著者
上野 直樹 ソーヤー りえこ 茂呂 雄二
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.173-186, 2014-03-01 (Released:2015-02-02)
参考文献数
24

According to the viewpoint of this paper, artifacts can be regarded as a socio-technological arrangement. Further, agency is not independent from a socio-technological arrangement but is something emerging from a socio-technological ar-rangement, while agency has traditionally been defined as a human capacity of having needs and preferences and of seeing possible actions. If so, the design of an artifact is not the design of a single artifact but the design of a socio-technological arrangement and of agency. Thus, in this paper, first of all, we attempt concretely to analyze the design of an artifact as that of socio-technological arrangement, based on our field-works concerning the cases of open data and integrated learning. Second, we show how agency emerges from a socio-technological arrangement, also based on our fieldworks. Third, we propose some viewpoints for designing artifacts dependent on the first and the second analysis.
著者
上野 直樹
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.399-407, 2011

この論文では,ソフトウェアにおけるオープンソースを中心に野火的活動における社会的なつながりのあり方を「オブジェクト中心の社会性」および有形,無形の資源の「交換形態」に焦点を当てて明らかにする。また,こうした作業を行った上で,学習を見る観点の再定式化を試みる。ここで言う野火的な活動とは,分散的でローカルな活動やコミュニティが,野火のように,同時に至る所に形成され,ひろがり,相互につながって行く活動をさしている。野火的な活動は,Wikipediaの編集やLinux開発の例に見られるように,制度的な組織や地域コミュニティを超えて多くの人々が協調して何かを生み出すピアプロダクションという形で行われている。しかし,野火的な活動は,インターネットに限定されるものではなく,例えば,赤十字,スケートボーディングや地域における街づくりのための市民活動といったものの中にも見いだすことができる。また,「オブジェクト中心の社会性」とは,社会的ネットワークは,人々だけから構成されているのではなく,むしろ,共有するオブジェクトによって媒介されたものだという理論的観点である。
著者
中村 雅子 上野 直樹
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.627-643, 2008 (Released:2010-04-23)
参考文献数
25
被引用文献数
1

In this study, authors participated in the process of re-designing an information system for civil activities. From viewpoint of Actor Network Theory, they mainly pointed out two findings. Firstly, designing an information system inevitably includes (re-)designing related social organization and activity itself. Therefore the requirement engineering approach has its limitations, for it implicitly assumes that activities and social organization are out there independently from information systems, user requirements already exist, and they can be obtained out with various methods. Secondly, the subject of the information system design should not be regarded as an isolated individual or a team. It is a fluid network including artifacts and people with various interests. Moreover, these actors sometimes participate in, and withdraw from, the project. A new approach, the network-oriented approach, is required to make a useful information system, which will not cause serious breakdown.
著者
澤田 浩二 松村 飛志 上野 直樹
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.54, pp.116-117, 2007-06-20

Minor musicians have utilized various technologies and spaces such as web and a livehouse in order to distribute their music and in order to make a network among musicians and audiences. However, since these technologies and spaces were independently used, these musicians' activities were not visible enough to audiences. Thus, I arranged and implemented GoogleMaps and Blog sites that make minor musicians activities visible. I conducted interview with some minor musicians along with utilizing these GoogleMaps and Blog sites. The result of interview shows that these sites has possibilities of making minor musicians activities visible and of constituting a network among musicians and audiences.
著者
真行寺 由郎 上野 直樹 小池 星多
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.54, pp.112-113, 2007-06-20

Traditionally, in the domain of interface design, design of scheduler has focused only on functional aspects of the artifact itself without analyzing everyday collaborative activities where scheduler and the other resources are utilized for identifying time and schedule. However, historically, design of scheduler has been not separable from design of activities, institutional organizations, and of modern division of labor. Thus, in this research, I attempt to design a scheduler as part of redesign of collaborative activities.
著者
上野 直樹 塚野 弘明 横山 信文
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.94-103, 1986-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
10
被引用文献数
1

Preschoolers' understanding of number conservation in a signif icant context was studied in a series of 2 experiments. In experiment I, nonconservers in pretest (standard number conservation task) participated in a “puppet” experiment in which the conservation task was placed in the context of a puppet skit. Half of them were tested in a condition where the transformation was made by one of the puppets with an explicit reason, while for the other half transformation was made by the tester without any apparent reason. The mean success rates were 67% and 24% respectively. In experiment II, nonconservers in pretest were tested in 3 conditions in the puppet experiment: whether the transformation was made by the tester with a reason, or by one of the puppets without any apparent reason, or by the tester without any apparent reason. The mean conservation rates were 73%, 67%, and 21% respectively. Implications of these results were discussed concerning children's understanding of the significance of transformation in a conservation task.
著者
上野 直樹 古沢 剛 松村 飛志 澤田 浩二
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.C16, 2007

