・マオズ(Dr. Moshe Ma'oz)前研究所所長の思い出と共に、この曲を発表することができて嬉しい。本文の解説は森谷峰雄、作曲は森谷美麗が担当した。なお、この解説文をご高閲の上、筆者のあらぬ間違いをご指摘して下さった京都芸術大学教授龍村あや子氏に筆者は感謝の涙をした。