グラフィティとは、ビルの壁や地下鉄へ不法に描かれた壁画もしくは文字のことである。日本では最近、渋谷地区で合法なグラフィティを支援する活動がNPO 法人Kompositionによって行われ始めている。Kompositionの活動は、ビルや公園の壁にグラフィティを描かせてもらうために渋谷区役所やビルオーナーと交渉を行うといったことである。今回私たちはKompositionの活動を支援するためにGoogle Maps APIを利用して渋谷グラフィティマップをデザインした。渋谷グラフィティマップはKompositionの人々とグラフィティ文化のファンたちを繋ぎ、渋谷地区に描かれたグラフィティへのアクセスを容易にするツールとして見なすことができるだろう。
著者
上野直樹
出版者
大修館書店
雑誌
月刊言語
巻号頁・発行日
pp.1-6月号, 1996
被引用文献数
1
著者
上野 直樹
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.399-407, 2011-12-20 (Released:2017-07-27)
被引用文献数
1

この論文では,ソフトウェアにおけるオープンソースを中心に野火的活動における社会的なつながりのあり方を「オブジェクト中心の社会性」および有形,無形の資源の「交換形態」に焦点を当てて明らかにする。また,こうした作業を行った上で,学習を見る観点の再定式化を試みる。ここで言う野火的な活動とは,分散的でローカルな活動やコミュニティが,野火のように,同時に至る所に形成され,ひろがり,相互につながって行く活動をさしている。野火的な活動は,Wikipediaの編集やLinux開発の例に見られるように,制度的な組織や地域コミュニティを超えて多くの人々が協調して何かを生み出すピアプロダクションという形で行われている。しかし,野火的な活動は,インターネットに限定されるものではなく,例えば,赤十字,スケートボーディングや地域における街づくりのための市民活動といったものの中にも見いだすことができる。また,「オブジェクト中心の社会性」とは,社会的ネットワークは,人々だけから構成されているのではなく,むしろ,共有するオブジェクトによって媒介されたものだという理論的観点である。
著者
西野 範夫 西坂 仰 上野 直樹 松本 健義 北澤 憲昭 茂呂 雄二 永井 均 大嶋 彰 西村 俊夫
出版者
上越教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究は、今日の子どもにかかわる諸問題は、子どもの論理による学びが成立していないこと、すなわち、子どもの学びが今を生きることに成り得ていないことによるものであるとの認識に立ち、子どもの学びの実践の場に臨み、その論理を総合的にとらえ、子どもの論理による教育の体系化を目指した。このため、次のような研究を行なった。(1)子どもの論理による学びの成立がみられる、子どものつくること、表すことの行為に着目し、その実践の場に臨み、その論理を行為分析等の臨床学的手法を援用してとらえることとした。(2)子どもの論理によるつくること、表すことの行為をとらえ、学びの論理を明らかにするため、現象学的発達心理学、談話行為論、相互行為論、状況的認知論等の考え方をとり入れた学際的な研究を行なった。その結果、(a)子どものつくること、表すことの行為は、子どもの身体性を働かせた<感じること、考えること、表すこと>による相互作用・相互行為による意味生成の実践過程であって、常に<いま、ここ>を<私>として生きる学びの実践であるとともに、子どものすべての学びの基礎理論となり得ること。(b)子どものつくること、表すことの行為は、子どもの<生>の論理による学ぶこと生きることが一体となったものであるとともに、他者と相互行為的にかかわり、学び合い、行き合い、意味生成と、<私>と<他者>をともに生成する過程であり、「生きる力」を育む過程であること。(c)子どもの論理による学ぶこと、生きることの生成過程は、子どもと相互行為的にかかわり、ともにその過程を実践する教師の学習臨床あるいは意味生成カウンセリング的な関与に支えられること。以上の論理を総合することによって、子どもの論理による学びのカリキュラムの構成が十分に可能であることを明らかにすることができた。
著者
上野 直樹 茂呂 雄二
出版者
国立教育研究所
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

平成2年度からの3年間の科研費による研究において、学校における算数に関する"言語ゲーム"のあり方の調査、実験を行った。その結果、多くの小学生が、意味のない算数の問題を何ら疑問なくといてしまうこと、あるいは、非現実的な問題に「これは算数の問題だから変ではない、解ける。」と答えることなどが示された。以上の調査から、小学生は、与えられた問題の現実性・意味についてモニターしないこと、算数理解のあり方が手続き指向的であること、算数の問題は「算数」である以上、現実的である必要はないと積極的に判断していること、などが明らかになった。こうした諸事実は、学校の算数が何を指向しているか、つまり算数という「ゲーム」が学校においてどの様な運営のされ方をしているかを示している。さらに申請者がトヨタ財団研究助成によって行っているネパールにおける日常生活における算数の調査によれば、商人や農民の算数という「ゲーム」のあり方は、以上に示される様な学校算数と対照的である。例えば、「水牛1頭18円で3頭でいくら」というような非現実的な問題に皆笑いだす。また、ネパールの商人や農民の算数の問題解決は、協同的である。例えば、個人に、問題を与えてみても、自然と人が集まり、互いにいろいろ教えあったり、計算に関してコメントすることが頻繁にあった。つまり、ネパールの人々にとっては、個人的に算数の問題を解くこと自体がむしろ不自然な事態であると考えられる。さらに、そのストリート算数の背景に、歴史的に構築されてきた様々な手続き、道具があり、そうした算数の道具が学校とは異なった形で発展し、又洗練されていることが明らかにされた。以上の事実から、算数認知は、特定の活動のコミュニティ(学校・バザール等)に参加し、メンバーとして文化・歴史的状況との相互交渉を行うことを通して社会的に構成されるものであることが明らかにされた。
著者
松本 健義 西野 範夫 佐藤 公治 上野 直樹 布川 和彦 茂呂 雄二 西阪 仰 松本 健義
出版者
上越教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

現在の子どもの根源的な危機は,学力低下にあるのではなく,<学ぶことの根拠>である<生>の低下,すなわち,他者と共にアクチュアルに生きる機会の激減にあるという認識にたち,以下のように研究を進めた。(1)感じ・考え・行う身体の論理と筋道を働かせて,子どもがもの,こと,人に働きかけ働きかけられて<学び合い・生き合う>ことを通して,根源的な<学び-知>が生成され成りたつ過程を明らかにする。(2)現象学的心理学,状況的学習論,談話心理学,相互作用・相互行為分析の視点と方法を取り入れた学びの過程の臨床的分析と教育実践の構想実践を行い,学びの過程に対応するカリキュラムと教育実践の総合的在り方を明らかにする。その結果,以下のような成果を得た。1.子どもの<学び-知>は,自己の行為の論理を働かせた,もの,こと,人との相互作用・相互行為の過程で,記号や道具を媒介にして,子どもともの,こと,人とのあいだに<できごと世界<関係=意味)>を,状況的・相互的・協働的に生成し,世界,行為,他者,<私>の意味を同時に生成する過程であることを明らかにした。また,意味生成としての子どもの学びの過程をとらえるあり方を学習臨床学として明らかにした。2.子どもの行為の論理による<できごと世界>の生成としての学びの過程が生起し,その過程で,過去の経験や活動といまここで未来へと向かいつくられる活動との関係,他者やできごととの関係を,子どもが新たにつくりつくり変えて自己の<生>と,世界,行為,他者,<私>の意味とを共に新たに生成することを支える教育実践のあり方を,学習臨床カウンセリングとして明らかにした。3.他者と共に<生きる-学ぶ>ことにより子どもが、<知>を生成する過程を通して,あらゆる教科の学びの基礎・基本となる子ども<生>の論理に対応した学習過程の臨床的カリキュラムが構成されることを明らかにすることができた。
著者
上野 直樹 ソーヤー りえこ 茂呂 雄二
出版者
Japanese Cognitive Science Society
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.173-186, 2014

According to the viewpoint of this paper, artifacts can be regarded as a socio-<br>technological arrangement. Further, agency is not independent from a socio-<br>technological arrangement but is something emerging from a socio-technological ar-<br>rangement, while agency has traditionally been defined as a human capacity of having<br> needs and preferences and of seeing possible actions. If so, the design of an artifact is<br> not the design of a single artifact but the design of a socio-technological arrangement<br> and of agency. Thus, in this paper, first of all, we attempt concretely to analyze the<br> design of an artifact as that of socio-technological arrangement, based on our field-<br>works concerning the cases of open data and integrated learning. Second, we show how<br> agency emerges from a socio-technological arrangement, also based on our fieldworks.<br> Third, we propose some viewpoints for designing artifacts dependent on the first and<br> the second analysis.